ポケットモンスター 〜The Legend of Master〜【完結】   作:マイマイ

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セキエイリーグ出場を目指し、旅を続けるレイジ達。
次の目的地であるクチバシティに辿り着き、さあ早速ジム戦を……と、思ったのだが。


第10話 〜クチバでのバトル!?(ポケモンのじゃないよ)〜

「……ねえ、カイリ」

「なんだ?」

「僕達、こんな所で何してるの?」

レイジの呟き、カイリはなんともいえない表情を浮かべるのみ。

「知るかよ……お前の幼なじみに訊け」

「そうだよね……僕もわかってるんだけどさ」

 

――現在レイジ達はクチバシティに居る。

目的はもちろん、クチバジムのバッジを手に入れるためなのだが……。

何故か、彼等はクチバのビーチで水着を着て立ち尽くしていた。

傍らには浮き輪を始めとした、海で遊ぶ為の必須アイテムが置いてある。

というのも、カグヤがクチバシティに着いた瞬間。

 

「レイジ、海に行く約束忘れてないよね?」

と言い出したのが事の始まりである。

 

確かに、ハナダシティでカグヤはクチバに着いたら海に行きたいと言っていた。

その時は曖昧な返事しか返さなかったのだが……後になってきちんと反対するのを忘れていたのだ。

遊んでいる暇があるならジムに挑戦しないの、とは言ったのだが、その時には彼女によって身体を引っ張られていた最中なので、ロクな反論ができず。

更に反対するだろうと思われたヒメカは諦めたようにため息をつくだけで、カイリもそんなに嫌ではなかったのか特に何も言わなかった。

そして、話は冒頭へと繋がったわけである。

 

「別にいいじゃねえか、ジムは逃げねえしたまには息抜きしないと」

「君は年中息抜きしてるからいいじゃないか」

「……お前、結構酷い事言うな」

 

ちょっとヘコんでいるカイリを無視し、レイジは再びため息をつく。

だがまあ……彼の言い分も理解できるので、そこまで強い否定をするつもりはない。

それに、自分はともかくティナ達は喜んでいるようだし良しとしよう。

そう思いながら、レイジは自分の傍で海を眺めているティナ達を眺めていると。

 

「レイジ、カイリ、おまたせー」

「…………」

後ろからカグヤの声が聞こえてきた、どうやら着替えが終わったらしい。

「……おお〜」

「…………」

カイリは感嘆の声を上げ、レイジはおもわず息を呑んだ。

2人の水着姿――両者ともにビキニなのだが、カグヤは青、ヒメカは白という違いがある。

 

「ヒメカがビキニ着るとエロいな〜」

「っ、他に言うべき事は無いの!?」

「ぐぼっ!?」

見事なボディーブローが自業自得なカイリの腹部に突き刺さり、彼はその場に倒れ込んでしまった。

哀れカイリ、しかし自分が悪いので誰もフォローを入れたりしない。

 

「どう? 変じゃないかな?」

「大丈夫だよ。変じゃない」

それを証拠に、先程から周りの男達がカグヤに視線を送り続けている。

いや、カグヤにだけではなくヒメカにも好色の目で見ている輩が多数。

(だから来たくなかったんだ……)

カグヤもヒメカも充分美少女だと豪語できる顔立ちだ。

だからこそ、こうやって人が沢山集まる場所には行きたくない。

 

「それじゃあレイジ、早速泳ぎにいこ?」

すぐさまカグヤがレイジの手を掴み、一直線に海へと向かっていく。

やれやれ……そう言わんばかりの表情でレイジはため息をつくが、抵抗しても無駄なのでおとなしくついていく事に。

「…………」

途端にカイリと2人だけになってしまったヒメカ、ちなみに彼はいまだ砂浜に突っ伏している。

「……カイリ、起きなさい」

少しばかりやりすぎたかもしれないと思いつつ、カイリを起こすヒメカ。

 

