ポケットモンスター 〜The Legend of Master〜【完結】   作:マイマイ

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カントーリーグ・セキエイ大会も、遂に準決勝。

第一試合はカグヤ対ヒメカのフルバトルとなった。


第56話 友情バトル〜カグヤ対ヒメカ!!〜(前編)

『――さあ、セキエイ大会準決勝第一試合。両選手の入場です!!』

「ヒメカ、頑張れよ!」

「ヒメカさん、頑張ってくださーい!!」

応援席でヒメカに声援を送るカイリ達。

ヒメカも気づき、振り向いて2人に手を振った。

「けどよぉ……レイジの奴、ここまでする事なかったんじゃないか?」

呟きながら、自分達の反対側の席に座るレイジとシロナに視線を送り、カイリはため息をついた。

 

――ここから先は、別々に応援しよう。

 

そう言ったレイジは、カイリ達とは正反対――つまりカグヤ側の席に座っている。

確かにこれからカグヤとヒメカがバトルをする、だから彼の言い分もわからないわけではない。

しかし……それでもカイリには納得しきれない所もあった。

そう考えている間も、カグヤとヒメカは所定の位置に立ち準備を終える。

 

「……始まりますね」

カグヤの後ろ姿に視線を送りつつ、レイジは呟いた。

「ええ……2人の真剣勝負、一体どちらが勝つのかしら……」

「…………」

カグヤに勝ってほしい、そんな願望がすぐに頭を占める。

……そんな感情を抱いてしまうから、カイリ達の傍で観戦する事ができないのだ。

彼に対して、自分の身勝手な感情を押し付けたくないからこそ、レイジは半ば強引ともいえる手段を用いた。

それが正しいのか間違っていたのかはわからないが……。

 

「ヒメカ、私絶対に負けないわよ!!」

「それはわたしも同じよカグヤ、でも……精一杯楽しみましょう!!」

「うん!!」

互いに笑みを浮かべ、一体目のボールをフィールドへと投げた。

 

「カイン、行きなさい!」

「エネコロロ、レディーゴー!!!」

『ヒメカ選手、一体目はジュカイン。そしてカグヤ選手はエネコロロだ!』

 

「ヒメカ、カインをジュカインに進化させていたのか……」

「カグヤの奴、エネコをエネコロロにしてたみたいだな……」

「先攻はヒメカ選手から、それでは――試合開始!!」

 

「カイン、タネマシンガン!!」

「エネコロロ、右に跳んで!!」

先制するカインのタネマシンガンを、右に跳躍して避けるエネコロロ。

小手調べ――そう思った瞬間には、既にカインがエネコロロの間合いに詰め寄っていた。

 

(速い………!)

「リーフブレード!!」

「れいとうビーム!!」

繰り出されるリーフブレード。

しかし、命中する寸前エネコロロはリーフブレードごとカインの右腕を凍らせ、彼の身体を踏み台にて背後に回り込む。

「スピードスター!!」

背中からスピードスターを受け、地面に倒れるカイン。

『ジュカイン、素早い一撃でしたがエネコロロの華麗な連続技を受けてしまいました!!』

 

「カグヤのエネコロロ、よく育てられているわね」

「ええ。あの子頑張っていましたから……」

特訓の全容を見たわけではない、しかし努力家の彼女のことだ、きっと凄まじい特訓でレベルアップをしたのだろう。

でも――それはヒメカのポケモン達とて同じ。

何事もなかったかのように立ち上がり、氷を砕くカイン。

 

「さすがカイン、凄いね!!」

「ありがとう。あなたのエネコロロも凄いわよ、でも負けないわ……カイン、リーフブレード!!」

「そんな手通用しないよヒメカ、れいとうビーム!!」

「そのままでんこうせっか!!」

 

エネコロロの放ったれいとうビームを、必要最低限の動きであっさりと避けるカイン。

スピードは落ちず、むしろ上がっていき。

リーフブレードが、エネコロロに命中し後ろの壁まで吹き飛ばす。

 

「エネコロロ!!」

あわや壁に叩きつけられそうになったエネコロロだったが、吹き飛ばされながらも回転しながら受け身を取り、すぐさまフィールドへと舞い戻った。

「やるわね」

「私のエネコロロはパワーはともかくスピードなら天下一品よ!!

