ポケットモンスター 〜The Legend of Master〜【完結】 作:マイマイ
優勝という道を目指すために、レイジ達はまず予選へと立ち向かう。
『――さあ、カントーリーグ・セキエイ大会いよいよ開幕致しました。
予選を勝ち抜き、本戦に勝ち抜けるのはどのトレーナーなのか!!』
実況の声と共に、会場の盛り上がりも加速していく。
「…………」
予選Aブロックでは、今まさにレイジが一回戦を行おうとしていた。
今頃カイリ達もバトルを行っているだろう、応援に行けないのは残念だが……今は自分のバトルに集中しなくては。
『対戦カードはこれだ、マサラタウンのレイジ選手対、コガネシティのケンスケ選手!!
予選とはいえどんなバトルを見せてくれるのか、大いに期待できるぞ!!』
熱狂的な実況により、会場も更に盛り上がる。
それに対し苦笑を浮かべながらも……レイジは一度深呼吸をし――戦いの準備を完了させる。
『今回両選手が戦うフィールドはこれだ!!』
無骨な土のフィールドが機械音と共に下がっていき、現れたのは……。
(草、か……)
木々が生い茂り、地面にも所狭しと草が生えている草タイプのポケモンにとって己の力を最大限に発揮できるフィールドだ。
しかし、レイジには草タイプのポケモンはいない。
相手選手を見てみると、どこか安心したような表情を浮かべているあたり、おそらく草タイプのポケモンが手持ちに入っているのだろう。
でも、レイジにとっては関係ない。
有利だろうが不利だろうが、自分と自分のポケモンを信じればいいだけなのだから。
そう思いながら、一体目のモンスターボールを取り出す。そして―――
「いけ、ウツボット!」
「ヒカリ、お願い!!」
同時に一体目のポケモンを出す。
『ケンスケ選手はウツボット、レイジ選手はピカチュウを出した!
これはピカチュウ、いきなり不利な状況でバトルが始まってしまいました!!』
「さーて……そいつはどうかな?」
実況にツッコミを返しつつ、視線をウツボットに向ける。
(そういえば、エリカさんと戦った時も初めはウツボットだったな)
ふとそんな事を思い出しながら、懐かしむ。
「先攻は、ケンスケ選手から。それでは――試合開始!!」
「ウツボット、はっぱカッターだ!!」
早速攻撃を仕掛けるウツボット、はっぱカッターがヒカリへと襲いかかる。
「ヒカリ、でんこうせっかだ!!」
しかし、でんこうせっかで素早く迫り来るはっぱカッターを軽々と回避していくヒカリ。
『これは速い、ピカチュウ見る見るうちにウツボットとの距離を縮めていきます!!』
「ウツボット、ねむりごなだ!!」
「アイアンテール!!」
ねむりごなでヒカリを眠らせようとするウツボットだが、それを遥かに上回るスピードでヒカリのアイアンテールが命中する。
「なに――!?」
『ピカチュウのアイアンテールが見事ウツボットにヒットー!! しかしこれは何という速さか』
「10万ボルト!!」
後ろに飛び上がりながら10万ボルトをウツボットに当てるヒカリ。
『更に10万ボルトがヒットしますが、これは効果が今ひとつ――』
そう、草タイプのウツボットに電気技は効果が薄い。――が。
「ウツボット!?」
「ウツボット、戦闘不能! ピカチュウの勝ち!」
10万ボルトを受けたウツボットは、そのまま後ろに倒れ……戦闘不能に陥ってしまった。
『何とー!! 効果が今ひとつであるはずの技だというのに、あっという間にウツボットを戦闘不能に陥れた!!
