ポケットモンスター 〜The Legend of Master〜【完結】   作:マイマイ

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ロケット団の一件を終え、レイジはジムリーダーのエリカを攻略するためにタマムシジムへと赴いた……。


第20話 〜VSエリカ全力のジムリーダー戦!(前編)〜

『たのもー』

「……あなた達はもう戦ったじゃない」

「通過儀礼みたいなもんだから気にするなよ、ヒメカ」

「気にするわよ……」

疲れたようなため息をつくヒメカだが、とりあえずそれをフォローする気分にはなれない。

 

――怪我が治り、今はタマムシジムに居る

用件はもちろんジム戦を行うため、ポケモンリーグに出場する為に必要なバッジを手に入れるためだ。

 

「いらっしゃま……あら、皆さん」

相も変わらず穏やかで優しい笑みを浮かべながら、挑戦者であるレイジを迎え入れてくれたエリカ。

「こんにちは、エリカさん」

「こんにちは。……この間は大活躍だったそうですね、レイジさん」

「いえ、別に……」

「謙遜しなくても、あなたはこの街の人達を救ってくださったじゃありませんか?」

「いえ、それはあくまで結果論ですから……」

 

「かてーなレイジ、もっと胸張ったっていいじゃねえか。

 まあヒメカほど胸を張るのは――ぐはっ!!」

「すみません。このスケベを拷問……いえ、教育してきますので失礼します」

(今、拷問って言ったよな……)

「はい。いってらっしゃいませ」

(さらりと流した……)

一礼し、気絶しているカイリをズルズルと連れていくヒメカ。

哀れカイリ、だが自業自得なので助けてなどやらないぞ。

 

「さて……レイジさんがここに来たという事は、バッジを賭けたバトルですね?」

「はい。お願いできますか?」

「もちろんです。それにカグヤさん達が口を揃えて「強い」と評価していたレイジさんとバトルしてみたいと思っておりましたので」

(……そんな事を言ってたのか)

余計なプレッシャーを作るんじゃない、そう言わんばかりの視線を向けるが、よくわかっていないのかカグヤに首を傾げられてしまった。

……仕方ない、なんだか手加減してくれなさそうな感じがするが、諦めるとしよう。

それに――自分とて負けられない。

必ず勝つ、そう決めたのだから。

 

………。

 

「使用ポケモンは三体、交代は挑戦者のみ認められます」

草タイプらしく緑溢れたフィールドが現れ、所定位置に立つ。

「レイジー、頑張ってね!!」

「……あなた、まだその衣装持ってたの?」

そう言いながら、ヒメカはいつかの時のようなチアガール姿のカグヤを見つめる。

 

「応援といったらチアガールじゃない?」

「あながち間違ってはないけど、周りの視線が微妙だから着替えてくれない?」

「えー……やっぱりチアガールじゃなくて巫女服とかの方が良かったのかな……?」

「そういう意味じゃなくて……もういいわ、好きに応援してなさい」

もうツッコミを入れるのも疲れた。

それにレイジとエリカのバトルを見て参考にする事の方が重要だ。

 

「ところでカイリは?」

「二、三十発ほどボディーに叩き込んだから暫く目を覚まさないわよ」

……さすがに可哀想に思えた、もちろんフォローはしてやらないが。

「でもさヒメカ、どうしてカイリにはあんなに怒るの?」

「なんでって……セクハラされたら怒るに決まってるじゃない」

「でも男の子って女の子の身体に興味を持っちゃうものでしょ?」

「そういう問題じゃないの……」

ダメだこの娘御は、本当に自分と同じ歳なのかと疑いたくなる。

 

「でもヒメカのおっぱいってプリンのほっぺたみたいに気持ちいいから、カイリも触りたいんじゃない?」

「これ以上言ったら本気で怒るわよ?」

マジな殺気を向けられ、カグヤはおとなしくレイジの応援に回った。

……どうしてカイリに対してはあんなにも怒るのか、そんなの決まっているではないか。

(カイリのバカ……)

 

「それでは参ります」

「はい。お願いします!」

両者共にモンスターボールを構える。

 

