少しの肌寒さを感じ俺は目を覚ます。
「えぇと…ここは…確か俺は…っ!」
微睡みの中今まで何があったかを思い出す
教室に突如現れた男
血の臭いが充満した死体の転がる教室
顔に着いたまだ生暖かい血
そして冷たくなった親友
「ハルっ…ハルっ…うっあああああああああ!!!!」
そこまで思い出した俺は唯一の親友を亡くしたことを
今になってあれが現実だったんだと実感した
大粒の涙が頬を伝うのを感る
泣いた
たくさん泣いた
涙が枯れるまで、喉がガラガラになるまで泣き叫んだ
どれくらい泣いただろうか?それなりの時間が経ち
いっぱい泣いたからか、頭の中が少しクリアになりようやく周囲を確認する何時までも悲嘆に暮れられない
周りを見渡す限り木、木、木どうやらどこかの森に連れてこられた?
捨てられた?らしい、人がいる気配もしない…
「グスッ…手持ちは…見事に何も無し、スマホすら無いのかよっ」
さっきまで泣いていたせいで声はガラガラだったが身体の方は特に異常は無かっただが自分の所持品が無事かを確認するとスマホと財布が無かった。
せめてスマホがあれば居場所が分かるのに電波に関しても衛星にさえ繋がれば問題無いはずだから現代科学技術に感謝ってね
とにかく目標は人と会うことと、水と食料の確保だけど…
「物語の主人公とかだったらいろんな知識があって困難な状況を上手く切り抜けられるかもだけど、俺は単なる一般人でサバイバルとかの知識も持ち合わせてないのに食料とかの確保は無理がある!…………はぁ、とりあえず見晴らしが良さそうな所歩こうかね」
こうなるんだったら俺もそういった知識を集めとけばよかった
こんな時ハルが居れば…いや今は他に考えなくちゃな
そう内心で悪態をつきながら上を見てみると太陽の位置は真上にあった
……?
おかしい…あの出来事があったのは昼頃だっ、普通なら今頃夕方ないし夜中のはず
「つまり俺は1日以上寝てたのか?いや時間を気にするのは後にしよう、今は普通の状況じゃ無いしな。はぁ他に人が居れば……………っいやそういえばあいつあの時「
だとしたら俺と同じくあの場で殺されずにいた人物がいた
「俺が今生きてるから、その誰かさんも生きてる可能性はある
何とかそいつと合流出来れば情報交換とかが出来るはず!先ずはここから生きて脱出して、ハルの仇を討つ!」
はぁ…はぁ…はぁ…
どれくらい歩いたかな、体感1時間以上は歩いてるはずだが変わらず森を彷徨っていた。そろそろ休憩はしたいがせめて水は確保したい
それにこんだけ歩いてるのに鳥と虫以外の動物を見かけない
生態系どうなってるんだか…個人的には野生の動物と出会わないのは
いいから良しとしよう
熊とか出てきたら勝てないからね
「……」
「やっと見つけたー!」
そう言うな否や俺は座り込む俺は歩き始めても体感3時間くらい経った時ようやく目的の水、河に辿り着いた水深は一見そこまで深くは無さそうに
見えるがだからと言って浅くも無さそうだ
まぁ今気にしても仕方ないようやく目的の水に有りつけたのだから!
「ようやくだよ全く…ハァハァ…先ずは顔を洗おう、とにかくスッキリしたいしなホントは頭を突っ込んで水をがぶ飲みしてみたい衝動に駆られるけど、流石に生水はねぇ…水を飲むのは最終手段だとしてこのまま下流に沿っていけば人と会えるだろ流石に」
俺はそう独り言ちりながら顔を洗う
暫く何も見つけられず代わり映えの無い道なき道を歩いて焦燥に駆られていたが水を見つけた事により、このまま行けば人と会えるかもしれないと俺は微かな希望を持ち安堵する
そんなことを考えてたのが悪かったのか
「っ!」
ガサガサと後からの茂みを掻き分けたような音が鳴り俺は一瞬身体が強張るも後ろを確認する為直ぐに振り返った
目の前にはもう何者かが爪を伸ばしながら迫ってきていたのを見た
寸前の所で防衛本能が働いてくれたお陰で何とか横に飛びゴロゴロ身体を転がし回避をするが致命傷を免れたが完璧に避けられず左腕を掠めて浅いとは言えない傷を付けられ血を流す
「ああぁぁっ!痛てぇなぁクソっ!何しや………っ!」
あまりの痛みに悶絶し傷口を
果たして現れたのは俺が想像してた獣のとは違った。出会っても熊とか
猿程度のものだと思っていたが
「(クソっ!本当に何なんだよっ!姿形は完全にファンタジー系の創作物に出てくる魔物みたいじゃないか!何が起きてるんだよっ今日は!
なんでっなんでっ!冗談で異世界に行きたいとか、よく言うけどあれはありふれた日常に友人との冗談話であって本気に願ったことなんて無いのにっ!……いやっ!今はそんな事を考えてる場合じゃ無いだろ!
