超かぐや姫!~"はじまり"、祈り。そして、”はじまり”~ 作:tomine1411
(注:独自設定が含まれます)
A.D. 202x。ツクヨミ、ヤチヨ城天守閣にて。
ふと、思い立つ。
そういえば、あの部屋を作ったのはいいんだけど。
飲み物もおやつも、なにもないことに。
「誰か来るとして、おやつやお茶のひとつもないのは失礼だよねぇ」
「ここに来るやつがいるとは思えないが」
ぶー。 頬を膨らませても変わらない。
それじゃ、最初はお茶とかかな。
ネットの資料からちゃちゃっと….ちゃちゃっと…
「うー!どれがいいか選べないー!」
良くも悪くも昔を知っている以上そういうのには詳しいのだが、
逆に言えばそればかりで悩みまくりのヤチヨであった。
「むしろ考え過ぎじゃないのか、ヤチヨ」
「当たり前でしょ?誰が来るかわからないのに」
「だからそれをまず絞ったらどうだ?」
FUSHIの声。言われてみれば、と思う。
「たしかに、この部屋に来る人ってあんまりないかー」
「そうだ。正直な話、ここに来る時点でかなりの関係者しかあり得ないからな」
「…それはそうだねぇ」
思い出す。そういえばここ、ツクヨミのコア空間に等しい場所だったと。
FUSHIの記憶・知覚干渉だって、「もと光る竹」にだいぶ位相が近い
この空間だからこそ仮想空間でも実現できるんだし。
「って考えると…いっそコーラとかでもいい?」
「それで良いのなら良いんじゃないかー」
FUSHIの返しがやや雑な感じはするが、まぁそんなものだろう。
「でも、あのシュワシュワ~って感覚も再現できないのがなぁ~」
「仕方ないだろ」
「それはそうだけどさぁ~」
打てば響くやりとり。今はこれが好ましい。
さて、あとは駄菓子でも再現しようかな。
静かにネットを探し回りつつ、かつて見かけたものをピックアップしていく。
「あ、これもいいな~」
ちょっとだけ、回り道もするけれど。
「…よし!かんせーい!」
できたのが….見た目だけの、コーラと駄菓子であった。
そして、今のヤチヨの格好はいつもの黒Tシャツである。
そう、その見た目は。とても疲れたOLのようであった。
「…ヤチヨ」
「言わないでFUSHI、さすがにこうなるとは思わなかったの」
想定外である。ヨヨヨ…..
「これじゃ、人を招くのには使えないかぁ…」
「そもそも、だ。ここで迎えるわけでもないし、第一格好がおかしいだろ?」
ぐふっ。
「それはそうだけどさぁ…」
「だったら、場所に合わせて家具と物を用意しろ」
「ヨヨヨ….」
全く言い返せないわたしであった。
そうやって、結局お茶とか席みたいな来客用のプリセットを作ってたんだけど。
そっちは、使う機会が何度かあってね。
それ以外の失敗作は、消しちゃったけど。
でも、このコーラとお菓子だけは消せなかった。
わたしにとって、思い出になっちゃったから。
でもね、こんな事思ってたときは。
使うわけがないって、思ってたんだ。
わたしに気付かない彩葉が、日常に戻ってお話は終わり。
そう、信じてたんだけど。
《おわり?》