ポケットモンスター 〜The Legend of Master〜【完結】   作:マイマイ

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遂に始まったレイジとカイリのフルバトル。

序盤はカイリ優勢だったものの、ルカリオに進化したアクセルの猛撃により、ゾロアーク、フローゼルと連続で撃破する。

はたして、カイリの次の手は……。


第59話 限界突破の超バトル!〜レイジ対カイリ!!〜

「――フローゼル、サンキューな」

ボールにフローゼルを戻し、別のボールを取り出すカイリ。

「アクセル、君も戻るんだ」

『バニシングコンビネーション』によって、アクセルは著しく体力を消耗してしまっている。

このままの流れで彼に戦ってもらいたいが、無理は禁物だ。

 

「ティナ、お願い!!」

『レイジ選手、三体目はサーナイトだ!!

 今日もサイコセイバーの活躍が期待されそうです!!』

「意外だな、もうティナを出してきたのか。――なら、俺もあいつを出すしかないな」

「…………」

 

空気が変わる。

カイリが手に持つボールに入ったポケモンは、おそらく……。

 

「ゴウカザル、頼んだぞ!!」

『出ましたー!! カイリ選手ここであのゴウカザルを繰り出しました!』

「レイジ、初めから全力で行かせてもらう!! ゴウカザル、オーバードライブだ!!」

「何―――!?」

刹那、スタジアムを包み込む灼熱の炎が、ゴウカザルから巻き起こった。

 

『カイリ選手、いきなりオーバードライブを繰り出したー!!』

〈なるほど……一気に勝負を決めるおつもりですか〉

熱気に顔をしかめながらも、ティナは両手を前に突き出す。

そうして出てきたのは……水の剣。

いつもサイコセイバーとは違う、水で作られた剣だった。

 

〈アクアリウムセイバー……炎には、水で勝負しましょう!!〉

「上等だぜ、そんな剣なんぞ蒸発させてやる!! ゴウカザル、かえんほうしゃ!!」

 

蒼白いかえんほうしゃ、もはやオーバーヒートに近い破壊力を秘めている。

それを、ティナは水の剣を十字に構え、真っ向から弾き飛ばす。

すぐさま踏み込み、横薙ぎに一閃。

避けられ、ゴウカザルのマッハパンチが迫る。

 

〈くっ………!〉

右の剣で受け止めるものの、やはり威力では負けるのか完全に受け流せず後ろに退がった。

すかさずゴウカザルがティナとの間合いを詰め、ほのおのパンチ。

今度は左の剣で弾き、右の剣で突きを放つ。

「オーバーヒート!!」

「っ、ティナ、避けるんだ!!」

至近距離からのオーバーヒート。

それをまさしく間一髪で回避するティナだったが。

 

「う、く………!」

右腕が、痛々しく焼かれていた……。

 

(回避が間に合わなかったのか………!)

「いくら水の剣だからって、俺のゴウカザルを止められると思うなよ!!」

チャンスとばかりに尚も迫るゴウカザル。

痛みに耐えながら、再び水の剣を展開するティナ。

 

〈っ〉

しかし、右の剣をすぐさま落としてしまう。

やはり先程のオーバーヒートのダメージは想像以上だったらしく、左の剣だけでどうにか防御の構えをとるが。

〈ぐ、ぁ………!〉

それだけでは防御など間に合うはずもなく、マッハパンチをその身に受けてしまった。

 

『ゴウカザルのマッハパンチがサーナイトにクリティカルヒット!!

 これはかなりのダメージになったぞー!!』

「ティナ、戻って!!」

これ以上は被害を増やすだけだ、そう思いティナをボールに戻すレイジ。

 

「……拙いわね」

それを見ていたシロナは、おもわずそう呟いていた。

「拙いって……何がですか?」

「流れが完全にカイリへと向かってる、それにレイジくんにとって切り札であるティナも深刻なダメージを負った。

 このままだと、レイジくんは間違いなく負けてしまうわ」

「そんな………!」

そんな事シロナも思いたくはないが、このままでは確実にその言葉が真実となる。

(それにしても……カイリも凄いわ。流れを掴むためにオーバードライブを躊躇いなく使うなんて……)

今回は、彼の作戦勝ちだ。

 

