超かぐや姫!~"はじまり"、祈り。そして、”はじまり”~ 作:tomine1411
どうぞお楽しみに。
A.D.203x。酒寄義体研究所、義体調整室。
人間と変わらない感覚や肉体制御を持ち、
社会の中でヒトとして暮らせるようにする体。
その、試作1号機であるYC型。名前の通り、
感情表現などにおいて必要となるデータをエモーショナル・エンジンといった
成果物して持っている
その対価として用意されたもの...ということになっているが。
実際は、それだけではない。
"かぐや"を取り戻すその第一歩として、最初にヤチヨが動ける義体を創る。
それを以て初めて、かぐやを入れる義体の可能性が開けることになる。
そのために、私はずっと走ってきたのだから。
そして、今日がそのための、最初の日。
初めてヤチヨがこのボディに乗り込み、動作を検証する日だ。
ベッドサイドのコンソールから、義体システムの状況を確認する。
全疑似神経系・自律系は正常に作動。
バッテリー残量は問題なし。
大容量通信システムも正常に作動中。
...ヤチヨからの、メッセージ。
「いつでも大丈夫」
先、越されちゃったな。
「それじゃ、始めますか。」
「はい、先輩。いつでも大丈夫です」
ここでは珍しい女性職員(なんと後輩だ)とともに、転送と起動を見守る。
転送システム、オープン。
ヤチヨ由来の制御パケット流入を確認。
疑似生体維持系同期スタートを確認。
ヤチヨの疑似バイオリズムへの同期、完了。
意識レベル、正常に上昇中。
覚醒を確認。瞳孔反射と注視を確認する。
「うーん、やっぱちょっと適応率が低いかな?」
「...うん、そうだ、ね。ちょっと、話しづらい。」
「動かしづらいなら無理しちゃ...んぐっ!?」
突然、抱きつかれる。
倒れそうになるが、なんとかこらえる。
後輩もいるのだ、倒れてたまるか。
「...ぐすっ...」
静かな、嗚咽。静かに、抱き寄せる。
「こうやって、触れたかった。ずっと、ずっと。」
...そうか。ツクヨミでは、今なら触れられる。
だけど、
「彩葉の身体、暖かいなぁ。暖かい...」
静かな、首肯。
でも、触れられない日々も。今日で終わり。
これからは、この身体で。触れ合える。
暖かさを、感じ取れる。
「...そうだ。何か言うこと、あるんじゃないの?」
ふと、聞いてみる。
「...うん。そうだね。....ただいま、彩葉」
「...うん、おかえり、ヤチヨ。」
空に浮かぶ太陽は、今日も私たちを照らしている。
これからも、ずっと、ずっと。私達を、照らしていく。
これからもずっと終わらない、私達の旅路の先を。