ポケットモンスター 〜The Legend of Master〜【完結】   作:マイマイ

72 / 98
激闘が続く決勝戦。

互いに一歩も引かぬ中、レイジとカグヤのフルバトルは、確実に終わりへと近づいていた……。


第68話 決勝戦〜幼なじみの限界バトル!!〜 (後編)

「10まんボルト!!」

「上昇して!!」

迫る10まんボルトを、急上昇して回避するラティオス。

そのまま上昇を続け、太陽に隠れて見えなくなった。

「急降下しながらラスターパージ!!」

〈やはり、そう来ましたか………!〉

サイコセイバーを展開し、十字に構える。

 

――放たれるラスターパージ。

その凄まじい威力を、ティナは真っ向から受け止めた。

 

「ティナ、左の剣をシャドーブレイドに!!」

〈はい!!〉

サイコセイバーがティナの左手から消え、代わりに現れたのは――暗い闇色の剣。

〈っ、はぁっ!!〉

それを力任せに振り下ろし、文字通りラスターパージを斬り裂いた。

 

「ラティオス、ドラゴンクロー!!」

「ティナ、迎え撃つんだ!!」

迫るラティオスに、右の剣を振るう。

弾かれ、ティナの眼前に迫るドラゴンクロー。

左の剣で弾き、返す刀でラティオスの身体を。

 

「リフレクター!!」

〈っ、ちっ――!〉

リフレクターによって防がれたと理解した瞬間、ティナは瞬時にその場から離れる。

その一瞬後に、ラティオスのドラゴンクローが虚しく虚空を切った。

 

『凄まじい攻防です! ラティオスもサーナイトも互いに一歩も譲っておりません!!』

 

「ラティオス、ギガインパクト!!」

「ティナ、ギガインパクトごとラティオスに攻撃するんだ!!」

真っ直ぐこちらに向かってくるラティオスに、真っ向から双剣を振り下ろすティナ。

〈くっ、ぁ……!?〉

しかし、ラティオスのパワーは凄まじく弾き飛ばされてしまった。

 

「ティナのサイコセイバーを………!」

「さすがカノンの兄貴だぜ……パワーではラティオスが上か」

 

〈たいしたものですね……ですが!!〉

「ティナ、ふぶき!!」

「ラティオス、急上昇してギガインパクト!!」

ふぶきを回避し、再びギガインパクトで襲いかかるラティオス。

 

「今だティナ、ラティオスに飛び乗って!!」

「えっ!?」

跳躍し、ギガインパクトの上部に剣を突き刺し穴を空ける。

そして――そのままラティオスの身体に飛び乗った。

 

「ラティオス、振り下ろして!!」

「っ、この――!」

「ティナ、れいとうパンチ!!」

左手でラティオスの身体を掴みながら、右手で渾身のれいとうパンチを叩き込むティナ。

 

「ぐぁ――!!」

さすがに効いたのか、苦悶の声を上げるラティオスだったが。

「お返しだよティナ、10まんボルト!!」

〈っ、あぐっ!?〉

電撃に包まれるティナ、しかしまだ手は放さない。

 

「れいとうパンチ!!」

「ぐぅっ!!」

「10まんボルト!!」

〈うぁぁぁっ!!〉

『意地と意地とのぶつかり合いだー!!』

 

「頑張れティナ!!」

「ラティオス、頑張って!!」

高度はどんどん上昇していき、雲を突き抜けていく。

〈っ、くぁ………!〉

凄まじい重力がティナを襲い、つい力が緩んでしまった。

その瞬間、ラティオスは突然急降下を始め――

 

〈―――、ぁ〉

ティナの身体は、空へと投げ出されてしまった。

 

「ここで決める!!」

空中で一度止まり、ティナが隣で落ちていくのを確認してから、ドラゴンクローを叩き込む。

〈が、は――!?〉

苦悶の声を上げ、きりもみしながら落ちていくティナ。

 

「ラティオス、地上に戻ってフルパワーのラスターパージ!!」

ラティオス達の姿を視界に捉え、大声でそう指示を出すカグヤ。

指示を聞いたラティオスは、スピードを上げあっという間に地上へと辿り着く。

「ティナ!!」

だが、ティナは反応せずに落下を続けていき……下ではラティオスが攻撃の準備を終えていた。

 

「今だよラティオス、ラスターパージ!!」

雄叫びを上げ、フルパワーのラスターパージを放つラティオス。

「ティナーーーッ!!」

〈―――っっっ〉

レイジの全力の叫びに、ティナはようやく意識を取り戻した。

しかし、既にラスターパージはティナの眼前にまで――

 

「フルパワーでシャドーブレイド!!」

〈くっ―――あああぁぁぁぁぁぁっ!!!〉

裂帛の気合いと共に、漆黒の剣を両手に展開し、真っ向からラスターパージを斬り裂いていく!!

