ポケットモンスター 〜The Legend of Master〜【完結】   作:マイマイ

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エンジュシティでの死闘は続いていく。
果たしてレイジ達はデッドポケモン達の暴走を抑え、ホウオウを護る事ができるのであろうか……。


第29話 デッドポケモンを止めろ!!〜それぞれの戦い〜(後編)

「――ライコウ、でんげきはだ!」

ライコウのでんげきはが、縦横無尽に駆け抜けるスイクンへと向かう。

しかし、まるで網の目を縫うかのように悉くを回避しライコウに向かって幾つもの水の槍を放つスイクン。

「避けろ」

だがライコウとて負けじとスイクンの攻撃を全て回避していく。

 

「…………」

さすがライコウと同じく伝説と謳われるポケモンだ、今の所は完全に互角である。

(……レイジは大丈夫だろうか)

ふと考えたのは、今日出会ったばかりの少年の安否。

そこで、他人の心配をしている自分に驚いた。

(おれが他人の心配をするとはな……)

 

旅をしてきて、今まで沢山の人に出会ってきた。

様々な人と出会い、けれどただの一度とて他人を心配した事がなかった。

その時、自分はずいぶんと冷めた人間なのだと思ったのだが……。

何故か、あの少年の事を他人だと思えない。

危うい道を歩み、いつ踏み外すかわからない生き方が、ひどく気になってしまう。

 

――生き急いでいると、思ってしまう。

故に守らなくては、支えてやらなくては。

 

(こんな所で、いつまでも無駄な時間を過ごしている場合じゃないんだ)

如何に伝説といえども、非道な行為で操られているとしても、敵である以上は容赦しない。

「ライコウ、手加減せずにさっさと倒すぞ」

そう告げ、ライコウに指示を出す。

「アイアンテール」

飛び上がり、回転しながらアイアンテールを叩き込むライコウ。

それを、まるで羽根のように軽い動きで避けるスイクン。

すかさず、反撃をしようと仕掛けるスイクンだが。

 

――ロストとライコウの攻撃は、まだ終わっていない。

 

「でんじほう」

アイアンテールの反動を利用し、再びスイクンへと顔を向けた瞬間、でんじほうを放つ。

しかし、攻撃を仕掛けようとしていたというのに、スイクンは身体を捻りそれすら回避した。

「かみなりのキバ」

ようやく隙を見せたスイクンに、ライコウは無理な体勢ながら雷を這わせた牙をスイクンの身体に食い込ませる―――!

 

見事命中し、全身に走る雷におもわず悲鳴を上げるスイクン。

(――頃合いか)

一度ライコウをこちらに戻し、懐からモンスターボールを取り出そうとしたロストだが……。

ダメージを受けながらも着地したスイクンの様子がおかしい事に気づく。

「………?」

苦しげに息を吐き、小さな唸り声を漏らすスイクン。

 

「グギャァァァァッ!!!!」

「―――っ」

形容できない雄叫びを上げたと思った瞬間――まるで逃げ出すかのように、全力でその場から跳躍した。

「何だと………!?」

さすがにこんな行動をするとは思えず、気づいた時には完全に姿を見失っていた。

 

「ライコウ、追うぞ!」

ライコウの背に乗り、すぐさまスイクンを追いかけるロスト。

急がなくては、スイクンが罪のない人々を傷つける事になる。

そんな事を、させるわけにはいかない。

間に合え、そう心の中で念じながらロストとライコウはスイクンを追った。

 

………。

 

「――どういう事だ?」

おもわずそう呟かずにはいられない状況に、ロストは困惑する。

スイクンの姿を見つけようと高台から街を見下ろしているのだが――見つからないのだ。

デッドポケモンは見境なく周囲を破壊する凶暴な存在になると聞いた、しかしその姿が街のどこにも見つからないというのはどういうわけなのか。

 

(まさか、ロケット団の元へと戻ったのか?)

