ポケットモンスター 〜The Legend of Master〜【完結】   作:マイマイ

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カントーリーグ・セキエイ大会準決勝。

第一試合はカグヤの勝利と終わり、いよいよレイジとカイリのフルバトルが始まろうとしていた。

はたして、どのような勝負となるのであろうか……。


第58話 史上最大のライバルバトル!〜レイジ対カイリ!!〜

『――さあ、準決勝第二試合が始まろうとしています。

 はたして、勝者はどちらの選手になるのでしょうか』

熱い歓声に包まれたスタジアム内。

そこに現れたのは、準決勝で戦うライバル。

 

「あっ、出てきた!」

レイジ達の登場で、会場のボルテージはますます上がっていく。

 

「す、凄いですね……」

「2人とも準々決勝での戦いが凄すぎたから、否が応でも注目を浴びてしまうのでしょうね」

「うーん……レイジ、そういうの苦手なんだけど大丈夫かな……?」

まあ彼の事だから大丈夫だと思うが、おそらくげんなりと肩を落としている事だろう。

 

「……すげえな」

「そうだね……」

そう相槌を打つレイジの表情は、カグヤの言う通りげんなりとしたものになっている。

 

「けどよ。俺達のバトルには関係ねえ、全力でぶつかるだけだ」

「…………」

「……やっと戦えるなレイジ、俺は嬉しいぜ。

 お前とのバトルは、一番の楽しみにしていたんだ。まあ……決勝で戦えたらテンションは最高潮になったんだけどな」

「……かもね」

「絶対に負けねえぞ……お前と全力で戦って、必ず勝つ。

 そして決勝でカグヤにも勝って、必ずチャンピオンリーグに行ってやる!!」

「…………」

 

強い意志、決意の光がカイリからひしひしと伝わってくる。

……彼はその為に、ここまで頑張ってきたのだ。

全ては夢のため、ただひたすらに突き進んでいる。

けれど――それは自分とて同じだ。

今ここにいるのは、自分もチャンピオンリーグに出場するため。

あの時シロナと交わした約束を果たすため、そしてなにより……自分自身の為に。

 

「――僕だって、絶対に負けないよカイリ。

 譲れないものがある以上……僕だって、全力で君を倒す!!」

「上等だ。かかってきやがれレイジ!!」

 

「――リオン、お願い!」

「ゾロアーク、行け!」

『レイジ選手の一体目はリザードン、そしてカイリ選手はゾロアークを繰り出しました』

 

(始まるのね……あの2人のバトルが)

もはや、あの2人の実力は四天王クラスだ。

そんな2人のぶつかり合いが何をもたらすのか、まったく予想がつかない。

一瞬たりとも見逃すわけにはいかない、シロナはそう思い自然と表情を強ばらせた。

 

「先攻はレイジ選手となります――」

『…………』

睨み合う両者。

互いに譲れないもののために、今戦いの幕が。

 

「―ー試合開始!!」

その声により、遂に開かれた。

 

「リオン、かえんほうしゃだ!!」

初めから全力の攻撃を放つリオン。

「かわしてシャドークローだ!!」

それを瞬時に避け、一息で間合いを詰めるゾロアーク。

 

「ほのおのパンチ!!」

 

鈍い銀光を放つシャドークローを、ほのおのパンチで迎え撃つ。

防がれたと知るや、ゾロアークはリオンの顔に蹴りを放つ。

首を右に動かし、それを避けるリオン。

それと同時に、蹴りを放ってきたゾロアークの脚を掴み、地面へと叩きつけようとし。

身体を回転させリオンの腕から逃れ、ゾロアークは側転の要領で間合いを離した。

 

『序盤から凄まじい攻防です!! どちらも一歩も譲らない!!』

「す、凄い戦いだね……」

「……さすがカイリとレイジといった所かしら」

「――まだ始まったばかりだったか」

「あっ、ロストさん」

「昨日から姿が見えなかったようですが、一体どこに行っていたんですか?」

「ちょっと気になる事があってトキワまで行ってきた。

 それはともかく、2人の勝負はまだ始まったばかりだな?」

「はい。リオンとゾロアークの戦いですよ」

そうか、そう相槌を打ちながら席に座るロスト。

 

(トキワに何の用だったのかしら……)

気にはなったが、今はレイジ達の試合に集中しようと、シロナは再びフィールドに視線を向けた。

 