 

(どっちが――)

(――勝つ!?)

ラスターパージもシャドーブレイドも、互いに一歩も引かず鍔迫り合いが続いていく。

たが――終わりは唐突に訪れた。

 

「うわっ!!」

「きゃっ!!」

技のぶつかり合いにより発生した爆発が、フィールドを包み込む。

おもわず手で顔を防御し、煙から身を守った。

『す、凄まじい爆発です……はたして、両者はどうなったのか……』

 

煙が晴れていく。

そして、その結末は……意外なものへとなっていた。

 

「――ラティオス、サーナイト共に戦闘不能!』

『なんと結果は相討ちに終わりましたー!!』

 

「相討ちか………!」

「これで残ってるポケモンは互いに三体」

「レイジさんはリオンとルギア、そしてアクセル」

「そしてカグヤはメガニウム、カメックス、そしてエネコロロ」

「アクセルとエネコロロは無傷、カメックスとルギアはかなりのダメージを受けてる。

 そしてリオンとメガニウムは、殆どダメージを受けていない……」

「正真正銘の互角の勝負だな………!」

 

まだ、どちらが勝ちどちらが負けるかは予想できない。

しかしこの均衡が崩れた時が、勝敗を決する時だ。

 

「お疲れ様ラティオス、ゆっくり休んでね。

 ――結構自信あったんだけどなぁ、ところでシャドーブレイドってもしかしてあくタイプの剣なの?」

「そうだよ。エスパータイプのラスターパージに対抗するには、あくタイプのシャドーブレイドが一番だと思ったんだけどね……」

「これでお互いに三体同士、まだまだ負けないよ!!」

「僕もだ………!」

「それじゃあ私は……メガニウム、レディーゴー!!」

「リオン、お願い!!」

 

「メガニウムとリオン……タイプ的にはリオンが有利だけど……」

タイプの優劣が、勝敗を決めるレベルではなくなっている以上、それだけでは決定打にはなりはしない。

 

「かげぶんしん!!」

メガニウムの分身が、リオンを囲むように出現していく。

「リオン、あなをほる!」

「あなをほる……?」

おかしい、メガニウム相手にあなをほるでは決定打になるはずがない。

レイジとてそれがわかっているはず、だというのに何故――

 

「メガニウム、ひかりのかべ!!」

相手が何をしてくるかわからない、しかし少なくともあなをほるでの攻撃ではないだろう。

だからこそ、カグヤはメガニウムにそう指示を出す。

――瞬間。

 

「リオン、フレアドライブ!!」

「えっ!?」

爆音を響かせながら、メガニウムの真下からフレアドライブを発動させたリオンが飛び出してきた。

避ける事などもちろんできる筈も無く、メガニウムは空中へと吹き飛ばされ、勢いよく地面に叩きつけられた。

間違いなく大きなダメージを与えられたが、フレアドライブの反動で苦しそうな呼吸を繰り返すリオン。

 

「リオン、そのままほのおのパンチ!!」

かえんほうしゃでは半減される、だから物理技のほのおのパンチで攻撃する事に。

「メガニウム、つるのムチ!!」

拘束して動きを止めようとつるのムチを放つメガニウム。

それを、リオンは自ら手を伸ばしつるのムチを掴み上げた。

 

「えっ!?」

「リオン、決めて!!」

両手でつるのムチを掴み上げ、そのまま力任せに空中へと投げ飛ばし。

「ブラストバーン!!」

特大のブラストバーンを、メガニウムへと撃ち放った――!

 

「メガニウム!!」

地面に落ち、全身に火傷を負って動かなくなるメガニウム。

「メガニウム戦闘不能!リザードンの勝ち!!」

『レイジ選手、トリッキーな戦い方のメガニウムを見事なコンビネーションで撃破しました!!』

 

「お疲れ様メガニウム、うーん……凄い戦い方だったね。びっくりしちゃったよ」

そう言うカグヤの顔は、案の定楽しげだ。

「さあ、次はどうするのカグヤ?」

「そうだね……じゃあ、エネコロロ、レディーゴー!!」

(……カメックスじゃない?)

