ライザのアトリエ 秘密の錬金術士と不滅の絆   作:光蓮

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運命の交錯、そして始まり

 

転生してから17年。

 

夜白の今世の名前はカガル・フェイリア

 

種族は星霊竜獣(ステラドラグ)

転生でオリジナルの種族を望んだ影響で竜種、精霊の力を持つ獣"霊獣(スピリットビースト)"、カガルのスキル曰く星の核の欠片から生まれた生命体"星霊"の力が混ざった存在だ。

流石に覚醒はしていない為、魔王種こそ獲得しているが覚醒後のリムル程の理不尽な強さは無い。

因みに産まれながらの半精神生命体でもある。

 

固有スキルは壊炎(かいえん)浄水(じょうすい)霊鎧(れいがい)の3つ。

 

壊炎は物理的と霊的なエネルギーを内包し、触れたものを本来の用途で燃やす事も、破壊することも出来る白銀の炎。

毒を体に打ち込まれた際に自分の体をこれで燃やして毒だけを焼く等の激闘も出来る。

 

浄水は呪いや気に汚染された存在を洗い流し、清める煌めく水を操るスキル。

身に纏うように使用する事で毒や瘴気を弾く事が出来る。

 

 

霊鎧は自身の身に宿す因子を鎧として物質化させて纏うスキル。要は人間の姿のまま、竜種・霊獣・星霊の力を扱える戦闘形態のスキルだ。

尚、人間の姿で使えるスキルだから現状使用不可だ。

 

 

次にユニークスキル。

 

1つは理想家(ユメミルモノ)

権能は【思考加速】【森羅万象】【思念操作】【夢想再現】

リムル=テンペストの『大賢者(エイチアルモノ)』のようなスキルで魔素を元に物質を作り出すスキル。

カガルが『物語の主人公のような力を欲しい』と思った事から獲得した。

『大賢者』のように自我はあるが、俺自身の理解が早い為か基本的には演算サポートや解析鑑定の結果を報告する時や緊急時に話し掛けて来る程度。

 

2つ目は貪欲者(アヴァリス)

権能は【悪喰(あくじき)】【解析鑑定】【貯蔵】【能力吸収】【能力模倣】

喰らった物を解析し、魔素を貯蔵・取り込んだスキルや魔法を自分の力に変えたり、模倣したり出来るスキル。

『リムルのような喰らう力が欲しい』という思いから獲得した。

 

3つ目は天授者(サズカルモノ)

権能は【魔力分配】【治癒】【万全受胎】【水雷操作】

仲間に魔素を分け与える・治療する・子を成す際に両親が弱体化しないスキル。

 

『前世の母が看護師だった事』と『前世で親に子供を見せられなかったから、今世では子供が欲しい。けど弱体化は嫌だ』 という考えから獲得した。

 

とまぁ、なかなかのチート具合である。

 

彼が転生特典で要望した武器もちゃんとあり、名は『星導の帝剣(アデラフラグメント)』という名前の水晶のような透き通る刀身を持つ直剣だ。尚、名前は元から付いていた。

また転生特典である為か初めて握るのにとても手に馴染む感覚がある。尚、現状は人の姿になれないから正確には足で掴んだのだが……

また、カガル自身、転生してからそれなりに鍛えて一応転スラの朧流のように『秘想(ひそう)流』という独自の流派も作り、今は手が無いので拳を使う技は使えず、大体蹴り技しか使えないが人型を獲得すれば剣と拳の技も加わってバリエーションも増えるだろう。

 

ついでに言うと今のカガルの見た目は、深紫を基調に純白へと移ろう結晶の羽根と結晶状の竜鱗の脚を持ち、白銀の炎を纏う鷹である。

通常の大きさは人間よりも大きいが、サイズ調整が可能で普通の鷹のサイズになったり、掌に収まるサイズにまで大きさを変えられる。

 

配下の魔物もこの17年の間に出来ている。

 

1匹目は見た目は全身白銀で、上翅が金色のコーカサスオオカブトの蟲型魔獣(インセクト)であるケラヴド。

 

