ポケットモンスター 〜The Legend of Master〜【完結】   作:マイマイ

13 / 98
ブルーバッジを手に入れたレイジ達。
順調ではあるものの……レイジは確かめたい事があり、カイリにその事を訊ねてみる事に……。


第9話 〜時の力、カイリの秘密〜

「ブルーバッジもゲットしたし、次はどこに行く?」

朝食を口に運びながら、カイリは言う。

「クチバシティか、イワヤマトンネルを抜けてシオンタウンに出て、タマムシかセキチクに行くか……」

「そういえば、2人はクチバシティのジムには行かなかったの?」

クチバシティは港町だ、すなわちシンオウの2人が最初に訪れた街でもあるはず。

すると、ヒメカは皮肉たっぷりの口調でカイリを睨みながらカグヤの問いに答えた。

 

「失念してたのよ。この人」

「失念?」

「つまり、クチバシティにジムがある事を忘れてたってこと」

『…………』

冷めた視線をカイリに送る2人。

……こいつ、本当にポケモンリーグに出場する気があるのか?

「ヒ、ヒメカだって忘れてたじゃねえか!」

「いいえ、わざと言わなかったのよ」

「ひでえ!!」

 

「……じゃあ、次の目的地はクチバだね」

「港町かぁ……ねぇレイジ、泳げるかな?」

「観光する為に行くわけじゃないよ。

 まあ……泳げるか泳げないかでいえば、今の季節なら泳げるけど」

「ホント!? ならクチバに着いたら一緒に海に行こうよ!」

「……考えとく」

適当に返事を返しながら、パンを口に運ぶレイジ。

 

「……なんだかんだで甘いわね」

「その言葉、そっくりそのまま返してあげる」

「…………」

睨まれた。

しかしどこ吹く風か、気にせず食事を続けるレイジ。

 

「よし、それじゃあ朝メシ食ったらさっそく行くか!」

「却下」

「右に同じ」

「はぃぃっ!!?」

せっかく気合いを入れて言ったのに、出鼻を挫かれその場でコケてしまう。

「そんなに急ぐ必要はないし、少し休んでからでも充分だよ」

「そうね。わたしももう少しちゃんとお風呂に入りたいし」

「あっ、じゃあまた一緒に入ろうね?」

「……いいけど、胸を触ってきたりしないでよ?」

「だってヒメカのおっぱい触ると気持ちいいんだもん」

「っ、あなた……それセクハラよ?」

「……なんかエロいな」

「何か言った!?」

「い、いや……なんでもねぇ」

悪鬼の如し視線で睨まれ、おもわず小さくなるカイリ。

(まったく……)

自分の幼なじみがそんな事をしてるとは……なんだか情けなくなってしまったレイジであった。

 

………。

 

「さーて、今日は何して過ごそうかな……」

レイジと共に部屋に戻り、カイリは今日の予定を考える。

カグヤはトレーニング、ヒメカは買い物。

自分もモウカザル達とトレーニングでもしようか、そう思っているとレイジから声を掛けられた。

「ねえ、カイリ。今ちょっといいかな?」

「んぁ? 別にいいけどなんだよ?」

「……訊きたい事があるんだ」

「…………」

真剣な表情でそう言ってくるレイジに、カイリもベッドに座り姿勢を正す。

「で、訊きたい事ってなんだ?」

訊くと、意を決したようにレイジは口を開いた。

 

「――カイリ、君は……ジム戦の時に何をやったんだ?」

 

「―――――」

呼吸が止まる。

レイジの問いかけを理解するのに数秒、そしてそれに対しての疑問が浮かぶのに更に数秒の時間を要した。

「お前、何を……」

「僕は人間にはない特殊な能力がある。ポケモンの言葉を理解し、会話をする能力。

 そして、普通じゃない能力を察知する事ができる能力を」

「…………」

「あの時、ツタージャがれいとうビームを受けようとした瞬間、僕は空間そのものがねじ曲がるような不快感に襲われた。

 そして、まるで君が未来を読んだかのような言葉を放ち――それが現実のものになった」

 

