ポケットモンスター 〜The Legend of Master〜【完結】   作:マイマイ

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激闘が続くレイジとカイリのフルバトル。

カイリの見事な戦略によって、レイジは追い込まれていた。

そして、ソウルにジャローダのリーフブレードが……。


第61話 決着の光〜レイジ対カイリ!!〜

「ソウル!!」

〈っ、くぅ………!?〉

ダメージが大きく、立ち上がれないソウル。

そこに、ジャローダの攻撃が……。

 

「まだだ……まだ諦めないで!!」

「これで終わりだ!!」

「ソウルー!!!」

振り下ろされるリーフブレード。

命中する、誰もがそう思った瞬間。

リーフブレードは空を切り、ソウルはフィールドの端に着地した。

 

(っ、まだそんな気力が残ってたのか………!)

「ソウル……」

〈まだ、諦められない。僕は……君の助けになるって誓ったんだ。なら……まだ終われない!!〉

「…………」

〈次で最後の攻撃になると思う。だから……全力の一撃で勝負を仕掛ける!!〉

「……わかったよ、ソウル」

彼女の気持ち、彼女の想いを無駄にしない。

そのためには。

 

「ソウル、ギガインパクトだ!!」

全力で、彼女の願いを聞き入れるのみ―――!

 

「ジャローダ、全力で迎え撃つぞ!!

 ――フルパワーでリーフブレイカーだ!!」

互いに信じるものの為に、最後の攻撃を仕掛けるソウルとジャローダ。

そして、両者はぶつかり合い――互いに弾き飛ばされる。

ジャローダは空中でバランスをとり着地するものの。

ソウルは、地面に叩きつけられてしまい……。

 

「アブソル戦闘不能! ジャローダの勝ち!!」

惜しくも、敗れ去ってしまった……。

 

『アブソル、素晴らしいガッツを見せてくれましたが、惜しくも敗れてしまいました!!

 しかしジャローダ、なんという強さでしょうか!!』

「……追い詰められた」

いくらダメージを負っているからとはいえ、レイジにはもうヒカリしか残されていない。

もはや、そうなればレイジに勝ち目は―――

 

「まだです」

「カグヤ……」

「まだ、ヒカリが残っています。まだ……レイジは負けていません」

「…………」

自分が情けなくなった。

カグヤは信じているというのに、どうして自分は彼を信じてあげられないのだろう、と。

シロナは、ぐっと拳を固く握りしめていた。

 

「――ありがとう、ソウル。ゆっくり休んで」

 

ソウルをボールに戻し、最後の一体……ヒカリを取り出す。

……正直、勝てるとは思っていない。

ジャローダを倒したところで、まだあのゴウカザルが残っている。

対するヒカリも、エレキブルとの戦いでのダメージがある。

だから――勝てる保証はゼロだ。

けれど、最後まで諦めないと誓ったのだから、ここで勝負を捨てるのは間違っている。

たとえ負けるとしても、後悔しない戦いができればそうでいい。

だから、レイジはまだ闘志を失っていなかった。

 

「ヒカリ、これで最後だ。悔いの残らない戦いを!!」

『さあ、レイジ選手最後のポケモンになりますピカチュウが現れました。

 はたして、カイリ選手がこのまま押し切るのか。それともレイジ選手が逆転するのか!!』

「勝つのは俺だ!!」

「さーて……そいつはどうかな?」

 

「ジャローダ、はっぱカッター!!」

「ヒカリ、10まんボルトだ!!」

迫り来るはっぱカッターを、10まんボルトで全て叩き落とす。

「でんこうせっか!!」

「リーフストーム!!」

猛スピードで突撃するヒカリを、リーフストームで迎え撃つジャローダ。

嵐のようなリーフストームを避け、飛び上がるヒカリ。

 

「アイアンテール!!」

「リーフブレード!!」

渾身のアイアンテール。

しかし読んでいたのか、あっさりとリーフブレードで防がれてしまう。

「もう一度跳んで!!」

ぶつかり合う衝撃を借りて、再び跳躍するヒカリ。

 

「甘いぞレイジ!! ジャローダ、リーフストームだ!!」

「ヒカリ、落下しながらボルテッカー!!」

「ピカピカピカピカピカピカ………!!」

 