「いって〜……もうちょっと手加減しろよな」

「あんたがセクハラするからよ」

「いいじゃねえか、エロいのは確かだし」

「……もう一度、砂に沈められたいのかしら?」

「ごめんなさい」

その場で土下座するカイリに、ヒメカは呆れたようにため息をつく。

しかし、それはどちらかといえば自分自身に向けたものだった。

カイリの物言いは恥ずかしくデリカシーに欠ける発言だが、だからといって手を出すのはよくない。

それに、暴力的な女では彼に……。

(……こういう時、素直なカグヤが羨ましい)

ただ単純に何も考えてないだけかもしれないが、それでも余計な感情に縛られず自然体の自分を表に出せる彼女を羨ましいと思った。

 

「ほら、そんなに痛むなら休みましょう?」

言いながら、レイジ達が用意してくれたパラソルの中にカイリを運ぶ。

「ヒメカ、お前は海で遊んでこいよ」

「いいわよ。別にどうしても遊びたいわけじゃないし、それに……少なからずわたしに原因があるから……」

「いや、少なからずも何も全部お前が――」

「何か言ったかしら、セクハラカイリ君?」

「い、いえ……俺が悪かったです」

凄みを効かせた視線により、押し黙るカイリ。

 

(はぁ……せっかく2人きりなのに……)

昔から彼は一言余計な事を言っては痛い目に遭っている。

だというのにちっとも反省しない辺り、バカなのかそれともこれが彼の個性なのか……。

そんな事を考えると、また口からため息が漏れた。

「あっ、そうだヒメカ」

「…………何よ」

ジト目で睨むと、彼は普段通りの無邪気な笑みを浮かべ。

 

「さっきは言いそびれたけどよ、その水着似合ってるぜ」

と、ヒメカにとって完全なる不意打ちとなる言葉を口にした。

 

「―――――っっっ」

思考が停止する。

彼が何を言っていたのかを全細胞で理解し、そして意味がわかった瞬間。

ヒメカの顔は、これでもかと言うくらい真っ赤に染まった。

それだけではない、鼓動は高鳴りまるでドラムのように速いリズムで脈打っている。

似合ってるぜ、その言葉が何度も頭の中で繰り返し再生され、彼女は口をパクパクと動かす事しかできなかった。

 

「ヒメカ、どうかしたのか?」

「っ、べ、別に……なんでもないわよ」

普段通りの強気な口調も、今ではすっかり萎みぼそぼそと呟くように小さなものに。

だが仕方ない、憎からず思っている相手に水着が似合ってると言われたのだ、嬉しくないわけがない。

おまけに今は2人っきり、ムードしては申し分ない演出だ。

「あ、ありがとう……嬉しい、わよ」

だから、ヒメカ自身も少しだけ素直な反応を返した。

 

もう少し柔らかな言い方もあったかもしれないが、恥ずかしがり屋な彼女にとってはこれが精一杯。

しかしそれを気にするほどカイリは鋭くないので、「どういたしまして」と返事を返し柔らかな微笑をヒメカに向けた。

それがヒメカの顔を赤くする原因だと気づかず、ヒメカの顔はますます赤みを帯びていくばかり。

淡い恋心がまた大きくなり、おもわず想いを打ち明けてしまおうかと考えてしまうが、彼女は口を閉ざす。

まだ早い、彼は自分の事など異性として見ているわけではないのだ。

それに自分は自分でもわかるくらい素直じゃないし子供だ。

だから、せめてもう少し大人になってから。

この旅を通じて、少しでも大人になるまでは、この想いを隠しておく。

そう思い、ヒメカは少しだけ自分に素直になろうと、カイリの手に自分の手を重ねた。

照れくさくて、重ねたというより押し返すといった方が正しいが、それでも少女にとっては大きな第一歩。

 

「どうした?」

「す、少しだけでいいからじっとしてなさい」

「けど、手……」

「い、いいから! 余計な詮索はしないの!!」

やっぱり素直になるのは難しい。

自分に呆れを抱きつつも、それでもこの時間を大切にしようと熱くなる頬を無視して、ヒメカは暫くカイリの手の温もりを感じているのだった。

 

………。

 