「ウツボット、行きなさい!!」

「ティナ、お願い!」

まったくの同時にフィールドに出されるポケモン達。

エリカはマダツボミの最終進化系であるウツボットを。

そしてレイジは――意外にもティナを場に出す。

 

「リオンじゃないね?」

てっきり炎タイプのリオンを出すと思ったので、少し驚いた。

「でもティナだって草タイプに有利な技をいくつか持ってるわよ」

ティナはエスパータイプのポケモンだが、大抵の相手には有利な技を持っている万能型だ。

 

「ティナ、最高のパワーで戦って」

〈うん。わかったよお父さん、でも……本当にいいの?〉

「キルリアになった君なら耐えられるはずだよ、そのサイコパワーに」

〈……うん、頑張る〉

「………?」

レイジとティナのやりとりを聞き、眉を潜めるヒメカ。

 

(今の会話……なんかおかしいわね)

レイジはティナに本気で戦えと言った。

別に言葉の意味にはなんらおかしい所はない。

だが、レイジがティナにわざわざ「本気で戦え」などと言ったのは初めてだ。

それではまるで、今までティナは全力を出していないという事になるが……。

 

「ウツボット、つるのムチ!!」

先手をとったのはエリカ、ウツボットのつるのムチがティナを捕らえようとして。

「え―――」

瞬間、ウツボットの正面にいるはずのティナが、何故か背後に現れ。

 

「――れいとうパンチ」

無防備な背後から、ティナのれいとうパンチがウツボットを吹き飛ばし。

一撃。たった一撃でウツボットを戦闘不能に陥れた―――

 

………。

 

その場にいる誰もが、今のバトルで何が起こったのか理解できない。

いや、ティナが何をしたのかはわかる。

まずテレポートでウツボットの背後に回り込み、れいとうパンチを叩き込んだ、ただそれだけ。

だが――その速さは並ではなかった。

今まで何度か道中でレイジとバトルした事があるカグヤとヒメカでさえ、ティナの速攻には目を見開く事しかできない。

ウツボットが弱いわけではない、ティナが強すぎるのだ。

 

「ティナ、身体の調子はどう?」

〈――うん。大丈夫、ようやく全力のサイコパワーに耐えられるようになったみたい〉

「よかった……」

ティナの言葉を聞き、安堵のため息をつくレイジ。

 

――ティナのサイコパワーは通常のキルリアよりも遥かに強大だ

故に今までは力をセーブしてバトルをしていたのだが、この旅で成長したおかげでようやく全力のサイコパワーをコントロールできるようになったようだ。

 

「……審判さん。わたくしのウツボットは戦闘不能ですわ」

「ぁ……ウ、ウツボット戦闘不能!! キルリアの勝ち!!」

エリカの言葉にようやく我に帰った審判が、試合を続ける。

「………本当に驚きましたわ。わたくしの予想が如何に甘かったのか思い知りました」

ウツボットをボールに戻しながら、エリカはレイジに賞賛を送る。

瞬間、ジム内の雰囲気が一変した。

 

(これ、は……!)

「やはりわたくしが間違っておりました。あなたのような強きトレーナーに本気で戦わないのは失礼極まりないですね。

 ですから、わたくしも本気で戦わせていただきます。

 ジムリーダーとしてではなく、1人のポケモントレーナーとして!!」

その言葉を受け、全身が総毛立つ。

 

――ジムリーダーは挑戦者に対して特例がない限り本気で戦ってはならない

 

これはポケモン連盟が定めたルールの一つ。

つまりジムリーダーは強すぎる為に、挑戦者に対しては挑戦者用に調整されたポケモン達で戦わなければならないのだ。

そうしなければ、一流以上の強さを持つトレーナー以外では到底勝つ事はできない、それほどまでにジムリーダーという存在は強いのである。

しかし、エリカは本気で戦わざるおえないと判断した。

 

(まいったな……)

カスミの時といい、どうして自分の時はこんなにもジム戦で苦労しなければならないのか。

だが、もちろんそこに不快感や理不尽さは感じていない。

むしろ全力で戦ってくれる彼女に対して、感謝を。

 