「――ルギア、君の出番だ!!」

『ここでレイジ選手、ルギアを出しましたー!』

「情けないぞマスター、まんまとカイリの策に乗せられおって!!」

「返す言葉もないよ、でも……今は君に頼るしかないんだ」

「わかっておる。余がティナの代わりに見事ゴウカザルを倒してみせようぞマスター!!」

 

「ゴウカザル、かえんほうしゃだ!!」

「ルギア、ハイドロポンプ!!」

ゴウカザルのかえんほうしゃと、ルギアのハイドロポンプ。

凄まじい両者のぶつかり合いは、辛うじて互角の戦いを繰り広げていた。

「ちっ……なんという馬鹿力だこのゴウカザルは!!」

「マッハパンチ!!」

「飛んで!!」

迫るマッハパンチを、飛翔する事によって回避するルギア。

 

「フレアドライブ!!」

「ルギア、エアロブラストだ!!」

フレアドライブを放つゴウカザルを、ルギアは真っ向からエアロブラストで迎え撃つ。

両者の技が激突した瞬間、凄まじい爆発が起きフィールドを包み込んだ。

 

「インファイト!!!」

「何………!?」

気づいた時にはもう遅かった。

いつの間に移動していたのか、背中に立つゴウカザルのインファイトを受け、ルギアは地面へと叩きつけられる。

 

「フルパワーでオーバーヒート!!」

「ルギア!!」

「くっ……余を侮るでない!!」

 

顔だけゴウカザルに向け、特大のふぶきを放つルギア。

オーバーヒートとぶつかり合い、互角の勝負に持ち込む。

その時――ルギアの瞳が妖しく光った。

瞬間、ゴウカザルの身体が宙に浮き始めた。

 

「やべぇ、サイコキネシスか!?

 ゴウカザル、どうにか振り払え!!」

パワー全開でサイコキネシスの呪縛から逃れようとするゴウカザルだが、ルギアの前ではそんなもの意味をなさない。

「よくも好き勝手やってくれたな!! 余の力を見せてやろう!!」

「ハイドロポンプ!!」

弱点であるハイドロポンプを、動けないゴウカザルへとおもいっきり叩き込む。

たまらず吹き飛ぶゴウカザルだが……ハイドロポンプの直撃を受けても、まだ健在だった。

 

「ちっ……なんちゅう身体をしているのだあやつは……」

「でも効いてないわけじゃない、このまま押し切るよルギア!!」

「わかっておる!!」

「――ゴウカザル、戻れ!!」

「っ」

『カイリ選手、たまらずゴウカザルを戻してしまいました!!』

 

「ったく……このまま倒してしまいたかったのだがな」

「…………」

「カノン、頼むぜ!!」

『カイリ選手、続いてはラティアスです!!』

「……余が相手だからといって、随分と濃いメンバーをぶつけてくるものだ」

軽口を叩くルギアだが、その表情には若干の焦りが見えた。

 

「大丈夫だよルギア、君と僕が力を合わせれば必ず勝てる!!」

「……そんなの当然だろうマスター、わざわざ言わなくともわかっておる」

ぶっきらぼうにそう言い放つルギアだが、口元には嬉しそうな笑みを隠し切れていない。

 

「カノン、ラスターカノン!!」

「ハイドロポンプ!!」

凄まじい技のぶつかり合い、しかしどちらも負けてはおらず、互いの技が相殺される。

「はかいこうせん!!」

「カノン、こっちもはかいこうせんだ!!」

渾身の力を込めたはかいこうせんがぶつかり、凄まじい爆風が巻き起こった。

 

「ぐっ………!」

「きゃ……!」

それはルギア達にまで及び、余波によって両者共にフィールドの外まで吹き飛ばされてしまう。

 

『す、凄まじいまでの技のぶつかり合いです!! 間違いなく今大会最高峰と言えるでしょう!!』

「りゅうせいぐん!!」

放たれた都合二十近いりゅうせいぐんが、ルギアを連べ打ちにしようと迫る。

「ええいっ、鬱陶しい技だな!!」

「ルギア、ギガインパクト!!」

「任せいっ!!」

ギガインパクトを発動させ、迫り来るりゅうせいぐんを避け、あるいは蹴散らしながらカノンへと向かっていくルギア。

 