あの時の感覚、あの時の光景は今でも鮮明に思い出せる。

それほどレイジにとって驚くべき事実であったし、忘れたくても忘れられない光景だったからだ。

俯き、僅かに身体を震わせるカイリ。

それが、自分の予想が確信に繋がると理解できる態度である事を感じ、再び口を開いた。

 

「あの力は何? どうして君はあんな事ができるの?」

「……まいったな。ヒメカにだってバレてねぇのに、まさかお前に知られるとは思わなかった」

震える声で、カイリは呟くように口を開く。

 

「察しの通りだ。俺は……少し先の未来を視る事ができる能力を持ってる」

だがそれは、正直すぐに信じられるような内容ではなかったが。

 

「未来を、視る……」

「いつからこんな力が自分にあったかは知らねえ。けど……気づいたら視る事ができてたんだ、短い間だけど……未来が」

なるほど、それならばあの戦いも納得ができた。

回避の方法も、敵の行動もあらかじめ読んでいたのも、未来を視たからか。

「けどやっぱ色々制限があってな。1日に一回しか視れねえし、しかも必ず視れるとは限らない。

 おまけに成功しようが失敗しようが使った後はめちゃくちゃ疲れちまう。正直、あんまり良い能力じゃねえな」

「コントロールはできるの?」

「ああ。自分の意思で発動はできる、それでもあんま使った事はねえけどな」

「……君の両親は」

「知らねえよ。親父とお袋どころか幼なじみのヒメカも知らねえ。

 俺の力を知ってるのは俺自身と、レイジ……お前だけだ」

「…………」

 

「けど驚いたぜ。種類は違うけどお前も俺みたいに不思議な力があるなんてよ」

「……僕も、自分にどうしてこんな力があるのかわからないんだ。

 気が付いたらポケモンと会話できるようになっていたし、それに……両親も知らないから」

「えっ、両親を知らないって……」

「僕は孤児なんだ。5歳の時までポケモンに育てられてきた。

 だから——僕が旅をする目的の一つとして、自分を知りたいと思ってる」

「こりゃまた……ヘビーな話だな」

「別に。だって今の僕には家族がいる。だから本当の両親に会ってどうこうしたいわけじゃない。

 ただ知りたいんだ、自分の生まれた意味を……この力の意味を」

人は誰しも、この世の誰かに必要とされて生きている。

だからこそ、そんな意味が自分にもあるのか、それが知りたい。

 

「……お前は強いな。俺は自分の力を他人に話すのが恐くて、ヒメカにすら打ち明けられねえってのに」

「打ち明けるのが強さじゃない、でも……ヒメカならたとえ君の力を知っても受け入れてくれる。

 それとも、君の知っている彼女は君の力を知って恐がるような人?」

「……いや。それどころか怒るだろうな。「何でもっと早く言わなかった」って」

「だろうね」

容易に想像できてしまい、おもわず口元に笑みを浮かべてしまう。

 

「でも打ち明けるか隠すかは君の自由だ。他の誰でもない、君自身の力なんだから」

「……サンキュー」

「それと、あまりその力を否定しないで。きっと何かしらの意味を持ってその力は君に宿ったんだ。

 それに……正しき事に力を使う事は、悪いことじゃないんだから」

だが、否定してしまえば何の為にその力は生まれてきたのかわからなくなる。

せめてその意味を、力の価値を見定めるまでは。

 

「……お前、本当に14か? 年下には見えなくなったな」

「さてね。自分が何歳なのかも知らないんだ。もしかしたら君よりもずっと年上かもよ?」

冗談めかしたような口調でそう言いながら、ベッドに寝転がる。

……我ながら感情を露わにし過ぎたかもしれない。

僕もまだまだ子供だな、そう思いながら少し眠ろうかと瞳を閉じた瞬間。

 

「レイジさん」

突然、部屋をノックする音が部に響き渡った。

「はい、今開けます」

扉を開くと、そこにはジョーイの姿が。

「どうしました?」

「レイジさん宛てに電話が来てますよ」

「電話……?」

オーキド博士だろうか、それともゲンジやルリコ?

