超かぐや姫!~"はじまり"、祈り。そして、”はじまり”~   作:tomine1411

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連作の3つ目、連作としては最終話になります。
無論まだまだ続きますが、連作としてはここでおしまいということで。

ではでは、お楽しみに。


《最初の、"ただいま"》

A.D.203x、夏。日本某所。

 

エレベーターに乗って、フロアを駆け上がる。

 

-お別れしたのはもっと 前のことだったような-

 

...ああ、ここに最後に乗ったのはいつだったっけか。

 

彩葉のもとに落ちてきて。

 

彩葉のこと、散々迷惑かけちゃって。

 

-悲しい光は封じ込めて かかとすり減らしたんだ-

 

配信を始めて。ライバーになって。

 

いろんなことに手を出したっけかな。

 

...でもさ、今も覚えてること。いっぱいあるんだ。

 

-君といたときは見えた 今は見えなくなった-

 

あの時の、運命を受け入れようとする彩葉の表情(かお)がさ。

すっごい、綺麗だったの。

 

-透明な彗星をぼんやりと でもそれだけ探してる-

 

だから、その時からかな。

 

私が、彩葉を好きになったのは。

 

-しょっちゅう歌を歌ったよ その時だけのメロディーを-

 

最初は、恋愛感情だとは思わなかったけど。

(そもそも知らなかったし)

 

-寂しくなんかなかったよ ちゃんと寂しくなれたから-

 

...でもさ。そのうち、

「彩葉と一緒にいたいなぁ」って。思うようになってきたんだ。

 

だから、帰ってこれた。

 

私は、私の存在定義を書き換えることができた。

 

-いつまでどこまでなんて 正常か異常かなんて-

 

帰ってこようとして落っこちた後の記憶は、あまり上手く思い出せないけど。

 

でも、たくさんの別れがあった。

 

-考える暇もないほど 歩くのは大変だ-

 

悲しいことも、嬉しいことも、いっぱいあった。

 

-楽しい方がずっといいよ ごまかして笑ってくよ-

 

いろんな人と出会って、お別れをして。

 

出会いの喜びと、お別れの痛み。それだけは、ずっと覚えてる。

 

-大丈夫だ あの痛みは 忘れたって消えやしない-

 

でもさ。今は、今が一番幸せなんだって思うんだ。

 

月から逃げ出して。彩葉と、出会って。

 

いっぱい、いっぱい楽しいことをして。

 

-伝えたかったことがきっと あったんだろうな-

 

そして、月に連れ戻されて。

 

また、彩葉の歌を聞いて走り出して。

 

すべてを終わらせて、ここに帰ってこれた。

 

-おそらくありきたりなんだろうけど こんなにも-

 

だから、私はずっと彩葉のことが、好きだった。

 

ずっと一緒に生きていたい。

 

本当は叶わなかったはずの願いを、彩葉が叶えてくれたから。

 

だから、ずっと一緒にいよう。

 

...エレベーターが、止まる。

 

「はい、これ。必要でしょ?」

 

彩葉から渡されたのは、鍵。

 

ああ、見覚えのある鍵だ。私が無理言って作ってもらったやつ。

 

嬉しいなぁ。ずっと、持っててくれたんだ。

 

「ありがと、彩葉!」

 

それじゃあ。最初の言葉は、やっぱりこれにしよう。

 

扉を開け、1歩踏み込む。そして、彩葉の方に振り向いて、

 

「ただいま、彩葉!」

 

《出典:Ray / BUMP OF CHICKEN》

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