可能性としては充分に考えられる、それならば街にスイクンが居ない理由になるからだ。

しかし、その考えはすぐさま霧散する事になった。

「っ」

街から離れた森の中で起こる爆音。

木々が倒れ、そこに住んでいたであろう鳥ポケモン達が一斉に逃げていく光景が視界に入った。

 

「ライコウ、あそこだ」

すぐさまそちらへと駆けるライコウ。

全速力で向かい、森の中へと入る。

すると……ロストはスイクンとその周囲を見て驚愕した。

(………これは)

 

無惨にもスイクンによって折られた木々。

傷ついたのか、弱々しい声を上げる野生のポケモン達。

しかし、その誰もが苦しむスイクンを心配するかのように……見つめていた。

いきなり襲われ、住処を破壊されても……周りのポケモン達はスイクンに怒りを抱くどころか、心配している。

わかっているのだ、スイクンが自分の意思でこんな行動をしていないことを。

苦しみ、助けてくれと悲鳴を上げている事に、気づいているのだ。

 

(……これが、ポケモンの姿なのか?)

他者を思い遣り、慈しみ助けようとするその姿は、あまりにも美しい。

だというのに、人間が彼等に行った行為は一体何だ?

道具として扱い、苦しめ傷つけ周りに悲しみを撒き散らす。

あまりにも身勝手、あまりにも醜いその行いは、愚かしいなどという言葉では足りない程のものだ。

 

――怒りが

 

――憎しみが、身体の内側から湧き上がってくる

 

人間なんぞ、この世界に生きている価値などまるでない。

ゴミにも劣る存在、それが人間だ

(――殺してやる)

ならば、この世界に人間など存在する価値は―――

 

「………?」

空から聞こえる声に、顔を上げる。

(……リザードン?)

あれもこの辺に暮らしている野生のポケモンなのだろうか。

しかし、リザードンの背にはピカチュウやサーナイト、リオルが乗っており……。

「レイジ……」

下から見てもわかる程、顔を蒼白にさせたレイジの姿が映った。

翼を羽ばたかせながら着地するリザードン。

その背から、サーナイトとリオルに支えられながらレイジは降りた。

 

〈お父様、見てくださいスイクンが……〉

〈父上の読みは当たっていましたね。ですが何故スイクンがここに?〉

「――戦っていたのだが、突然苦しみ出してな……追いかけてきたらこんな状況になっていた」

〈ロスト……〉

「だが何故お前達はここに来た? それにレイジのその様子……早く病院に」

「いいんです、ロストさん……僕は、スイクンを…助ける為に、ここに…来たんですから」

もう話すのも辛いはずだというのに、レイジはロストに説明をしながらスイクンの元に。

 

「待てレイジ、今スイクンに近づくのは危険だ。何をしてくるかわからんぞ!」

「それ、でも…助けないと……スイクンが、苦しんでいる、から……」

「お前……自分の状況がわかっているのか!!」

つい声を張り上げてしまったロスト。

だが仕方ない、寡黙な男であるロストですら叫びたくなるほど、今のレイジの様子は異常だからだ。

目は虚ろ、足だって支えられなければ倒れてしまうほどに弱々しく、意識すらないのではないかと本気で思ってしまう。

しかしそれでも――レイジの足はスイクンへと向かって進んでいく。

 

――スイクンを傷つけると思っているのか、野生のポケモン達がレイジ達に立ちふさがる。

 

「……大丈夫だよ。僕はスイクンを傷つけたり苦しめたりしない。ただ…助けたいんだ」

弱々しく、けれど澄んだ穏やかな声。

たったそれだけで、周りのポケモン達はレイジ達に道を開いた。

(……野生のポケモン達を、こうも簡単に説得したのか………!?)

信じられない光景に、ロストは目を見開いて驚愕する。

そして――ようやくレイジはスイクンの元へと辿り着いた。

 

愛おしそうに、スイクンの身体を優しく撫でるレイジ。

「――可哀想に。こんなに苦しんで……痛かっただろうね」

普段とは違う雰囲気の声に、ティナ達は違和感を覚えた。

もちろん普段のレイジも優しげな声だが、今の彼はどこか違う。

全てを包み込んでしまうほど優しく、そしてどこか懐かしい……。

それはティナ達だけでなく、周りのポケモン達や……人であるロストにすら同じ気持ちを抱かせた。

 

(この感覚は、一体なんだ……?)

