ポケットモンスター 〜The Legend of Master〜【完結】   作:マイマイ

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カントーリーグ・セキエイ大会準々決勝。

レイジとロストはどちらも譲らぬ攻防を見せ、レイジはいよいよルギアを戦いの場へと出すのだった……。


第53話 熱き炎の限界バトル〜レイジ対ロスト!!〜

――澄んだ雄叫びが、スタジアムに響き渡る。

 

「なっ………」

ロストの口から放たれたのは、驚愕に満ち溢れた声。

それだけではなく、会場にいる誰もが……ルギアの登場に目を見開いていた。

『な、なんと……ルギアです!! 幻のポケモンと呼ばれるルギアが、今この場に現れました!!』

予想通りの反応に、レイジは構わずルギアへと口を開く。

 

「ルギア、初陣がこんな強敵になってしまってごめんね。でも、極力君を出すわけにはいかなかったんだ」

 

あまり、ルギアを他人に見せて驚かせたくはなかった。

けれど、ロストを相手にするにはどうしても彼女の力が必要なのだ。

謝るレイジの前に降り立ち、ルギアは微笑みながら言葉を返す。

 

「わかっているよマスター、そなたは余の事を想ってこの瞬間まで出さなかったのだろう?

 幻のポケモンなどと言われ、余に不快な思いをさせたくないが故の選択だ、喜ぶことこそすれ何故怒る事があるというのだ?」

「……ありがとう、そう言ってくれると嬉しい」

「マスター、余はマスターが望む事ならなんでも叶えてやりたい。

 だから、そなたはただ余に命令すればよい。

 ――目の前の敵を倒せと言うなら、余はたとえどんな存在が相手だろうと戦いそなたに勝利を与えてやる」

「うん……」

「ではマスター、余の戦いをとくと見ておるがよい!!」

 

猛々しくそう言い放ち、ゲンガーへと雄叫びを上げるルギア。

そのプレッシャー、気迫は凄まじくゲンガーはおもわず後ろに退がってしまった。

 

「ゲンガー、たとえ相手が何であろうとも倒せないポケモンなどこの世には存在しない。

 気持ちで負ければ、その時点で相手以前に己に負けてしまう」

「その男の言う通りだぞゲンガー、余とて幻などと言われておるが無敵というわけではない。

 故に――本気で貴様を打ち倒す!!」

「よく言った。ゲンガー、シャドーボール!!」

「ルギア、こちらもシャドーボールだ!!」

ゲンガーとルギアのシャドーボールがぶつかり合い、噴煙が巻き起こる。

 

「シャドーパンチ」

「ぬっ―――!?」

その隙にルギアの上に移動したゲンガーが、シャドーパンチを繰り出す。

まともに受けるルギアだったが……その顔には笑みが。

 

「つばめがえし!!」

「そこを動くなよ!!」

シャドーパンチなど無意味と言わんばかりに、ルギアはゲンガーへと攻撃を仕掛ける。

巨大な翼を叩きつけられ、地面へと落下していくゲンガー。

「まだ余の攻撃は終わってはおらんぞ!!」

地面に叩きつけられる前に、ルギアのアクアテールがゲンガーをスタジアムの壁まで吹き飛ばす。

鼓膜を刺激するような爆音が、その凄まじい威力を物語っており……。

 

「ゲンガー、戦闘不能!ルギアの勝ち!!」

圧倒的な実力で、あっという間にゲンガーを戦闘不能へと追い込んでしまった。

 

『な、なんという強さでしょうか!! ゲンガーの攻撃をものともせず、凄まじい破壊力であっという間に撃破してしまったー!!』

「や、やっぱりすげえなルギア……小さくなっても幻のポケモンの名は伊達じゃねえって事か……」

「それだけじゃない、あのルギアの物言いは尊大だけど……自身には微塵も慢心というものが存在していない。 だからこそ、強大な力を持ちながらその心は強く気高く……そして、あれほどまでの能力を発揮できるのよ」

 

ルギア自身も、自分が無敵ではないと言っていた、それは間違いではなくたとえ幻と謳われる彼女であっても、普通のポケモンでも戦略次第では充分打倒できる。

しかし、彼女の傍にはレイジがいる。

彼を信頼し、安心して背中を任せている彼女は、間違いなく今大会最強レベルのポケモンだ。

トレーナーとポケモンの信頼関係は、能力差を埋める要因となりうる。

元々高い能力を持つルギアが、レイジという絶対的に信頼できるトレーナーと共に戦えば、まさしく死角なしだ。

 