いくら手負いとはいえ、有利なカメックスで来ると思ったのだが……。

……しかしカグヤの事だ、何の考えもなしにエネコロロを出したとは思えない。

 

「リオン、かえんほうしゃだ!!」

長引かせる意味はない、一気に勝負を仕掛けようと攻撃を繰り出す。

それをひょいっと軽く避けるエネコロロだが……何故か反撃をしてこない。

「………?」

 

「――うん、よし。それじゃあエネコロロ、準備はいい?」

カグヤの声に鳴き声を返すエネコロロ。

一体何をする気なのか、警戒をしていると。

「エネコロロ、シャイニングダンス!!」

カグヤがそう指示を告げると同時に。

 

――顔面と右腕と腹部。

計三カ所に、謎の衝撃がリオンを襲った。

 

「えっ………!?」

〈うおお………!?〉

 

一体何をされたのか、まったく理解できない。

しかし、エネコロロによって攻撃されたという事だけは理解でき……混乱した。

ありえない、エネコロロの動きがまるで読めなかったのだ。

もちろんそれはリオンも同じ、だから彼の顔には驚愕に満ち溢れた表情が浮かんでいた。

エネコロロは、初めに立っていた場所から動いていない。

 

「ねえレイジ、こうそくいどうって技は知ってるよね?」

そんな技は知っている、ポケモンの素早さを上昇させる技だ。

「シャイニングダンスはかっこいい名前だけど、ただ単にこうそくいどうを強化した技なの。

 でも……性能は全然違うって事は、わかってくれたよね?」

「…………」

わかったというより、思い知らされた気分だ。

冗談ではない、このような動きがこうそくいどうと比べる事ができるわけがなかった。

 

「エネコロロはどうしてもパワー不足だし、スピードだってヒカリとかに比べると遅い。

 だからね、ならどちらかを限界まで引き上げればいいって思ったんだ」

その結果、短時間ながらも凄まじいスピードを手に入れる事ができた。

「それじゃあエネコロロ、踊っちゃえ!!」

再び消えるエネコロロの身体。

それと同時に、リオンの身体にはまた衝撃が走る。

「リオン、かえんほうしゃ!!」

反撃を試みるも、放つと同時にエネコロロの攻撃がリオンに命中してしまう。

 

「す、すげえ……なんだよあの動き」

「……あれは防ぎにくいわね」

「えっ、だけどロストさんのレジェンドみたいに広範囲の攻撃を出せば……」

「無理だろうな。あれはヒカリのライトニングとはまた違う」

 

「リオン、周りに向かってかえんほうしゃだ!!」

一点ではなく、広範囲にかえんほうしゃを吐き出すリオン。

これならば、多少は効くはず……。

 

「かみなり!!」

しかし。

その攻撃すら避けられ、エネコロロはリオンの背中へと回り込み特大のかみなりを浴びせる。

〈ぐあああああああっ!!?〉

たまらず絶叫し――そのまま倒れ込んでしまった。

 

「リザードン戦闘不能!エネコロロの勝ち!!」

『エネコロロの対応できない動きに、たまらずリザードンダウンだ!!』

 

「な、なんで避けられたんだよ……!?」

「簡単だ。攻撃を中断しすぐさま回避行動に移った。

 だが普通ならばそれは不可能ではある、しかし今のエネコロロの動きならそれも可能だろう」

今のエネコロロは相手が1の動きをする間に2の動きができる、それほどまでのスピードになっているのだ。

「それじゃあ、無敵じゃんか……」

(ところが、そう上手くもいかないのだがな……)

ぼやくようなカイリの呟きに、心の中でそう返すロスト。

 

「エネコロロ、戻って。そんでもって……カメックス、レディーゴー!」

「あれ? なんでエネコロロをチェンジしたんだ?」

「……あれ以上は保たないからな、エネコロロの身体が」

「それはどういう……」

「あの動きは身体の負担が大きすぎる、エネコロロは別段丈夫というわけではないから、あれだけのスピードを出し続ければ自滅してしまうさ」

だからこそ、エネコロロを休ませる為にカメックスにチェンジしたのだから。

 