しかし、電話の相手はレイジにとって意外すぎる人物だった。

「シロナさんという女性の方からですよ」

『……………は?』

レイジとカイリ、2人の声が見事に重なった。

 

………。

 

『レイジくん、元気ー?』

「はあ、元気ですけど……いきなりどうしたんですか? それ以前に、よくここがわかりましたね」

『勘よ勘。それにペース的に考えてこの辺だと思ってね』

「それで、何の用ですか?」

『……君の声が聞きたかったから』

「は?」

『な、なんでもない。そ、それより調子はどうかしら?』

「とりあえずハナダジムのバッジは手に入りました」

『良い調子みたいね。なんだか自分の事のように嬉しいわ』

本当に嬉しそうに笑顔を浮かべるシロナに、少し気恥ずかしくなって顔を逸らした。

 

『いつか貴方と戦う日が来るのがますます楽しみになってきたわ』

「は、はあ……」

わざわざ自分の様子が気になって電話をしてくれたのは嬉しいが、チャンピオンの仕事などのいいのだろうか。

……なんか後ろから「シロナ、今日は仕事が沢山あるんだからさっさと電話切れ!」なんて声が聞こえる。

 

『後ろの声は気にしなくていいわよ、それより今日貴方に電話をしたのは……貴方にポケモンを一匹預けたいと思ったの』

「ポケモンを?」

『ええ。実は昨日タマゴから孵ったばかりのポケモンなのだけど、私は見ての通り動けないから貴方に譲りたいと思って』

「えっ……それは嬉しいですけど、僕なんかでいいんですか?」

『もちろん。貴方のようにポケモンを大事にしてくれる人にこそ譲りたいのよ』

「…………」

『どうかしら? もちろん君が嫌なら……』

「いえ。是非お願いします」

『ありがとう、レ――』

『シロナー、早く電話切れっつーの! 今日は忙しいって言っただろーが!!』

突然シロナの横から現れた赤髪のアフロ男。

ここにいるという事や、シロナを呼び捨てにする辺り四天王の一人だろうか。

 

『いいじゃない。もう少し待ちなさいよ!!』

『そんな幸薄そうな子供と話したってしょうがねえだろ!!』

『なんですってぇっ!?』

『ごふぅっ!!?』

凄まじいボディーブローが突き刺さり、哀れその場に倒れ込むアフロ男。

「…………」

『あ……オホホホッ、いやだわ私ったら』

誤魔化そうと笑うシロナだが、2人は引きつった表情しか浮かべられない。

右端で倒れているアフロ男が哀愁を誘った。

 

『そ、それじゃあ送るわね……レイジくん、よろしく』

「は、はい……わかりました」

『あっ、そうだ。次はどこに行くつもりなの?』

「クチバシティに行くつもりです」

『クチバシティね……なるほどなるほど』

「……あの、それがなにか?」

『なんでもないわ、じゃあレイジくん、またねー』

手を振りながら電話を切るシロナ。

 

(そういえば、どんなポケモンか訊くの忘れてた……)

まあいいか、転送されればわかるのだから。

すると、すぐさま転送装置が動き出し……モンスターボールが現れた。

「これか……。チャンピオンのシロナさんが譲ってくれたポケモンだからな、もしかして伝説と呼ばれるポケモンだったりして」

「さすがにそんな事はないと思うけど……」

言いながら、モンスターボールを開くと……中から出てきたポケモンは、レイジ達の想像を超えたポケモンだった。

 

「これは……」

「――リオル」

モンスターボールから出てきたポケモンは、はもんポケモンと呼ばれるリオルだった。

リオルの姿を見た瞬間、レイジは不思議な感覚に覚える。

(これは……?)

似ている、シロナに感じられた力そのものに。

そんな事を考えていると、リオルは瞳を開きレイジに視線を合わせ口を開いた。

 

〈あなたが、僕の新しい主ですか?〉

「っ、君は……!?」

ティナと同じように、直接頭の中に響いてくる声。

間違いなく、リオルの声だ。

〈僕は波導という力を感知する能力を持っています。それを利用して会話をする事が可能なのです〉

波導――目に見えない生命エネルギー、すなわち気やオーラに近いものだと考えればいい。

人は誰しもその波導という力を持つが、大小関係なくそれを解放する術は持たない。

波導を使えるのは波導使いと呼ばれる人間か、リオルやルカリオのような一部のポケモンのみ。

誰もが持っていて、けれど使いこなす事はできない力、それが波導だ。

 