何というパワーでしょうか!!』
「ヒカリ、いい動きだよ」
〈ありがとう、レイジ!!〉
ヒカリも笑顔を返し、すぐさま視線をフィールドへと移す。
『さあ、ケンスケ選手の次のポケモンは一体何なのか』
「ヌオー、頼む!!」
『ケンスケ選手の二体目はヌオーだ!!』
(なるほど……ヒカリの電気技を封じる為か)
ヌオーは電気タイプに弱い水タイプ、しかし同時に電気技が効かない地面タイプも兼ね備えている。
すなわち、この相手にはヒカリの電気技は一切通用しないということ。
「ヒカリ、どうする? このまま戦いたい?」
〈もちろん、ピカだけで勝ってみせるよ!!〉
意気込むヒカリ、レイジは仕方ないとばかりに苦笑を浮かべる。
たとえ苦手なタイプだとしても、それを理由に戦う前から逃げたくないのだろう。
「いいよ。なら精一杯頑張って!」
〈任せてレイジ、ピカ頑張るよ!!〉
『おっと、レイジ選手はこのままピカチュウで戦うつもりのようです!』
「なめやがって……ヌオー、じしんだ!!」
「ヒカリ、右横の木に飛び移って!!」
ヌオーのじしんが、フィールドを破壊しつつヒカリへと襲いかかる。
しかし、ヒカリはフィールドにある木へと飛び移り難を逃れた。
「マッドショット!!」
「左に跳んで!!」
「じしんだ!!」
マッドショットを回避する為、再び地面へと降り立つヒカリ。
それを見計らい、ヌオーは再びじしんを繰り出す。
『ピカチュウにじしんが襲いかかる! これは避けられないかー!?』
「負けるもんか……ヒカリ、地面に特大のアイアンテールだ!!!」
力を込め、渾身のアイアンテールを地面へと叩き込むヒカリ。
その威力は衝撃波を生み、なんとじしんを相殺してしまった。
「なっ―――!?」
『これは凄い! ピカチュウの放ったアイアンテールが、ヌオーのじしんをかき消してしまった!!』
「でんこうせっか!」
大技を使ったヌオーに向かい、でんこうせっかの速度でぶつかるヒカリ。
「右!!」
だがまだ終わらない、すぐさま右横へと移動し今度はヌオーの右わき腹へと攻撃。
「ヌオー、じしんだ!!」
「遅い!!」
じしんを仕掛ける前に、今度は左横からのでんこうせっか。
――ヌオーの身体が大きくぐらつく。
「トドメだヒカリ、ツインアイアンテール!!」
「ピカッ!!」
正面に移動し、ジャンプしながら後ろ宙返りの要領で回転しながら、ヌオーの顎にアイアンテールを叩き込む。
後ろへと倒れ込みそうになるヌオー、そこに飛び上がりながら今度は横に回転しながら再びアイアンテールを叩き込んだ。
その凄まじいパワーに、体格差があるヌオーがフィールドの端まで吹き飛ばされ。
「ヌオー、戦闘不能! ピカチュウの勝ち!!」
審判の声により、戦闘不能に陥った合図が場に響いた。
『なんとなんとー! 相性の不利をものともせずに、ピカチュウが連勝を勝ち取ったー!!』
声援が響き、レイジは少々居心地の悪さを感じる。
しかし、まだ安心できるわけではない。
いくらこちらが有利だからといって、油断する理由にはならないし、なによりそんな感情は相手にとって失礼でしかない。
「ヒカリ、まだ行ける?」
〈余裕!!〉
「……わかった」
決して無理をしているわけではない、ならこのまま戦わせよう。
『さあ一気に追い込まれたケンスケ選手、ここから逆転なるか!』
「――ブーバー、行け!」
『ケンスケ選手最後のポケモンは、ブーバーだ!』
「ブーバー、か……」
相性でいえば可もなく不可もなく、すなわち純粋な実力で決まる。
「ヒカリ、10万ボルトだ!!」
「ブーバー、かえんほうしゃ!!」
ヒカリの10万ボルトとブーバーのかえんほうしゃがぶつかり合い、互いに相殺される。
「ほのおのパンチ!!」
「アイアンテール!!」
次は接近戦、ブーバーのほのおのパンチをヒカリのアイアンテールが真っ向から受け止めるが……。
「左でもほのおのパンチだ!!」
「っ、ヒカリ避けろ!!」
声を掛けるが、右のほのおのパンチを受け止めているヒカリは動けず。
そのまま、左のほのおのパンチをまともに受け木々に叩きつけられてしまった。
『ブーバーの強烈な一撃がピカチュウにヒット! これはかなり効いているようだぞー!!』
実況の言う通り、ヒカリのダメージは決して小さいものではない。
だが、もう戦えないわけではなく、すぐさまヒカリは立ち上がった。
「10万ボルト!!」
「かえんほうしゃ!!」
両者の技が再びぶつかり合い、またも相殺される。
「連続でほのおのパンチだ!!」
迫り来るブーバー。
仕方ない、そう呟きレイジは指示を出す。
「ヒカリ、後ろの木に飛び移って!!」
跳躍するヒカリ、それと同時にブーバーの攻撃も空振りに終わる。
しかしすぐさまヒカリの後を追い。
「ヒカリ、自分にかみなりだ!!」
木の上で自分自身にかみなりを当てるヒカリによって、ブーバーは攻撃を中断させられ大きく飛び退いた。
『なんとピカチュウ、自分自身にかみなりを当てたが、一体どんな意図があるというのか……?』
やがて噴煙が晴れていき、中から光り輝くヒカリの姿が現れる。そして――
「ヒカリ、デュアルボルテッカー!!!」
自分のかみなり、そして更にボルテッカーを発動させブーバーへと向かっていく―――!
「ピカピカピカピカピカピカピカピカ………!」
「ブーバー、だいもんじだ!!」
迎撃しようと、ブーバーが向かってくるヒカリに特大のだいもんじを発射する。
激しくぶつかり合う両者の技。
しかし――ヒカリのボルテッカーがブーバーの技を破り、凄まじいパワーでブーバーをフィールドを越え観客席の下にある壁にまで吹き飛ばした。
強固な壁に数メートルめり込ませるほどのパワーを受けたブーバーが、耐えられるはずもなく………。
「ブーバー、戦闘不能!ピカチュウの勝ち!!