この身に纏っていた怒りや憎しみなどの負の感情が消えていく。

まるで、そのような感情を抱く事が愚かだとでも言うように……。

 

「今助けてあげるよ……“私の子達”」

〈え―――〉

両手をスイクンの身体に添え、レイジはぽつりと呟いた。

 

 

「在るべき姿に還りなさい、スイクン」

と。

 

 

すると、スイクンの周りが光に包まれ……やがてそれはどんどん大きくなっていった。

〈これは……!?〉

「一体……何だというんだ?」

ロスト達も光に包まれていくが、それに恐怖はまったく感じられない。

いや、むしろずっと包まれていたいような……そんな気さえ思う。

光が収まり、瞑っていた目を開けると……。

「これ、は……!?」

周りの光景が、先程とはまるで違っていた。

 

――森が、元に戻っているのだ

 

まるで初めから何事もなかったかのように、全てが元に戻っていた。

花も草も、スイクンに破壊された自然が全て元に戻っている。

(おれは、夢でも見ているのか……?)

しかしこれは夢ではなく、全て現実だ。

その証拠に――その中心には安らかな笑みを浮かべながら静かに眠っているレイジの姿が。

重傷だった傷も治り、蒼白だった顔も元通りの健康的なものに戻っている。

 

(……レイジ)

そんな彼を、ティナ達を含めたポケモン達が優しく見守っていた。

そしてスイクンも、まるで呪縛から解き放たれたかのように、レイジにその身体を預けている。

(レイジ、お前は一体何者なんだ?)

眠っている彼に問いかけるが、もちろん返事など返ってくるはずがない。

 

――スイクンとの戦いは終わった。

 

しかし、この戦いはティナ達とロストに解く事などできない謎を残す。

この謎が解ける事になるのは、まだずっと先の話だ――

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「――ベイリーフ、エナジーボール!!」

エナジーボールがカメックスに命中する。

しかし、多少怯んだだけですぐさま反撃のハイドロポンプを繰り出してきた。

「エネコ、10万ボルト!!」

続いてエネコの10万ボルトも、カメックスに命中する。

だが……それでも相手は倒れてはくれなかった。

 

「くっ……」

先程から、何度こんな事を繰り返したのかわからない。

ダメージは確実に与えているのだ、幸いにも相手の動きは速くない為ベイリーフ達もさしたるダメージを受けていない。

いない、が……決定打を与える事もできないでいた。

(このままじゃ……)

ベイリーフ達も疲れの色が見え始めている、いずれはカメックスの攻撃も当たってしまうだろう。

そして一度でもまともに当たってしまえば、それで終わりだ。

(……レイジ)

押し潰されそうな心を、彼の名を呼ぶ事で必死に誤魔化そうとする。

 

――自分では何一つできないのではないか?

 

――また彼を頼り、自分一人では何も果たせないのではないか?

 

自分が未熟で弱いとは思っていた、トレーナーとしても人間としても。

それでも、きっと大丈夫だと言い聞かせていた心に、ヒビが入り始めた。

(勝てない……? 私なんかじゃ、全力にすらならないの?)

挫けそうになる心を奮い立たせようとするが、一度芽生えた不安という感情は消えてくれない。

(私、は……いつだってみんなに助けられてきたのに……)

それなのに、自分は何も返せないというのか。

 

――そんな事は、絶対に許されない。

 

戦うと決めたのだ、それなのに途中で諦めるなど愚の骨頂だ。

それに、彼は自分を信じてくれた。

自身を信じられない自分を、大丈夫だと言ってくれたのだ。

彼の期待だけは、何があろうとも裏切るわけにはいかない―――!

 

「ムゥ……」

「ムウマ、大丈夫だよ。あなたの事は私達が守るから」

申し訳なさそうに小さな鳴き声を発するムウマ。

おそらく戦えない自分に自己嫌悪を抱いているのだろう、けれどカグヤはムウマの頭を撫でながら口を開く。

「気にしないで、戦う事が全てじゃない。こうやって私達の傍に居てくれるだけでも、凄く力になるから」

「……ムゥ」

 

本心からそう言っているとわかり、ムウマは嬉しくなった。

しかし同時に……悲しくなった。

こんなにも優しい主人に何もできない自分が、何も返せない自分がとても悲しい。

前の主人は、自分を道具として扱う悪魔のような存在だった。

しかし彼女は違う、こんな何の役にも立たない、ただ居るだけの自分を必要だと言ってくれた。

それなのに、何故自分は彼女に何もしてやれないのか……。

 

「エネコ、スピードスター!!」

再び攻撃を仕掛けるエネコだが、やはりカメックスにダメージを与える事ができない。

「ニャッ!!?」

「エネコ!?」

突然、エネコがバランスを崩し倒れてしまう。

どうやら瓦礫に足を取られてしまったようだ、すぐさま起き上がろうとするエネコだが――既に、カメックスのキャノン砲が完全にエネコをロックオンしている!!