 

2匹目はカラフルな髪色に触角の名残の様な2本のアホ毛があり、タンクトップ見たいな服の上からノースリーブのコートのような服とズボンを着た青年、宝玉海牛(ジュエルスラッグ)虹灼(コウシャク)

 

 

3匹目はゆるふわな水色の髪とアメジストの瞳を持つ太腿の中間くらいの短パンと白を基調にした青いベールがあしらわれた服を着た男の娘、幽海月(ジェリーゴースト)透麗(トウレイ)

 

 

4匹目は狐耳と黄色い瞳と肩より少しした辺りの白髪のセミロング、銀色の雪の結晶の刺繍が入った着物を着た少女、天霜狐(フローリーフォックス)真白(マシロ)

 

 

5匹目は灰色のパーマの上は暗緑色の丈の短い着物で、下が短パンという服装の少年、朧猿(ロウエン)灰羅(カイラ)

 

 

最後に猫耳に黒髪をサイドテールにしたスレンダーなミニスカくノ一の女性、暗夜猫(ミットキャット)闇澄(アンズ)

 

 

この6匹はカガルの配下になった元魔物になりかけていた動物達で、治療の際、カガルの魔素に当てられた事と名付けによって魔物化した。それぞれ虹灼がウミウシ、透麗がクラゲ、真白が狐、灰羅がキツネザル、 闇澄が黒猫の魔物だ。

 

彼等とは旅立つ数年前にカガルが焼肉でもしようかと森に入り、薪と肉を取っていた時に傷付いていた6匹に出会し、治療して焼いた肉と育ててた野菜や果物を分けたら懐かれ、そのまま名付けをして配下にした。

 

そして現在その配下6匹と2年前、15歳の誕生日から旅に出ている。

旅の経路は特に目的地も無かったので一年後に行く予定のライザ達の故郷であるクーケン島を除いた色々な所を巡っている。

 

ライザのアトリエ2の舞台である『アスラ・アム・バート』、ライザのアトリエ3のクレリア地方の『サルドニカ』にネメド地方にある『フィオレの里』は既に訪れた。

 

そして今、カガル達は次の目的地に向けて移動している。

カガルとケラヴドの人型になれない組は飛びながら、虹灼達人間の姿になれる組は木の枝から枝へと跳び移りなが移動していた。

 

「今更ですがカガル様、何故森、というより木の上を?」

 

「目立つだろ俺達全員。しかも俺とケラヴドは人の姿にになれないし」

 

「「「「「あぁ……」」」」」

 

「確かに」

 

普段街中ではスキルによる幻覚で人の姿に見せたり、影の中に潜んでたりするとはいえ、人よりも大きい鳥と虫に加えて、変装させててもカラフルな髪色の男やら極東の服やらくノ一やらを万が一見られたら目立つ処の騒ぎでは無い。そう思いながら木の枝から枝へと飛び移りながら移動していたその時だった。

 

「!……止まれ。前に何かが居る」

 

突如カガル達の進行方向に現れた異様な気配に進むのを止め、警戒を強めたその瞬間、目の前に白髪に赤い瞳、体に黒い包帯のような物を巻いた巨漢が現れた。

 

「レリ……!?」

 

突然現れた男の顔に驚いて動きを止めていたカガル達の足下に魔法陣が展開され、全員動く暇無く転送させられた。

転送された先は地面から高く離れた地点であり、周囲を見渡して目に入ったのは赤く暗い空に、赤紫色の大地が広がる世界、前世でゲームで見た風景に俺は目を見開いた。

 

「此処、オーリムか!?」

 

異界『オーリム』──原作キャラのオーレン族の故郷である異世界であり、今はオーリムの固有生物『フィルフサ』やクリント王国の被害を受け、殆どの大地が汚染されている。

 