「ゲンガー、戻れ。……まさか、ルギアをこの目で見る事になるとは思わなかった。

 それに、お前との信頼関係も素晴らしいと言えるくらいだ」

「当然だ。余とマスターは運命の赤い糸とやらに括り付けられているからな」

「それを言うなら結ばれてる、だよ……。括り付けられているって何さ?」

「ち、ちょっと間違えてしまっただけだ! あまり細かい事を言うのは感心せんぞマスター!」

 

そうまくし立てるルギアの頬が、赤く染まっている。

それを見て、レイジはつい苦笑を浮かべてしまうのだった。

 

「――相手がルギアならば、こちらも切り札を出すとするか」

そう呟き、ロストはボールを投げる。

ルギアが相手なのだ、おそらくライコウが……そう思っていたレイジであったが、実際に出てきたポケモンは違うものだった。

 

『ロスト選手、三体目はバクフーンです!!

 はたして、幻のポケモンであるルギアを打開する事ができるのでありましょうか!!』

「レジェンド……」

「ほぅ……先程のゲンガーとはまた違う力強さを感じるな。

 マスター、心してかかった方がよさそうだぞ」

口調は先程と同じく軽いものだが、その奥底に秘めるのは……僅かばかりの驚愕。

 

「――レジェンド、今こそお前の“全力”を見せる時だ。

 お前の力を、レイジ達に見せてやれ」

「――――」

ロストが、レジェンドへとそう指示を出した瞬間。

「これは………」

凄まじい熱気と、ルギアと同等と言えるほどのプレッシャーが、辺りを包み込んだ。

 

「な、なんだよこれ……すげえパワーだ」

観客席にいるカイリ達ですら、レジェンドから感じる力の波に驚きを隠せない。

「……蒼い炎」

レジェンドの背中から燃え上がるのは――鮮やかな蒼い炎。

それがどれだけの熱を孕んでいるか、見るだけでもわかる。

 

「まさか……“もうか”なの?」

「もうかって……たしか炎タイプの技の威力が大幅に上がる特性の事ですよね?」

「で、でも……それは体力が著しく消耗しなければ発動できないはずじゃ……」

そう、“もうか”や“げきりゅう”などといった特性は、そのポケモンの体力が少なくならなければ発動はしないものだ。

しかし、レジェンドは確かに“もうか”を発動させている。

そうでなくては、あの炎の強さを説明する事ができない。

 

「――驚いたか? おれのレジェンドは自らの意志で“もうか”を発動できるんだ」

「なん、だって……?」

「尤も、“もうか”を発動させる機会など今までなかったが……お前相手ではそうはいかん。

 今こそ、初めてレジェンドを本気で戦わせる機会がやってきたということだ」

「…………」

 

「――恐れるな、立ち向かっていけばよい」

 

「ルギア……」

「余を信じよ、自分を信じよ。勝つためにここに居るのならば、恐れる必要など何もないではないか?」

「……そうだね。君の言う通りだ!!」

「うむ。そなたに勝利を」

「では行くぞ。――レジェンド、かえんほうしゃだ!!」

凄まじいパワーのかえんほうしゃが、ルギアに向かって放たれる。

 

「ルギア、ハイドロポンプだ!!」

対するルギアも、それをハイドロポンプで迎え撃つ。

両者の技はぶつかり合い、水蒸気を発生しながらも――互角の戦いを見せていた。

「かえんぐるま!」

「アイアンヘッドだ!」

今度は接近戦でのぶつかり合い。

 

「っ、ぐ………!」

「ルギア!!」

だが、押し負けたのはルギアの方だった。

 

「オーバーヒート!!」

「くっ……アクアテールで切り裂いて!!」

迫るオーバーヒートを、ルギアはアクアテールで真っ二つに切り裂く。

瞬間、眼前にはレジェンドが次の攻撃を――

 

「先程と同じようにはいかんな!!」

「アイアンヘッド!!」

至近距離からのほのおのパンチを、アイアンヘッドで弾くルギア。

見事レジェンドを押し返したルギアだったが、ダメージを負ったのか地上に着地する。

 

「……何というバカ力だあのバクフーンは。さすがの余もそれなりに効いたな……」

「ルギア、大丈夫?」

「無論。しかし……余ではあのバクフーン……レジェンドといったか。

 あやつを打倒する事はできんな」

「えっ―――」

思いがけないルギアの言葉に、レイジはおもわず目を見開き彼女に視線を向ける。

 

「もちろんマスターが望むなら全力で倒す。しかし……余の言葉をマスターならば充分理解できると思うが?」

「…………」

 

