いつか途切れた、音の続きを 作:いつかの音色
お気に入り・感想・評価ありがとうございます。あまり目立ちませんが、ここすきも結構確認したりしています。
これからもよろしくお願いします。
今話から原作突入です。
北宇治吹奏楽部
北宇治高校は宇治市内で唯一セーラー服が制服になっている高校だという事を、入学式の朝、お母さんの口から聞いた事で初めて知った。どうやら北宇治高校はそれを推しているらしく、学校説明会などでは触れられない事はないそうだ。当初晴香さんがいるからという理由で即決したため、全然知らなかった。
行ってらっしゃいと送り出され、北宇治高校へ向けて歩き出す。徒歩圏内だから、電車を使う事はない。少し前に、他の南中学の生徒からすれば北宇治へ進学するメリットは家が近いぐらいだと考えたけれど、いざ通学する立場になってみれば家が近いというのはかなりのメリットに思えてくる。電車通学になれば、この辺りならドラマで見るような満員電車にはならないだろうけれど、なんとなく疲れそうだ。
そして今さらながら、私の髪色は校則的に大丈夫かと少し不安になってきた。インナーカラーとはいえ白色というのは高校生にしてはかなり派手な方だ。今までは中学生でその色だったけれど。私としてはピアノの鍵盤をイメージしたこの色は気に入っているのに、校則で駄目だと言われたらどうしよう。優子先輩を見る限り、そこまで髪色に厳しくないと思いたい。
さて、そんな事を考えていたら徐々に同じ制服を着ている新入生と思われる人たちが増えてきて、少しして見慣れた校門が目に入る。最近は来ていなかったけれど、去年度の晴香さんの1つ上の世代が引退するまでは何度も通ったものだ。
学校の敷地内に入れば、既に登校していたらしい先輩たちが各々の部活のユニフォームや道具を身につけ、勧誘活動に勤しんでいた。野球部やサッカー部というメジャーなものから始まり、様々な部活の勧誘が見え、そして校舎のすぐ近くまでたどり着くと、そこには見慣れた楽器を構える集団がいた。
吹奏楽部だ。体格の良い男子生徒が吹奏楽部を宣伝するプラカードを持っており、私の知らない女子生徒が指揮棒を持っている。指揮をするなら部長の晴香さんかと思ったけれど、どうやら違ったらしい。
「新入生の皆さん、北宇治高校へようこそ!」
そう言って、指揮者の女子生徒がくるりと180度回転し、指揮棒を振る。奏でられたのは『暴れん坊将軍のテーマ』。南中学では演奏する機会はそう多くないけれど、吹奏楽部という括りでいえば結構有名な曲だ。
晴香さんを初めとして、『きたみなみ公園オクテット』の仲間だった人たちの顔が見えたので、一人ひとり軽く会釈しておく。
「駄目だ、こりゃ」
すぐ近くからそんな声が聞こえてきた。失礼な話である。
見れば、リボンの色から同級生だと分かる茶髪をポニーテールで纏めた女子生徒だった。他の新入生は感心したり、目を輝かせたりしているのに。恐らく吹奏楽経験者か、何かしら普通よりも音楽に詳しい事情があるのだろう。
確かに、技術的な面でいえばピッチがズレていたり、今もリードミスが聞こえてきたりと、指摘出来る部分はいくつもある。ただ、顔を見れば少なくとも楽しく、あるいは自信を持って吹いている人が大半だ。オクテットのメンバーは上昇志向があったから、不満はあるかもしれないけれど、部全体の空気でいえば良い感じなのではないだろうかと思う。少なくとも去年の話に聞いていた険悪な感じは伝わってこない。
もちろん、仮にそういう悪い雰囲気があったとしてもこんな場で表には出さないだろうけれど、感情は音に出るのだ。もしそうならたぶん分かる。
昔は凄かったらしいけれど、今では万年府大会銅賞の吹奏楽部としてはこんなものだろう。何より楽しむというのが私の目標だ。部としての技量はそこまで重要ではない。
実は、こういうたどたどしい演奏も私は嫌いではない。中学一年生の時、初めてクラリネットパートの先輩や同級生たちと音を合わせた時を思い出す事が出来るから。