そんな世界に強制転移させられたと認識したカガルが自分達が落ちて来た上空を見上げると既に自分達を転送した魔法陣は消えており、カガルは内心舌打ちをしつつ、下を向けばフィルフサの群れとカガルにとって見覚えのある1人のオーレン族が戦っていた。

 

「お前等!!取り敢えず下の敵と戦ってる方を援護!!」

 

「「「御意!!」」」

 

それを見たカガルは下に居た飛べるタイプのフィルフサをカガルは普通の鷹程度の大きさから人より大きい本来のサイズに体躯を元に戻し、ケラヴドとそれぞれ足と角で攻撃しつつ、虹灼達はそのまま緩衝材にして踏み潰しして着地し、戦っていたオーレン族"霊祈氏族"のキロ・シャイナスの横に並び立った。

 

「誰?」

 

「俺はカガル・フェイリア、取り敢えず味方だ。詳しい話は……」

 

カガルを捕食しようと突っ込んで来たダチョウのような巨大な怪鳥型のフィルフサの頭を右足で掴んで地面に叩き付け、更に頭を掴んだそのまま投げ飛ばし、後方に居たフィルフサにぶつけてぶっ飛ばし、それを押し退けて次から次へと湧き出て来るフィルフサに目を向けた。

 

「此奴等を倒してから、だ!!」

 

カガルの言葉にキロもその通りだと思い直したのかフィルフサの大群に向き直り、魔法を放ち、フィルフサを燃やしたり、凍らせたり、感電させたりしながらフィルフサを倒して行くが、百足のようなフィルフサが倒されたフィルフサの肉体を貪りながら貫き、キロに噛みつきに掛かった。

 

「させるか!!」

 

カガルがキロと百足型のフィルフサの間に割って入り、百足型のフィルフサの頭部を念の為に『浄水』を纏った左足で掴んで地面に勢いよく叩き付けた。

 

「秘想流……」

 

地面に叩きつけられた衝撃で身動きが取れず、体が波打った状態で浮かんだ百足型のフィルフサ目掛けて魔力で強化した足を勢いよく振るった。

 

波閃刃(はせんじん)!!」

 

勢いよく振るわれた足の爪部分から放たれた鋭く研ぎ澄まされた魔力で強化した斬撃を放ち、百足型のフィルフサを切り裂いたが、後ろから今度は蜂やカミキリムシのようなフィルフサ十数匹が一斉に猛スピードで突っ込んで来た。

 

「げっ!?」

 

足を振るった状態からすぐさま体勢を立て直して足で薙ぎ払っても残った数匹が俺の肉体を食いちぎるだろうとカガルは【思考加速】で考え、どうしたものかと加速した脳内で悩んでいたその時だった──。

 

「しゃがんで!!」

 

後ろから聞こえたキロの声に反応して咄嗟にしゃがんだ瞬間、カガルの頭上を魔力で作られた巨大な双剣が通り過ぎ、フィルフサ達を切り裂いた後飛んで来た火球によって灰になって消えた。

 

「助かった。やっぱり霊祈氏族は伊達じゃないな」

 

「君もね。魔物だけど普通の魔物と何か違うみたいだけど」

 

カガルはキロに礼を言いつつ、次々と襲い掛かって来るフィルフサを迎撃しつつ、仲間達を見ると各々散開して戦っており、ケラヴドは硬化した体で突撃してフィルフサの体に風穴を開け、虹灼は弓矢でフィルフサの四肢や翼を撃ち抜き、透麗と真白は透麗が水魔法で水浸しに、真白が氷漬けにし、各々の武器や手足で粉々に砕き、闇澄と灰羅はお互い何方かが糸で拘束し、闇澄は苦無、灰羅は刀でトドメを刺していく。

 

「(結構倒してるのに一向に数が減らないな。短時間で繁殖……いや召喚され続けてるなコレは)…ケラヴド!どっかに此奴等呼び続けてる魔法陣か何かがある!!俺は今手が離せないからお前が探せ!!」

 

その叫び声にフィルフサの体を連続でぶち抜いていたケラヴドが上空へと方向転換し、召喚の根源を探す為に飛び上がった。飛び上がったケラヴドは上空から周囲を見渡し、ある一点が目に入った。