迫るリーフストームを、落下しながらのボルテッカーで迎え撃つ。

ぶつかり合い、周りに熱風が流れそれは観客席にまで及んでいった。

リーフストームとボルテッカー、そのぶつかり合いの果ては――相殺。

互いの技は掻き消され、ヒカリはまっすぐジャローダに落ちていき。

 

「かみなりパンチ!!」

「なっ!?」

ヒカリの小さな拳が、ジャローダに触れた瞬間。

凄まじい電撃がジャローダを包み、そのまま後ろに倒れ込んだ。

 

「ジャローダ戦闘不能!ピカチュウの勝ち!!」

『まだまだ勝負はわかりません!! これでカイリ選手のポケモンも残り一体になりましたー!』

 

「ジャローダ、サンキューな。――レイジ、これで最期だな」

「………うん」

「本当に惜しいよ。もうすぐこのバトルが終わると思うと、残念だ。

 けど……これで白黒はっきり決まるぜ」

「僕が勝つか、それとも君が勝つか……」

「最後まで、すげえバトルにしようぜ!!」

「もちろんだ!!」

 

「ゴウカザル、お前で決めてやれ!!」

「ウッキャァッ!!」

「ピカッ!!」

睨み合い、闘志を燃やすゴウカザルとヒカリ。

レイジ達と同じく、互いに自分の全てを懸けてぶつかり合おうとしている。

 

「ゴウカザル、かえんほうしゃだ!!」

「ヒカリ、10まんボルト!!」

全ては、己が主に勝利をもたらすため。

最後の戦いが、今幕を開いた―――!

 

かえんほうしゃと10まんボルト、どちらも一歩たりとも負けていない。

「マッハパンチ!!」

「アイアンテール!!」

一撃、二撃、三撃………!

パワーもスピードも、両者共に互角、あまりのパワーにぶつかり合う衝撃が観客席の方まで届いた。

 

「レイジ、頑張って! 絶対に勝って!!」

「カイリ、負けないで!」

「レイジくん、お願い勝って!!」

「カイリさん、負けないでください!!」

カグヤもヒメカも、シロナもミカンも、おもわず立ち上がり気づけば大声を上げていた。

彼女達だけではない、周りの観客達もこの激闘に立ち上がって声援を送っていた。

 

『なんという素晴らしい戦いでしょうか!! 観客の皆様が立ち上がり応援するほどの激闘!!

 まさしく歴史に残る名勝負です!!』

「フレアドライブ!!」

「ボルテッカーだ!!」

「ウキィィァァァッ!!」

「ピカピカピカピカピカピカ……ピッカッ!!」

フレアドライブとボルテッカーがぶつかり、爆炎が舞う。

 

「マッハパンチ!!」

しかし、均衡を崩すかのようなゴウカザルのマッハパンチが、ヒカリを殴り飛ばす―――!

 

「かみなりだ!!」

身体を吹き飛ばされても尚、かみなりを放つヒカリ。

だが――それはゴウカザルに向けてではない。

 

(自分に………!)

黄金に輝くヒカリ。

「ゴウカザル、デュアルボルテッカーが来るぞ!!」

「………っ」

拳を握りしめ、最高の力で相手をしようとゴウカザルは身構える。

 

――ブルーフレア・バースト。

 

ゴウカザルの……否、カイリのポケモン達の中で間違いなく最強の必殺技が、繰り出されようとしていた。

壁を蹴り、どうにかフィールドに着地するヒカリ。

……しかし、デュアルボルテッカーでは届かないと理解したヒカリは。

 

「ピカーーーッ!!」

「な――」

「――に!?」

ヒカリは、もう一度自分にかみなりを落とした。

これにはレイジも驚く、自分の指示ではないからだ。

更に、もう一度自分にかみなりを落とすヒカリ。

 

「っ、ダメだヒカリ。これ以上は―――!」

 

これ以上は、ヒカリの身体が保たない。

確かに、単純にかみなりを自分にぶつければパワーは増す。

しかし……それに比例してヒカリの身体に掛かる負担も大きくなる。

だからこそ、レイジは今まで二回以上のかみなりは指示しなかった。

だというのに、ヒカリは既に三回ものかみなりを自分に当てた。

いまだかつてないほどのパワーを秘めているが、今までの戦いでダメージを受けているヒカリでは、命に関わるほどの負担が……。

 

〈――絶対に勝つんだ、ピカは!!〉

「――――」

〈今まで戦ってきたみんなの為にも、レイジの為にも負けない!!