「―――っは!」

水面から勢いよく飛び出し、呼吸をするカグヤ。

「……まったく、元気なのはいいけどちょっとはしゃぎすぎだよ」

そんなカグヤにレイジは呆れながらも、しっかりとついてくる。

ちなみに、彼の頭にはティナとヒカリが無理矢理乗っかりながら喧嘩している。

大好きなレイジの頭の上に乗る権利を独占したいのだろう、いつふぶきや10万ボルトが飛び出すかわかったものじゃない。

 

「ずいぶん沖まで来ちゃったな……カグヤ、これ以上は危ないから戻るよ」

「大丈夫だよ。私達泳ぐの得意じゃない」

「そういう問題じゃないよ、僕達には水ポケモンもいないし万が一の事があったら危ないでしょ?」

正論を口にするレイジだが、カグヤは不満なのか唇を尖らせる。

しかし、彼の言う通り何かが起きてからでは遅いので、渋々陸地へと向けて泳ぎ始めた。

それに続きながら、近くでビニール製のボートに乗ってはしゃいでいるアクセル達を牽引する。

 

〈わちはもう少し遊びたいニャー〉

〈ピカもー〉

「ダメだよ。もう少し陸地に近い所で遊ばないと危ないから」

それに……あまり海に入っているとリオンが仲間外れにされて可哀想だ。

ヒトカゲはしっぽの炎が消えた時に命を落としてしまう。

そんな彼が海になど入ってしまえば……結果は目に見えている。

陸地に戻り、モンスターボールを取り出しリオンを表に出す。

……予想通り、不満全開の視線を向けられてしまった。

 

「ごめんねリオン、海に入れないのは残念だけど……代わりに砂遊びでもしよう?」

〈ご主人、俺の事は気にしなくてもいいよ?〉

「そういうわけにはいかないよ、リオンだけ仲間外れにする事なんて僕にはできない。

 ほら、一緒にお城でも作ろう?」

〈………うん〉

申し訳なさそうな表情を浮かべつつ、リオンは座り込み砂に手を伸ばす。

〈ピカもやるー〉

〈父上、僕も宜しいですか?〉

〈私もやりたい!〉

「みんなでやろう」

皆で輪を作り、砂のお城を作ろうと砂を集め始めるレイジ達。

 

〈――ご主人、ありがとう〉

レイジの優しさに、リオンは笑みを浮かべて礼を告げる。

そんなリオンに、レイジは笑みを返すだけで何も言わなかった。

「よーし。エネコ、私達も一緒にやろう!」

「ニャー!」

「なら、誰にも負けないくらい大きなものを作るのもいいかもね」

「そうだね。よーし、頑張ろう!」

「頑張るのもいいけど、張り切り過ぎないようにね?」

「わかってるわかってる、レイジってばすぐそんな事――」

「…………え?」

今の台詞は、自分のものではない。

カグヤもそれに気づき、レイジと共に声のした方へと視線を送ると……。

 

「あら、どうしたの?」

そこには、ある意味でとんでもない人物が何食わぬ顔でレイジ達の前に姿を現していた。

「な、なんで!!?」

突然の事態に、さすがのレイジも素っ頓狂な声を上げてしまう。

何故なら、レイジ達の前に姿を現したのは……。

 

「な、なんであなたがここにいるんです―――シロナさん!!」

シンオウ地方のリーグチャンピオンである、シロナだったからだ。

 

「休暇よ、休暇」

驚いているレイジ達とは対照的に、シロナはあっけらかんと答える。

嘘だ、すぐさまそう思いレイジはため息をつきたくなった。

本当に、この人の考えている事はわからない。

一方、カグヤはシロナを見てなんともいえない表情を浮かべていた。

(……この人が、シンオウリーグチャンピオンのシロナさん……)

自分にとって目指すべき相手、そしていつか超えたいと思っている相手でもある。

 

けれど、何故だろうか。

よくはわからないが、なんだかあまり好きになれない。

レイジと彼女が話しているのを見ると、胸の奥が痛むのだ。

僅かな、けれど決して無視できない痛み。

その痛みが、カグヤのシロナに対する感情を良くないものへと変えていた。

 

