ポケットモンスター 〜The Legend of Master〜【完結】   作:マイマイ

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ミュウツーとの戦いを終えたレイジとロスト。

しかし、セキエイ大会の試合はとうに始まっていた……。


第65話 レイジを待つ者達〜再び始まるセキエイ大会〜

「……さあ、そろそろ帰りましょうか?」

「そうだな……」

ルギアとティナとレジェンドをボールに戻し、リオンとライコウを場に出すレイジとロスト。

 

「ミュウツー、君はこれからどうする?」

「……行く当てはない、だが……これから自分は何の為に存在すればいいのか、考えながら生きていくつもりだ」

「……自分が何の為に、か」

「ロストさん……?」

 

「……ならばミュウツーよ、おれと一緒に来ないか?」

「えっ……?」

「何だと……?」

「おれには記憶がない、だから自分が何の為に存在しているのか……それを知るために世界中を旅している。

 目的が一緒なら、共に行かないか?」

「…………」

暫し、考え込むような表情になるミュウツー。

 

「……いいだろう。ならば宜しく頼む」

そう言って、ロストの前に立った。

そんなミュウツーに頷きを返し、モンスターボールを掲げるロスト。

ミュウツーはボールの中に入り……少しだけ揺れはしたが、すぐさま収まった。

 

「……ロストさん」

「……こいつは、おれと同じなのかもしれないな」

「えっ?」

「自分には何もないと、思い込んでいる子供なんだ。

 周りには自分を見てくれる者がいるのにそれに気づかない、少し前のおれと……同じだった」

「…………」

「ミュウツーはおれが責任を持って優しいポケモンにしてみせるよ。

 ――さあ、セキエイ高原に帰ろう」

「……はい」

ロストに任せれば、きっと大丈夫だ。

お願いします、そう小さく告げてから、レイジはリオンの背中に乗った。

 

〈なあ、レイジ〉

「なに?」

〈どうでもいいかもしんないけど、お前ちゃんとカグヤ達をなだめる方法とか考えてるか?〉

「…………」

リオンから顔を逸らすレイジ。

 

〈考えてないみたいだな、やっぱ〉

「そ、そんな事言われたって……仕方ないじゃないか。

 そんな暇なんてなかったし……」

〈そりゃあそうだけどよ、きっと今頃向こうでは大騒ぎだぞ?〉

「うっ……」

 

時計を見ると、既に時刻は午前9時を過ぎている。

どうするのか決まったにしろ決まらないにしろ、あんな書き置きしか残していない自分を捜している所かもしれない。

大会運営委員も知らせにやってくるだろうし……今頃、会場は大パニックになっているかもしれない。

自分の事など気にせずに、カイリとカグヤで決勝戦をしてくれていればいいのだが……。

 

〈俺は助けないからな?〉

「リオン、それは薄情だと思うけど……」

〈無理無理、カグヤは怒るとめちゃくちゃ恐いんだから。

 というわけで、自分でなんとかしろよ?〉

「…………」

無情なリオンに、つい拳を握りしめてしまうレイジ。

 

(……まあ、仕方ないよね)

勝手な行動をしたのは自分なのだ、ここはおとなしく怒られる事にしよう。

……しかし、やっぱり帰りたくなくなってしまうレイジなのであった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「――あれ?」

 

シロガネ山からセキエイ高原へと戻ってきたレイジ達。

しかし、なにやら様子がおかしい。

時刻は既に11時、どう考えても決勝戦が始まる時間だ。

だというのに、歓声の類がまったく聞こえないのは何故だろうか。

 

〈まだ試合が始まってねえんじゃねえか?〉

「そんなはずないよ、だっていくらギリギリまで僕を待っていてくれたとしても、この時間まで試合が始まるなんてありえないはずだし……」

 

だが、見た限りでは試合が始まっていないのもまた事実。

不思議に思いながら、地上に降り立つレイジ。

すると……。

 

「おかえりなさい、レイジくん」

「レイジ、おかえりー」

「え―――」

スタジアムの入口に、2人の女性がレイジの帰りを待ってくれていた。

1人はシロナ、そしてもう1人は……。

 