 信じてレイジ、ピカは大丈夫。だから……指示を出して!!〉

「…………」

自分の為に、彼女はまさしく命を懸けている。

……本当なら、今すぐにでもやめさせたい。

これはポケモンバトル、命を懸けた戦いじゃない。

ここで負けても、また来年頑張ればいいだけだ。

でも――そんな選択は選べない。

選んでしまえば、今まで皆と戦ってきたこのバトルで、意味を残せなくなる。

そして、ヒカリの想いを無駄にするわけにはいかない。

 

「――信じてる」

掛ける言葉は、ただそれだけ。

けれどそれに込められた感謝の意を汲み取り、ヒカリは満面の笑みを彼に向けた。

 

「――ゴウカザル、レイジ達と戦えて、本当によかったよな?」

頷くゴウカザル。

「レイジがヒカリを信じるように、俺もお前を信じてる。

 だから――お前の思う通りに、おもいっきりやってこい!!」

「ウキャア!!」

 

――互いの想いが交差する。

 

信じる者の為に、決着をつけるために。

お互い、全力を出すためにも。

 

「――ヒカリ!!」

「――ゴウカザル!!」

まったく同時に、彼等はこのバトル最後の指示を告げた。

 

 

「フルパワーでボルテッカーだぁっ!!!」

「——ブルーフレア・バースト!!!」

 

 

「ピカピカピカピカピカピカピカピカ………!」

蒼き炎が、全てを包む。

そこへ、黄金の光が真っ向から立ち向かっていった―――!

 

「ピカ……ピカピカピカピカピカピカ!!」

歩みは遅く、しかし確実にカイリのブルーフレア・バーストの中を突き進んでいくヒカリ。

「ゴウカザル、負けるな!!」

「ヒカリ、そのまま突き進んで!!」

「ピカ…ピカ…ピカ…」

歩みを止め、その場に立ち止まるヒカリ。

 

「ヒカリ!!」

 

それでも負けじとその場に留まろうと踏ん張る彼女の気合は、素晴らしいものだ。

しかし……それも終わりが近い。

限界を超えた彼女に、もはや力などほとんど残されてはいなかった。

だが、それを責める事など誰にもできない、彼女はよくやった。

観客の誰もがそう思い、既に勝敗は決したと理解する。

……だが、それでも。

 

「ピカ、ピカ…ピカ、ピカ、ピカ……」

荒れ狂う炎の中で、ヒカリは再びゆっくりと脚を動かし始めた。

 

「なに!!?」

『ピカチュウ、再び動き始めました!!』

「ヒカリ、頑張れ……頑張るんだ!!」

止める事など許されない、真に彼女の事を想うなら止めるという選択は間違いでしかない。

レイジの声を聞き、ヒカリは瞳を見開き更に進む。

 

「くっ……ゴウカザル、あともう少しだ!!」

「負けるな、このまま撃ち貫け!!」

「ピカ…ピカ…ピカピカピカピカピカ……」

歩みは速くなり、加速していく。

黄金の光が、蒼い炎を超えていく。

 

――そして。

 

「いっけぇぇぇっ!!」

「ピカピカピカピカピカピカピカ……ピッカァァァァァッ!!!!」

遂にブルーフレア・バーストを打ち破り、ヒカリの身体がゴウカザルとぶつかった瞬間――

 

「うぁ………!!」

「くっ……!!」

視覚を狂わせるような白い閃光が、辺りを包み込んだ……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

――光が収まり、静寂が訪れる。

誰もが一時的な視覚障害に陥る中、レイジとカイリはいち早くフィールドの状況を確認しようと視線を向け……。

 

「あ」

結末を見て、同時にそんな声を出してしまった。

 

『うっ、く……し、試合はどうなったのでしょうか……?』

「いたた……目がおかしくなりそうだよ」

「し、試合は……どうなったの!?」

「………………えっ?」

「こ、これって……」

カグヤ達も、目の前の結果に目を見開いて驚いた。

何故なら……。

 