よってこの勝負、マサラタウンのレイジ選手の勝利!!」
その声により、凄まじい拍手と歓声と共に、戦いの幕が閉じた事を告げていた―――
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一方、こちらは予選Cブロック。
こちらでも、カイリは激闘を繰り広げていた。
「ゴウカザル、マッハパンチだ!!」
一瞬で相手との間合いを詰め、マッハパンチを次々と叩き込んでいくゴウカザル。
十数発ものパンチを叩き込み、フィールドの外まで相手を吹き飛ばした。
「スターミー、戦闘不能! ゴウカザルの勝ち!」
『またもゴウカザルのマッハパンチがヨウタ選手のポケモンを倒してしまったー!!
凄まじいパワーとスピードです!!』
これで二体目、僅か数分で相手のポケモンを戦闘不能に陥れた。
それもゴウカザル一体でだ。
(おっかしいな……)
圧倒的に有利だというのに、カイリの表情はどこか腑に落ちないものになっていた。
あまりにも相手が呆気なさすぎるのだ、現にゴウカザルはまだ一度も攻撃を受けていない。
しかし、それは相手が弱いわけではなく……カイリが強すぎるだけ。
今までの戦いで、カイリを初めとする皆を非凡なトレーナーへと成長させていた。
ただセキエイリーグに出場しただけのトレーナーでは、カイリ達には適うわけがないのだ。
「ヨルノズク、行け!!」
『ヨウタ選手最後のポケモンはヨルノズクだ!!』
(ヨルノズクか……ならカノンに……)
チェンジしようとしたカイリだったが、ゴウカザルが大声を張り上げたため動きを止める。
「ゴウカザル、もしかしてまだ戦いたいのか?」
そう訊くと、ゴウカザルは何度も頷きを返した。
「……よーし、なら頼むぜゴウカザル!!」
「ウキャァッ!!!」
固く拳を握りしめ、頭の炎を大きく燃え上がらせるゴウカザル。
「ヨルノズク、さいみんじゅつだ!!」
「っ、やべぇ!!」
『あーっと、ヨルノズクのさいみんじゅつによってゴウカザルが眠ってしまったぁっ!!!』
「ヨルノズク、ゴッドバード!!」
眠って隙だらけになっているゴウカザルは、まだ起きる気配を見せない。
『ゴウカザルピンチ、このままヨルノズクの攻撃が迫るー!!!』
「やらせるかよ、ゴウカザル、ねごとだ!!」
「―――」
眠ったまま、自分の身体を炎に包み込んでいくゴウカザル。
そして、発動した技は――フレアドライブ!!
ゴッドバードを仕掛けるヨルノズクと、フレアドライブで突撃するゴウカザルがぶつかり合い、爆音が響き渡った。
『凄まじい技のぶつかり合いだー!! はたしてヨルノズクとゴウカザルはどうなったのか……』
「…………」
ねごとは間に合い、ランダムの中から見事フレアドライブを発動させる事ができた。
しかし、ヨルノズクのゴッドバードも充分大技だ。
はたして、ゴウカザルはどうなったのか……。
噴煙が晴れ、中から出てきたのは……まだ地面にしっかりと立っているゴウカザルとヨルノズクの姿が。
『素晴らしい戦いが繰り広げられています!!
はたして、この戦いに勝利するのは一体どちらなのか!!』
「ゴウカザル、かえんほうしゃ!!」
「ヨルノズク、飛べ!」
先程のぶつかり合いで目を醒ましたゴウカザルに指示を出すが、攻撃はヨルノズクが飛翔した事によって避けられてしまった。
「ヨルノズク、もう一度さいみんじゅつだ!!」
「何度も同じ手をくうかよっ! ゴウカザル、だいもんじ!!」
さいみんじゅつを受ける前に、だいもんじによってヨルノズクに攻撃を仕掛ける。
それは見事にヨルノズクへと命中し、空から地面に落ちていく。
「トドメだゴウカザル、フルパワーでフレアドライブ!!」
雄叫びを上げ、再びフレアドライブを展開しヨルノズクへと突進していくゴウカザル。
だいもんじの直撃を受けたヨルノズクに避けられるわけもなく、後ろの壁まで吹き飛ばされしまい。
「ヨルノズク、戦闘不能! ゴウカザルの勝ち。よって勝者、フタバタウンのカイリ選手!!」
ゴウカザルだけで、カイリは完全勝利を勝ち取った。
「よっしゃぁ!!」
「ウキャァッ!!」
右手を上げ、おもわずその場で飛び上がるカイリとゴウカザル。
すると、カイリのバトルで最後だったのか。
巨大なモニターに本日勝利したトレーナーの名前が映りだした。
そこには、当然ながらレイジ、カグヤ、ヒメカの名前があり……。
「――やっぱ、ロストさんとケイジの奴も勝ち残ったか」
2人の名前を見つけ、おもわずそう呟きを漏らした。
(けど……誰が相手だろうと俺は負けない!!)
予選ではレイジ達の誰とも当たらない、すなわち決着は本戦まで持ち越しとなる。
まずはこの予選を勝ち抜く事だけを考えよう。
そう思いながら、カイリは新たに勝利への決意を固めるのだった。
To.Be.Continued...