 

「エネコ!!」

急いで駆け寄ろうとするが、間に合わない。

ベイリーフも、エネコのフォローへと回るほどの余裕は無い。

そして、カメックスの一撃がエネコの身体を貫こうとした瞬間。

 

――上空から、カメックスの身体を連べ打ちにする光の雨が降り注いだ。

 

「っ、シロナさん……」

「カグヤ、大丈夫!?」

「…………」

どうしてここに? そんな疑問を抱く前に、ある事実がカグヤの胸を突いた。

 

――また、助けられた?

 

ギリと、歯を鳴らす。

「ガブリアス、戦いの連続だけど大丈夫?」

力強く頷くガブリアスに、シロナは指示を出そうとして。

「――シロナさん、手を出さないでください」

横からいきなりカグヤがそんな事を告げてきた。

 

「カグヤ……?」

「お願いします……このカメックスは、私達が戦って勝ちたいです」

「…………」

決意を秘めた瞳。

それを見て、シロナから反論の言葉が失われた。

「我が儘なのはわかってます……でも、私達が戦って勝たないと……もう一歩も前に進めない」

トレーナーとしても、人間としても。

この戦いで誰かの助けを借りてしまえば、きっとトレーナーとして何か大切なものを失ってしまうと思ったのだ。

そんな事はできない、自分はポケモンマスターになるという夢を抱いて旅を続けてきた。

それを――こんな障害なんかで諦める事など絶対にできない!!

 

(………カグヤ)

確かな決意の瞳を見せるカグヤを見て、シロナは昔の自分の姿を彼女に重ねていた。

自分も彼女と同じくらいの年齢の時、トレーナーとしての壁にぶち当たった時があった。

幸いにも自分は乗り切る事ができたが……もしできなければ今の自分はここにいないだろう。

そして――その壁が彼女に今立ちはだかっているのだ。

それを邪魔できる者は誰もいない、そんな権利など存在しない。故に―――

 

「――ガブリアス、戻りなさい」

シロナはガブリアスをモンスターボールの中に戻した。

 

「シロナさん……」

「やってみせなさい、そこまで言ったのだから……最後までやり遂げて。途中で逃げる事は、絶対に許さないわ」

「………はい!」

シロナの言葉に力強く頷きを返し、視線をベイリーフ達へ。

「ベイリーフ、エネコ、頑張ろう!!」

カグヤの言葉に、ベイリーフ達も頷きを返した。

そして……ムウマも。

 

「ムウマ、何をしてるの!?」

ベイリーフ達と共にカメックスと対峙するムウマ。

その瞳には、確かな戦いの意志が見えていた。

「ムウマ……戦うの? でも辛いなら」

「ムゥ!!」

ふるふると首を振るムウマ。

その様子を見て、カグヤはそれ以上何も言えなくなってしまった。

ムウマは戦おうとしてくれているのだ、恐いという感情を振り払い、トラウマすら払いのけて。

だというのに、どうして止められるというのであろうか。

 

「――よーし、みんな頑張れ!!!」

一斉にカメックスへと向かっていくベイリーフ達。

蹴散らそうと、キャノン砲からハイドロポンプを発射するカメックスだが。

「ムウマ、エネコ、れいとうビーム!!」

攻撃を避けながら、そのキャノン砲を封じ込める為にそれぞれムウマとエネコがれいとうビームを放つ。

それは見事に命中し、カメックスのキャノン砲は完全に凍らされた。

 

「ベイリーフ、すてみタックル!!」

がら空きになったボディへとすてみタックルを叩き込むベイリーフ。

さすがに効いたのか、僅かに苦悶の声を出すカメックス。

(上手い! カメックスのキャノン砲を封じ込めるなんて……)

やはり、カグヤという少女はまだ未熟ながらもこれから化ける可能性を秘めたトレーナーだったとシロナは口元に笑みを浮かべる。

「ムウマ、シャドーボール!!」

小さなムウマの身体から作られたシャドーボールが、カメックスへと命中しぐらりとその大きな身体が倒れ込んだ。

 

(えっ、ムウマってこんなに凄いパワーを秘めてたの!?)

