ポケットモンスター 〜The Legend of Master〜【完結】 作:マイマイ
互いに二体となり、遂にロストはライコウを場に出す。
迎え撃とうとするティナであったが、突然ルギアがライコウを倒すと言って飛び出してきた……。
「ティナ、悪いがライコウの相手は余がする」
〈ルギア……?〉
「……ティナ、戻って」
〈お父様まで……何故ですか?〉
「いいから、今は戻るんだ」
〈…………〉
『おっと、レイジ選手サーナイトを戻しました』
〈……ルギア、どういうつもりなのですか?〉
「お前はバクフーンと戦え、余はライコウを代わりに倒そう」
〈ですから、どうしてあなたが勝手に〉
「余ではあのバクフーンは倒せぬ」
〈…………〉
「お前が倒せ。悔しいが余では勝てぬ、だから……ライコウは必ず倒してみせよう」
〈ルギア……〉
「……すまぬなマスター、勝手な事をした。許してほしい」
その言葉に、レイジは首を横に振って応える。
「ティナ、ここはルギアに任せてくれないか? 君は……レジェンドを倒してほしい」
ルギアは自分ではレジェンドには適わないと言った、おそらくそれは事実だろう。
そして、レジェンドを倒せるのはティナしかいないというのも……また事実だ。
〈……畏まりました〉
頷き、レイジの隣に移動するティナ。
〈ですが、これからの戦いはここで見させてもらいます。
ルギア、あれだけの大口を叩いたのですから、負けるなんて許しませんよ?〉
「変なプレッシャーを掛けるでない、まったく……余の力を甘く見てもらっては困るな」
『レイジ選手、ここで再びルギアを繰り出しました』
ルギアの出現に、観客からは歓声が響き渡る。
やはり幻のポケモンであるせいか、これではまるで客寄せパンダではないかと、ルギアは静かにため息をついた。
「――ライコウ、出ろ」
『出ましたーっ!! 伝説のポケモンのライコウです!!
ルギアとライコウ、夢の対決となりました!!』
「遂に出たな……」
「ルギアとライコウ……考えてみたら、すごい対決だよね……」
実況や観客達が盛り上がるのも、無理からぬ事かもしれない。
「ルギア」
「安心しろマスター、余は負けぬ」
「たいした自信だなルギア」
「当然だ。余は負けぬ……負けるわけには、いかぬ。
余を信じ、余の我が儘を聞き入れてくれたマスターの為にも、ここで必ずライコウを倒してみせる!!」
雄叫びを上げ、威嚇するルギア。
そのプレッシャーは先程よりも凄まじく、味方であるレイジとティナですらおもわず萎縮してしまうほど。
だが、ロストもライコウも微動だにせず……最強の相手を迎え入れた。
「ライコウ、ルギアならばお前のアレを使うに相応しい相手だ」
そう告げた瞬間――空気が震える。
「えっ……?」
〈これは……?〉
変わる。
空気が、スタジアム中に漂う全てが変わっていく。
「天候が……変わる?」
キッと空を睨むルギア。
すると、先程まで晴天だったというのに……みるみるうちに黒い雲が集まっていく。
(あまごい……? いや違う、あれは……自然の雷雲……)
何故いきなり自然の天候が変わったのか、まるで誰かが呼び寄せたかのように……。
「ライコウは、雷の化身と呼ばれているそうだ」
「えっ?」
「そしてライコウは、自由に雷を呼び寄せる力があるとも言われている。 その意味がわかるか? すなわち――こういう事だ」
ライコウに指示を出すロスト。
「ライコウ、『雷鳴招来』!!」
空に向かって雄叫びを上げるライコウ。
瞬間、黒い雲から耳をつんざくような爆音と共に雷が落ちる。
――ライコウとルギアを避雷針代わりにしたかのように。
「ちっ!!」
ルギアは間一髪で雷を避けたが。
ライコウはその場から動く事もせず、雷をその身に受けていた。
「なんだと……?」
「っ、ルギア、ライコウの狙いは………!」
「わかっておる。……しかし、このような強化の仕方があるとは……これだから人間というのは面白いものだ!!」
驚きながらも、その声色には歓喜の色が。
(くっ……凄い電気エネルギーだ………!)