〈母上は自分以上の波導を持つ御方が新しい主だと仰っていました。

 そして、目の前のあなたの力はとてつもなく大きく、それでいて綺麗なものです。

 つまり、あなたが僕の新しい主なのですね?〉

「力があるかはわからない、でも……今日から君と一緒に戦い成長するパートナーは、僕だよ」

〈パートナー? 僕とあなたがですか?〉

「そうだよ。……もしかして、不満? ならシロナさんの所に……」

〈い、いえ……その、母上と同じ事を仰ってくださったので、驚いてしまって……。

 僕のような未熟者をパートナーと言ってくださるのは嬉しいのですが、今の僕ではあなたの力になれるとは……〉

「そんな事関係ない。力になるからパートナーになってほしいって言ってるわけじゃないよ。

 僕自身が君自身にパートナーになってほしいと願ったから言っているんだ。

 それに僕だってまだまだ未熟者だよ、でも互いに努力して強くなっていけばいいだけだ」

 

そう、今はそれでいいと思う。

少しずつ、けれど確実にこれから強くなっていけばいい。

自分も、そして目の前にいるリオルも。

 

「だからリオル、これから一緒に強くなっていこう?

 僕は、君と一緒に強くなっていきたい」

精一杯の誠意を込めて、レイジは告げる。

すると、リオルは呆気にとられた表情を彼に向けていた。

「どうしたの?」

〈い、いえ……ただ、母上の言っていた以上に、あなたが素晴らしい人だと思い、感動していました……〉

「そ、そう……ありがとう」

随分と大袈裟な事を言ってくるリオルに、レイジは苦笑を浮かべてしまう。

と、ここで一つ疑問が浮かんだ。

 

「ところでリオル、君が言ってる『母上』って誰のこと?」

普通に考えれば♀のルカリオ辺りかと考えるが、どうも違うらしい。

疑問を投げ掛けると、リオルはこう答えた。

 

〈僕をタマゴから孵してくださったシロナさんの事です〉と。

 

ああ、なるほど……なんとなくリオルの言いたい事はわかった。

確かにシロナがリオルをタマゴから孵したのならば、彼女を母上と呼んでもおかしくはないだろう。

「それじゃあ、よろしくねリオル」

手を前に出し、握手を求めるレイジ。

〈は、はい……宜しくお願いします〉

そんな彼に少々面食らいながらも、リオルも手を出しレイジと握手を交わした。

 

「旅の仲間を紹介するよ、もう2人居るんだけど今は出掛けてて……この人はカイリ、僕の仲間の1人だ」

「お、おぅ……よろしく」

緊張しているのか、上擦った声を出すカイリ。

〈宜しくお願いします、カイリ〉

「ああ。……それより波導って凄いんだな、ポケモンと話せるなんて凄く嬉しいよ!」

本当に嬉しそうに無邪気な笑みを浮かべるカイリに、レイジも笑みを返した。

そうだ、みんなにもリオルを紹介しないと。

そう思い、レイジはモンスターボールを取り出しティナ達を表に出した。

 

「ティナ、リオン、ヒカリ、この子はリオル。僕達の新しい仲間だよ」

〈よ、宜しくお願いします……〉

〈よろしくー!〉

〈ご主人と一緒に頑張ろうな?〉

〈宜しくね、リオル〉

少し緊張した様子のリオルとは対照的に、ティナ達はすぐさま友好的な態度を見せてくれた。

これならば、みんなすぐに打ち解けてくれるだろう。

と、リオルに名前を付けるのを忘れていた。

(どんな名前にしようかな……)

暫し腕を組みながら考えて――割とすぐに思いついた。

 

「アクセル」

〈えっ?〉

「君の名前だよ。アクセルっていうのはどうかな?」

我ながら悪くは……ないと思いたい。

〈アクセル……それが、僕の名前〉

「嫌かな? もしそうなら考え直すけど……」

〈そんな事ありません!凄く嬉しいです。“父上”、ありがとうございます!!〉

どうやら気に入ってくれたようだ、アクセルの態度を見ればすぐにわかった。

(………………ん?)