本当ならちゃんと挨拶したかったけれど、今は忙しいだろうから仕方ない。軽い会釈だけで私は校舎へと足を進めた。
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体育館で行われた入学式では、校歌斉唱で伴奏として吹奏楽部の演奏があり、なかなか粋な演出だと感心した。その後は特筆する事もなく、校長先生の話や新入生代表のスピーチを聞いたりして、少し眠くなるのを我慢しながら過ごした。寝たりなんてしていない。
クラス分けは、進学クラスの7組。同じクラスになった人と親睦を深めつつ話した内容から、3年間ずっと同じクラスであるという事が分かった。進学クラスは1クラスだけ。下手に手を抜いて受験に落ちてしまうと目も当てられないとはいえ、進学クラスというからには特別に勉強をさせられそうで、なんとかして点数を調整した方が良かったかと、そんな考えが浮かぶ。元より学力的な偏差値の高い大学を狙うつもりもない。
とはいえ、既に決まってしまったものは仕方ない。自分に割り振られた机に座ってかばんを置く、のだけれど。
1つ後ろの席に先に座っていた女子生徒から向けられた視線が気になる。すぐ目の前に人が来たのだから、自然と見る事にはなるだろうけれど、その視線はただ人が来たからというものではないように思えた。ついでに付け加えておくと、その女子生徒は先ほどの式で新入生代表を務めていた人物だった。
「これから3年間、よろしくね。私、倉崎ひさめ。趣味でピアノとか弾いたりしててね、この髪ピアノの鍵盤をイメージしてるんだ。あ、倉崎でも、ひさめでも、好きな方で呼んで?」
不自然にならないように振り向き、声を掛ける。
対する反応は驚いたような、あるいは気まずそうな、何と言い表せば良いか困ったような顔。
「……よろしく」
あまり初対面の人間と会話を弾ませるタイプではないのか、発されたのは一言だけだった。
そして、困る。新入生代表の挨拶をしていたのだから、当然ながら名前も言っていたはずだけれど、ぼーっとしていたから全然覚えていない。挨拶の内容だって覚えていない。たまたま顔を覚えていただけで。
思わず話しかけてしまったけれど、これはまずい。
「あー……っと。こう呼んでほしいとかある? ニックネームとかでもいいよ」
「普通に、高坂でいい……」
「オッケー、オッケー。高坂さん、改めてよろしく!」
なんとか乗り切る事が出来た。
話しかけた瞬間の反応は少し気になるところではあるけれど、初対面であまり踏み込むのも良くないだろうから、ちょっとずつ仲良くなれれば良いはず。
気になる事もありつつ、近くのクラスメイトと話したりもしつつ、担任の先生が来るのを待った。
▼△▼△▼△
オリテンテーションで諸々の説明を受け、ホームルームが終わると解散となり、後は自由となった。部活の見学をしても良い事になっているため、クラスメイトたちはそれぞれの目的の場所へ散らばって行った。
私の目的地は決まっている。教室から出ていく人の流れに乗ろうと立ち上がると、後ろから声が掛かった。
「ねぇ、私吹部に行くんだけど、倉崎さんもどう?」
「おわっ、高坂さんも吹部? 良いね、行こう」
さっきとは打って変わって、高坂さんからの提案だ。中学校でも吹奏楽部をやっていたのだろうか。私も目的は吹奏楽部なので否はない。
「高坂さん、音楽室の場所分かる?」
「一通りの教室の位置は頭に入ってるけど」
「さっすが新入生代表!」
高坂さんについて行きながら、音楽室を目指す。
さっきとは全然違う。さっきはお腹の調子でも悪かったのだろうか。もしそうだとしたら悪い事をしたので反省だ。
「……なんで二、三年の時のコンクール出てなかったの? 一年の時は出てたのに」
「あー、色々あってね。ここ最近はピアノの方に力を入れてたから。去年は海外のコンクールにも出てさ」