「カ、カグヤ!?」

そう、決勝戦をカイリと戦っているであろうと思われたカグヤだった。

これには、さすがのレイジも驚く。

 

「カグヤ、決勝戦はどうしたの!?」

「決勝戦? ああ……やってないよ」

「やってないって……どういう――」

「それより、早くこっちに来て!」

「みんなレイジくんを待っているんだから」

言いながら、レイジの両腕を掴みぐいぐい引っ張っていくシロナとカグヤ。

抗議の声を出そうにも、2人は「まあまあ」とか言いながらまったく聞き入れてくれない。

 

「ち、ちょっと待ってよ2人とも! 一体どうしたって――」

「行けばわかるよ」

「そうそう、だから今はおとなしくついてきて」

「ついてきてって……」

 

一体何をしたいのだろうかこの2人は。

そんな事を考えつつ、レイジはおとなしく2人についていくと……。

 

「――――えっ?」

辿り着いた先は――バトルフィールド。

『レイジ選手です! レイジ選手がスタジアムに帰ってきました!!』

レイジの登場により、スタジアムからは惜しみない歓声が響き渡る。

だが、当のレイジは当然ながら何がなんだかわかっていない。

 

「これは……?」

「ようやく帰ってきたか、おせえぞレイジ」

「カイリ、それにヒメカとミカンさんまで……。こ、これは一体どういう事なの?」

「それはボクから説明させてもらうよ」

そう言ってレイジの前に現れたのは、マントを翻した青年――カントーリーグチャンピオンのワタルだった。

 

「……ワタルさん」

「久しぶりだねレイジくん、キミのバトルはいつも楽しんで見させてもらってたよ」

「ワタルさん、これは一体どういう事なんですか? どうして決勝戦が始まってなくて……」

「それがね、カイリくんもカグヤくんもレイジがいない状態じゃ決勝戦を行わないと言い出してね」

「はぁっ!?」

 

おもわずカイリとカグヤに視線を向ける。

 

「そんなの当たり前だろうが、お前との決着をつけねえで決勝戦なんかできるかよ」

「私も。レイジがいない状態で決勝戦なんかできないよ」

「と、いうわけさ。だからボクとシロナで大会運営委員を脅……説得してね。

 観客のみんなも、キミが不戦敗になる事に納得できなかったから、快くキミの帰りを待っていてくれたんだ」

「そんな……でも、僕の我が儘で」

「キミはポケモンを救うためにシロガネ山に行ったんだろう?

 ボクはキミの人となりを完全に理解したわけではないけど、キミが理由もなく試合放棄するとは思えない。

 みんなだってそう思ったからこそ、待ってくれていたんだから」

「…………」

 

信じられなかった。

こんな……身勝手な理由で棄権した自分を、待っていてくれたなんて……。

 

「キミのバトルは素晴らしいものだ、人々を魅了する力がある。

 みんな、そんなキミのバトルが観たいから、こうやって待っていてくれたんだよ?」

「―――、ぁ」

頬を伝う、熱い液体。

「あらら……」

「おいおい、泣くことはねえだろ?」

「ご、ごめっ……でも、嬉しくて……」

自分を待ってくれた、この事実は……たまらなく嬉しい。

だから、レイジは我慢できずに涙を流した。

 

「さあ、感動するのはまだ早いよレイジくん。

 なんといっても進行が大幅にズレてしまったからね、すぐにカイリくんとのリターンマッチだ」

「リターンマッチ……」

「と言っても6体6のフルバトルじゃない、手持ちは一体だけのバトルになる。

 さあ、準備はできているかい?」

「は、はい!!」

「よっしゃ、絶対に負けないからなレイジ!!」

 

言いながら、自分のポジションへと移動していくカイリ。

レイジもすぐさまフィールドへと向かおうとして。

 

「レイジ!!」

「レイジくん!!」

まったくの同時に、カグヤとシロナに呼び止められた。

 

「何?」

「頑張ってね!」

「いいバトルを。応援してるわ」

優しくそう告げ、カグヤとシロナは観客席へと戻っていく。

そして、残るヒメカ達もカグヤ達の後を追ってフィールドを後にした。

 