「リオン、飛んで!!」

翼を羽ばたかせ、空へと飛翔するリオン。

「逃がすなゾロアーク、あくのはどう!!」

そこに、ゾロアークのあくのはどうが迫る。

 

「ブラストバーン!!」

それをブラストバーンで砕き、ゾロアークごと反撃した。

炎に包まれるフィールド。

しかし――そこにゾロアークの姿はない。

 

「上!!」

レイジの声に反応し、リオンが顔を真上に上げた瞬間。

槍のようなゾロアークの蹴りが、リオンを地面へと叩き落としていく。

空中でバランスをとり、両手両脚を用いて着地するリオン。

その間にも、ゾロアークは次の攻撃を仕掛けようと迫る―――!

 

「ナイトバースト!!」

〈調子に乗ってんじゃねえぞコラァッ!!〉

 

ナイトバーストを放つ前に、リオンがそう叫びゾロアークの脚を再び掴み上げる。

そして、力任せに地面へと叩きつけた―――!

 

そのパワーは凄まじく、フィールドに小さなクレーターができるほど。

二回、三回とフィールドに叩きつけ、雄叫びと共に力任せに投げつける。

爆音を響かせ、壁にめり込むゾロアーク。

 

「ゾロアーク!!」

かなりの衝撃だ、それなりにダメージを与えたとは思うが……。

それでも、煙の中からゾロアークはしっかりとした足取りでフィールドへと戻ってきた。

 

(まともに受けたのに……なんて体力だ)

「――やるじゃねえか」

「そっちもね」

 

「ゾロアーク、シャドーブレイド!!」

シャドークローを展開し、遠く離れたその場で振り下ろす。

すると、爪から漆黒の刃が放たれリオンへと向かっていく。

「かえんほうしゃ!!」

それを全弾かえんほうしゃで蹴散らし、再び飛翔するリオン。

 

「リオン、フレアドライブだ!!」

全身を蒼い炎で包み、ゾロアークへと突撃する。

それを。

 

「ゾロアーク、『ギガ・スパイラル・ブレイカー』だ!!」

 

「なっ――!?」

 

飛び上がり、ゾロアークが仕掛けたのはギガインパクト。

しかしただのギガインパクトではなく、ゾロアークは凄まじい回転を施しながらリオンへと向かっていく。

そしてぶつかり合い——リオンの身体がフィールドの外まで吹き飛ばされた。

「リオン!!」

叩きつけられた壁の瓦礫に埋まり、どうにか這い出してくるリオンだったが。

 

「リザードン戦闘不能!ゾロアークの勝ち!!」

そのまま前のめりに倒れ込み、戦闘不能へと陥ってしまった。

 

『まず序盤を征したのはカイリ選手のゾロアークだ!!』

「あのギガインパクト……普通のとは比べものにならない威力だね……」

「自分の身体を高速回転させる事によって発生するエネルギーを上乗せさせる事によって、ギガインパクトの威力を底上げしたようね」

それを差し引いても、ゾロアークのパワーは凄まじいものだ。

しかし……反動ダメージもそれに比例して大きいらしい、肩で大きく息をしている様子を見ればわかった。

(レイジくん、二体目はどうするの?)

 

「――アクセル、お願い!!」

『レイジ選手、二体目のポケモンはリオルだ!』

 

「きゃっ!!」

アクセルが出た瞬間、可愛らしい悲鳴を上げたシロナ。

何事かとそちらに視線を向けてみると、何故か彼女の手持ちであるルカリオがボールから飛び出してきたのだ。

「ルカリオ、一体どうしたの?」

〈勝手に出た事は謝る、だが……アクセルの様子が少しな……〉

「……アクセルがどうかしたの?」

〈どこか様子がおかしいわけじゃない、だが……あいつの波導が凄まじいまでに静かなんだ〉

「波導が、静か?」

そう言われても、いまいちピンとこない。

 

〈簡単に言えば、ひどく落ち着いているんだ。――落ち着きすぎてると言えるくらいにな〉

「…………」

ルカリオの言葉は、正直マスターであるシロナにも理解しがたい言葉だった。

しかし……その言葉は、きっと何かしら重要な意味を持つものなのだろう。

 

「アクセル、落ち着いてね?」

〈はい……父上〉

瞳を閉じ、手を前に出し円の形を動かしながらゆっくりと息を吐いた。

さながら精神統一をしているかのような動きに、ゾロアークも無意識のうちに警戒心を現す。

「ゾロアーク、大丈夫か?」

頷くゾロアークに、カイリは指示を告げた。

 