本当の事を言うのが吉。とはいうものの、それは相手に不誠実な嘘をつくのが良くないという話で、余計な事までベラベラと喋れという話ではない。南中学であった事を事細かに語られても高坂さんも困るだろうし。
というか、ナチュラルに歴を把握されている。もしかして私のファンだったりするのだろうか。
「……高校ではどうするの?」
「高校ではもうちょっと吹部に力を入れるつもりかな。一緒にやりたい人もいるから」
晴香さんたちもいるし、何より中学の時のような過ちはもう犯すつもりはない。差し当たっての目標としては、友達をたくさん作る。吹奏楽部という空間において数というのは純粋な力だ。仲間がいて困る事はない。情報もたくさん入ってくるから、何かが進行していたとして見逃しにくくなるし、私が原因であれ、他の人が原因であれ何かが起こった時にも動きやすい。私が原因で問題が起こるような事態にするつもりはないけれど。
「待って」
音楽室へ向かって歩いていた高坂さんの足が急に止まった。
「どうしたの?」
「一緒にやりたい人って、誰?」
「えーっと? 言って分かるかな……」
「良いから、教えて」
またもや急に高坂さんの態度が変わり、迫られる。身長的に見下される形になり、その上で迫られると圧が凄い。
いきなりどうしたのだろうか。一緒にやりたい人がいる、つまり既に吹奏楽部の中に知り合いがいるという部分が気になったのだろうか。高坂さんの表情から読み取れるのは、驚きかあるいは焦り? 私が高坂さんについて知っている事はほとんどない。高坂さん私のファン説が正しいとするならば、自分よりも先に他の人が私と仲良くなっている事に焦っている、なんて事も考えられるけれど、さすがにないか。夏紀さんじゃあるまいし。
「三年の小笠原晴香さんとか、二年生で言ったら傘木希美先輩とか、かな?」
本当はもう少しいるけれど、とりあえず三年生と二年生から一人ずつの名前を出す。それを聞いた高坂さんは何か疑っているような表情だった。
「本当に?」
「えーっと……本当はもうちょっといるけど」
「それって全部先輩?」
「う、うん」
「滝先生じゃないのね?」
「存じ上げないです……」
どうやら高坂さんはその滝先生とやらと私の仲が良いのではないかという事を気にしているらしかった。しかも、どちらかといえば主題となるのはその滝先生で、私はその先生の周りを飛び回る虫ではないかと疑っているような感じ。
文脈的に吹奏楽部に関係のある先生で、晴香さんから今まで顧問をしていた先生が産休に入ったという話を聞いたから、その代わりに入る新しい副顧問の先生だろうか。
「……なら良いけど」
そう言って、高坂さんは再び歩き出した。
一体何だったのか。滝先生という人と高坂さんがどういう関係なのか気になるところではあるけれど、今のを見るに、あまり突かない方が良いかもしれない。
音楽室には、すぐに到着した。
遠慮もなく高坂さんがその扉を開き、ずんずんと進んで行く。その後ろについて入室すると、既に3人の一年生が見学しているようだった。その内の1人は入学式前の吹奏楽部の演奏に対して、駄目だこりゃなどと言っていた失礼な人である。
「あ、麗奈……」
「やっぱりいた。高校でも3年間よろしく」
「あー……まだ入るかどうかは決めてなくて……」
どうやら知り合い高坂さんとだったらしい。同じ中学校出身とかだろうか。
ともあれ、短い会話を終えて高坂さんはさらに進む。
「すみません」
音楽室の隅から隅まで通るような声で高坂さんは言った。初めて訪れた場所で、この場にいるのはほとんどが上級生だ。その中でこの声量を出すのは、なかなかに度胸がある。
「見学ですか?」
それに答えたのは部員たちの前に立っていた晴香さんだ。部長として部員たちをまとめているのだろう。
「いえ。入部したいんですけど」
それを聞いた、椅子に座って楽器を構えていた一部が入部届持ってきて、だとか、今からですか、と慌ただしくなる。見れば、その中の1人は入学式前の演奏で指揮をしていた人だった。
