ポケットモンスター 〜The Legend of Master〜【完結】 作:マイマイ
それに出場したレイジ達は順調に勝利を重ね、無事本戦へと勝ち進む。
そして、現在一回戦が繰り広げられていた……。
「ジャローダ、トドメのリーフストーム!!」
ジャローダのリーフストームが、相手のポケモンを戦闘不能に追い込む。
「サイドン、戦闘不能!ジャローダの勝ち!!
よって勝者、フタバタウンのカイリ選手!!」
「っしゃあ!!」
ガッツポーズと共に、観客席からも惜しみない声援が響く。
「やった、カイリが勝ったよ!!」
「……これで、全員が一回戦を突破できたわね」
心配はしていなかったが、ヒメカの口からはおもわず安堵のため息が漏れた。
そして――次は準々決勝となり、すなわち6体によるフルバトルとなる。
『さあ、これで一回戦は全て終え、いよいよ準々決勝だ。
対戦カードは………これだぁっ!!』
モニターに映される対戦表。
『――――』
それを見て、レイジとカイリはおもわず目を見開いた。
彼等の対戦相手は……。
(ロストさんとか……)
(……ケイジとかよ)
そう、レイジの相手はロスト。
そして、カイリの相手はケイジとなった。
ちなみに、幸か不幸かカグヤとヒメカは互いにぶつからずそれぞれ別のトレーナーが相手となる。
(……あいつとか)
コガネでのバトルを思い出し、自然と顔が強張っていく。
その表情を変えることなく、カイリはそのままフィールドを後にした。
………。
「――カイリさん、何をしているんですか?」
カイリと合流したヒメカとミカンだったが、彼がいきなりある場所に赴いたので、慌ててその後をついていく事に。
そこは十数台ものパソコンが並べられた部屋。
その内の一つに座り、早速何かを調べ始めるカイリ。
するとモニターが現れ、とある人物のデータが浮かび上がった。
「これは……ケイジさんの」
ここは選手登録したトレーナーの過去の戦績などが見れる部屋であり、相手を知ったり戦略を練る為には必要不可欠な場所でもある。
カイリは調べるのが癪だと思っているものの、次の相手は今までとは次元が違う。
……あの時のような負け方を、繰り返すわけにはいかない。
「ケッキングにフライゴンにバシャーモ……どれも強力なポケモンね。
それにどれもかなり育てられてるみたいだし、あの人自身も性格はともかく指示は的確よ」
「わかってる。だから調べに来たんだ」
少しでも有利に戦えるように、きちんと戦略を練らなければこちらが負けるのは目に見えてる。
そう思っているので、カイリはひたすらにケイジのデータを眺めていた。
「――ご苦労な事だな、そんなことをしても無意味だと思うが」
「っ」
扉の外から聞こえる声に、3人の視線が一斉にそちらに向けられる。
そこに立っていたのは、相も変わらず冷たい瞳を宿した少年……。
「………ケイジ」
おもわず立ち上がり、おもいっきり睨んでしまう。
……やはり、この男だけは苦手だ。
レイジは既にケイジに対して警戒心を抱いてはいないが、カイリにとって目の前の相手は許せない類の人間でしかない。
「……憎むのは勝手だが、頭に血が上った状態じゃ実力なんざ発揮できないぜ?」
「っ、そんな事お前に言われなくてもわかってる!!」
「そうかい、なら構わないがな。オレとしてはレイジと戦いたかったが……まあ、お前で我慢してやるか」
「上等だ……この間と同じだと思ったら大間違いだ」
「…………」
「お前みたいな、ポケモンを大事にしない奴なんかには絶対負けねえ!!
明日の試合で、それを証明してやる!!」
殺気立っていく両者。
ヒメカもミカンも、2人の間に漂う険悪な雰囲気に近づけず、見守る事しかできないでいた。
「――気合い充分か。なら大丈夫そうだな」
「…………」
「前言撤回だ。お前とのバトル……楽しみにしている」
「なに……?」
「確かにお前の言う通り、この間とは各段にレベルが違うからな。
まあ……それでもオレがお前に負けるなんざあり得ないが」
「言ってろ。勝つのは俺だ!!」
「………フン」
少し呆れたような表情を浮かべ、ケイジはその場を後にする。
(見てやがれケイジ……俺は必ずお前に勝ってやる!!)