「レイジくん、キミが勝つかカイリくんが勝つか……それはわからないけれど、お互いに悔いのないバトルをやってくれ!」

「――はい!!」

『さあ、いよいよレイジ選手とカイリ選手のリターンマッチが開始されようとしています。

 スタジアムは凄まじい熱気に包まれ、この激闘を心待ちにしてきたという事がわかるくらいです!!』

「…………」

 

出せるポケモンは、たった一体だけ。

……これで今度こそ決勝戦に進めるトレーナーが決まる。

自分か、それともカイリか。

どちらになるかはわからない、けれど……みんなが自分のバトルを観たい為に待っていてくれていた。

ならば、それに精一杯応えられるようなバトルをしてみせる。

 

「レイジ、今度こそ俺が勝つ!!」

「負けない……僕だって絶対に負けない!!」

『運命のリターンマッチ、はたして両者はどのポケモンを繰り出すのか!?』

 

「カノン、行け!!」

『カイリ選手はラティアスです!! そしてレイジ選手のポケモンは――』

「――ティナ、お願い!」

『出ましたー!! レイジ選手の繰り出したポケモンはサーナイトだ!!』

 

「ティナとカノン……」

「1対1……どっちが勝つのかしら……」

「先攻はカイリ選手からとなります!!」

 

(レイジ……俺は必ずお前に勝つぜ!!)

(負けない……絶対に、勝ってみせる!!)

みなぎる闘志を拳に込めて、少年達は互いに相手を睨む。そして――

 

「――試合、開始!!」

リターンマッチが、遂に幕を開いた―――!

 

「カノン、れいとうビーム!!」

「サイコセイバーだ!」

指示は同時に。

れいとうビームを放つカノン、それをティナは右の剣で切り払い間合いを詰める。

すかさず左の剣での切り上げ。

 

「かわしてドラゴンクロー!!」

カイリの指示が飛び出すと同時に、ティナの剣が空を切りすかさずカノンのドラゴンクローが迫るが……。

すぐに戻しておいた右の剣で、完全に防ぎきる。

 

〈……さすがに、やりますねカノン〉

「ティナこそ……でも、絶対に負けない!!」

〈それはわたくしの台詞です!!〉

激しくぶつかり合うサイコセイバーとドラゴンクロー、どちらもパワー、スピード共に互角であり、互いに弾き飛ばされ距離が離れる。

 

「カノン、りゅうせいぐん!!」

しかし、カノンは空中でバランスをとりながらもりゅうせいぐんを放つ。

都合二十以上の攻撃が、一斉にティナへと迫っていく―――!

 

「続いてりゅうのはどう!!」

 

りゅうせいぐんがティナに届く前に、次なる攻撃を仕掛けるカイリ。

……りゅうせいぐんだけではティナにダメージは与えられない。

しかし、たとえりゅうせいぐんを防がれても、間髪入れずに放ったりゅうのはどうには対処しきれないはずだ。

それはカイリだけではなく、カノンとて同じ気持ちだった。

だが――ティナの剣戟は彼等の目論見を真っ向から叩き潰す。

 

「ティナ!!」

短くレイジが彼女の名を呼んだ瞬間。

 

〈は―――っ!!〉

裂帛の気合いを込め、双剣を振り回すティナ。

その動きはただひたすらに速く、一振りで自分に襲いかかるりゅうせいぐん“だけ”を正確に叩き落としていく。

 

「なに―――っ!?」

「そんな……まさかあそこまで!?」

りゅうせいぐんといっても、すべての攻撃が対象に当たるわけではない。

ティナはそれを見極め、必要最低限の動きだけで完全に防いでいるのだ。

まるで舞を踊るかのようなティナの動きは、普通なら不意打ちになったであろうりゅうのはどうを一太刀で斬り裂き、カノンとの間合いを詰めていく。

 

「ドラゴンクローで迎え撃て!!」

さすがに驚愕に値するが、すぐさまカノンに指示を出すカイリ。

ドラゴンクローを発動させ、カノンは迫り来るティナにその爪を振り下ろして……。

〈わたくしの技は、剣だけではありませんよ?〉

そう告げながら、ティナはカノンの攻撃を回避すると同時に両手の剣を消し、そのまま空手をカノンの身体に添えて。

 

「シャドーボール!!」

至近距離から、シャドーボールを叩き込んだ!!