可愛らしい外見とは裏腹に、ムウマの技は強力だったようだ。

だが、それならば話は早い。

「ベイリーフ、つるのムチでカメックスを捕まえて!!」

すぐさまつるのムチでカメックスの両腕を掴むベイリーフ。

邪魔だと言わんばかりに、つるのムチを弾き返そうとするカメックスだが。

 

「タネマシンガン!!」

ベイリーフの口から放たれたタネマシンガンが、カメックスの動きを更に封じる。

「ムウマ、あくのはどう!!」

背後に回り、あくのはどうをカメックスの頭部に当てるムウマ。

「いける………!」

このまま攻撃を繰り返せば、必ず勝てる。

そう思ったカグヤ達であったが……。

 

「っ、きゃ―――!?」

いい加減腹が立ったのか、カメックスが怒りの形相で滅茶苦茶に暴れ始める。

無理矢理凍らせていたキャノン砲を使って氷を砕き、所狭しと撃ちまくりもはや標準など定まっていない。

「カグヤ、このままだと被害が!!」

彼女に任せるつもりだったが、この状況ではそんな事を言っている場合ではない。

 

――と、そこでカグヤはある事を思いついた。

 

(あ、もしかして……)

ボロボロのカメックスを見て、カグヤは何故か空のモンスターボールを手に取った。

「カグヤ……?」

彼女の意図がわからず、シロナが首を傾げた瞬間。

彼女は暴れるカメックスへとモンスターボールを投げつけ―――ボールがカメックスに当たった瞬間、なんと中に入ってしまった。

 

「ええっ!?」

これにはシロナも驚きを隠せない。

通常モンスターボールに入ったポケモンは、他のモンスターボールに入れられないようになっているのだが、どうやらデッドボールにはそれが当てはまらないらしい。

そして……モンスターボールの動きが止まる。

 

「……ゲットしちゃった」

「……もしかして、確信があってやったわけじゃなかったの?」

「あははー……もうあれだけダメージを与えたんだから、もしかしてゲットできるかなー、なんて思いまして」

「…………」

まさかそんな軽いノリだったとは……ある意味目の前の少女を凄いと思ってしまう。

 

「――みんな、よく頑張ったね」

ベイリーフ達に駆け寄り、バッグからきずぐすりを出し振りかけてやる。

「ムウマも、本当にありがとう!」

自分達を助けるためにトラウマを克服してくれたムウマ。

その気持ちは、本当に嬉しかった。

 

「シロナさんもありがとうございます、私の我が儘を聞いてくれて」

「……貴女は昔の私にどこか似ているから」

「えっ?」

「なんでもないわ、それよりまだ他のみんなは戦っているのでしょう?

 ならこんな所でいつまでも話してる場合じゃないわ」

「そうですね。じゃあレイジの所に――」

「彼なら大丈夫よ。戦いは終わって今は病院に居るはずだから」

「ということは勝ったんですね、よかった……」

……そこまで言って、ある事に気づく。

 

「……シロナさん、どうしてそんなに詳しく知っているんですか?」

「さっきまでレイジくんと一緒に居たからよ」

「…………」

なるほど、納得。

……しかし、何故だろうか。

よくわからないが、何か 気に入らない。

シロナからすればレイジを助けようとしてくれたのだろうが、さっきまで彼と2人っきりだったという事実が、とっても癪に障る。

 

「カグヤ?」

「……なんでもないです」

しかし彼女は何故そんな事を考えてしまうのかわからないので、これ以上考えるのはやめた。

……彼女は気づかない、それが嫉妬だという事に。

こんな状況で考えるようなものではないが、そんな事カグヤにとっては関係ない。

 

「シロナさん、ならスズのとうに行きましょう。

 あそこではカイリとヒメカが、ホウオウを奪われないように戦っているはずですから」

「わかったわ。ならカグヤもガブリアスに乗って!」

「はい!」

急ぎガブリアスに乗り、スズのとうに向かうカグヤとシロナ。

レイジの事はもちろん心配だ、しかし今はホウオウを奪われないようにしなくては。

内なる感情を必死に押し殺しながら、カグヤはシロナと共にスズのとうへと向かった―――

 

 

 

 

To.Be.Continued...

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