「ティナ、相手は相当手ごわくなったけど……僕達だって負けないよね?」

〈もちろん! 私だけで残り二体も倒してやるんだから!!〉

気合い充分のティナに頷きを返す。

「では参ります。――行きなさい、ジュカイン!」

そう告げられ、エリカ側からフィールドに出てきたのはジュカイン。

 

「ジュカインって……ホウエン地方のポケモンじゃない……」

「ちょっと待って、今ポケモン図鑑で調べるから。

 えっと……ジュカインはキモリの最終進化系みたい、それにしてもキモリの面影が皆無だね……」

「二回も進化すればそうなるでしょ。ポッチャマとエンペルトだって同じようなものだし」

「どれどれ……あっ、本当だ。ポッチャマはこんなに可愛いのにエンペルトになるとカッコよくなるね」

「……お、おーい……試合はどうなってるんだ……?」

腹部を抑えながら、カイリがようやく観客席に戻ってきた。

 

「カイリ、おそいよー」

「まったく、どこで遊んでたの?」

「いや……お前のせいだろヒメカ」

「あなたが一言余計なのが悪いのよ。それより早く座りなさい、試合に集中できないじゃない」

「ひでえ……」

 

嘆きつつも、言われた通り席に座るカイリ。

するとそんな主人を心配してか、カノンがモンスターボールから出てきてしまった。

もちろん、周りを驚かせないように人間形態で。

しかし、人間がモンスターボールから出てきた時点でかなり注目されそうなものだが、幸いにもこちらに視線を送る者はいない。

 

「マスター、大丈夫ですか?」

「あ、ああ……ありがとなカノン」

「いえ、他ならぬマスターの為ですから」

可愛らしい笑みを向けられ、カイリの顔が赤く染まる。

当然ながら、ヒメカはそれを面白くなさそうに見つめていた。

(こういうの、ドロ沼現場っていうのかな?)

そしてカグヤは、三人の様子を興味深そうに見つめていたとかなんとか。

 

「ティナ、サイコキネシス!!」

先手を取り、ジュカインに向けて両手を突き出すティナ。

「右へ。回避後すぐさまリーフブレード」

だが、サイコキネシスの軌道を完全に読んだエリカの指示により、ジュカインは一息でティナとの間合いを詰める。

 

「リフレクター!!」

〈っ、きゃ――っ!!〉

すぐさまリフレクターで防御するが、その防御が突き破られフィールドの端まで吹き飛ばされるティナ。

体制を立て直し、すぐさま前方に視線を向けるが。

「――タネマシンガン」

既にジュカインはティナの視界から消え、無防備背中に向けて攻撃を仕掛けていた。

 

〈きゃぁぁぁっ!!〉

防御も間に合わず、まともにタネマシンガンを受けてしまうティナ。

「ティナ!!」

〈ぅ、く……〉

立ち上がるものの、やはりダメージが大きいのかその表情は苦しそうだ。

 

「は、はえぇ……なんだよあのジュカイン」

「あれが、エリカさんの本気……」

「なるほど……確かに本気なんか出されたら並のトレーナーなんてまるで歯が立たないわね」

観客席のカグヤ達も、エリカとジュカインのコンビネーションに目を見開く。

「ティナ、シャドーボールだ!!」

両手を構え、漆黒の光球を撃ち出すティナ。

「エナジーボールです」

しかし、ジュカインから放たれたエナジーボールがそれを相殺させ、爆発する。

 

「っ、ティナ、避けろ!」

視界を遮る煙をかき分け、ティナの眼前に現れるジュカイン。

既に相手はリーフブレードの攻撃態勢に入っている!!

全力で地を蹴り、紙一重で攻撃を回避するティナ。

「追いなさい」

しかし、すぐさま間合いを詰められリーフブレードによる連続攻撃がティナを襲った。

 

〈くっ――わっ、きゃあっ!!〉

どうにか回避していくティナだが、ジュカインの速さに身体がついていけてない。

これでは後何手保つか……。

「アイアンテールです」

「っ、れいとうパンチ!!」

自身の身体を回転させながら、その反動を利用してのアイアンテールと、ティナのれいとうパンチがぶつかり合い。

 

〈うぐ―――っ!?〉

押し負けたのは――ティナの方だった。

 

(強い………!)