 

「ありました!群れの一番後方!!それと奥に居る芋虫みたいなのからレーザーが来る!!」

 

その声にカガルがケラヴドの見ている方向に顔を向けると頭、というか芋虫のような体を持ち上げたワーム型のフィルフサが口内に光を貯め始めてるのが地上に居るカガル達の目でも確認出来た。

 

「虹灼と上に居るケラヴド以外集合!!虹灼は拡散して殲滅しろ!!」

 

「了解!!」

 

虹灼が前に飛び出し、ワームのようなフィルフサが大群の後方から放った光線を受け止めているその間に各々離れてフィルフサと戦っていた上に居るケラヴド以外がカガルの声で周りに集まったのを確認し、空間を遮断し全ての衝撃と究極能力以外の攻撃を無力化する結界『絶断無奏結界(アブソーデントフィールド)』を張った。

 

「(虹灼は光の類を吸収、反射して操作出来るが許容量は流石にある。みそろそろ限界が近い筈……)いいぞ!やれ!!」

 

拡乱光爆(プリズムブラスター)!!」

 

カガルの声を合図に虹灼は吸収したレーザーを威力を増幅させ、周囲に拡散しつつ操作して確実にフィルフサの大群を焼き払って現状出ていた全ての個体を殲滅し、それを確認したカガルは結界をそのままにその内部から飛び出した。

 

(フィルフサを召喚してる魔法陣は………彼処か!!)

 

飛び出してすぐ、少し先に見える魔法陣に向けて低空飛行で飛び出すが、その間にも魔法陣から次々とフィルフサが召喚されて湧いて出て来る。

 

(魔法陣の辿り着いて壊すまでは増えるだけ。それなら多少の被害は仕方ない!!彼奴等ごと魔法陣を地面を抉る!!)

 

『このまま走っても魔法陣を壊さない限りフィルフサに邪魔され、また近付くのに苦労する』と判断したカガルは、自分の前に魔力の光球を作り、それにかなりの量の魔素と『貪欲者』の【悪喰】の権能を加え、更に魔素を加えて圧縮に圧縮を重ねた光球を目の前に移動させ、嘴を大きく開けて飲み込んだ。

 

虚空滅獣砲(ヴォイド・ロア)!!」

 

そしてその光球の圧縮を口の中で解き、それに指向性を持たせて前方に居るフィルフサの大群と魔法陣に向けて放った。『貪欲者』の【悪喰】の権能の乗った光線は、フィルフサの大群と魔法陣を地面ごと抉り喰らって消滅させ、少し先まで地平線を広げた。

 

「よし、これで出て来ないだろ」

 

「やり過ぎです」

 

「此処までやらなくても良かったでしょうに……」

 

カガルがフィルフサの大群と魔法陣を壊せた事に満足していると上から降りて来たケラヴドと近付いて来た虹灼にジト目で見られた。いや、背中に突き刺さっている視線の数的に2人だけじゃなく他の4人とキロからもジト目で見られてる。それを感じ取ったカガルは雰囲気を変える為に咳払いをしつつ、改めて自己紹介をする事にした。

 

「コホンッ……改めて俺はカガル、カガル・フェイリア。向こうの世界の友好的な魔物だな。他にも事情があるが話すと長くなるから後回しで。後ろの魔物は俺の仲間、蟲はケラヴド、カラフルな髪色の男は虹灼、水色の髪は透麗、白髪の少女は真白、灰色の髪色の少年は灰羅、黒髪の女が闇澄だ」

 

「私はキロ・シャイナス。助けてくれてありがとう。この抉れた地面と地平線はともかく……」

 

「それは本当にすまん」

 

キロが抉れた地面と地平線を見て遠い目をするのを見て、カガルは思わず頭を下げたが彼女に「気にしないで」と言われた為、頭を上げ、せめても俺の持つ力をフルに使って出来る限り地形を修復した。