ちょっと待て。

なんだか今、変な単語がアクセルの口から飛び出したような……。

 

「アクセル、今僕の事なんて呼んだの?」

〈父上と、お呼びしましたが……〉

それが何かと言わんばかりの表情を向けられ、レイジはどう反応を返せばいいのかわからなくなった。

とりあえず、どうしてそんな呼び方に変えたのか訊いてみる事に。

「どうして僕を『父上』だなんて呼ぶの?」

〈それは僕に名前をくださったからです。

 それに父上から感じる波導は、とても暖かく安心できるので……まるで父親のようだと思いまして……〉

「…………」

あー、うん、とりあえずアクセルの言い分は理解した。

しかし、父上と呼ばれるのは正直微妙だ。

ティナからは『お父さん』と呼ばれているが、それは彼女がタマゴの中にいた頃から一緒に居るからであって……。

……やめよう、これ以上いちいち考えた所で無駄なだけだ。

それに嫌なわけでも不快なわけでもない、アクセルがそれでいいなら良しとしようとレイジは自分を納得させた。

 

「レイジー!!」

「ん? ……うおっ!?」

振り向いた瞬間、眼前に満面の笑みを浮かべたカグヤが迫っていたので、半ば無意識のうちに手を出して彼女を抱き留めた。

「な、なんだよ……?」

「やったの! チコリータがやってくれたの!」

「はぁ?」

意味がわからないカグヤの言葉に、レイジは首を傾げるが。

「あ……」

いきなりモンスターボールを投げ、ポケモンを出した事によって、どういう意味かを理解できた。

 

「……ベイリーフに進化したんだ」

そこから出てきたのはチコリータではなく、その進化系であるベイリーフだった。

どうやらトレーニングの際に進化できたようだ。

「そうなの! もう嬉しくって………あれ?」

アクセルの存在に気が付いたのか、視線をそちらに向けるカグヤ。

「この子……」

「僕の新しい仲間のアクセルだよ。

 アクセル、この子は幼なじみのカグヤ。一緒に旅をしているんだ」

〈アクセルです。宜しくお願い致します〉

「っ、この子もテレパシーが使えるんだ……」

〈正確には波導ですが〉

 

「でもどうしたの? リオルなんて珍しいし、それにこの辺じゃ見かけないよね?」

「シロナさんが譲ってくれたんだ、タマゴから生まれたばかりで一緒に戦ってほしいって」

「……………」

瞬間、カグヤは途端に不機嫌そうに唇を尖らせた。

誰が見ても「私、怒ってます」というのがわかるくらいあからさまだ。

 

「……カグヤ、なんで怒ってるの?」

「……わかんない。でもなんか今の話を聞いてすっごく気分が悪くなったの」

「はぁ?」

なんともむちゃくちゃというか、まったくもって意味が分からない。

しかし、カグヤの中でも不思議な怒りとして認識しているため、自分が何故怒っているのかも説明できないのだ。

だが、カグヤとしても面白くないのは確かなので……。

 

「むぅー……とりあえずレイジ、謝って」

そのよくわからないイライラを、レイジにぶつける事に。

 

「何でだよ」

「だって……モヤモヤする原因はあきらかにレイジのせいでしょ?」

「知らないよ」

レイジとしてはそんな事言われてもたまったものではない。

〈あの……もしかして僕が何か粗相を?〉

「ああ、気にすんな。あれは……俺もよくわからん」

「よくわからないなら適当な事を言わないの」

後ろから響くヒメカのツッコミ。

 

(まったく……どうしてわからないのかしら、自分のイライラの原因が……)

 

子供を通り越してもはやわざとやっているようにしか思えないが、彼女は本気で自分の感情を理解していないのだ。

別に自分が困るわけではないが……見ていると呆ればかりが大きくなってしまう。

まあしかし、見ていて飽きないしなにより面白いので、暫くは教えないであげておこう。

それに……そうは言っても、自分もあまり人の事は言えないから。

チラリとカイリを見ると、アクセル達と同じく言い合っているレイジ達をよくわからないといった表情で眺めている。

 

(素直にならなきゃね……私も)

 

でもなかなかに難しい、自分はカグヤと違って意地っ張りだから。

そう思いつつ、いい加減周りの迷惑になるので、ヒメカはレイジ達を止めようと2人の元へ歩み寄っていくのだった。

 

 

 

 

To.Be.Continued...

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。