ポケットモンスター 〜The Legend of Master〜【完結】   作:マイマイ

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突如として現れたレックウザ。

デッド化し、全てを焼き尽くそうとするレックウザに挑むレイジ達。

はたして、レイジ達はレックウザを止める事ができるのか!?


第75話 決戦、レックウザ〜セキエイ高原の死闘〜

「ルギア、ハイドロポンプ!! 

 アクセル、はどうだん!! ティナ、10まんボルトだ!!」

一斉に指示を出し、同時に大技を繰り出すティナ達。

水、電気、そして波導はレックウザに命中し……それだけ。

 

「っ、右!!」

「くっ―――!?」

煙を突き破り、はかいこうせんがレイジ達目掛けて放たれる。

いち早く察知したレイジの指示で、ルギアは無理矢理方向転換をし難を逃れるが……きりもみしながら地面に落ちていく。

「ちっ、この――」

空中でバランスをとり、どうにか地面との衝突を免れる。

 

〈僕達の攻撃が効いてない!?〉

「違う……デッド化で痛みを感じていないだけだ」

しかし、よもやここまでとは思わなかった、レイジは唇を噛みしめる。

幻のポケモン、そう呼ばれるに相応しい強さを誇っており、デッド化によって更に強さを増している。

 

「ラティオス、ラスターパージ!!」

「ガブリアス、はかいこうせん!!」

光線が、レックウザの側面へと命中する。

「カグヤ、シロナさん!」

「レジェンド、ブラストバーン!!」

更に下からは、凄まじい炎が放たれレックウザを包み込む。

 

「ロストさん!!」

「レイジ、観客達はカイリ達が救助している! おれ達はレックウザを止めるぞ!!」

「はい!!」

「来るわよ!!」

再び放たれる、レックウザのはかいこうせん。

地面を削り、その余波は熱風となってレイジ達を襲う。

 

「バカの一つ覚えのようにバカスカ撃ちおって! もう少し加減というものを知らんのか!!」

〈このままでは、セキエイ高原が………!〉

「レイジ、あの力でなんとかならないの!?」

「無理だ! あれだけ強大な存在だと、もっとダメージを与えて弱らせないと効果はない!!」

「よーし、だったらボコボコにしちゃえばいいんだね!!」

「……恐ろしい事を平然と言ってのけるな」

「けど、この場合カグヤの言う通りよ。力ずくで止めないと被害が広がるだけ!!」

 

「ティナ、サイコキネシスだ!!」

〈はい!!〉

手を翳し、サイコキネシスでレックウザの動きを封じようとするティナ。

しかし……彼女の顔からは苦悶の表情が。

〈くっ……なんて力……みなさん、早く攻撃を! あまり長くは保ちません!!〉

 

「ルギア、エアロブラスト!! アクセル、はどうだん!!」

「ラティオス、ラスターパージ!! エネコロロ、ふぶき!」

「ガブリアス、りゅうのはどう!!」

「レジェンド、シャイニングフレア!!」

動けないレックウザに向かって、最大パワーで攻撃を仕掛ける面々。

その時、レックウザが再び動き始める!!

だが、その瞬間に皆の攻撃が命中し、耳を塞ぎたくなるような爆発が巻き起こった。

 

「やったか……!?」

シャイニングフレアの反動により、肩で大きく息をするレジェンドを支えながら、ロストは空を睨む。

攻撃は命中した、それもあれだけの怒涛の連続攻撃を。

如何にレックウザとはいえ、あれだけの攻撃を受ければ……。

 

「――――」

 

そんな、バカな。

その言葉は、誰が放ったものだったのか。

それはわからない、わからないが……。

「どう、して……?」

震える声は、カグヤの口から。

 

――レックウザは、まだ健在だった

 

ダメージは確かにあるだろう、ところどころ傷だらけだ。

だが、それだけ。

あれだけの攻撃、あれだけの威力を一身に受けてもなお動けるなど、悪い夢を見ているようだ。

 

「ジギュァァァッ!!」

怒りか、はたまた狂った故の雄叫びか。

レックウザは再び激しい動きを繰り返し、それにより衝撃波が地上へと降り注いでいく。

「くぁ―――!」

「きゃっ!!」

まるで真空波のように容赦なくレイジ達を傷つけていくそれは、まるで鋭利な刃物だ。

人間などまともに受ければ細切れにされるそれを、各々のポケモン達が身を挺して守っていく。

 