 

「カノン!!」

壁にまで吹き飛ばされるカノン、土煙が舞い彼女の姿が見えなくなる。

だが――ダメージを受けたのは彼女だけではなかった。

 

〈う、く……!?〉

「ティナ!?」

〈くっ……や、やりますね。まさかあの状況で反撃ができるなんて……〉

 

――あの瞬間。

シャドーボールが当たる寸前、カノンはティナの身体にみずのはどうを当てていたのだ。

カノンほどではないにしろ、ダメージによって顔をしかめるティナ。

 

「カノン、大丈夫だよな?」

「ええ、もちろんですよマスター」

「…………」

土煙から出てきたカノンの表情は、まだまだ余裕の色が見受けられた。

 

(やっぱり強い……カイリもカノンも、単純な強さだけじゃなくてコンビネーションも)

(くそっ、さすがレイジとティナのコンビだな、容易に攻撃を仕掛けたらこっちがやられちまう)

『どちらも一歩も譲らない凄い戦いだ!!

 次にどんな攻防になるか、まったく予想がつきません!!』

 

「カノン、ミストボール!!」

「ティナ、エナジーボールだ!!」

長距離からの攻撃は、互いに相殺という形に終わってしまう。

「ギガインパクト!!」

「ティナ、サイコセイバー!!」

『はぁぁぁぁっ!!!』

カノンのギガインパクトを、真っ向からサイコセイバーで弾くティナ。

しかし――今回は相殺という形では終わらなかった。

 

「ティナ!!」

〈ぅ、ぐ、ぁ………!〉

弾ききれず、その身体にギガインパクトの衝撃が襲い掛かる。

フィールドに倒れ、傷だらけの身体は見ていて痛々しかった。

 

「はかいこうせん!!」

「っ、サイコセイバーで斬り裂いて!!」

〈は、はい!!〉

レイジの声にどうにか反応し、迫り来るはかいこうせんを上半身を起こしただけの無理な体勢のまま、サイコセイバーで2つに分けた。

 

〈はぁ…はぁ…はぁ…〉

(……もう、あまり長くは保たない)

カノンの姿は、煙のせいで見る事ができない。

気配は感じるものの、ティナでは煙の中にいるポケモンを完全に感知する事は不可能だ。

だが――煙が晴れた時には。

 

「なっ――」

〈こ、これは……!?〉

既にティナを囲むような構図で、カノンは必殺の一撃を繰り出す準備を終えていた。

 

(ギガインパクト……でも違う!! カノンの周りに浮かぶ生命体は、ギガインパクトと同じくらいのパワーを――)

「レイジ、これで俺達の勝ちだな!!」

「…………」

「四発分もギガインパクトを展開されたら、さすがのお前とティナも――」

「さーて……そいつはどうかな?」

 

カイリが放とうとしているのは、スターダスト・ミラージュだ。

パワーの面では間違いなくティナを超えている、だというのに……レイジもティナも少しも戦意を喪失していない。

 

「なら……これで決着をつけてやるぜ!!」

「っ」

来る。

これを防がなければ、こちらの勝利は絶対にありえない。

 

「ティナ、フルパワーだ!!」

〈はい!!〉

左の剣を投げ捨て、右の剣を両手で握り全サイコパワーを込めていく。

(真っ向勝負するつもりか………!)

やはり、レイジは普通の方法では決して対抗してはこない。

……それが、たまらなくカイリの闘争心を掻き立てるのだ。

 

「カノン、手加減なしの真っ向勝負だ!!」

「はい!! ティナ、勝負よ!!」

〈来なさいカノン、わたくしの剣で……あなたの技を薙ぎ払ってあげましょう!!〉

「よっしゃ、カノン。行けーーーっ!!!

 ――スターダスト・ミラージュだぁぁぁっ!!」

刹那、エネルギー体を含めた四体のカノンが、囲むようにティナへと向かっていく。

 

「っ、は――!」

その場で跳躍し、カノンの攻撃を回避する。

しかし、そんな程度では彼女の追撃を逃れた事にはならず、すぐさまティナへと向かっていくカノン。

 

「これで終わりよ!!」

〈カノン、少し安易な追撃でしたね!!〉

「え―――」

剣を振りかざすティナ。

 

「今だティナ、スプレッドセイバー!!」

そして、剣を振り下ろした瞬間。

瞬く間に剣が光の粒子となり、りゅうせいぐんのようにカノンへと攻撃を仕掛けていく―――!

