死んだらヤママユになってた…どうしよう。   作:梅雨空 蒼穹

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プロローグ 「ヤママユになりました……どうしましょう」

どうも皆さん、こんにちは、またはこんばんは。

誰も名前など聞いてはいないでしょうが、まずは自己紹介を。

菅野(かんの) カンムリ それが僕の名前です。

 

僕は先程まで、通っている高校に向かっていました。

夏休み中でしたが、部活があるので、熱い日差しが照らしてくる中で重くなっていく身体を動かしていました。

疲れもあり、体調が宜しくなかったのもあり、意識は朦朧としてました。

冷たいスポーツドリンクを飲んで耐えながら、信号待ちしていた時です。

 

少し離れた位置から甲高い悲鳴が上がりました。

そちらの方を向いてみれば、まるで暴走列車の如く猛スピードのトラックがこちらへと突っ込んで来たのです。

そして、先程も言ったように、体調が大変宜しくなく、動くことが出来ませんでした。

 

気付けば、ドンッと音と共に、身体に衝撃と頭がシェイクされるような状態になりました。

足元には地面の感覚が無く、身体の自由も効きませんでした。

吹き飛ばされた衝撃で、僕はきっと空を飛んでいたんでしょう。

少ししたら、強い衝撃が身体を襲いました。

 

目の前の光景が少し、暗くなると、先程まで感じていた熱さがどんどん失われていったのです。

鈍っていた感覚が少しづつ、完全に無くなっていくのです。

動かなくなっていた頭でもわかりました。

 

死ぬのだと。

急速に冷たくなっていく身体。

四肢の感覚が既に無くなり、視界も闇が大半を占めている状況。

あぁ、僕は死ぬんだな……と。

心の奥にあったのは、怖いなという気持ちでした。

そんな事を思いながら、わたしはそのまま目を閉じました。

 

ですが、私は目を覚ましました。

それは消毒液の匂いが鼻を突くような病室ではなく、緑と静かな風が吹く、自然の中でした。

驚きましたよ、凄く。

何故か木に垂直になってましたし。

 

少しして落ち着いた後、自分の状況を理解しようとしました。

まず気付いたのは、木に張り付いてる事ですね。

それによって、身体が小さくなってることにも気付きました。

手足が6本に増え、広くなった視界には、暖かい黄色の触覚と、大きな羽がある事が分かりました。

 

体を動かして、木の上の方へと登ってみたりもしました。

足の鉤爪が重い体を支えてくれて、結構楽に登ることが出来ました。

上へと登り、枝の方へと移動してみれば、心地のいい風が体を撫でました。

風も吹いてる事なので、せっかくならと飛んでみようと思いました。

大きな羽だったので、動かすと結構大きめの音がなりました。

バタバタと音を立てながら、風に乗って飛んでみると、とても気持ちがいいものでした。

飛行船に乗ったことのある人はこんな気持ちだったのかな……と。

しばらく飛んでいると、気の根元に、キラリと輝く何かがありました。

近づいてみると、風化しかけていた鏡がありました。

まだ鏡として少しは使えたので、今の自分を見てみる事にしました。

 

鏡に写ったのは、太い体に、何倍にもデカイ羽。

少し長い触覚に、ふわふわな体毛。

ただデカイだけで、生き残る能力なんて何もなさそうな無害な大きい蛾。

ヤママユガ……そのヤママユになっていました。

……どうしましょう。




続かない。
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