「――ルギア、お願い!」

 

ボールからルギアを取り出す。

だが、ルギアは飛翔せずに地を着けた。

……ムウマージとの戦いで、かなりのダメージを受けているようだ。

だが無理もない、弱点のタイプの技を重点に受けてしまったのだ、戦闘力の低下は否めないが……なんとか頑張ってもらうしかない。

 

「カメックス、ハイドロカノン!!」

「ルギア、ハイドロポンプ!!」

凄まじい勢いで発射されたハイドロカノンを、ハイドロポンプで押し戻すルギア。

「くっ、ぁ……!」

「ルギア!!」

「……すまぬ、なんだか調子が……」

「…………」

 

おかしい。

いくらなんでも、ルギアの様子はあきらかにおかしかった。

確かにダメージは大きいだろう、パワーのあるムウマージに弱点である大技を受けたのだから。

だがそれでも、いつものルギアならばあそこまで苦しげには……。

 

「れいとうビーム!!」

「っ、かわして!!」

「くっ……!」

迫るれいとうビームに、ルギアは顔をしかめながらも羽ばたいて回避しようとするが。

「うぁぁぁぁっ!!」

「ルギア!!」

「えっ……?」

れいとうビームを受け苦悶の雄叫びを上げるルギアに、レイジではなくカグヤの方が驚いた。

 

(なんで……? ルギア、どうして避けられなかったの……?)

避けられると思っていた、しかし彼女は呆気なくカメックスの攻撃を受け倒れてしまう。

いつもとは違うルギアの様子に、試合中だというのにカグヤの思考は彼女に向けられた。

けれどその疑問は、他ならぬルギア自身が一番感じていた事だった。

 

(ぐっ、な、何故だ……あの程度の攻撃が、何故避けられぬ……?)

身体はだるく、動きたくないという考えが全身を支配していく。

戦う意欲はあるのに、身体がそれを望んではおらず拒否しているようだ。

(お、おのれ……動かぬか、余の身体!!

 このままでは、マスターに勝利を与える事ができなくな…る……)

ふっと、ルギアの全身から力が抜け――地面に伏してしまった。

 

「ルギア戦闘不能! カメックスの勝ち!!」

『なんとルギア、反撃できずに倒れてしまった! これでレイジ選手のポケモンは残り一体だ!!』

(……ルギア、一体どうしたんだ……?)

ボールの外から見てみても、彼女は苦しげな表情で顔をしかめている。

 

「おいおい、ルギアの奴簡単にやられちまったぞ……!?」

「でも、なんだか様子がおかしかったような気がしませんか?」

「確かに……動きが鈍かった」

「ムウマージとの戦いでかなりダメージを受けちまったからな」

(……本当に? 本当にそれが原因なの?)

 

カイリ達はその理由で自己完結してしまったようだが、シロナにはそうは思えなかった。

あの鈍い動き、そして苦しげな表情。

もしかしたら……何か病気を抱えているのだろうか。

 

「…………」

シロナと同じく、レイジもそんな結論に達してしまったからか、ルギアのボールを握ったままその場で動かなくなる。

このまま試合を無駄に長引かせる事などは許されない、しかし……彼女の様子がおかしいままにしておくわけには。

 

「――マスター、余の事は構わぬ」

 

「っ、ルギア……」

「少し疲れてしまい失態を晒してしまっただけだ、すまぬ……余がふがいないばかりにマスターには負荷を掛けた。

 ――このような事を余が言うのは些かおかしいかもしれぬが、一応応援だけでもさせてくれ」

そう言って、試合に集中するように呼びかけるルギア。

……心配だ。

心配だけど……彼女の気持ちを無駄にするわけにもいかなかった。

 

「……苦しくなったら、すぐに言ってね?」

「ふん、余はそこまで軟弱ではない。いいからマスターは戦いに集中しておけ」

「………わかった」

相変わらずのルギアに苦笑しつつも、レイジは最後のポケモンが入ったボールを手に取る。

 

「…………」

これで最後だ。

長かったセキエイ大会最後のバトル。

 

――必ず勝つ。

勝つと決めた以上――最後の最後まで諦めずに全力で戦う!!

 

「いくよカグヤ!!」

「うん!!」

「これで最後だ。――アクセル、お願い!!」

 

 

 

 

To.Be.Continued...

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。