 

「きゃぁぁぁっ!!」

「カノン!?」

エネルギー体が消え、カノン自身もフィールドへと落ちていく。

「ティナ、そのままシャドーボール!!」

「負けるなカノン!!」

空中から、トドメのシャドーボールを放つティナ。

だが、カノンとてまだ負けたわけではない。空中でバランスを戻し迫り来るシャドーボールをなんとはかいこうせんで押し返す。

 

「何――!?」

〈くっ!?〉

身体を捻って攻撃を避けようとするティナだが、紙一重で回避できず弾かれ地面に叩きつけられてしまった。

「ティナ!?」

〈だ、大丈夫です……しかし、本当にしぶといですねカノンは……〉

 

「そ、それはこっちの台詞だよティナ……。

 まさか、スターダスト・ミラージュを破られるなんて思わなかった……」

両者共に限界が近く、誰もがまもなく勝敗を決すると感じていた。

それはもちろん、レイジ達も例外ではなかった……。

「まだ負けたわけじゃねえぞレイジ!! カノン、ドラゴンクローだ!!」

「負けるなティナ、もう一度サイコセイバー!!」

最後の接近戦、互いに一歩も譲らない攻撃を繰り広げていく。

 

『凄まじい接近戦だ!!はたしてこのバトルを征するのは一体どちらなのか!?』

 

「そんなの――」

〈決まってます!!〉

 

『勝つのは――』

 

「マスターよ!!」

〈お父様です!!〉

 

バキンッ、という甲高い音が鳴り響く。

カノンのドラゴンクローが、ティナの右の剣を砕いたのだ。

 

「貰った――!」

再びドラゴンクローを仕掛けるカノン。

〈――甘い!!〉

残る左の剣で弾き、この瞬間互いに打つ手が無くなる……。

 

 

――否、ティナにはまだ先の手が残されていた。

 

 

「――――」

カノンの視線が、ティナの右手に注がれる。

砕いたはずの剣。

しかし、カノンは失念していた。

彼女のサイコパワーの強大さを、そして……サイコセイバーの特性を。

 

――再生する剣。

決着は刹那に、けれど永遠とも思える時間の中。

 

〈――はっ!!〉

裂帛の気合いと共に、ティナは剣戟を放ち。

その太刀筋はカノンをしっかりと捉え――彼女を地面へと叩き込んでいた。

 

………。

 

静寂に包まれるスタジアム。

しかし、膝をつくティナとは違い、完全に地面に倒れているカノンの姿を捉え。

 

「ラティアス戦闘不能! サーナイトの勝ち!!

 よって勝者、マサラタウンのレイジ選手!!」

審判が決着の言葉を口にすると同時に――割れんばかりの拍手喝采が沸き起こった。

 

『決まったーっ!! 激闘を勝ち進んだのは、レイジ選手です!!

 よって決勝戦は、レイジ選手とカグヤ選手となります!!』

「…………はぁ、負けちまったな」

カノンをボールに戻しながら、ため息をつくカイリ。

そこには、確かな落胆の色が見受けられた。

 

「完敗だな。やっぱりすげえよお前は」

「……そんな事ない、どっちが勝ってもおかしくなかった」

「まあ、な……けど、やっばりお前の方が強かったって事さ」

「……ありがとう、カイリ」

「頑張れよ。カグヤとの決勝、すぐだからな」

「えっ……すぐって」

 

「なんでもスケジュールが立て込んでるらしくて、一時間後に決勝戦をするんだと。

 まあ、普通なら今頃決勝戦を行ってるから、当然といえば当然なんだろうけど」

「……なる程、それは確かに」

「ほら、早くセンターに行った方がいいんじゃねえか?」

「……そうだね」

鳴り止まぬ歓声に、ひとまず手を降って応えてから。

レイジは、カイリと共にフィールドを後にしてセンターへと向かったのだった。

 

 

 

 

To.Be.Continued...

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