その後、カガルとキロ、ケラヴド達で倒したフィルフサの死体の処理をしている中でカガルは抱いた疑問をキロにぶつけた。

 

「向こうに来たフィルフサは何回かぶちのめした経験はあるがこんなに多種多様な見た目してたか?大体ハリネズミとかそんな見た目だったが」

 

「フィルフサには個体差はあるにはあるけどこんな見た目のフィルフサは数百年の間一度も見た事が無い。それに光線なんて撃って来た事も無い」

 

「成程な……じゃあこのフィルフサ達に関してはそこの岩陰に隠れてる奴に説明して貰おう」

 

カガルはそう言いながら振り向き、近くにある木の影で気配を消しているフィルフサについて知っているであろう人物に声を掛けた。

 

「出て来い"月の狩人"」

 

「気付いていたか……」

 

すると木の影から先程カガル達を此処、オーリムに転送した大男──『原神』の世界に存在した亡国カーンルイアの五大罪人の一人、死を冒涜した罪人「月の狩人」レリルが現れた。

 

「あからさまに俺に視線をぶけてくりゃあな。で、カーンルイアの五大罪人、それも異世界人がこの世界に居る」

 

「率直に言えばテイワットが何者かに侵略された」

 

「……何だと?」

 

「更に言えばもうテイワットを初めとした幾つもの世界が滅んでいる」

 

「………詳しく話せ」

 

レリルの口から出たに驚き、カガルが詳しく話すように要求した。

 

彼から詳しく聞いた話を要約すると『ある日、テイワットに侵略者を名乗る男が現れ、初めにスネージナヤを滅ぼし、その後は彼の気の赴くままに六国とナド・クライを襲撃し、七神やその国の重鎮や強者を殺害、更に途中からその侵略者の仲間も加わり、更にテイワットの滅亡は加速し、テイワットは滅んでしまった』という事らしい。その侵略者達は幾つもの世界を滅ぼして回っているらしくレリルもそれを目撃したらしい。

 

(原作に出て来なかった未知数の氷の女皇は兎も角残りのアルレッキーノ達を初めとする執行官や月神のコロンビーナ、ウェンティ達俗世の七執政、天理や旅人達が居て滅んだ?)

 

「俺は俺の居た月の扉の空間に侵略者の攻撃の余波が及び、その影響で俺はそこから出る事が出来た。そこから出た俺は出た場所がナド・クライだった事もあり、すぐに月神の元へと走った」

 

「そこで見たのは俺の友であり、不死である筈のダインが目の前で殺される姿だった。後に俺を助けた男から他の国の神々も一部は殺されたと聞いた」

 

そう話すレリルの声と顔は怒りと悲しみを滲ませつつも、それを抑える為なのか拳を強く握り過ぎて手から血が出ている。

 

「俺は怒りのまま敵を殺しに掛かったが逆に不死の呪いを持っていたが殺され掛けた。そんな時ある男に助けられた」

 

「それは誰だ?」

 

「分からない。フードを深く被った上、仮面で顔を隠していた、それに名前も名乗らなかったからな。何とか声と体格で男だと分かった程度だ。だが何故か信頼は出来ると思った」

 

「この世界の平行世界やテイワットを含めて俺の知る限り56の世界が滅ぼされている。今は恐らく100は超えている筈だ」

 

「俺に接触したのとオーリムに飛ばした理由は?」

 

「オーリムに飛ばしたのは俺を助けた男に渡された転移能力の転送先が此処だっただけだ。そしてお前に接触した理由は3つある。一つは助けた男にお前に接触するように言われていた。2つ目はその男にコレをお前に食わせろ、今のお前に必要な物だとも」

 

そう言うとレリルはカガルに向かって何かを放り投げた、カガルは自分に向かって放り投げられたそれを嘴で咥えて受け取り、スキルで見える位置に浮かせる。レリルに投げられたのは掌に収まるサイズの小さな菱形の結晶だった。

 

(何だコレ?)