そう――このままではレジェンドには勝てない。

ルギアでは適わないという意味ではない、しかし本気のレジェンドはレイジの予想を遥かに超えた力を秘めていた。

強大な力を持つルギアと同等か、もしくはそれ以上か……。

とにかく、まだこのような状況でルギアを失うわけにはいかない。

 

「――ルギア、今は戻ってくれる?」

「マスターの意向に余は逆らわん、勝利する為ならば余の不満などそれこそ小さきことだ」

「ありがとう。ルギア、戻って!!」

『なんとレイジ選手、ここでルギアを戻してしまいました!』

 

「何やってんだレイジの奴、ここでルギアを戻すなんて……」

「彼の事だから、何か考えがあっての事だとは思うけど……」

「………レイジ」

はたして、この選択が吉と出るか凶とでるか……。

 

「ヒカリ、お願い!!」

『レイジ選手、四体目はピカチュウだ!!』

「ヒカリ、相手のパワーは今までとは比べものにならない。距離をとって戦うんだ!!」

「ピカッ!!」

「なるほど……確かに正しい判断だが、おれのレジェンドにそんな戦い方が通用するかな?」

「通用するかしないかじゃない、意地でも通用させるんです!! ヒカリ、10まんボルト!!」

放たれる10まんボルト。

 

「かえんぐるま!」

それを、かえんぐるまで蹴散らせながらヒカリへと向かっていくレジェンド。

「アイアンテール!!」

「ピカ……ッ!!」

真っ向からアイアンテールをぶつけるヒカリ。

しかし……やはりパワーの差は歴然なのか、大きく空中へと投げ出されてしまう。

 

「かえんほうしゃ!」

そこに、レジェンドのかえんほうしゃが迫る。

ヒカリは空中に投げ出され、回避する事が。

 

「リフレクター!!」

「かえんほうしゃにリフレクターなど通用しないぞレイジ!!」

「リフレクターの使い方は防御だけじゃない!」

瞬間、ヒカリはリフレクターを自分の左横へと展開し――それを壁蹴りのように蹴り飛ばしかえんほうしゃを回避した。

 

「あれは……私達がゾロアークと戦った際にヒメカさんが使った……!」

「……あんなにあっさり盗まれるとはね、恐れ入ったわ」

 

「ヒカリ、連続でリフレクターを出しながらボルテッカー!!」

「ピカッ!! ピカピカピカピカピカピカピカピカピカ………!」

リフレクターを展開しながら、その上を走り続けるヒカリ。

だが、何故かボルテッカーを発動させたというのにレジェンドへと向かっていかない。

 

『どうした事かピカチュウ、バクフーンに向かわずにただリフレクターの上を移動し続けているぞ?』

「何のつもりかは知らないが、来ないのならばこちらから行くぞ。

 レジェンド、ふんえんだ!!」

「今だヒカリ、距離をとって!!」

広範囲に及ぶふんえんから逃れ、レジェンドとの間合いを広げるヒカリ。

フィールドの上に着地した瞬間――ヒカリの身体から凄まじい電気エネルギーが発生した。

 

「そうか……! リフレクターの上で移動を続けていたのは、ボルテッカーの攻撃をチャージする為だったのね!!」

そして、レジェンドを攻撃させその場から動かさないようにする為でもある。

「ヒカリ、フルパワーでボルテッカーだ!!!」

「ピカピカピカピカピカピカピカ……ピッカッ!!!」

限界まで高めたヒカリのボルテッカーが、レジェンドへと向かっていく。

 

「――レジェンド」

「――――」

瞬間、レイジの全身に悪寒が走った。

 

――このままヒカリを向かわせてはならない。

 

攻撃させてはならないと、自らが警鐘を鳴らしていた。

だがもう遅い、今更ボルテッカーを中断させる事はできず、ヒカリとレジェンドがぶつかり合う瞬間。

 

 

「――シャイニングフレア」

ロストが、短くそう指示を出し。

レジェンドの口から、白銀に輝く光が解き放たれ。

瞬く間に、ヒカリとスタジアムを白く染め上げた。

 

 

「くっ………」

あまりの光量に、おもわず目を逸らすレイジ。

そして――光が収まった時には。

 

「………ヒカリ」

レジェンドの傍で全身に火傷を負ったヒカリが倒れている光景が、広がっていた……。

 

「ピカチュウ、戦闘不能! バクフーンの勝ち!」

『な、何だったのでしょうか今の光は!?

