超かぐや姫!~"はじまり"、祈り。そして、”はじまり”~ 作:tomine1411
(注:独自設定を含みます)
B.C. ????、夏。推定日本。
初めて出会ったのは、ある夏の日だったと思う。
興味深そうに、けれど活発に近づいてくる男の子。
私は、なんとかして話しかけようとした。
…”もと光る竹”、その安全装置を全力で使って。
それでようやく、同行していた犬DOGEだけが肉体を得られた。
…ウミウシだったけど。
ただ、言葉が通じなかったのが想定外だった。
通じないほど過去か未来に飛ばされてきたってことだから。
幸い、月人は精神生命体というだけあって、言語理解などのコミュニケーションには非常に強い。
ただ、ウミウシで喋るのはしばらく難しかった。
結局、ボディーランゲージを駆使することで、ようやく互いに言語を理解することができたのだけれど。
そこから、最初の楽しい日々が始まった。
私はまだ擦れてもいなかったから。ずっとずっと、この日々が続くと思ってたんだ。
魚を一緒に獲ってみたり。
食べられる海藻やキノコを見つけたり。
自分が食べることはできなかったけど、でも。
あの子が食べる姿が、すごい嬉しそうだったから。
でも。そんな日々は、突然終わりを迎えた。
あの子が、倒れたのである。
突然だった。体調が悪くなるような兆候もなかったし、栄養もある程度気をつけていた。
だけど、ダメだった。
突然来なくなって、心配になってあの子が寝泊まりしている場所まで行ってみた。
そうしたら、あの子が倒れていた。
慌てて駆け寄って、話しかけた。
「お医者さんは?薬はないの?」
この時代にはあるはずもないものを、聞いてしまうほどに。
私は、どうしようもなく慌てていた。
どうにかしようと動き回る私を、あの子が手で止めた。
「なんで..」 思わず、声がこぼれた。
私の知識なら、身体さえあればどうにかなるはずだって、思ってたのに。
救えるはずだったのに。
身体がないから、どうしようもなかった。
…そうしたらさ、あの子がこう言ったんだ。
「歌って」って。君の声が、聞きたいって。
ウミウシの身体で歌うのは、やったことがなかったけど。
…でも、歌ったんだ。そう、願われたから。
だから、最後の時まで、歌い続けた。
あの子が、
私が覚えている歌を。覚えてる限り、歌える限り。歌い続けた。
-「どんな明日が来ても 笑えるように今を生きていこう」-
-「そうやって決めたのに 変わらぬ今日を夢見てしまうよ」-
歌い続けた。その子の顔だけを見て、いつまでも。
「ありがとう」 「もう十分だから」 「大丈夫」
そうやって言われても、歌い続けた。
それだけが、私にできたことだから。
…あの子が亡くなったあと、私にはどうしようもなかった。
私にできたのは、彼の胸元に花を供えることと。
あの子の、次の運命の。幸運を祈ることだけだったから。
全てのことを終わらせたあと。
私は、犬DOGEの名前を変えることにした。
“FUSHI”。弱竹に閉ざされた姫に付き従う、不死の従者。
そんな重荷を背負わせるのに、”童子”じゃ示しがつかないから。
そして、これは私への戒めでもあった。
私は、事実上不死になったことと同義だから。
私は、人と同じ時間を過ごすことはおそらくできないから。
…だけど。
私の中にどうしようもなく、刻まれてるんだ。
《出典:瞬間、シンフォニー。 / 40mP feat.かぐや(CV.夏吉ゆうこ) @超かぐや姫! 》