 それに身のこなしだって凄いんだから!!」

「…………」

確かに、あの状況で受け身を取ってダメージを最小限に抑えるあの動きは厄介だ。

 

「――カイン、戻りなさい」

「あれ?」

『ヒメカ選手、ジュカインを戻しました!』

「ロール、行きなさい!」

『ヒメカ選手の二体目はミミロップです!!』

 

「ロール……ノーマルタイプ同士の戦いか」

 

「エネコロロ、ずつき!」

「ピヨピヨパンチ!!」

「えっ―――」

一息でエネコロロとの間合いを詰めるロール。

大きな耳で連続のピヨピヨパンチを叩き込み、エネコロロの身体が宙に浮いていく。

 

「スカイアッパー!!」

ピヨピヨパンチを止め、重力に従い落ちてくるエネコロロに、今度は自分の腕でのスカイアッパー。

「エネコロロ!!」

頭から地面に落ち、カグヤの前まで転がっていくエネコロロ。

「エネコロロ戦闘不能!ミミロップの勝ち!!」

『先制はヒメカ選手、ミミロップの見事な連続攻撃にエネコロロたまらずダウン!!』

 

「……あの動き、アクセルやシロナさんのルカリオの動きに似てる」

「おそらくアクセル達の動きをベースにしたのね、それにミミロップの強力な耳も見事に使った素晴らしい戦い方よ」

 

「エネコロロ、よく頑張ったね。

 凄いねロール、格闘ポケモンみたいに凄いパンチだったよ!!」

賞賛の言葉を送るカグヤに、ミミロップは嬉しそうにその場で飛び上がった。

負けたというのに、カグヤの表情は笑顔。

楽しんでいるのだ、このバトルを心の底から。

当たり前である、カグヤにとって一番の親友であるヒメカとのフルバトルなのだ、楽しくないわけがない。

 

(……本当に、カグヤは純粋ね)

彼女の心が伝わってくるから、ヒメカも自然と笑みを浮かべる。

カグヤとバトルをするのは楽しいと、本当にそう思えた。

「じゃあ次は……ムウマージ、レディーゴー!」

『カグヤ選手、二体目はムウマージだ!!』

「ロール、戻りなさい。ムウマージなら……ヒノ、行きなさい!!」

『ミミロップを戻し、続いてはバクフーンを繰り出してきました!!』

 

「……退き際というのを心得ているわね、彼女」

「…………」

「心配?」

「いいえ、だってカグヤならきっとなんとかしますよ。僕はただ……見守るだけです」

「…………」

少しだけ不機嫌そうに眉を潜め、レイジの頬を引っ張るシロナ。

 

「ヒ、ヒロナしゃん?」

「レイジくん、カグヤの事ばかり信じてるような言い方したら、私も拗ねるわよ?」

「うっ……」

別にそんなつもりはなかったのだが、シロナにそんな言葉は通用しない。

すみません、シロナさんの事もちゃんと信じていますから、そう告げるとシロナは笑みを浮かべ。

「ならよろしい」

そう言って、抱きしめられてしまった。

 

「ムウマージ、シャドーボール!!」

「ヒノ、かえんほうしゃよ!!」

押し合うシャドーボールとかえんほうしゃ。

「かえんぐるま!!」

身体を炎で包み込み、ムウマージへと向かっていくヒノ。

 

「ムウマージ、フレイムシールド!!」

「えっ……?」

指示を出すと、ムウマージの周りに現れたのは……おにび。

更にあくのはどうがおにびを包み込み、暗い藍色のリングがムウマージを囲む。

そして――両者がぶつかり合った。

 

「なっ!?」

しかし、ヒノのかえんぐるまはムウマージの放ったリングの前で防がれ。

「フルパワーでシャドーボール!!」

至近距離から、特大のシャドーボールをヒノに叩きつけた―――!

 

「ヒノ!!」

「バクフーン戦闘不能!ムウマージの勝ち!!」

『ムウマージの攻撃が見事バクフーンを撃破、これで両者並びました!!』

 

「フレイムシールド……」

「おにびとあくのはどうを合わせたものリング状に変形させて自分の盾にする。

 なるほど、だからフレイムシールドね……」

しかし、ヒノのかえんぐるまとてかなりの威力だというのに、それを防ぐとは……。

更にヒノを一撃で倒したムウマージのパワーも、凄まじいものだ。

 

(やっぱり、たった三週間じゃ限界があるわね……)