「こっちもギガインパクトだ!!」

「はいっ!!」

迫るルギアに、同じようにギガインパクトで迎え撃つカノン。

そして、両者がぶつかり合った瞬間――けたたましい爆音が響き、スタジアムが光に包まれた。

 

「うっ……!」

「くぁ……!」

おもわずフィールドから目を背けるレイジとカイリ。

……やがて光が収まり、結果を知ろうと視線を向けると。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

「ふぅ…ふぅ…ふぅ…」

『ラティアス、ルギア共に健在です!! しかし両者共にかなり体力を消耗しています!!』

 

「はっ、余はまだまだいけるさ……体力がなくなったのは、カノンだけだ」

「つ、強がりもそこまでいくと立派です、ね。

 あ、あなたの方こそ体力が尽きかけてるくせに……」

「ほ、ほぅ……存外に言いよるわ」

「な、なんでしたら、もっと言ってやりましょうか?」

「…………」

「…………」

「………ふふっ」

「………ははっ」

憎まれ口を叩き合ったと思ったら、今度はお互いに吹き出す両者。

 

「これだから強者とのバトルは面白い!! 余が本気で戦える相手など殆どいないからな。カノン、余は嬉しいぞ」

「それはどうも。……でも、勝つのは私です」

「たわけ。余に決まっているだろう!!」

お互いにボロボロだというのに、顔に浮かべている表情は笑顔。

お互いに嬉しいのだ、このように何の弊害もなく存分にバトルできるのが。

そして、それはもちろんマスターであるレイジ達も……。

 

「いくぜ、レイジ!!」

「来い、カイリ!!」

 

「カノン、りゅうのはどうだ!!」

「ルギア、ふぶき!!」

迫るりゅうのはどうを、ふぶきで押し返すルギア。

それを避け、再びりゅうのはどうを放とうとするカノンに、ルギアは素早く間合いを詰めた。

「はがねのつばさ!!」

カノンが技を放つより速く、ルギアの攻撃が命中する。

 

「負けるなカノン!!」

吹き飛ばされながらも、準備していたりゅうのはどうを解き放つカノン。

「ぐぁっ………!?」

さすがに避けられず、まともに攻撃を受けてしまった。

「はぁ…はぁ…くっ…」

フラフラながらも、カノンは再び身構える。

 

――だが。

 

「……マスター、すま…ぬ……」

「ルギア戦闘不能!! ラティアスの勝ち!」

『なんとぉーっ!? ルギア、ラティアスに倒されましたー!!』

この事態に、周りからは大きなどよめきが。

 

「そんな、ルギアが負けるなんて……!?」

「これで、流れは完全にカイリのものになったわね……」

「――ルギア、戻って」

ボールにルギアを戻し、唇を噛みしめるレイジ。

……彼女は悪くない、自分が未熟だったせいだ。

心の中でルギアに謝罪しつつ、別のボールを取り出す。

 

「カノン、まだ行けるか?」

「は、はい……大丈夫です!!」

限界まで頑張ってもらわねば勝てない、これはそういう勝負なのだ。

だから、カノンにはまだ戦ってもらわなくては……。

 

「――ヒカリ、お願い!」

『レイジ選手、ピカチュウを繰り出しました!』

「カノン、気をつけろよ!!」

「はい!!」

 

「ヒカリ、でんこうせっかだ!!」

「カノン、ラスターカノン!!」

でんこうせっかで向かってくるヒカリを、ラスターカノンで迎え撃つカノン。

それを避け、ヒカリはカノンとの間合いを詰め。

「アイアンテール!!」

「ドラゴンクロー!!」

真っ向から、おもいっきりぶつかり合う―――!

 

弾かれたのは――ヒカリだ。

そのまま空中に投げ出され、カノンはチャンスとばかりに追撃を仕掛けた。

 

「カノン、はかいこうせん!!」

迫るはかいこうせん。

しかし、空中ではヒカリは避けられない――!

 

「今だヒカリ、ボルテッカー・アイアンテール!!!」

「なにっ!?」

 

ヒカリの尻尾が黄金色に輝き、カノンのはかいこうせんを弾き飛ばす。

そして、そのまま落下しながらカノンに黄金色の尻尾を叩きつける!!