 

『告。解析鑑定の結果と個体名:レリルの発言を元に推測すると何かの人型生物の肉体を圧縮・結晶にした物と推測されます』

 

『理想者』の解析によるとこれは人型の生物を結晶化させた後、小さく圧縮した物らしい。恐らくだがテイワットの住人の死体だろう。

……コレをカガルに渡したという事ははレリルを助けた奴はカガルを知っているという事になるが、現状カガルには深い交友関係を持つ者は1人も無い。

 

 

(いや、今は考えれば考えるだけ今は無駄。今は後回しで良いか。取り敢えずコレは【貯蔵】で収納しとこう)

 

カガルは『考えれば考えるだけ今は無駄だ』とこの考えは後回しにする事にし、レリルから渡された結晶を『貪欲家』の権能の一つ【貯蔵】で異空間に収容しておく事にした。

 

「あの男曰く『死に際の彼女から許可は得ている。彼女の意志を告げ』との事だ」

 

「そして、最後はお前に彼女を託したい」

 

そう言い、レリルは近くの木に凭れ掛からせて寝かせていたであろう1人の少女を抱え、カガルの元に連れて来た。彼に連れて来たのは黒い長髪を持ち、緑色を基調とした中華風の服を着た少女。彼女は……。

 

「藍硯?」

 

レリルと同じ『原神』に出て来る璃月の沈玉の谷の工芸品組合に所属する籐編み職人の少女、藍硯だった。しかし、彼女が身につけている筈の家族からの贈り物の銀の装飾が無く、体中に汗が滲み出し、息遣いも荒く、更には体中が黒紫の脈動する力に侵食されていた。そして何より右腕が丸ごと無くなっていた。

 

「この黒紫のはアビスの侵食か?」

 

「あぁ、奴等の中にドットーレ、だったか?そいつに匹敵するようなマッドサイエンティストが居る。アビスの侵食と右腕の欠損はそいつの実験の影響だ、お前が治せるかは賭けだったが」

 

「ちょっと待て、解析する……(『理想家』藍硯を治せるか?)」

 

『解。個体名:レリルのアビスの力を捕食する事によりアビスへの耐性を獲得する事でアビスの力の除去が可能になります。また、肉体の欠損は個体名:カガル・フェイリアの血肉で補強する事で修復が可能です』

 

「……肉体の欠損は俺の血肉で補強する事で治せるし、藍硯に侵食したアビス自体は多分完全に取り除ける。だがお前のアビスの力を少しくれ。アビスへの耐性が無いと流石に不安だ」

 

「分かった。残り少ないが使え」

 

レリルがそう言い、右掌に生み出したアビスの小さな球体をカガルは『貪欲者』で喰らい、その力の解析を開始し、少ししてから『理想者』の声が聞こえた。

 

『解析が完了しました。新規耐性『深淵属性無効』を獲得しました』

 

「よし、これなら行ける。貪れ『貪欲者』」

 

藍硯を【貯蔵】で取り出した布の上に寝かせると彼女の体に右足を体重が掛からないように軽く乗せ、肉体を侵食しているアビスの力を『貪欲者』で貪り食らい、カガル自身の力に変換して取り除いていく。暫く時間が経った頃には藍硯の全身を蝕んでいたアビスの力は全て除去が完了し、彼女の荒かった息遣いも落ち着いたものとなり、全身を蝕んでいたアビスの力は全て消えた。

 

「よし、次は右腕か。やるのは初めてだが……肉体補強(ボディリペア)

 

次は藍硯の痛覚を『理想家』の【夢想再現】で麻痺させ、右翼の血肉を骨ごと分解し、操り、藍硯の右腕を形作る。そして、次は藍硯の体の神経と形作った右腕の神経を拒絶反応が出たりしないように繋げて行く。『理想家』の補助があるとはいえ流石に集中力が要る為かなりキツく、全身の羽根にしたに小さく汗を掻き始めたわ、

 

「ふぅ………これで良いだろう。あー、疲れた!!」

 