強く拳を握りしめ、険しい表情を浮かべるカイリ。
必ず勝つ、その想いを胸に秘めながら―――
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『――さあ、いよいよセキエイ大会準々決勝が始まります。
今回の試合から6体によるフルバトル、果たしてどのような熱いバトルになるのでしょうか!』
太陽が真上に差し掛かる頃、スタジアムは冷めやらぬ熱気に包まれていた。
(今回からフルバトル……つまり、これでカイリの手持ちの全てがわかるのか……)
今までカイリは、その圧倒的な実力差から、ゴウカザルとジャローダ、そしてフローゼルの三体だけで準々決勝まで勝ち進んできた。
しかし今回からフルバトル、おまけに相手はあのケイジだ。
「どちらが勝ってもおかしくはない勝負だな、これは」
「ロストさん……」
軽く手を挙げ、空いている席に座るロスト。
「レイジ、お前はこのバトルどちらが勝つと思っているんだ?」
「……わかりません。どっちが勝ってもおかしくないですから」
「そうだな……おれもこの勝敗は読めん」
「勝つのはカイリさんに決まってます、だってあんなに頑張っていたんですから」
「わたしも、カイリが勝つと思うわ」
迷う事なく、カイリの勝利を信じているヒメカとミカンに、ついつい苦笑を浮かべてしまう。
……そんな事を言ってはいるが、2人もこのバトルがどんな結末になるかわからないのだ。
だから、根拠がなくてもカイリの勝利を言葉にしたかった、不安を抱かないように。
(……カイリ、ケイジ、どちらも悔いのないバトルを)
「…………」
黙って一体目のボールを取り出すカイリ。
「おい」
「……なんだよ?」
つい口調が刺々しいものになってしまうが、ケイジは気にせず言葉を続ける。
「バトルの前に、お前に言っておかなければならない事がある」
「だからなんだよ? 嫌みや皮肉なら言っても無駄だぞ」
「そうじゃない。……コガネでの事は、悪かったと思っている」
「………ケイジ」
「言いたかった事はそれだけだ、後は……全力でお前を倒す、それだけだ」
「………ああ、けど負けないぜ!!」
「――シザリガー、出ろ!!」
「フローゼル、頼むぜ!」
「シザリガーにフローゼル……」
「一体目は、水対決になりましたね……」
皆が見守る中。
「先攻はカイリ選手からとなります。それでは……試合開始!!」
戦いの幕は、遂に切って落とされた―――!
「フローゼル、アクアジェットだ!!」
先手を頂き、すぐさま攻撃を仕掛けるフローゼル。
「シザリガー、クラブハンマー!!」
それを、シザリガーは真っ向から迎え撃ち――両者共にフィールドの端まで吹き飛ばされる。
「うずしおだ!!」
「みずのはどう!!」
再びぶつかり合う両者の技。
互いに一歩も退かず、またも相殺された。
『序盤から凄まじい攻防だ、どちらもレベルの高い戦いを繰り広げているぞー!!』
「やっぱり強い……」
「ああ、あのフローゼルも相当なパワーだが……シザリガーも負けていないな」
「こごえるかぜ!!」
「シザリガー、あなをほる!!」
『シザリガー、こごえるかぜを地面に穴を掘って難を逃れた!!』
「逃がすか。地面にれいとうパンチ!!」
裂帛の気合いを込め、両手を使ってのれいとうパンチがフィールド全体を揺らす。
瞬く間に氷付けになっていくフィールドに、シザリガーはたまらず外へと飛び出す。
「今だフローゼル、かみくだけ!!」
一息で間合いを詰め、おもいっきりシザリガーへと牙を立てるフローゼル。
『フローゼルのかみくだくがヒット、これはかなり効いたかー!?』
「シザリガー、シザークロス!!」
「っ、離れろフローゼル!!」
慌てて指示を出すカイリだが、僅かに遅くシザリガーの攻撃がまともにフローゼルへと命中する。