ヒカリとは比べものにならないパワーだ、ここにいながらもそれを感じ取れる。
「マスター、まさか臆したのか?」
「…………」
「余は楽しいぞ!! このような敵と戦えるのは実に愉快だ!!
それに、マスターと共に戦うのならば、誰が相手だろうと臆する必要などない!!」
「……わかってるよ。僕だって……絶対に負けない!!」
「よく言った!! ならばいくぞマスター!!」
「ライコウ、チャージビーム!!!」
ヒカリのボルテッカーに匹敵するほどの威力のチャージビーム。
「ルギア、ハイドロポンプだ!!」
それを真っ向からハイドロポンプで迎え撃つ。
威力は互角、互いに相殺される。
「かみなりのキバ!!」
「ドラゴンダイブ!!」
「ぐぅぅぅぅ………!」
ぶつかり合うルギアとライコウ。
弾かれ、互いにフィールドの先まで吹き飛ばされるが、再びかみなりのキバとドラゴンダイブでぶつかり合った。
「かみなり!!」
「ふぶきだぁっ!!」
ライコウはルギアにかみなりを。
そしてルギアはライコウにふぶきを叩き込み、両者共に地面へと倒れ込んだ。
「ぐ………っ!!」
『凄まじい技のぶつかり合いだ!! どちらも一歩も譲りません!!』
「はぁ…はぁ…はぁ…」
だが、ルギアの息は大きく上がっている。
「やっぱりレジェンドとの戦いで……」
「けど、まだ負けた訳じゃない………!」
「ルギア、シャドーボール!!」
「ライコウ、10まんボルトだ!!」
シャドーボールが10まんボルトとぶつかり、噴煙が巻き起こり視界を閉ざす。
刹那、ルギアは右横から殺気を感じ身体を向けるが。
「アイアンテール!!」
その時には既に、ライコウのアイアンテールがルギアの身体を地面へと吹き飛ばしていた。
「ぐ、ぁ………!」
「ルギア!!」
「じんつうりき!!」
「しま―――っ」
ルギアの身体が宙に浮く。
ライコウのじんつうりきは見事ルギアを捕らえ、そして――
「フルパワーでかみなりだ!!!」
雷鳴招来によって大幅に威力が上がったかみなりが、ルギアの身体を貫いた―――!
「ぐ――ああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
あまりの威力に、雄叫びを上げるルギア。
「――、ぁ」
力なくうなだれ、ルギアは地面へと倒れ込んだ。
「ルギア………!」
「まともにくらっちまいやがった……あれじゃあもう……」
「…………」
まだ負けてない、そう自分に言い聞かせカグヤは視線を逸らす事なく戦いを見つめる。
そうだ、最後の最後まで彼が諦めないのなら、自分だって最後までこの戦いを見続ける。
「ルギア、立つんだ。立ってくれ!!」
「…………」
ルギアは応えない。
瞳を閉じ、ピクリとも動いてはくれなかった。
「ルギア!!」
(……ここまでだな)
ライコウのかみなりをまともに受けたのだ、如何にルギアとてあれには耐えられまい。
審判もそう判断をしたのか、一度ルギアの姿を見てから旗を挙げた。
「ルギア、戦闘―――」
「ま、だ…だ………!」
「っ!!?」
『な、なんと!? ルギア立ち上がりました!!
あれだけの攻撃を受けたというのに、なんという耐久力でしょう!!」
「す、すげえ……立ち上がりやがった」
「でも、もうルギアは限界を超えてる……これ以上は」
「ルギア……」
「まだ、だぞ……余は、まだ負けて……ない!」
「……たいしたものだなルギア、よもやここまでとは……」
「はぁ…はぁ…余は、負けられぬのだ……たとえ誰であっても、絶対に負けぬ!!」
「いいだろう。ライコウ、アイアンテール!!」
空中から迫るライコウ。
しかし、立ち上がりはしたもののルギアはまだ動けない。
「なめるなぁーっ!!」
すると、なんとルギアはその翼で包み込むようにライコウのアイアンテールを掴み上げる!!