「倉崎さんは?」
「あっ、じゃあ私もお願いします!」
高坂さんが私の方にも振ってくれたので、その背中から顔を出して、私の分も入部届をお願いした。言ってしまってなんだけれど、見学も体験もなくいきなり入部って大丈夫だろうか。悪い印象を持たれないように願うしかない。吹奏楽部に一途と考えれば好印象なのではなかろうか、とポジティブに考えてみたり。
「あっ、ひさめちゃん!」
と、先ほどの高坂さんへの対応の時に被っていた部長の皮を破り捨てた晴香さんが声を上げた。
「来てくれたんだ!」
「お、師匠ー!」
さらにヒロネさんも続く。
百歩譲って晴香さんのは良いにしても、部員たちの前で見知らぬ新入生を師匠などと呼んでも大丈夫なのだろうか。クラリネットパートのパートリーダーかつコンサートミストレスらしいから、発言力は大きいのだろうけれど。
「来ました! これからよろしくお願いします!」
とりあえずこの場の空気に流されておく。希美先輩や夏紀さん、香織さんも手を振ってくれていた。優子先輩はチラリとこっちを見てフッと笑うだけ。優子先輩らしい。ただ、みぞれ先輩に至ってはこっちを見ただけで反応すらなし。みぞれ先輩が希美先輩一筋なのは分かっているつもりだけれど、ちょっとばかり一筋が過ぎるのではないかと思う場面は少なくない。今に限らず、もう少し意識を向けてくれた方が私的には嬉しい。
と、同時に見学3人組が音楽室を出て行こうとしていたので、小さく手を振っておく。同じ部活の仲間になるかもしれないから、印象は良くしておくに限るのである。
先ほどのメガネを掛けた先輩が持ってきてくれた入部届に記入すると、高坂さんはさっさと帰ってしまった。
私は他に見学する部活動もないし、帰ってやる事もないので、もう少し見学していく事にした。出来ればこの機会に初対面の先輩と仲良くなっておきたい。
「部長、知り合いなんですか?」
「偶然仲良くなって。そうだ、ちょっと気が早いけど、もう入部するなら自己紹介でもしておく?」
「良いんですか!? ぜひぜひ!」
私の意図を汲んでくれたのか、まだ見ぬ部員の質問からの流れで、晴香さんが自己紹介の場を作ってくれた。
人というのは存外に第一印象が大事なもので、もちろんやりようで後から評価を取り返す事は可能ではあるけれど、第一印象が良い場合と第一印象が良くない場合を比べると、その後の仲良くなれるまでの時間に結構な差が生まれる。ほとんどの先輩が勢揃いしているであろう、この場での振る舞いは今後の部活動生活を左右すると言っても過言ではない。
晴香さんに促されて、その隣まで移動する。指揮者が立つ位置でもあるため、先輩たちの顔がよく見える。これで私がすぐに緊張するタイプの人間なら、心臓バクバクでまともに話す事も出来なかったのではないだろうか。幸いにして、私は大丈夫だ。
「はじめまして! 南中学から来ました、倉崎ひさめと申します!」
南中学という単語を聞いて、いくつかの顔が少し揺れた。方向としては敵意などではなく、どちらかといえば罪悪感。それを見て少し安心する。去年の虐め騒動において表立って動いた人の数は多くない。けれど、この様子だと、なんとかしたいと思っていた人は一定数いたらしい。
見て見ぬふりをした人も同罪なんて言葉がある。虐める人間と虐められる人間という対立構造の外側にいる第三の立場。虐めをやめさせるために動ける立場であるのに、それをせずに虐めを放置していたから。人によって解釈はあれど、大まかにいえばそういう考え方。
確かに、動ける立場であるというのは間違っていないのだろう。しかし、動かなかった事を責めるのはまた違うのではないかと思うのだ。これが、虐めている人間と一緒に笑っているなどとなれば話は変わる。それは第三者の立場ではなく、虐めている側の立場に立っている事になるのだから。