『なんとシザリガー、技を受けながらも見事に反撃を返しました!! どちらも一歩も譲らない!!』
「ヘドロばくだん!!」
「フローゼル、でんこうせっか!!」
迫り来る無数のヘドロばくだんを、でんこうせっかが回避しながら間合いを詰めていくフローゼル。
「見え見えだ、あくのはどう!!」
「っ、みずのはどう!!」
フローゼルに襲いかかるあくのはどう。
それを間一髪で相殺させるが……やはりダメージは免れなかったのか、僅かに表情を曇らせるフローゼル。
「――フローゼル、戻るんだ!!」
『カイリ選手、フローゼルを戻しました!』
「いい判断だ、このままでは埒があかないと思ったのだろう」
「それに、フローゼルは水タイプ以外の技のバリエーションには乏しい、ケイジのシザリガー程の柔軟性はありませんからね」
「頼むぜ……いけ、エレキブル!!」
雄叫びを上げ、フィールドに登場したのはエレキブル。
「あれは……」
今までカイリの手持ちにはなかったポケモンだ、つまりあの三週間でゲットしたものなのか……。
「……あれは元々、カイリのお父さんのポケモンなの」
レイジの心中に答えるように、ヒメカが口を開く。
「カイリのお父さん?」
「ええ、あの人の父親……ゲンリさんも優秀なポケモントレーナーだったのよ。
それでカイリは、このセキエイ大会の為にゲンリさんに頼み込んだの、そして今は認められて……彼の手持ちになった」
「…………」
凄まじい電気エネルギーだ、ヒカリやライコウにも引けを取らない。
「エレキブル、かみなりだ!!」
両手を上げ、フィールド全体を包み込むようなかみなりを放出させるエレキブル。
「かげぶんしん!!」
「甘いんだよ。エレキブル、じしんだ!!」
その巨体で凄まじいじしんを繰り出すエレキブル。
その威力は、ただの一撃で分身ごとシザリガーにダメージを与えるほど。
「凄い……電気タイプなのに地面タイプのじしんが使えるなんて……」
「あのエレキブルはマルチタイプなの、だから初見ではああいう戦法でやられるトレーナーも多かったらしいわ」
「かみなりパンチ!!」
「クラブハンマー!!」
かみなりパンチとクラブハンマー、両者の技がぶつかり合い火花が散る。しかし―――
「今だエレキブル、捕まえろ!!」
身体に生えた二本の尻尾を使い、シザリガーの腕を拘束する。
「くっ……!!」
『おーっと、シザリガーがエレキブルに捕らわれてしまった!!』
「ばくれつパンチだ!!」
シザリガーの身体に、凄まじい威力のばくれつパンチを連射していくエレキブル。
しかし、シザリガーはエレキブルの尻尾によって逃れる事ができない。
「かみなり!!」
そして、特大のかみなりがシザリガーを包み込む―――!
悲鳴が響き、かみなりが収まった時には。
「シザリガー、戦闘不能! エレキブルの勝ち!」
シザリガーは戦闘不能に陥り、そのまま後ろへと倒れ込んだ。
『決まったー!! まずは一勝目を勝ち取ったのは、カイリ選手のエレキブルだ!!』
「うわぁ……凄いパワーだね、あのエレキブル」
「パワーだけじゃない、あらゆる状況にも対処できるマルチスキル……さすが、カイリが選んだ最強メンバーの一角だ」
「確かにな。あの戦い方は見事としかいいようがない」
しかし、まだ一体目を倒しただけ、勝負は始まったばかりだ。
「――たいしたパワーだな、そのエレキブル」
「まあな。もっとも……俺が初めから鍛えたわけじゃねえんだけど」
「パワーなら……こちらもこれを出すか。――ケッキング、出てこい!!」
『さあ、ケイジ選手二体目のポケモンはケッキングだ!!』
「っ」
ケッキングを見て、カイリを始めとする者達の表情が曇る。
当然だ、あのケッキングによってジャノビーは危うく殺され掛けたのだから。
(けど、今度はそんな事させねえぞ!!)