ヒノアラシだったヒノは他のメンバーよりレベルが低い、バクフーンになったものの、やはりカグヤのようなトレーナーには通用しなかったようだ。

「ムウマージ、その調子だよ!!」

「ムゥ!!」

嬉しそうに一声鳴き、ムウマージは再び視線をこちらに向ける。

 

「カイン、もう一度出てきなさい!!」

『ヒメカ選手、再びジュカインを出してきました!!』

「カイン、タネマシンガン!!」

「ムウマージ、サイコウェーブ!!」

迫り来るタネマシンガンを、サイコウェーブで全て砕くムウマージ。

 

「ドレインパンチ!!」

「フレイムシールド!!」

踏み込み、ドレインパンチを叩き込むカインだったが、再びフレイムシールドを発動させたムウマージによって、弾かれてしまう。

「もう一度ドレインパンチ!!」

「効かないよ!!」

右腕でのドレインパンチ、だがフレイムシールドの前では無力だ。しかし――

 

「左腕でリーフブレード!!」

「えっ!?」

右腕でのドレインパンチと、左腕でのリーフブレード。

まさかの連続攻撃を受け、ガラスが割れたような音と共にフレイムシールドが破壊される。

「エナジーボール!!」

そこへ、至近距離でのエナジーボールがムウマージへと叩き込まれた。

 

「ムウマージ!!」

「ム…ムゥ……」

ダウンはしなかったものの、ダメージは大きい。

「ムウマージ、戻って」

すぐさまムウマージをボールに戻し、続いてカグヤが出したポケモンは。

「メガニウム、レディーゴー!!!」

『カグヤ選手、三体目はメガニウムだ!!』

 

「メガニウム……今度は草対決か」

 

「カイン、このまま決めるわよ! でんこうせっか!!」

先手必勝、凄まじいスピードでカインはメガニウムに向かっていく。

だが、メガニウムはその場から動かずにじっとカインを見据えていた。

そして、カインの攻撃が命中する瞬間。

「リフレクター!!」

薄い壁のようなものが、カインのでんこうせっかを防ぎきる。

 

「今よ、どくどく!!」

「っ!!」

紫色の粘膜がカインに付着する。

『あーっと、メガニウムのどくどくがジュカインを捉えた!! これは拙い!!』

 

「動かなかったのは、カインにどくどくを当てる為か……」

「リフレクターを使っていたとはいえ、カグヤのメガニウムは凄い防御力ね。私のガブリアスでも一撃じゃ届かないわ」

 

「続いてかげぶんしん!」

カインの周りを囲むように現れるメガニウムの分身達。

「カイン、リーフストームでまとめて薙ぎ払いなさい!!」

「そうくると思ったよ」

カインのリーフストームが、メガニウムの分身達を纏めて吹き飛ばす。

だが――その中に本物のメガニウムはいなかった。

 

「そんな………!」

愕然とするヒメカ。

なぜなら、すでに本物のメガニウムはカインの背後に……。

「ずつき!!」

背中から凄まじい衝撃が走り、前から地面に倒れるジュカイン。

「ギガドレイン!!」

更にメガニウムはギガドレインで、カインのパワーを奪っていく。

 

「……みがわりでリーフストームを回避したのか」

そう、先程メガニウムがカインの背後に回り込めたのも、かげぶんしんの中にみがわりを忍び込ませていたからだ。

更にみがわりによって減った体力を、ギガドレインで戻す……見事としかいいようがない。

それに、カインはどくどくにより強力な毒に侵されており……。

「ジュカイン戦闘不能!メガニウムの勝ち!!」

パワーを吸い取りきった時には、メガニウムは勝負を決めていた。

 

『なんという華麗な連続攻撃でありましょうか!

 どくどくによる体力消耗に加え、みがわりとかげぶんしんによる防御、さらにはギガドレインによる体力回復。

 どれを見ても素晴らしい戦い方です!!』

「よーし、その調子だよメガニウム!!」

「カイン、ありがとう。やっぱり凄いわね」

「えへへ……でも、まだまだ勝負はここから、そうでしょ?」

「当たり前よ、こんなに楽しい勝負をこんな簡単に終わらせてたまるものですか………!

 ――ラニ、あなたの出番よ!!」

 

『ヒメカ選手の四体目はマニューラです!!』

「氷タイプがあるんだよね……ならメガニウム、戻って!!