「よし、ならシャドークローだ!!」

再び間合いを詰め、シャドークローを繰り出すゾロアーク。

しかし、アクセルはその場から動かない。

瞳を閉じたまま、微動だにせず。

 

「――――」

 

パンッ、という乾いた音が響き……。

ゾロアークの攻撃が、当たり前のように弾かれてしまった。

弾かれた、そう理解したゾロアークだが、あまりにも呆気なく回避されてしまい、思考が追いつかず。

 

「――はっけい」

トンと、軽く右手をゾロアークの身体に当て。

砲撃のような一撃が、ゾロアークを吹き飛ばした。

 

「ゾロアーク!!」

空中でバランスをとり、着地するゾロアークだったが、ダメージが大きいのか片膝をつく。

(今の動き、一体何だってんだ………!)

まるで引き寄せられたかのようにゾロアークの攻撃は外れ、代わりに吸い込まれるようにアクセルの攻撃は当たった。

 

「ゾロアーク、シャドーボールだ!!」

相手の攻撃が理解できない以上、近距離で攻めるのは得策ではない。

そう思い、遠距離からのシャドーボールで攻撃を仕掛けるゾロアーク。

〈―――ふっ!〉

向かってくるシャドーボールを、真っ向から迎え撃ったアクセルは。

ふわりと、柔らかな動きであっさりと攻撃を避けてしまった。

 

「なっ………」

「アクセル、きあいパンチ!!」

〈ハッ―――!〉

 

一息で踏み込み、渾身の拳を叩き込むアクセル。

避けようとするゾロアークだが、先程のはっけいのダメージが大きいのかその場から動けず。

まともにきあいパンチを受け、地面に倒れ込んでしまった。

 

「ゾロアーク戦闘不能!リオルの勝ち!!」

『なんとリオル、不思議な動きでゾロアークを圧倒しました!!』

 

「えっ、えっ?」

「今の動きは……」

〈……やはり、な〉

混乱するカグヤ達の中で、ルカリオは納得したようにぽつりとそう呟いた。

「ルカリオ、何がやっぱりなの?」

〈あいつの波導がやけに静かだと思ったのだが、攻撃を受け流し反撃する戦い方をする為に、ギリギリまで己の波導を小さくしたんだ〉

「えっと……つまり、どういうこと?」

〈つまりあいつは、波導を極限まで小さくする事で攻撃を確実に弾き、カウンターを繰り出したという事だ〉

 

己の心を無とし、全ての攻撃をやさしく弾いてその力すら利用しての反撃。

ゾロアークの攻撃があっさりと弾かれたのも、アクセルが受け流す構えをとっていたから。

その後すぐに己の波導を極限まで上げ、ゾロアークのパワーすら利用して反撃した事により、こうも簡単に倒す事ができたのだ。

 

〈まだまだ未熟かと思ったが……なかなかやるじゃないか)

好敵手を見つけたような眼で、アクセルを睨むルカリオ。

「ルカリオ、解説ありがとう」

そう言いながら、シロナはルカリオをボールに戻す。

 

「いいんですか?」

「いいの。これ以上アクセルの活躍を生で見せたら乱入しそうになるから」

「乱入って……」

シロナのルカリオは、なかなかに好戦的な性格のようだ。

 

「……あれ!?」

「カグヤ、どうかしたの?」

「見てあれ! アクセルが……」

「えっ?」

何事かとアクセルに視線を送ると。

 

――彼の身体が、光に包まれている。

 

「これってもしかして……」

「進化、ね……」

シロナの言葉が放たれた時には、既に光は収まり。

『なんとリオル、ここでルカリオへと進化いたしました!!』

 

「アクセル、おめでとう」

〈ありがとうございます、父上!〉

身体は大きくなり、顔つきも逞しいものになったが、相変わらず無邪気な笑顔は健在のようだ。

 

「ゾロアーク、お疲れさん。……さて、まだまだこれからだぜ!!」

「…………」

「フローゼル、出てきてくれ!!」

『カイリ選手、二体目はフローゼルです!!』

〈何が来ようとも、僕には通用しない!!〉

「どうかな? フローゼル、アクアジェット!」

 