〈くっ……このままじゃやられてしまう……!〉

「ちぃ――! こうなれば……!!」

降り注ぐ衝撃波を回避しながら、ルギアはレックウザへと向かっていく。

レックウザもそれに気づき、撃ち落とそうと二度はかいこうせんを放つ。

瞬間、ルギアは全神経を回避に専念しはかいこうせんの軌道から外れ。

「っ、ぐぅ―――!」

軌道から外れた、そう思ったのだが、左の翼が回避しきれずはかいこうせんの直撃を受け、焼けただれてしまう。

それでもルギアは羽ばたきを止めず、尚もレックウザに向かっていく。

 

「ルギア、アイアンヘッド!!」

レックウザの腹部に、渾身のアイアンヘッドが突き刺さる。

さすがにダメージが蓄積したのか、僅かにレックウザから苦悶の声が。

「いい加減目を覚まさぬかこの馬鹿者!!」

「エアロブラスト!!」

 

叫びながら、零距離からのエアロブラスト。

竜巻と化したそれは、レックウザの身体を削らんとばかりの勢いで放たれ、地面へと吹き飛ばしていく。

それと同時に、ティナとアクセルがルギアの背中から飛び降りた。

ティナの手にはサイコセイバー、そしてアクセルは両手にはどうだんを生み出している。

爆音と共に、レックウザがエアロブラストによって地面に叩きつけられる。

 

「ぐっ、ぁ………!」

「うわっ!!」

そこで力を使い果たしたのか、ルギアの身体がぐらりと揺れ地面へと落ちていく。

もちろん、その背中に乗ったレイジも例外なく落ちていき。

 

「ラティオス!!」

「ガブリアス!!」

ラティオスとガブリアスが、ルギアを受け止めゆっくりと地面へと降ろしてくれた。

「……すまぬな。ラティオス、ガブリアス」

「構わない。それより大丈夫か?」

「余は大丈夫だ。それよりマスターは……」

「僕は大丈夫。……ありがとうルギア、ゆっくり休んでて」

ルギアをボールに戻し、レイジは再び戦場へ。

 

〈はぁぁぁぁぁっ!!〉

その時には、上空からレックウザに向かって落ちているティナとアクセルの攻撃が、見事レックウザへと命中していた。

サイコセイバーとはどうだんの相乗攻撃。

その威力は凄まじく、レックウザを壁に叩きつけてしまうほど。

(今だ―――!)

左手で右腕を掴み、レックウザに向かって突き翳す。

 

――意識は内側に。

溢れる力を形に変え、レイジは力ある言葉を口にした。

 

「――在るべき姿に還るんだ、レックウザ!!」

 

黄金の光が右手から撃ち出され、それは優しくレックウザを包み込む。

「やった!!」

命中した、これでレックウザも元に戻るだろう。

後は、カイリ達と共に一般人の救助を……。

 

「ゴウカザル、フレアドライブ!!」

「え―――」

その声は、レイジ達から少し離れた場所から聞こえた。

それと同時に、レックウザに向かってゴウカザルがフレアドライブで突撃している光景が視界に入る。

何を、そんな言葉が口から出かけるが、レイジはすぐにその行動の意味を理解する。

 

――レイジの力を受けたはずなのに。

レックウザの口からは、殺気に満ちたはかいこうせんが……。

しかし、放たれる前にゴウカザルのフレアドライブにより再び壁に押し込まれた。

 

「カイリ!!」

「気をつけろレイジ、このレックウザ……お前の力が通じてないぞ!!」

「っ、そんなバカな……」

そんな事はありえない、だってこの力は全てのポケモンに有効な力のはずだ。

レックウザほど強大な力を秘めているポケモンには、弱らせなくては効果が薄いというのはわかっている、だから攻撃を加えてかなり弱らせたはずだというのに……。

まだ力が残っている? そんなはずはない、あれだけの攻撃を受けたのだ、レックウザといえどもあれ以上は……。

 

「だったら、モンスターボールで捕まえればいいんだよ!」

言うやいなや、モンスターボールを手に取りレックウザへと投げつけるカグヤ。

放物線を描き、モンスターボールはレックウザへと当たり――突如として発生した黒いプラズマによって、粉々に砕け散った。

 

「えっ!?」

「モンスターボールでもダメなのか!?」

「で、でも……この間は確かに」

「……改良されているのよ、デッドボールも」

「そんな……じゃあ、打つ手がないじゃないですか!?」

(……本当に打つ手はないのか?)