先程よりも長い時間を掛け、慎重に藍硯の神経とカガルの血肉で修復した右腕の神経を拒絶反応が出ないように繋ぎ終えた。長時間の集中作業あら解放されたカガルはその場に座り込み、大きな息を吐く。初めてこんな精密な作業をしたから本当に疲れた。

カガルは少し休んで息を整え、長時間の精密な集中作業で消費した体力が回復し終えると立ち上がり、レリル達の方へと顔を向けた。

 

「このまま此処で話すのもなんだ、場所を移そう。藍硯をせめて休める所に寝かせたい」

 

「なら私の拠点にしてる所に来て」

 

「助かる」

 

ひとまずカガル達は場所を移す事にし、、藍硯はカガルが治療したのもあり、彼が背中に乗せつつ、キロの案内で彼女が拠点にしている場所へと赴き、そこに着くと藍硯を治療の時に取り出した布の上に寝かせ、ケラヴド達に周囲の警戒を任せた。

 

「彼女が目覚めるまでは時間が掛かるだろう。お前はさっき渡した物を喰ったらどうだ?」

 

「それもそうだな」

 

レリルの『藍硯が目覚めるまでの間にさっき渡した結晶を喰ったらどうか』という言葉に同意したカガルは先程【貯蔵】で収納していた結晶を取り出して嘴で咥えて上に放り投げ、『貪欲者』を使いながら丸呑みにした。

 

『告。予見の鳥(アルコノスト)を捕食した事により、固有スキル【未来宣託】、人型への変化を獲得。それによって星霊竜獣から星霊妖竜(ホロウアーク)へと進化しました。続いて【霊鎧】が人型時に使用可能になりました』

 

(………おぉ。やっと人型になれるのか……ん?って事は全裸になるのか?)

 

結晶を喰らった瞬間、"世界の言葉"がカガルに聴こえ、17年振りの人型の肉体になれる事と獲得してから使用出来なかった【霊鎧】が使えるようになった事に喜びを浮かべる反面、初めて人間に擬態したリムルのように確実に全裸である事にカガルは顔が微妙な表情になった。

そんなカガルの表情を見て、疑問を抱いたのかレリルが声を掛けて来た。

 

「どうした?」

 

「いやな?人型に変身出来るようにはなったんだが、恐らく全裸でな」

 

「あぁ……」

 

「一応後ろを向いておく」

 

カガルの"人型になった時に全裸"発言にレリルとキロが体を後ろに向けた。2人が後ろを向いたのを確認すると爪で近くの木に変身後に身長を確認する為、10cmごとに横に線を20個刻んだ後、人型に変身を開始した。

 

その瞬間、カガルの体が魔素で出来た繭に包まれ、それから解き放たれた時には人の姿になっていた。

 

カガルは17年振りの人型の肉体に喜びを隠せず、笑みを浮かべつつも手を握ったり閉じたりし、足を動かして動くのに支障はないか確認し終えると、木に刻んだ線で身長を確認する。線の数は下から16個目より少し上で17個目よりも下でその中間辺りよりもほんの少しだけ低い。

大体163cm位の身長だ。

 

(下半身に男の象徴のアレがあるが体つきからして喰ったのはやっぱ女か。それも少女体型の……誰だ?)

 

自分が誰に変身したのか気になったカガルは【夢幻再現】で手鏡を作り、今の自分の顔を確認する。鏡に映ったのはミディアムヘアの頭に羽根、尖った耳が生えた少女の顔だった。

 

(霊獣の姿に影響されてるし、予告番組も見てないから分からんが髪色やらは違うんだろうが……多分リンネア、だよな?)

