あてぃしがブルーベリー学園に入ってから2週間くらい経って。あてぃしとスグぴっぴはマジ仲良しになったし。
「なぁスズカ……みずのいしって、持ってる?」
「ん?どったの藪から棒に」
「いや、実はさ…おれのニョロゾ、進化させたいんだけどみずのいし持ってなくて…」
「なるほどねー……そういうことならあてぃしにお任せだし。ちょっと待ってて……」
スグぴっぴのニョロゾ、ぶっちゃけ可愛いからあのまんまでもいいんだけど……まあ親友の悩みなら解決するのがギャルってものっしょ!
「じゃーん!みずのいし、ほのおのいし、かみなりのいし!それからやみのいし、ひかりのいし、つきのいしにリーフのいし……あとこおりのいしとたいようのいしもあるし!」
「わやじゃ!なんでそんなに進化の石持ってんだ……?」
「あれ、言ってなかったっけ?あてぃしの実家いしやなの。備えあれば嬉しいなってことであてぃしも進化の石山盛り持ってんだよねー」
「そうなんだ……じゃあみずのいし買うべ、いくら?」
「じゃあ友達価格で…10BPでおけ!」
「え、安すぎねえか?」
「言ったっしょ?友達価格だって!あてぃし普段から他の子に進化の石で商売してるし。その時は1個100BPで取引してるけど……スグぴっぴは友達だから!」
「うう、ありがとう……ぶっちゃけおれBPそんなに持ってねえから嬉しい」
「まあブルレクはライドポケモン持ってないとマジきついしねー。」
「そうなんだよな……でもおれのポケモンたちはキタカミから一緒だから…」
「スグぴっぴって優しいよね、あてぃしそういうとこ結構好きだよ」
「すっ……!?あ、うん、ありがとう……」
「?」
何やらスグぴっぴが挙動不審。あてぃし何か変なこと言ったかしら?
「はぁ……急いで離れちまったべ」
スズカから褒められて、おれは驚いてその場を離れた。だって……す、好きって言われたべ。いや、もちろん変な意味じゃないのは分かってるけど……でも、どうしても恥ずかしかった。
「スグリくん!何してるんですか?」
「わっ!タロ先輩」
「ふふ、何か焦ってたみたいなので声かけちゃいました。何かありましたか?」
タロ先輩……そういえばタロ先輩もスズカと仲良いよな。もしかしたら普段からああいうこと言ってるのかも?
「実は……」
「あー、なるほど。スズカちゃんからそういうことを言われたと。」
「変な意味じゃないのは分かってるんだけど、言われた瞬間こう…顔が沸騰しちまって。」
「まあ確かにスズカちゃんはそういうこと気軽に言うから。でもスグリくん……そう言われて恥ずかしかったってことはぁ……スズカちゃんのこと、そういう対象にしてるんじゃないんですか?」
「そういう対象って……」
「それはもちろん……恋愛的な」
「!??! い、いや、そんなことは……」
「うわあ、すっごくわかりやすい」
いや確かに、スズカは優しくて可愛くて明るくて憧れだけど……恋愛的な、って……そんなことはない、はず!!
「じゃあどうして恥ずかしかったの?」
「え、それは……」
どうしよう、頭が真っ白だ。タロ先輩の言葉を否定できる理由が見つからない。頭の中をおれが必死に走り回るけど、どこにも理由が見つからない。
「ふふふ、かわいい……まあでも、今すぐ結論を出す必要はないと思いますよ。恋愛はじっくり進めて行くものですから!」
「恋愛って……」
「それじゃあまた!何かあったらわたしに相談してくださいね!」
そう言って、タロ先輩は去っていってしまった。どうしよう、この後ニョロボンに進化させて、お礼を改めてスズカに言うつもりだったのに……なんだか顔を合わせるのが怖くなってしまった。
「どうしよう、オオタチ……」
「たちぃ?」
オオタチに助けを求めても、オオタチは可愛く頭を傾げるだけ。どうしよう……いや、そもそも女の子に好きって言われたら誰だってああなるべ。いくらそういう意味じゃなくても動揺すると思う。…するよな?
ロトロトロト……
「わやじゃ、スズカからだ…」
『あ、しもしもスグぴっぴ?今大丈夫?』
「うん、大丈夫…どうしたの?」
『いや、さっきいきなり走り去っていったからさ。なんかあてぃし変なこと言っちゃったかなって』
「そんなことは…ない(と思う)!ごめんな、ちょっとびっくりしちゃって…」
『え、ってことはやっぱりなんか引っかかった感じ?』
「う。いやその…スズカ、おれのこと褒めてくれたべ?そのー……優しいとこ、結構好きって…」
『言ったねー。それがどうかした?』
「その……女の子に好きって言われたの初めてだから、びっくりして…」
『………』
スズカが黙っちまった。言っちゃまずかったか……?
『……そっか、ごめん勘違いさせるようなこと言って』
「え、いや、勘違いというか…い、嫌じゃなかったから!!」
あああ、おれは何を言ってるんだ。いつも明るいスズカの顔が見えないから怖い……!!
『でもそうねー……』
「う、うん」
『スグぴっぴなら、割と本気でアリだから』
「……え?」
電話は切れた。ついでにおれの思考も切れた。