水に包まれ、アクセルに向かって突撃するフローゼル。

それを注意を払いながら、アクセルは再びあの構えを。

そして、互いの身体がぶつかる瞬間――フローゼルの攻撃は、アクセルの前にあっさりと弾かれてしまった。

 

「はっけいだ!!」

先程と同じく、はっけいを叩き込もうとするアクセル。

「フローゼル、浮き袋を膨らませろ!!」

しかし、その瞬間フローゼルの身体にある大きな浮き袋が膨らみ、アクセルのはっけいを弾いてしまった。

〈な、に――!?〉

これには驚き、驚愕の声を上げるアクセル。

 

「うわぁ、フローゼルの浮き袋って凄い膨らむんだね……」

「フローゼルの浮き袋は人間1人を乗せられるくらい大きくなるのよ。

 でも……それにしたってアクセルのはっけいを防ぐなんて……」

しかもルカリオに進化してパワーも大幅に上がっているというのに、だ。

 

「たとえ攻撃を受け流したとしても、俺のフローゼルにアクセルの攻撃は通用しないぜ!!」

「…………」

たしかに、たいした防御力だとは思う。

しかし……完璧な防御などこの世には存在しない。

「アクセル、きあいだまだ!!」

〈ハッ―――!〉

渾身のきあいだま。

だが、フローゼルの浮き袋が再び膨らみきあいだまを弾いてしまう。

 

「無駄だぜレイジ!! フローゼル、アクアテール!!」

「アイアンテールだ!!」

アクアテールとアイアンテールのぶつかり合い。

互角だったのか、互いに吹き飛ばされた。

 

「れいとうビーム!!」

「かわして!!」

回避するよう指示を出すレイジだが。

〈ぐっ………!〉

バランスを崩したままでは無理だったのか、右腕にれいとうビームを受けてしまったアクセル。

 

『あーっと、ルカリオの右腕がれいとうビームの追加効果で凍りついてしまったー!!』

「これで右腕は使えないな!」

「……さーて、そいつはどうかな?」

「何……?」

「アクセル!!」

〈おぁぁぁぁぁっ!!〉

凍った右腕に力を込め、裂帛の雄叫びを上げるアクセル。

すると……凍りついている右腕から煙が立ち上り始めた。

その数秒後、アクセルの右腕を凍らせていた氷が粉々に砕け散る。

 

〈ふぅ……〉

確認のため、右腕を数回開いたり閉じたりを繰り返すアクセル。

「……ほのおのパンチで氷を無理矢理砕いたのかよ」

「さあ、勝負はこれからだ!!」

「―――上等!!」

 

「アクセル、はどうだんだ!!」

「フローゼル、みずのはどう!!」

はどうだんとみずのはどうがぶつかり合い、爆発が起きる。

その隙に、再び間合いを詰めるアクセルだが。

既にフローゼルは浮き袋を膨らませ、防御の体勢をとっていた。

 

「打ち砕くぞアクセル、『バニシングコンビネーション』だ!!」

〈くらえっ!!〉

フローゼルに向かって繰り出されたのは、あくのはどう。

だが、それはフローゼルの浮き袋の前に弾かれてしまい。

そう思った時には、りゅうのはどうがフローゼルに命中していた。

 

〈セイ―――!〉

続いて繰り出されたのはかわらわり。

 

「まさかレイジの奴……!」

ロストの声と、フローゼルの苦しげな声が重なった。

視線を向けると、浮き袋を膨らませたまま吹き飛ぶフローゼルの姿が。

(はっけいか……! 間違いない、アクセルの攻撃は………!)

〈だりゃあっ!!〉

弾丸のようにフローゼルに突き刺さるアクセルのとびひざげり。

怒濤の連続攻撃に、さすがのフローゼルにもダメージが行き渡る。

そんなフローゼルに追い討ちを掛けるかのように繰り出されたのは、スカイアッパー。

 

「フローゼル!!」

フローゼルの浮き袋が萎む。

そして、アクセルは空中で最後の一撃を繰り出そうと構え。

〈これで、最後だ!!〉

特大のはどうだんが、フローゼルを地面へと叩きつけた……。

 

ロストのルカリオの『フォースアサルト』。

そして、自身の『テトラコンビネーション』。

それを合わせたアクセルの新必殺技『バニシングコンビネーション』は。

 

「フローゼル戦闘不能!ルカリオの勝ち!!」

見事、絶大な防御力を誇るフローゼルを倒しきった――

 

 

 

 

To.Be.Continued...

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