 おそらく炎タイプの技と思われますが、それにしても凄まじい威力です!! ボルテッカー状態のピカチュウを一撃でダウンさせてしまいました!!』

「…………」

 

信じられない、という気持ちが正直ある。

しかし事実としてヒカリは倒され、バクフーンはまだ健在だ。

今はその事実だけを理解し、次に何をすべきかを考えるのみ。

そう自分に言い聞かせ、ヒカリをボールの中へと戻した。

 

「――シャイニングフレア、これがレジェンドの最強技だ。

 実戦で使ったのは初めてだったが……まさか、これだけの破壊力があるとはな……」

ロスト自身もあの技に驚いているのか、表情を見ればそれを物語っていた。

 

「……ヒカリが、負けちゃった」

何のダメージも与えられずに、ヒカリは戦闘不能に陥った。

その事実は、観客として見ていたカグヤ達にもショックを与えるのに充分過ぎる。

「…………」

その中で、シロナはレジェンドの様子を見ながら眉を潜めた。

(レジェンドの表情が辛そうね……もしかしたらあのシャイニングフレアという技、フレアドライブのように反動ダメージを受けるのかしら……)

それも、普通の技とは比べものにならないほどのダメージを受けるのかもしれない。

直接的なダメージを受けていないというのに、レジェンドの表情はあきらかに辛そうだ。

そして、その事実はレイジも気がついていた。

 

「――レジェンド、戻れ」

(やっぱり……)

思った通り、あの技はレジェンドにとってかなり負担になる技だったらしい、だから有利な状況だというのに戻したのだろう。

「ラプラス、行け!!」

『ロスト選手の四体目はラプラスだ!! 水のフィールドではないため不利ではあるが、どう対処するのか見ものであります!!』

「ならこっちは……ソウル、お願い!!」

〈――ふぅ、ようやく僕の出番か〉

待ちくたびれたと言わんばかりに、その場で伸びをするソウル。

 

『レイジ選手はアブソルを繰り出してきました、はたして勝負はどちらに転ぶのでしょうか!!』

「あれがアブソル……なんか可愛いな」

「あれ? 図鑑で出てくるアブソルと少し違うね」

なんというか、毛並みやしなやかさなどが違う気がする。

「カグヤ、それは♂のアブソルの写真よ。あの子は♀なんだから姿が違うのも仕方ないわ」

「えっ、あの子♀なんですか!?」

「そうだけど、どうしてそんなに驚くの?」

「だって、ラティオスの話だとソウルは自分の事を「僕」って言ってるらしいから……」

だから、まさかソウルが女の子だとは思わなかったのだ。

 

「ラプラス、ハイドロポンプ!!」

「かわして10まんボルトだ!!」

ハイドロポンプを右に跳んで回避し、同時に10まんボルトを放出するソウル。

 

『アブソル、見事回避して10まんボルトが命中しました! 効果は抜群だ!!』

「なっ——」

〈そんな、僕の技が効かない!?〉

ソウルの放った10まんボルトを無理矢理弾いたラプラスには、ダメージらしいものが見受けられない。

 

「ソウル、効いてないわけじゃないよ。ただ……あのラプラス、かなりの体力を持ってる」

〈なら、倒れるまで攻撃すればいいだけだ!〉

「ラプラス、こごえるかぜ!!」

広範囲に渡って放出されるこごえるかぜ。

さすがにこれは回避しきれず、ソウルは顔をしかめながらもその場に留まった。

 

「れいとうビーム!!」

「かえんほうしゃ!!」

続いて放たれるれいとうビームを、ソウルはかえんほうしゃで迎撃する。

両者の技は互角――ではなかった。

 

〈うぁ………っ!?〉

「ソウル!!」

押し負け、れいとうビームの直撃を受けるソウル。

すると――ソウルの脚がその場で凍り付いてしまった。

 

「っ、れいとうビームの追加効果だ………!」

「みずのはどう!!」

「ソウル、逃げるんだ!!」

そう声を掛けるレイジだが、脚が凍らされソウルは身動きがとれない。

〈あぐっ!!〉

そのままみずのはどうを受け、宙に浮くソウル。

しかし、まだラプラスの攻撃は終わっていない。

 

「れいとうビーム!!」

空中でれいとうビームの直撃を受け、そのまま地面に叩きつけれられてしまうソウル。

 

「ソウル!!」

 

『ラプラスのみずのはどうとれいとうビームのコンボが見事決まった!!

 これはかなりのダメージになったぞ!! はたしてアブソルはどうなったのか……』

〈うっ、く……〉

噴煙が晴れ、顔をしかめながらどうにか立ち上がるソウルの姿を視界に捉える。

だが、ダメージは大きく脚がおぼつかない。

 

「よく耐えた……だが次で終わりだ! ラプラス、ふぶき!!」

「くっ……ソウル頑張るんだ!! そのままギガインパクト!!」

 

 

 

 

To.Be.Continued...

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