 

「――ピカチュウ、ゴウカザル、共に戦闘不能。

 よ、よって両者共に手持ち全てが戦闘不能により……ひ、引き分けとなります」

 

 

どよめきがスタジアムを包む。

 

『な、なんと……両者ダウンにより引き分け……こ、このような事は初めてです!!』

「マ、マジかよ……ひ、引き分けって……そんなのアリか!?」

「……これはまた」

なんとも、予想できない事態になってしまった。

しかし、そんな事今はどうでもいい。

レイジはすぐさまフィールドに走り、ヒカリを抱きかかえる。

 

(よく頑張ったよ、本当に頑張った……)

傷だらけのヒカリを優しく撫で、センターへと向かう為にフィールドを後にすると。

「おいおい、勝手に抜け出していいのかよ!?」

とは言いつつも、ゴウカザルを抱えてカイリも走ってやってきた。

 

「そういうカイリはどうなのさ?」

「それよかゴウカザルの方が大事だ!!」

「……試合放棄と見なされるかもしれないよ?」

「そん時はそん時さ、また来年頑張らなきゃいいだろ!!

 そういうお前はどうなんだよ?」

「試合よりヒカリの方が大事」

 

はっきりと言い切る。

それを見て、カイリはニカッと笑みを返した。

 

「だよな?」

「まあね」

レイジも笑みを返し、2人揃って仲良くセンターへと向かったのだった。

 

………。

 

「――もぅ、気持ちはわかるけど勝手にいなくなっちゃダメじゃない」

「いや、けどさ……みんな怪我してるし、ゴウカザルとヒカリは特にダメージがでかかったし……」

「そうだよ。試合よりティナ達の方が大事だから……」

「レイジ達らしいといえばらしいけど……勝手にいなくなったら心配するよ?」

「うっ……ごめん」

ヒメカとカグヤにたしなまれ、うなだれるレイジとカイリ。

 

――準決勝が終わり、今は夜。

ティナ達も無事に回復し、今は仲良くポケモンフーズを食べ合っている。

 

「しかし……どうなんだこれから」

「準決勝、引き分けたからね……」

準決勝が引き分けに終わる事など前代未聞だ、なので今はどうするのか協議している。

なので、決まるまで決勝戦はお預けだ。

 

「リターンマッチすりゃあいいじゃねえか」

「そういうわけにはいかないから協議しているんでしょうが。

 ――けど、本当にどうするのかしら?」

カイリに反論したものの、ヒメカも彼と同じ考えではある。

というより、他に方法はないと思うのだが。

 

「ところでロストさん」

「なんだ?」

「カグヤ達から聞いたんですけど、トキワに行っていたんですよね。一体何の用があったんですか?」

「あっ、そういえばそうでしたね。何の用だったんですか?」

「そうか……お前達は知らなかったんだな」

「知らないって、何がですか?」

再び訊くと、ロストは少し驚くような事を口にする。

 

「トキワシティにあるジムが、爆発事故を起こしたそうでな。気になって見に行っていたんだ」

 

「……爆発事故?」

「ああ。原因不明の事故らしい、閉鎖していたから怪我人は出なかったらしいが」

「なんか恐いね……」

「…………」

原因不明の爆発事故、それが妙に引っかかる。

そんな事がありえるのだろうか、それに……。

 

(初めてトキワシティに来た時、憎悪に満ちた声をジムの中から聞いたけど……それと何か関係しているんだろうか……)

 

あの声に込められた憎しみは、今でも思い出せば身体が震えるほど恐ろしいと思えるほどのものだ。

姿は見てない、けれどあの声の主は間違いなくトキワジムの中に居たはずだ。

……その人は、どうなったのだろう。

 

「レイジ、どうしたの?」

「えっ……?」

「ボーっとしてるけど、やっぱり今日のバトルで疲れちゃった?」

「あ、いや……うん、そうかな」

「そっか、じゃあもう休んだ方がいいんじゃないかな?」

「うん……そうだね」

立ち上がり、部屋へと向かうレイジ。

 

(……レイジ、どうしちゃったのかな?)

そんな彼を見て、カグヤは首を傾げたのだった。

 

 

 

 

To.Be.Continued...

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