今はとにかく冷静になれ!)」
「グルルルッッッ!!」
恐怖で足が竦む、体が強張り今すぐにでも背を向けて逃げ出したい衝動に駆られるが僅かに残ってた理性で無理矢理その場に踏み留まる
未知との遭遇で現実逃避したが改めてこの状況をどうにかするしか無い
野生の熊と遭遇した時一般的に知られてる方法で対処を試みる
その場にでいきなり動いたり背を向けて逃げ出さないように
とにかく敵意がありませんよアピールをする
この土壇場の状況で咄嗟に出来た俺は自分自身を絶賛する
そうすれば上手いことこの場から逃げれるはずだ
改めて周囲を確認する、俺の前方は犬型の魔物がいて左右は河沿いに沿って障害物とかは無いが道が凸凹していて険しくなってる背後は森
今すぐにでも森に入って
「ガアァァァ!」
「っ!くらえ!」
俺が意識を周囲へ向けた瞬間、奴は隙を逃さず再び襲い飛び掛かってくる
身体が強張り対応するのに一拍遅れたが何とか反応し反撃を試みる俺は
「キャンッ」
奇跡的に目に入ったのか身をばたつかせていた。今がチャンスだと思い
森の方へ身を向け走り出した
はぁ…はぁ…はぁ…
走る体力がある限り足を動かす
はぉ…はぁ…
躓きながらも我武者羅に只管に前へ
はぁ…はぁ…ゴホッゴホッ…
咳き込みながら体力が限界でも走る
「なんっ…でっ……なんでっ……こんなことにっ!」
俺は一瞬だけ後ろを振り返るがすぐ前を向き逃げながら悪態を言い捨て走り続ける、アイツからの攻撃を避けたり躓いて転んだりしてる内に身体中傷だらけだし服は血と泥で汚れている。それに逃げている内に薄々と気づいたがあの魔物は俺を甚振って楽しんでる
現に全身傷だらけだが致命傷程では無いのが証拠だ
アイツの身体能力なら俺なんてあっという間にお陀仏だ
そもそもとして最初からそうだった、河で遭遇した時俺の背は完全に無防備で絶好の機会だったはずなのに音を鳴らし俺に気づかせた
「(ホントにいい性格してるっ!)」
「嘘…だろ…」
「グルルルァァァ!」
「っ!あああああぁぁぁ!」
遂に終わりの時を迎えようとしていた
奴の牙がズブリッと俺の右肩に深く突き刺さる俺は人生で初めて会う痛みに絶叫する
身体を大きく揺さぶって何とか振りほどき奴と対峙する
最悪なことに断崖絶壁にぶち当たりこれ以上進めず逃げ場もなくなってしまった、なら左右どちらかに逃げようと身体を傾かせるが其処には見た目こそ多少違うが犬型の魔物と同種の奴らが左右を陣取る
「(肩がっ!ハァ…ハァ…こっちはとっくの昔に体力が底をついて目も霞んでまともに前が見えないしっ1匹相手に一杯一杯だったのに!っだのに!もう2匹追加とか…)」
こちらは満身創痍、相手はまだまだ余裕のある3匹この危機的状況を打破するにはどうすればいい?
他に助かる手はないのか?ここから切り抜けるにはどうすればいい?
いろいろと考えて模索を試すがここまで来るのに大量の血を流し体力も底をつきまともな思考もできなくなっている
そして奴らはそんな俺に構うことはなく迫ってくる
「あっあああああぁぁぁああああああああああああああぁぁぁ
まだ俺はっ死にたくない!死にたくない!死にたくないっ!
死ねないんだよっ!まだ!まっ、まだ!ハルの為にもっ!
ああああああああああぁぁぁっっっっっ!」
右からは右の太腿を、左からは左脇腹を、正面の奴は首元を狙ってきたが左腕を差し入れ急所を防ぐことは出来たが振りほどく抵抗もなく俺は叫びながら倒れる
だが無情にも奴らは俺の肉を貪っていく
ブチブチと筋繊維が引き千切られる
顎の力も相当強く骨が軋む
左腕は肉がグチャグチャになり脇腹からは巨大な穴が空き内臓がはみ出て足は変な方向曲げられていた
「(ここまでか…嫌な終わり方だな…俺が何したんだよ神様?俺は只々平穏な日常を送ってただけだろ…なんで…な、んで………………
………………………………………………………………)」
トスッ
トスッ
トスッ
「……?どう…なって……?」
意識が混濁し無念に駆られながらも死ぬのを待っていたら
奴らが必死になって俺の肉を貪っていたのに突然静かになり身体が倒れ動かなくなる
限界だった。身体がボロ雑巾以上にボロボロだった
全身が弛緩していくのを感じる
致命傷を負いさっきまで激痛だったのに今はぬるま湯に浸かっている程の心地になっていた
自分はもうこのまま死ぬんだとゆっくりと目が閉じていく
「(もうなんでもいいや、ここで終わりだし…)」
「……、…………」
何かが聴こえた
読んでくださってありがとうございます
評価のほどお願いします(〃゚3゚〃)