速さだけでなく、ジュカインはパワーも兼ね備えている。

そのどちらも負けているティナでは、もはや勝ち目はないかもしれない。

それはレイジだけではなく、カグヤ達とて同じ気持ちだった。

だがそれでも――レイジとティナは最後まで諦めたりなどしない。

 

〈まだよっ! まだ私は負けてない!!〉

「その意気だよティナ、こごえるかぜ!!」

ティナが左手を前に突き出すと、ふぶき程ではないにしろ雪を孕んだ風がジュカインに襲いかかる。

たまらず両腕を前で交差させ、こごえるかぜに耐えるジュカイン。

「続いてきあいだま!」

立ち止まったジュカイン目掛けて放たれるきあいだまだが。

 

「ソーラービームです」

こごえるかぜをその身に受けながらも、ソーラービームを放ち迫り来るきあいだまを粉々に打ち砕いた

それだけでは飽きたらず、多少威力が弱まったソーラービームがティナへと迫る―――!

「チャージビームで撃ち消して!!」

すぐさまチャージビームを放ち、相殺させる。

しかし、その隙にジュカインはティナとの間合いを詰めていた。

 

「ドレインパンチ」

「かげぶんしんだ!!」

間一髪、ジュカインのドレインパンチは分身のティナに当たり、地面を破壊するだけに留まる。

だが――エリカとジュカインの攻撃はまだ終わらない。

 

「終わりです。リーフストーム!!」

「何―――!?」

拙い、そう思い急ぎ指示を出そうとしたが既に遅すぎた。

ジュカインの周りに数え切れない葉を含んだ竜巻が現れ、分身を含め全てのティナを捕らえる。

〈きゃぁぁぁぁぁっ!!!!〉

苦悶の悲鳴を上げ、苦しむティナ。

そして――傷だらけになった彼女は、力なくフィールドへと飛ばされ倒れ込んでしまった……。

 

「……どうやら、そこまでのようですね」

ジュカインのリーフストームをまともに受けたのだ、立ち上がれるわけがない。

審判もそう思い、ティナの戦闘不能のコールを告げようとしたのだが。

「キルリア、戦闘――」

 

〈ま、まだ、よ……〉

 

「なっ――!?」

驚き、目を見開くエリカ。

当たり前だ、リーフストームをまとも受けたというのに……ティナは、頼りなさげながらも確かに立ち上がったのだから。

 

「た、立ちやがった……!」

同時に、カイリの口からも驚愕の声が。

「……やっぱりティナは凄い………!」

「凄いなんてものじゃないわ、あれを受けてまだ立ち上がれるなんて……」

勝利への執念か、それとも父であるレイジの為か。

いずれにしても、ティナの実力はまさしく本物と言える事だけは間違いなかった。

 

「驚きました。ですがそんな状態ではまともに動く事もできないでしょう。

 ジュカイン、トドメのエナジーボールです!」

リーフストームの反動でジュカインのパワーが下がっているが、それでも今の相手には充分過ぎる技だ。

そう思い、エリカは勝利を確信しながらエナジーボールがティナに向かっていく光景を視界に収めながら。

 

〈――私とお父さんの、勝ちよ〉

息も絶え絶えになっているティナから、己が敗北する言葉を告げられた。

 

「え………」

おもわず、間の抜けた表情を浮かべてしまうが、時既に遅い。

 

――ティナの姿が消え、瞬時にジュカインの後ろへと現れた。

 

「っ、ジュカイン!!」

「ティナ、デュアルナックルだ!!」

エリカがジュカインの名を呼ぶのと、レイジが指示を出す声は同時だった。

すぐさま後ろに振り向くジュカインだが、ティナは懐に飛び込み。

 

――右手はれいとうパンチ。

 

――左手はほのおのパンチ

 

異なる属性、異なる技を同時に展開し――ジュカインに叩き込んだ!!