「あなたがカグヤ? レイジくんから聞いたわ。いつか私を倒すくらい強くなるんですって?」

「えっ……」

急に視線を向けられ、ちゃんとした反応を返せない。

「……なる程。たしかに瞳の奥に力強い何かを感じる。

 あなた、いつか遠くない未来で私と肩を並べられるほど強くなるわ。――また待つ楽しみが増えてくれた」

嬉しそうにそう告げるシロナの言葉には、お世辞も皮肉も嫌味すらも感じられない。

ただ本気でそう思い、そしてカグヤが強くなってくれるのを願っている。

それがわかり、カグヤは自分がシロナに対していい感情を抱いていない事に罪悪感を感じた。

 

(私、嫌な女の子だ……)

わかってる、シロナはただ自分達を心配し見守ってくれている事に。

だがそれでも、正体不明の痛みがどうしてもシロナという女性の存在を許容してくれない。

「で、でもシロナさん……本当にどうしてクチバに来たんですか?」

「だから休暇よ。チャンピオンの仕事も遺跡の探索も一区切りついたから」

「ならカイナに行った方がよかったんじゃ……」

たしかカイナシティはホウエン地方のリゾート地だったはず。

クチバにもこのような海はあるが、規模そのものが違う。

 

「いいのいいの。それにカイナシティは人気だから人が沢山居るし、それに……」

「それに?」

「……なんでもない。それより砂のお城、作らないの?」

ペタペタと砂を積み上げていくシロナ。

チャンピオンが砂遊び、なんだかまた彼女のイメージが変わってしまったかもしれない。

……それにしてもと、レイジは彼女の水着姿を見て、頬を赤らめてしまう。

あの独特な髪飾りはそのままに、彼女が身につけている水着は露出の高い黒のVネックライン。

ヒメカと同じくらい豊かな胸元が強調されたそのデザインは、正直目のやり場に困る。

 

「? どうしたの?」

おまけに彼女は、自分の心中など理解してくれないから余計に困る。

おもむろに近づかれると、どうしていいのかわからなくなるというのに。

それに、周りの視線も気になって仕方ない。

シロナの登場により、余計に男性の視線がこちらに集中しているのだ。

だがそれも無理はない、それだけシロナが綺麗な女性という事なのだからだ。

 

〈母上、お久しぶりです〉

「久しぶりねリオル、と言ってもまだ4日くらいしか経っていないけど、レイジくんとは上手くやってる?」

〈はい。父上もみなさんもとても良くしてくれます〉

「………父上?」

「細かいツッコミは無しにしてください」

またここでいちいち説明して、余計な事態を招くのは避けたい。

幸いにもシロナはレイジの言葉を聞き、それ以上詮索はしてこなかったものの、軽い口調で爆弾を投下した。

 

「なんだか私達、夫婦みたいね」

「…………は?」

「だって、リオルから父上、母上って呼ばれてるじゃない。だからなんだか夫婦みたいねって」

「ばっ、な、何を言ってるんですか!!」

珍しく声を荒げるレイジに、シロナはちょこんと首を傾げる。

……今の発言がどんな誤解を生むのかわかっていないのだろうか。

 

「っ、レイジ!!」

「うわっ!? い、いきなりどうしたの?」

突如としてカグヤに身体を引っ張られ、そちらへと視線を向けるレイジ。

しかし、何故か彼女は頬を膨らませて不機嫌そうな表情を浮かべている。

「………カグヤ?」

「……なんかよくわからないけど、レイジがデレデレしてるのが気に入らないから私に謝って」

「意味がわからないよそれ、それに何で君に謝らないといけないの?」

「私だって何で気に入らないのかわかんないよ!」

「逆ギレしないでよ……」

呆れたようにため息をつくレイジと、とりあえず彼が悪いという事で八つ当たりを始めるカグヤ。

その2人を見て、シロナはすぐさま納得した。

 

(ああ、なるほど……)

ようするにカグヤはヤキモチを妬いているのだ。

しかし、自分がヤキモチを妬いているのがわからないとは面白い。

ということは、彼女が彼に抱く想いにも気づいていないだろう。

(好都合、とは思っちゃいけないわね)