 そんでもって……クチート、レディーゴー!」

メガニウムを戻し、カグヤはクチートを場に出すと……。

「いたたたたっ!!」

反転し、大きな口でカグヤに噛みつくクチート。

 

「うわぁ……クチートの奴、相変わらずなんだなあ……」

「あ、あれがクチートなりの愛情表現、なんでしょうね……」

その光景を目にしたカイリとミカンは、揃って顔を引きつらせていた。

 

「いたた……クチート、噛みつくのはいいけどもう少し手加減してくれないかな?」

「クゥ?」

「……もういいや。それより早く戻って」

はーいと手を挙げ、フィールドに戻るクチート。

 

「お待たせ……」

「……大変ね、あなたも」

「まあね。でも私はそんなクチートが大好きだから大丈夫!!」

「ふふっ……」

本当に、彼女とバトルをするのは楽しい。

けど……だからといって負けを認める気などない。

 

「けどいいの? クチート相手じゃ氷とあくタイプのマニューラじゃ不利だよ?」

「そうね……けど、わたしのラニを甘く見ない方がいいわよ」

「もちろん、全力で相手するに決まってるじゃない!! クチート、かえんほうしゃ!!」

ラニの弱点であるかえんほうしゃを放つクチート。

瞬間。

 

「こうそくいどう」

ヒメカがそう指示を出すと同時に、クチートがフィールドの端まで吹き飛ばされた。

 

「クチート!?」

「速い………!」

「よく育てられたマニューラね、確かにタイプではクチートが有利だけど……」

 

「当たらなければ意味ないわよカグヤ。ラニ、連続でれいとうパンチ!!」

「クチート、動きを見切って!!」

クチートも懸命にラニの動きを追っていくが……ただいたずらにダメージを負うのみ。

「いくら効果が今ひとつだとしても、このまま受け続ければクチートの負けよ!!」

「くっ……」

そうしている間も、れいとうパンチを受け続けるクチート。

……身体も、凍りついてきた。

 

「つるぎのまい!!」

「えっ?」

『なんとクチート、攻撃を受けているというのにつるぎのまいで攻撃力を上げていく!!』

(どういうつもりなの……? いくらつるぎのまいの攻撃力を上げたとしても、クチートのスピードじゃラニを捉える事なんて……)

「クチート、もう一度つるぎのまいよ!!」

尚も攻撃力の底上げを図るクチート。

これ以上、奇妙な行動はやらせられない。

 

「ラニ、トドメのかわらわり!!」

飛び上がり、渾身のかわらわりを叩き込もうとするラニ。

そこに、カグヤはある指示をクチートに告げた。

 

「今よクチート、バトンタッチ!!」

「なっ!?」

クチートの身体がボールへと入り、入れ替わるように出てきたのは……。

 

『ヒメカ選手、バトンタッチでクチートとカメックスを瞬時に入れ替えました!!』

「こうそくスピン!!」

すぐさま甲羅に潜り、その場でこうそくスピンを繰り出し向かってきたラニを吹き飛ばす。

しかし――そのパワーは通常のこうそくスピンを遥かに上回る程であり、なんと矢のようなスピードでマニューラを壁に叩きつけてしまった。

 

(この威力は………!)

「なるほど……つるぎのまいを連発したのはこの為か」

バトンタッチは追加効果を交代後のポケモンに付加させる能力がある。

それによりカメックスの攻撃力は大幅に上昇し、いくら素早いとはいえ接近戦のラニを捉える事ができるこうそくスピンを持っている彼に代わったのも、カグヤの作戦である。

そして、その作戦は見事成功した。

 

「マニューラ戦闘不能!カメックスの勝ち!!」

『強い!! カグヤ選手の見事な戦術でヒメカ選手のポケモン三体が倒されたー!!』

「凄いわ彼女、パラメータ上ではカイリやレイジくんに劣っていたとしても、それを補って余りあるほどの戦略でサポートしてる」

これには、シロナも驚く事しかできない。

突撃思考だったというのに、いつの間にこのような柔軟な対応ができるようになったのか……。

 

(これでカグヤは一体、そしてヒメカは三体のポケモンが戦闘不能……)

数の上では有利だ、しかしまだ………!

 

「――ハク、あなたの出番よ!!」

『続いてはカイリューを繰り出してきました!』

「よーしカメックス、この調子で一気に勝負を決めるよ!!」

「そう上手く行くかしらね……カグヤ、行くわよ!!」

「うん、どっからでもかかってこーい!!」

 

 

 

 

To.Be.Continued...

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