しかし、完全な第三者としての立場の場合、虐めを止めるために動くという事は自ら火の中に飛び込むも同義だ。動く事が出来た人を讃える事はあっても、動かなかった人を責める事は違うと、私はそう思う。直接動けなくても、例えば先生に通報するぐらいなら出来るかもしれないけれど、去年の北宇治吹奏楽部であった虐めは顧問も頼りにならなかったと聞いている。
ただし、第三者の立場の人間は潜在的にいえば虐められている側の立場になり得る人間だ。なんとかしたいけれど、何も出来ない。そんな時、この人が味方にいれば大丈夫だ。安心して自分も味方になれる。そんなカリスマとでも言うべき人間が虐められている人間の味方にいれば、その人も味方になってくれるかもしれない。もしも同じ事があれば、私がそのカリスマを演じれば良い。
「仲良くしてくださると嬉しいです」
ただの自己紹介ならこれで終わり。担当の楽器は敢えて言っていない。所属を限定するような事は言わずに、今はどの先輩とも絡みたいからだ。
それはそれとして、親近感を持ってもらうために、もう少し話しておく。
「好きな楽器はたくさんありますが、強いて1つ挙げるならピアノで、好きな色は白と黒です。この髪色はピアノの白鍵と黒鍵をイメージしています。昔、初めてこの色にした時、父は驚いてひっくり返りました。娘の髪が急に派手な色になったのを発見してしまったんです。白鍵だけに。倉崎ひさめです。よろしくお願いします」
「……あの、ひさめちゃん。最初から飛ばし過ぎかも」
「プッ、師匠心臓すごすぎ……!」
シーンという地獄のような空気に、晴香さんにはなだめられ、ヒロネさんは唯一反応してくれた。ギャグのレベルとしてはアンサンブルコンテストの舞台袖でやったものと大差ないと思うけれど、ヒロネさんの反応は随分と違う。あの時は緊張していたからだろうか。他のオクテットのほとんどは呆れた表情。みぞれ先輩は無表情で、夏紀さんはうんうんと頷いている。
「もう少し見学していく?」
という晴香さんのお言葉に甘えて、私は後ろの方で見学を続ける事にした。
「ドンマイ、ドンマイ。俺は面白かったと思うぜ?」
パーカッションの男子の先輩が励ましてくれた。落ち込んでいる訳ではないけれど、せっかくだから乗る事にした。
「本当ですか? 実は昨日一晩中考えてたんです」
「おお、マジか。おもしろ」
「こら、ナックル! 新入生に粉かけんな!」
「粉かけてねーわ!」
と、他のパーカッションの先輩も会話に参加してくれた。
ナックル先輩こと田邉名来先輩はどうやらイジられキャラ的な立ち位置があるようで、彼を起点とすると会話が起こりやすかった。本人からお許しをもらったので、親しみを込めてナックル先輩と呼ばせてもらうことになった。
「ピアノ好きって言ってたけど、弾けるの?」
「自慢ではありませんが、めちゃくちゃ弾けます」
「あれ弾ける? 革命。ショパンの」
「もちろん超弾けます」
「じゃあじゃあ、あれは? ラ・カンパネラ」
「毎朝弾いてます」
「絶対ウソじゃん!」
席の位置が近いトロンボーンパートの先輩たちとも交流する事が出来た。これで全く交流がないパートはホルンパートだけになった。クラリネットはヒロネさん、フルートは希美先輩、ダブルリードはみぞれ先輩、サックスは晴香さん、トランペットは優子先輩と香織さん、低音は夏紀さんがそれぞれいるので、そこから交流を広げやすいはずだ。
最終的に、晴香さんや香織さんの後押しもあって何故かピアノを弾く事になり、音楽室で私のソロコンサートが開催され、それは副顧問の先生がやってくるまで続いた。
さすがに調子に乗り過ぎたかとも思ったけれど、おおよそ好意的に受け止めてもらえたみたいだった。
最初の手応えとしては上々。最初は少し不安だったけれど、上手くやっていけそうな気がした。
○高坂麗奈
原作とは違った出来事があったのか、既に久美子とは下の名前で呼び合う仲。主人公の事は昔から知っているらしい。