「なっ!?」
この行動に、さすがのロストの驚愕するが……すぐさま次の行動に移る。
「かみなりだ!!」
「ルギア、投げ飛ばして!!」
ライコウのかみなりがルギアに命中する瞬間、空高く放り投げる。
「アクアテール!!」
ライコウは空中では身動きがとれない、そのままルギアのアクアテールをまともに受けてしまった。
だがまだだ、この連撃を逃せばもう勝つ事はできない。
「アイアンヘッド!!」
続いてアイアンヘッドでライコウを地面へと叩き落とす。
そして、ルギアは必殺の一撃を解放した。
「エアロブラスト!!」
高圧縮されたエアロブラストが、ライコウを貫きながら地面を削っていく。
噴煙が晴れ、地面が見えるようになった時には。
既にライコウは、戦闘不能へと陥っていた。
「ぁ………」
しかし、ルギアもそのまま地面へと落下して――今度こそ動かなくなった。
「ルギア、ライコウ、共に戦闘不能!!」
『凄まじい攻防の果てはなんと相討ち!!
これで両選手残りポケモンは一体だけとなりました!!』
「ルギア、意地を見せたわね……」
「これで残るはティナとレジェンド……」
これで決まる、この戦いの結末が。
「……ティナ」
〈はい……〉
頷き、フィールドに移動するティナ。
すぐさまサイコセイバーを両手に握り、身構える。
「……レジェンド、頼むぞ」
静かに告げ、レジェンドを場に出すロスト。
『さあ、泣いても笑ってもこれが最後!! はたして勝負の行方はどうなるのでしょうか!!』
「…………」
「レイジ、楽しいな」
「えっ?」
「おれは楽しい、心が弾み笑みが零れる。
お前とのバトルを、このままずっと続けていたと思えるくらいに」
「ロストさん……」
「だが、このバトルも直に終わる……名残惜しいが、これで最後だ。
――お互いに、悔いのないバトルをしよう」
「………はい!!」
「レジェンド、ほのおのパンチ!!」
「ティナ、迎え撃つんだ!!」
互いに踏み込み、ぶつかり合うティナとレジェンド。
「かわらわり!!」
上段から繰り出されるかわらわりを、右に移動し避け、一閃。
だが、その一撃はレジェンドの炎に包まれた腕で掴まれる。
「っ、ふ―――!」
右の剣の振り下ろし。
弾かれ、レジェンドの口が開かれた。
「ふぶき!!」
「オーバーヒート!!」
至近距離からのぶつかり合いで爆発が起き、互いにフィールドの端まで吹き飛ばされた。
「負けるなティナ!!」
「レジェンド、まだいけるはずだ!!」
〈――やぁぁぁっ!!〉
雷光じみた速さで踏み込み、双剣を振り下ろす。
それをシャドークローで受け止めるレジェンド。
「ふんえん!!」
「っ」
自ら剣を手放し、間一髪ふんえんを回避するティナ。
だが、これにより彼女は丸腰だ。
「レジェンド、すてみタックル!!」
「リフレクター!!」
すてみタックルをリフレクターで防御しようとするティナだが……。
〈っ、きゃ………!?〉
レジェンドのパワーは凄まじく、リフレクターを貫通しティナを吹き飛ばした。
『これはかなり効いたようだぞー!!』
「ティナ、頑張れ!!」
〈くっ……!!〉
「レジェンド、かえんほうしゃ!!」
〈っ、やぁ―――!〉
迫るかえんほうしゃを、再び展開した剣で切り裂く。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
互いに荒い息を上げるティナとレジェンド。
――次の一撃で決まる。
誰もが、そう感じていた。
「レジェンド、いけるか?」
静かに頷くレジェンド。
「――シャイニングフレアだ」
「何………!?」
再び集まっていく凄まじい炎のエネルギー。
(さっきのアレをまだ放てるのか……!)