いまだにあーだこーだと口論をしている2人を、シロナは暖かな目で暫し見つめていたのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「――なんだか喉が渇いたわね。レイジくん、カグヤ、何か飲み物を買ってくるけど、何がいい?」

立派な砂の城をみんなで作り終えた後、シロナは立ち上がり2人にそう告げる。

「いいですよ。僕が買ってきますから」

「なら2人で行きましょうか?」

そう言いながら、レイジの左腕に自分の腕を絡ませるシロナ。

いかんせん彼女の方が背が高いので、正直絵にならない光景である。

しかし、カグヤとしては面白くなく、すぐさまレイジの右腕に飛びついた。

 

「私とレイジが行きますから、シロナさんは休んでいていいですよ?」

「大丈夫よ。そんなに疲れてないから」

シロナは普段通りの笑顔だが、カグヤの表情は誰が見ても不機嫌さ全開だった。

(……なんか、2人の間に火花が散ってるような気がする……)

その理由が自分だと気づかないレイジは、ただただため息をつく事しかできなかった。

と。視線を横に向けると人だかりが生まれていたのが見える。

不思議に思い、近づいてみると……。

 

「ポケモンバトル大会……優勝賞品はおいしいみず、サイコソーダ、ミックスオレを各1ダース……」

でかでかと看板に書かれた文字を読む。

どうやらこれからとある大会が始まるらしく、人だかりは観客になろうとしている人達のようだ。

「レイジ」

視線を右に向けると、自分と同じく気になったのか、カイリとヒメカがやってきた。

 

「カイリ、ヒメカ」

「見たか? これ」

「うん」

「なら話は早い、出てみようぜ!」

予想通りの言葉に、レイジは苦笑する。

「……レイジ、カグヤ、こちらの方は?」

ヒメカがシロナの存在に気づいたのか、そう訪ねてきたのだが……正直、話せばいいか迷う。

ちらりと視線をシロナへと向けると、苦笑いしながら口を開いた。

 

―――私の事、黙っててくれないかな?

 

声には出さず、口だけを動かしてそう伝えるシロナ。

「……この人、もしかして……」

「っ」

反射的にヒメカの口を塞ぐ。

「ヒメカ、たぶん気づいてるとは思うけど、この人はシンオウリーグチャンピオンのシロナさんだ。

 でも彼女は極力目立ちたくないから、あまり声に出さないでくれ」

こくこくと頷き、レイジの願いを聞き入れるヒメカ。

それに安堵し、口から手を話すレイジだが……。

 

「あっ、誰かと思ったらチャンピ――ぐぼっ!!?」

何も考えずにカイリがシロナの正体を声高々に口にしようとしたので、レイジとヒメカは同時に腹にボディーブローを打ち込み無理矢理黙らせる。

いつも二倍以上の威力に、変な声を出しカイリはその場に倒れ込んだ。

……少しやりすぎたかもしれない。

「大丈夫よ。ただ気絶してるだけだから」

(気絶してる時点で大丈夫とは言い難いような気がするけど……)

しかし、レイジもそれ以上は考えない事にする。

 

「レイジくん、この大会に出てみたらどう?」

「えっ?」

「いい勉強になると思うし、それに……久しぶりにあった君がどれくらい強くなったのか見てみたいの」

「…………」

「あっ、じゃあ私も出ます!!」

「あなたは応援でもしてなさい」

「えー……」

「じゃあ訊くけど、本気でレイジと戦えるの? 実戦とトレーニングは違うのよ?」

ヒメカにそう言われ、うなだれるカグヤ。

いや、それ以前にこちらの意志は無視されるのだろうか。

 

「頑張ってね、レイジくん」

「賞品には興味ないけど、頑張って」

「レイジ、私の分まで精一杯バトルしてね」

……どうやら、自分の意志など無関係のようだ。

1対3のこの状況ではレイジが勝てるわけもなく。

「……わかったよ」

渋々了承し、エントリーする為に受付へと向かったのだった。

 

(僕って、女の子には弱いのかな………?)

 

 

 

 

To.Be.Continued...

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