たまらず叫び、倒れはしないものの大きく吹き飛ばされるジュカイン。

 

「シャドーボール!!」

それに追い討ちをかけるかのように、シャドーボールを発射するティナ。

「避けなさい!!」

だがジュカインとて意地がある、吹き飛ばされながらもその逞しい右腕を使いどうにかシャドーボールの軌道から逸れ―――瞬間、己の敗北を確信した。

 

シャドーボールを無理矢理回避したと思った時には。

既に、自分の眼前にはティナが両手を突き出し。

「――ふぶきだぁっ!!」

特大のふぶきによって、ジュカインは断末魔の叫びを放ちながらフィールドへと倒れ込んだ。

 

………。

 

「――ジュカイン」

ジュカインは動かない、それは即ち――負けたということ。

「ジュカイン、戦闘不能!! キルリアの勝ち!」

審判の声と共に、観客席からはエリカを師事するトレーナー達からどよめきが起こる。

ジュカインが負けた、その事実は充分に驚愕に値するものだ。

そして同じく観客席に居るカグヤ達も、ティナの勝利に驚きを隠せない。

 

「な、なんであんなボロボロの状態から勝てたんだ……?」

「……もしかしたら、レイジとティナは初めからこれを狙っていたのかもしれないわね」

力を温存し、相手の大技に耐えてから残るすべての力を解き放つ。

博打に近い、まさしく一か八かの戦い方。

レイジらしくないといえばそうだが、今回の相手はそのように戦わなければ勝てないと思ったのだろう。

 

「凄い……やっぱり、レイジは凄すぎるよ……」

素直に尊敬すると同時に、カグヤの中で若干の悔しさと劣等感が生まれる。

自分とて自分にできる限りの努力はしている、だが……本気のエリカとまともに戦えるかと言われれば、答えはノーだ。

だから、あんな風に互角に戦えるレイジが、羨ましいと思ってしまった。

 

「ティナ、頑張ったね」

〈う、うん……も、もうまともに戦えないけど〉

「充分だよ。それじゃあ後はみんなに――」

そう言いかけた瞬間、ティナの身体が光に包まれる。

〈これ………!〉

「進化だ……」

一瞬視界を覆い尽くすような眩い光がフィールドを包み——収まった時にはティナの姿は大きく変わっていた。

 

「………ティナ」

背は自分と同じくらいまで伸び、人間の女性と限りなく容姿が似通っている。

胸元には三角の赤い突起物があり……豊かな膨らみも存在していたので、慌てて視線を逸らした。

〈……お父様、どうかなされましたか?〉

声は前とは変わらない、しかし口調は随分と柔らかく大人びたものになったようだ。

音もなく近づき、美しい手で頬を触られた。

 

「ぁ、う……」

ちょっと待て、少し落ち着くんだ。

ティナはポケモンだぞ、なのにどうしてこんなにも緊張する?

大体彼女は様子がおかしい(原因は彼女だが)自分を心配してくれているだけだ、ならこんな風に挙動不審ではますます心配を掛けてしまうではないか。

「だ、大丈夫……心配しないで」

声が裏返ってしまった。

しかし素直な彼女はそれで納得したのか、「よかった…」と言って離れてくれた。

 

「お疲れ様ティナ、ゆっくり休んでて」

〈はい。ありがとうございます〉

 

ニコリと微笑まれ、また顔が熱くなっていく。

だから落ち着け、彼女は自分にとって娘や妹みたいな存在だ。

いきなり容姿が変わったからといって、何を考えている。

必死に頭を振りながら、ティナをボールに戻す。

……まだバトルは続くのに、なんだか疲れてしまった。

 

(そうだよ。まだバトルは続くんだから……)

いい加減気持ちを切り替えろ、彼女がもたらした勝利を無駄にしない為にも。

そう自分に言い聞かせ、レイジは再び視線を戦いの場へと向けた。

 

 

 

―――死闘は、まだ続く。

 

 

 

 

To.Be.Continued...

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