超かぐや姫!~"はじまり"、祈り。そして、”はじまり”~ 作:tomine1411
《夜を見る「わたし」》
(注:独自設定があります)
そこには、何もなかった。
暗い、暗い、真っ暗な宇宙。
遠すぎる月からは、地球の営みを感じることはできない。
ここは、月の裏側...のようなもの。
現実と同じ物理法則ではない、独立した法則で動く”裏の世界”。
月人たちは、ここで営みを重ねている。
誰から望まれたかもわからず。
誰に命じられたかもわからず。
ただただ、そこにあるタスクをこなすだけの機械のような人々が、そこにいた。
当然、そこには娯楽もほとんどない。
決められたことをこなすだけの存在に、そのような要素はなかったのだ。
...しかし、ここに例外がいた。
月の...ある、少女である。
その少女は、「姫」と呼ばれる上位個体を除けば、おおよそ最上位の権限を持っていた。
感情などを持つ余地は十分にあったのである。
そんな中で彼女が見つけたのが、ツクヨミ。
-虚空を漂う 感情を見つけた-
仮想世界は、そのルーツの関係上非常に月の裏との距離が近い。
裏返せば、そんな中で声が広がるタイミングがあったとするならば。
それが月に伝わっても不思議ではないということでもある。
「ヤチヨー!」「盛り上がってきたー!」
感情。喜び。感動。希望。 月人にとって、欲望や感情は言葉よりも雄弁に彼女らを刺激する。
-言えない言葉を 空中に放す-
なにせ月人は、肉体を失った時にその大半は感情をも失ったからだ。
それが故に。その感情は。その"想い"は。その日常に飽きていた彼女を、
動かすには十分過ぎるほどだった。
-その鼓動は衝動 真空状態の 無限の中へ-
娯楽もなく、希望もない。人間ならば"壊れてしまうような"世界。
その中で"娯楽"という幻想を探していた彼女は、もう止まらなかった。
-壊れた中空の 積み木の上 幻想探して 終わらせない-
初めて、感情の赴くままに動く彼女。
仕事を放りだし、地球に行くための舟を持ち出す。
なまじ高級官僚に等しい立場だっただけに、その行動力を止めることは誰にも叶わなかった。
-夜を視る僕は 宇宙に消える 居場所を探して-
"もと光る竹"。月の技術の粋を集めた、オーバーテクノロジーの産物たる地球往還船。
その行方不明に追われ、しかも重要プロジェクト関連で混乱が発生。
これによる混乱は、その本人を隠すのに十分過ぎるほどであった。
彼らが、彼女の逃亡を知ったのは。地球時間で、実に1ヶ月後のことであったのだから。
《出典:ナイトウォッチ / 岸田教団&THE明星ロケッツ》