レイジの力でも、モンスターボールでも効果はない。

だとすると、レックウザを止める方法は……。

 

「――殺すか」

「――――」

すぐ横で、そんな物騒な言葉が飛び出す。

視線を向けると――いつの間にボールから出ていたのか、ミュウツーがレックウザを睨んでいた。

 

「ミュウツー……」

「甘いなお前は、まだ助ける気でいるならばすぐにそんな考えなど捨ててしまえ。危険な芽は、すぐに刈ってしまわねばな」

そう言って、殺気を放ち始めるミュウツー。

……本気だ。

本気でミュウツーは、レックウザを殺すつもりだ。

身体から湧き出る殺気を見ればわかる、ミュウツーは容赦なくレックウザを……。

 

「ま、待ってくれミュウツー!!」

「……お前は、どちらを救うつもりだ?」

「えっ……?」

「観客か? それともレックウザか?」

「そ、そんなの……」

「どっちも救う、などというくだらない考えを持つなら邪魔だ。

 下がっていろ、レックウザは……ワタシが始末する」

「…………」

 

「待て、ミュウツー」

しかし、そんなミュウツーを止めたのは、ロストの声。

 

「……貴様も、そのようなくだらない考えを持っているのか?」

侮蔑したようなミュウツーの瞳にも、ロストは一歩も退かない。

「……ここはレイジに任せろ、勝手な真似は……絶対に許さん」

「…………」

「ロストさん……」

「……救いたいという気持ちは、おれ達も一緒だからな」

「けど……」

自分の力では、レックウザを救えない。

救いたいと願っても、自分にはその力が……。

その時、レイジの肩をカイリは優しく叩く。

 

「自分の力を信じろよ、レイジ」

「カイリ……」

「レックウザを救えるのは、お前だけだ。

 俺達じゃ救えない、お前の……あの力が必要だ」

「…………」

 

〈っ、お父様、レックウザが!〉

「………っ」

再び暴れ始めるレックウザ。

……このままじゃ、また被害が。

「―――チッ」

舌打ちをしながら、ミュウツーはレックウザに両手を翳す。

すると、レックウザの動きがピタリと止まってしまった。

 

「サイコキネシス……!」

「す、すげえパワーだ」

「……フン、この程度なら造作もない。

 それよりどうする? 本気でレックウザを救うのか?」

「……救うよ」

「愚かだな。節操もなしに救いの手を差し伸べて、それが一体何になるというんだ?」

「…………」

「まあいい。お前が何をしようとワタシにとってはどうでもいい事だ。さっさと救いたいなら救えばいい」

 

そう言って、ミュウツーはレイジから視線を逸らす。

けれど、彼はサイコキネシスでレックウザの動きを止めるだけで、それ以上の攻撃を加える事はしない。

 

(……ありがとう、ミュウツー)

お礼の言葉は心の中で、レイジはゆっくりとレックウザに近づいていく。

「…………」

苦しい、痛い。

そんな感情が、今にも聞こえてきそうなほど、今のレックウザの姿は痛々しかった。

そんなレックウザに、レイジはそっと手を添え。

 

「っ、ぁ――!」

すぐさま、身体から離してしまった。

 

「…………」

添えた手のひらを見ると……焼けている。

まるでレックウザが拒むように、レイジの手が痛々しく傷ついていた。

「……これが、君の痛みなんだね、レックウザ」

ならば――この痛みさえも受け入れよう。

レイジはそう呟き、今度は両手でレックウザの身体に触れた。

 

「っ、あ、ぐ………!?」

痛い。

肉の焼ける嫌な音と臭いが、レイジに襲いかかる。

秒単位で、彼の手が死んでいく。

「レイジ!!」

カグヤの声にも、反応を返せない。

それほどまでの痛みと苦しみが、レイジの手から全身に響き渡っていた。

 

(ま、だ………!)

 

この手は放さない、放すわけにはいかない。

放せばもう無理だ、もう一度レックウザに触れる勇気は出せない。

だから放さない、この手は死んだって放すわけには―――!