「ケッキング、ビルドアップだ」
「レイジ、ビルドアップって何?」
「自分の攻撃力を底上げする技だよ、ただでさえあのケッキングのパワーは凄まじいのに……このまま詰まれると手がつけられなくなるぞ」
「エレキブル、でんじほうだ!!」
「ビルドアップ」
「何……?」
エレキブルの攻撃を受けながらも、ケッキングは尚もビルドアップを重ねていく。
「ならこのまま一気に蹴散らしてやる。エレキブル、かみなり!!」
「――ビルドアップだ」
『おっと? ケッキング尚もビルドアップを続けております。
確かに攻撃力はかなり上昇したが、これでは先に体力が保たないぞー?』
実況の言う通り、あれだけの大技を受け続ければいかにケッキングとて戦闘不能になる。
現に、ケッキングの身体はふらついていた。
「トドメだエレキブル、ばくれつパンチ!!」
このまま勝負を決めようと、ケッキングに向かっていくエレキブル。
しかし……。
「――ねむるだ」
ケッキングはすぐさま身体を横にして、そのまま寝入ってしまった。
『ここでケッキング、ねむるを使ったー!!』
「たしかねむるって体力を回復させる技だよね?」
「そうです。でも……そのまま寝入ってしまうので、いくら体力を回復させても……」
「っ、拙い―――!」
「なるほど、そういう使い方か」
「えっ……?」
カグヤ達3人の視線が、レイジとロストへと向けられる。
「カイリ、すぐさまエレキブルを下がらせるんだ!!」
聞こえないとわかっていても、おもわずそう叫んでしまった。
――眠っているケッキングに向かっていくエレキブル。
その瞬間、ケイジはある指示を告げた。
「―――ねごとだ」
そして、エレキブルの攻撃が見事に空振りする。
眠ったままのケッキングが、ねごとを発動させ攻撃を回避したのだ。
エレキブルは、大技の隙の為動けない。
そこに、強化されたアームハンマーが叩き込まれる―――!
「エレキブル!!」
そのパワーは凄まじく、巨体であるエレキブルが軽々とフィールドの後ろの壁まで叩き込まれるほど。
『ビルドアップにより大幅な強化が施されたアームハンマーが見事命中!
体力を回復しながら反撃を繰り出した見事な攻撃だー!!』
「エレキブル!!」
噴煙の中に消えたエレキブルに呼びかける。
すると……ふらつきながらも、エレキブルは壁から這い上がってきた。
『まだダウンしていないとは、かなりのタフネスのようです!!』
「エレキブル、戻るんだ!!」
モンスターボールを掲げ、傷ついたエレキブルを戻す。
……既にケッキングは目を覚ましている。
エレキブルから受けたダメージは完全に回復しており、結局無傷な状態にさせるのを許してしまった。
(やっぱりつええ……)
口だけでなく、ケイジの実力は確かに本物だ。
とにかく、あのケッキングをなんとかしなくてはただダラダラとやられていくだけだ。
しかし、パワーで押し切ろうとしても無駄だろう、今のケッキングは大幅にパワーアップを果たしている、下手に向かっても返り討ちに遭う。
ゴウカザルの「オーバードライブ」ならなんとかなるかもしれないが、あれは序盤で使うような代物ではない。
(なら……スピードで勝負するしかねえ)
三体目のボールを手に取り、フィールドに投げる。
「頼むぜ―――ゾロアーク!!!」
「…………」
『なんと、カイリ選手の三体目はゾロアークだ!』
「ほぅ……ゾロアークか、初めて見るな」
「カイリ……この大会で初めてゾロアークを使うのよね……」
「そういえばさ、ゾロアークって強いの?」
「さてね……ゾロアークが戦う姿を見た事がないし、あのポケモンは凄く珍しいからデータも少ない。
でも……カイリが最高と信じて手持ちに加えたんだ、きっと強いよ」
「ゾロアーク、相手のパワーは桁違いにすげえから、スピードで攪乱するんだ!!」
カイリの指示に、顔だけで向けて頷くゾロアーク。
「ケイジ、まだまだ負けたわけじゃねえぞ!!」
「こっちもだ、行くぞカイリ!!」
「おう、かかってきやがれ!!!」
――遂に始まった準々決勝。
はたして、勝利するのはカイリかケイジか……。
To.Be.Continued...
「なまけ」なしのケッキングは強すぎかもしれません……。
諸事情によりこのケッキングには「なまけ」のとくせいは適応されていません、本来のように「なまけ」があると動かしにくいからです。