「いくらレジェンドでもあの技は一回が限度だが……お前相手ではこれを使わねば勝てん」
「くっ……」
拙い、あの威力の技を防ぐ手立てはない。
いくらティナの技をぶつけても、あれを相殺する事は……。
〈――受けて立ちます、来なさい!!〉
「えっ!?」
双剣を合わせ、一本の長剣にし構えるティナ。
「ティナ!!」
〈逃げる事も防ぐ事もできないのなら、この剣で斬り伏せます!!〉
「でも………」
〈倒します。必ず……わたくしの剣で、あなたに勝利を……〉
「…………」
美しいルビーの瞳が、レイジを貫く。
優しく、暖かな眼差しはただ一言。
大丈夫です、と。
静かに、そう告げていた。
「………ティナ」
〈はい〉
「……頑張って」
告げる言葉は、ただそれだけ。
けれど、ティナには充分過ぎる言葉だった。
〈――はい、見ていてくださいお父様!!〉
満面の笑みを返し、ティナはレジェンドへと向き直る。
――勝利の剣を、手に入れるためにも。
「――――」
「…………」
交差する視線。
互いに準備を終え、そして。
「――シャイニングフレア!!!」
「切り裂けぇぇっ!!」
煉獄と光の剣が、真っ向からぶつかり合う―――!
〈あぁぁぁぁぁっ!!〉
白き炎を、真っ向から光の剣で切り裂いていくティナ。
〈く、ぁ………!〉
少しでも力を抜けば、それで終わりだ。
だが、今にも膝が折れ押し負けてしまいそうになる。
(負け、ない……。絶対にぃ……!)
負けるわけにはいかないのだ、皆がここまで頑張ってくれた。
その道を、絶対に閉ざすわけにはいかない。
「よくやったぞ……だがこれで終わりだ!!」
更に威力が増す炎。
〈ぅく………!〉
膝が折れ、その場に座り込む。
「ティナ!!!」
〈くっ、ぁ……〉
負けない。
絶対に、負けない。
この剣は勝利の剣になると誓った、なら絶対に負ける事など許されない。
「負けるな……」
〈っ〉
「負けるな……勝ってくれ、ティナ!!!」
〈くっ、ああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!〉
瞬間、スタジアムが白い光に包まれた。
誰もがその光から視線を逸らし、数秒間の空白が生まれる。
………。
光が収まり、再び視線はフィールドへと向けられた。
「…………」
立っているのは――ティナとレジェンド。
しかし互いに背中合わせになるように立っていた。
はたして、勝負はどうなったのか……誰もが結果を知りたいと思う中で。
――結末は、レジェンドが倒れた事で訪れた。
「バクフーン、戦闘不能! サーナイトの勝ち!!
よって勝者、マサラタウンのレイジ選手!!」
『決まったーーーっ!!激闘のフルバトルの征したのは、マサラタウンのレイジ選手だ!!』
「……勝った……」
譫言のように呟きながら、レイジはティナの元へ。
「ティナ、大丈夫?」
〈……はい、大丈夫ですよ〉
疲労困憊といった様子だが、その表情は笑顔だ。
「レジェンド、よく頑張ったな」
労いの言葉を掛けつつ、レジェンドをボールに戻すロスト。
「おめでとうレイジ、いいバトルだった……おれが今まで体験したどのバトルよりも、いいバトルだったぞ」
「………僕もです」
差し出された手に、握手を交わす。
『これで準々決勝は全て終わり、いよいよ明日は準決勝となります!!
対戦カードは……これだぁっ!!!』
「――――っ」
対戦相手が決まり、レイジは息を呑んだ。
その相手は……。
「………カイリ」
準決勝の相手は、最大のライバルであるカイリ。
「……レイジとか」
カイリも対戦相手が決まり、表情を強ばらせる。
(できれば、決勝で戦いたかったけどな……)
しかし、そうと決まればやる事は一つだ。
悔いの残らないようにバトルをし――そして、必ず勝つ。
「……ヒメカとだね」
「ええ。そういえば……1対1でバトルするのは初めてね」
対するカグヤとヒメカも、互いの次の対戦相手を見つめながら、闘志を燃やしていた。
To.Be.Continued...