 

「―――、ぁ」

フィールドに落ち、動かなくなるカノン。

「ラティアス戦闘不能!ピカチュウの勝ち!!」

『ボルテッカーとアイアンテールの合体技で、見事ラティアスを撃破しましたー!!』

 

「ボルテッカー・アイアンテール……」

「ヒカリのパワー不足を補って余りある技ね。――これで、勝負はまだわからなくなった」

 

「カノン、戻れ。……すげえなヒカリ、いつの間にそんな技を思いついたんだ?」

カイリの問いに、ヒカリは得意げに胸を張った。

「けど、こいつ相手に勝てるかな……? ――エレキブル、頼むぜ!!」

『カイリ選手ここでエレキブルを出しました!』

 

「エレキブル………!」

「特性の電気エンジンでヒカリの電気技を封じる作戦ね……」

 

「負けるもんか……ヒカリ、でんこうせっか!」

「えっ……?」

圧倒的に不利なはずだ、だというのに何故ヒカリにそのまま戦わせるのか……。

「エレキブル、じしんだ!!」

「跳んで!!」

エレキブルが繰り出すじしんをジャンプで回避するヒカリ。

しかし、それでは次の攻撃の回避が……。

 

「でんこうせっか!!」

空中でのでんこうせっかの指示。

「げっ!!」

しかし、ヒカリはじしんによって舞い上がったフィールドの破片を器用に飛び移りながら移動を繰り返す。

 

「自分にかみなり!!」

更に移動しながら、自身にかみなりを繰り出すヒカリ。

(デュアルボルテッカーか……!?)

だが、たとえ絶大なパワーを誇るデュアルボルテッカーだとしても、エレキブルの特性の前では意味をなさない。

そればかりか、エレキブルがパワーアップするだけだ。

それはレイジとてわかっているはず、それなのに何故……。

後ろに跳び、エレキブルとの距離を離すヒカリ。

 

「今だヒカリ、デュアルボルテッカー!!」

「ピカピカピカピカピカピカ……ピッカッ!!」

デュアルボルテッカーでエレキブルに向かうヒカリ。

そして、攻撃が当たる瞬間。

 

「右!!」

レイジの指示で、ヒカリはエレキブルの右横を通り過ぎた。

 

「えっ!?」

慌ててそちらに身体を向けるエレキブル。

「左!!」

すぐさま移動し、再びエレキブルの背後へ。

エレキブルが身体を向けた瞬間―――

 

「デュアルボルテッカー・アイアンテール!!」

飛び上がり、上空から特大のアイアンテールを振り下ろす―――!

 

「無駄だレイジ!!」

いくらアイアンテールといえども、電気技である以上エレキブルの前では無意味――

 

「――――」

 

ズドンッ、という凄まじい衝撃音がフィールドに響く。

それと共に、壁を粉砕する音が響き。

エレキブルが、壁に叩き込まれていた……。

 

『な、なんと!? 電気技であるというのに、エレキブルにとてつもないダメージが行き渡ったー!?』

「な、何でだ!?」

「何でって、そんなの当たり前じゃないか。

 “アイアンテール”ははがねタイプの技なんだよ?」

「そんなの知ってるに決まってるだろ!! 俺が不思議に思ってんのはどうしてボルテッカーが付加された――」

 

そこまで言いかけ、カイリは気づく。

 

「……レイジ、お前やりやがったな?」

「まあね」

カイリの問いかけに、レイジはニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた。

 

「ど、どうして攻撃が届いたの……?」

観客として試合を見ていたカグヤ達も、カラクリに気づかない。

「簡単な事よ。ヒカリはエレキブルにアイアンテールを当てたのだから、ダメージを負ったの」

ただ一人、シロナを除いては。

 

「で、でもデュアルボルテッカーが……」

「デュアルボルテッカーのパワー“だけ”をアイアンテールに込めたの。

 つまり――あの技は電気タイプとはがねタイプ両方の属性を持っているという事よ」

あの時、ヒカリは確かにデュアルボルテッカーを発動させた。

しかしアイアンテールをエレキブルに当てる瞬間にデュアルボルテッカーを解除し、加速エネルギーだけをアイアンテールに込めたのだ。

 

「言ったよねカイリ、僕は絶対に負けないって。

 約束の為にも……なにより自分自身の為にも、絶対に負けられない!!」

 

 

 

 

To.Be.Continued...

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