超かぐや姫!~"はじまり"、祈り。そして、”はじまり”~ 作:tomine1411
A.D.2040。京都、酒寄本家にて。
彩葉。私の、大切な子供。
でも、私は。一度、あの子を失いかけた。
ずっと分かっていなかった。
あの子の意地に。私への期待に。
すぐに折れると思っていたのだ。
自分も、かつてそうだったから。
それを知った朝日からは、だいぶ怒られたけれども。
今に思えば、当然とすら思える。
あの子には、散々なことをしてしまった。
子を持つ親として、最低なことをした自覚すらある。
でも、私は止まれなかった。
たとえ私がいなくなったとしても、独りで耐えきれるように育てると。
私は、
だから、北風として。試練として、あの子達を育てようとした。
でも、私独りではできなかった。
私は、かつて妹たちを育て抜くことができた。
でも、それは友人やあの人に弱音を吐けたからできたのだ。
朝日からあの兄妹喧嘩を見せられて、
それが、お互いにできなかった/させようとしなかったことを、思い知らされた。
私は、見誤っていたのだ。
彩葉の弱さを。彩葉の、内面を。
それを解いてくれたのは、あの子だったから。
あの子のあんな笑顔なんて、いつぶりに見ただろう。
ずっとずっと、作り笑顔をさせてしまっていた。
強く在ろうとした心を、削り切ってしまっていた。
何気なく言った言葉が、心の傷になっていた。
…|今、これを言ってもどうしようもないけれど。《”if”はもう訪れないのだから》
もしも、朝久さんが生きていたのならば。
私は、あの子たちをより上手く育てられたのだろうか。
「私は、そうは思わないかなー」
…ああ、あんたか。”Yachi8000”。
あの子の側に良く出てきてたから、一応調べさせてもらったけど。
あんた、本当に何者なん?
「ヤチヨはヤチヨですよ~。」
そうかい。それで、一体なんでそんなことを?
あんたの立場から言えば、私は恨まれても仕方ないとすら言えるやろうに。
「うーん…簡単に言いますと。私は、あなたを恨んではいないからです。紅葉さん」
予想外の、答え。
恨まれても仕方ないと、思っていた。
こんな親の子供だったからと、責任を被せられると思っていた。
「私は、彩葉に出会えたことに感謝してるんです」
「どんな方法でも、彩葉を産んで、あの時まで生きさせてくれていたこと。」
「それだけは、感謝してるんです。」
私が、私であることができた。その理由に等しいのだから。
「…そうかい。それなら、次はあんたの番や。」
彩葉を、守ってやり。
「言われなくとも、そのつもりですから。」