 

「―――、ぁ」

でも、限界だって近い。

既に手の感覚はなく、痛みを痛みとして許容できない。

思考は定かではなく、これでは力を使うどころか意識さえ……。

そんな、中で。

1人の少女が、少年を必死で呼びかける。

 

「レイジ!!」

「――――」

振り向くと、そこにはレイジの腕を握っているカグヤの姿が。

それだけではない。

「レイジくん!!」

反対側の腕をシロナが握り、必死にレイジの名を呼んでいる。

……挫けかけた心が、再び立ち上がる。

痛みなど今は忘れろ、この刹那の間だけあらゆる感覚を封じ込めた。

意識は内側へ、先程よりも更に力を込めて。

 

 

「――在るべき姿に還るんだ、レックウザ!!」

もう一度、レイジは力ある言葉を解き放つ―――!

 

 

「ぐ、ぁ………!」

しかしまだ届かない、闇がレックウザの奥底まで行かせまいと防いでいる。

それを、少しずつ確実に取り払っていくが……。

「は、あ…ぐ……っ!!」

止まる。

歩んでいた足が、闇に呑まれていく。

そんな事は許されない、ここで諦めたら、誰がレックウザを救うというのか。

自分は1人ではない、すぐ傍にはかけがえのない人が、仲間がいる。

ならば、どうして諦める事ができようか。

 

(――届け)

必死に前へ、それだけを考えて歩みを進める。

(―――届け)

痛みも苦しみも、胸を穿つ全てを取り払って前へ。

(――――届け!)

何故なら、この身は。

 

「――届けぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

この身は、世界の理を守る為の身体なのだから―――!

 

………。

 

光が、爆発したかのように溢れる。

纏わりつく闇も、その光の前に消え去った。

 

「………は、ぁ」

ペタリと、その場に座り込む。

両手は——人には見せられないようなものになってしまったが、一応はくっついているようだ。

その点には安堵し、目を覚ましたレックウザへと視線を送る。

 

「……レックウザ、大丈夫?」

声を掛けるが、レックウザは答えない。

そして――雄叫びを上げて空へと飛んでいってしまった。

 

「あっ、おい!! 礼も言わずに帰るんじゃねえよ!!」

「カイリ、レックウザは人間に酷い目に遭わされたんだ。礼なんか言うはずないよ」

「それは、まあ……そうかもしんないけどよ」

むしろ、怒りに身を任せて襲われなかっただけマシだ。

おそらく、許してくれたのだと信じたい。

「……しかし、凄い事になっちゃったね……」

周りを見ると、瓦礫の山だけが広がっている。

地面は削られ、もう少し暴れられたら地形が変わってしまったかもしれない。

改めて幻のポケモンと呼ばれる存在が、凄まじい力を秘めていると気づかされ、身震いした。

 

「それよりレイジは大丈夫なの!?」

「あー、うん……まあ、あまり大丈夫じゃない」

と言いながら、大変な事になっている両手を皆に見せると。

『―――っ!!!??』

声にならない悲鳴を、上げられる羽目になってしまった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「――なる程、やはりこのような結末になったか」

自分の目の前で粉々になったデッドボールを眺めながら、ロキはたいして気にした様子もなくそう呟く。

このボールこそ、改良し見事レックウザを捕らえたデッドボールなのだが……これは捕らえたポケモンがボールの呪縛から逃れた証。

〈……よろしかったのですか? レックウザをみすみす手放すなど……〉

無礼を承知で、エルレイドはロキに意見するが、それでも彼は気にした様子もなく言葉を返す。

 

「これでレイジ以外の奴等を始末できればよかったが、レックウザ程度ならば代わりはいくらでもいる。

 それよりエルレイド、やはりあのサーナイトが死なずに済んでホッとしているようだな?」

〈……いえ、ただ……負けたままでいるのが嫌なだけです〉

エルレイドの答えに、ロキは満足げに口元を歪ませながら、目を閉じる。

(レイジの力はますます大きくなっている……これならば、あの計画が達成される日も近いか)

立ち上がり、コートを羽織るロキ。

 

「エルレイド、支度をしろ」

〈どちらへ、行かれるのですか?〉

エルレイドの問いに、ロキは寒気がするほど低い声で。

 

「――シンオウ地方へだ。そろそろ……動いてもいい頃なのでな」

そう言って、そのまま部屋を後にした。

 

 

 

 

To.Be.Continued...

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