 

カガルが喰らったのはカガルが転生した後に実装されたナド・クライの冒険者協会の顧問、フェイのリンネアだったようで、手鏡には彼女と瓜二つの顔が手鏡には映っていた。

 

その見た目はカガルの変身前の見た目に影響されてか、

 

リンネアの桜色を帯びた金髪が深紫、水色の部分が純白に

 

瞳は左眼が琥珀色の瞳に淡い水色のハート、右眼が青緑の瞳にピンク色のハートに

 

歯は犬歯が竜のように鋭い牙に

 

足の太腿から脹脛にかけて結晶のような竜鱗模様が出来ていた。

 

あとさっきも言ったがスライムのリムルと違って性別がちゃんとあったからか、ちゃんと男の象徴はある。まぁ、リンネアの見た目に釣られてか体つきが女っぽくなっているが、要は男の娘だ。

 

(リムルになりたいとは思ったがまさか見た目もそれになるとは。っと、取り敢えず服着るか)

 

一先ず全裸で居る訳にはいかないので街で買ったり、暇な時に作ったりして【貯蔵】で溜め込んでいた服を取り出し、その中から今の見た目に似合う服を選んで着た。因みに選んだのは青緑の肩出しトップスに七分袖、黒のチョーカー、指抜きグローブと細いブレスレット、ベルトとチェーン付きのハイウエスト黒ショートパンツ、小型ポーチとボトル、ガーターストラップ、黒のショートブーツ。

 

……何処からどう見ても女の子にしか見えない。

 

「着替えたぞ」

 

着替え終えたカガルが2人に声を掛けると2人は後ろを向いていた体を戻し、その姿を目に収めると目を丸くした。

 

「殆ど女じゃないか……」

 

「見た目に似合う服を来たからな。こんな格好なのは何割かはノリだ」

 

ついでに言うと俺は前世から普段は真面目だがはっちゃける時ははっちゃけて、ノリには結構乗るタイプである。

 

2人はカガルの発言にもう何も言うまいと思ったのか再び沈黙し、カガルはその間どうしようか考えた結果、藍硯が目を覚ますまで『星導の帝剣』を使い、今の体に慣れる事にする事にし、2人から少し距離を取って慣らしを始めた。

 

 

 

 

 

「ん……ッ!?」

 

カガルが剣を使った体の動かし方の慣らしを終えてから暫くして藍硯が目を覚まし、寝起きで意識がハッキリとしていないのか横になったまま周囲を見渡し、少ししてから気を失う前の事を追い出したのか勢いよく体を起こした。

 

「目が覚めたか」

 

「此処は?それに貴方達は……」

 

「……一から話した方が良さそうだな」

 

目覚めたばかりの藍硯には酷だとは思ったが、カガルとレリルでテイワットが侵略者達の手により滅んだ事、藍硯自身は侵略者の内の一人の実験体にされていた事、レリルによって助け出され、肉体に侵食していたアビスや失っていた右腕は俺が除去・修復した事を話した。

 

「理解出来たか?」

 

「うん。つまりもうテイワットは無いんだね……」

 

「あぁ」

 

話を聞き、もう家族や友達には会えず、帰る場所もない事を理解した藍硯は暫くの間言葉を失ったまま俯いていた。
やがて肩が小さく震え始め、堪えていた感情が堰を切ったように溢れ出した。頬を伝う涙は止まらず、彼女は喉の奥から絞り出すような嗚咽を漏らした。当然だろう、慰めたい気持ちはあるがどう慰めたら良いか分からず、申し訳ないが目線でキロに慰めるように頼み、キロもそれが分かってくれたようで藍硯を慰めに行き、その間カガルとレリルはやれることが無いので声が聞こえない訳ではないが、聞き取りにくく、目の届く程度の離れた場所でケラヴド達と見張りをする事にした。

 

暫くしてからキロから「もう大丈夫」と声が掛かり、戻るとキロと泣いていたせいで目が赤くなり、腫れているものの、もう泣き止んでいた藍硯がいた。

 

「レリルさん、助けてくれてありがとう。カガルさんも体を治してくれてありがとう」

 

「気にするな。俺は助けられた恩を返しただけだ」

 

「俺も流石に放って置くわけには行かないし、そうじゃなくても治してたよ。あとカガルで良い」

 

それから暫くの間沈黙の時間が流れた。

 

カガルはこの3人にどういう話題を振れば良いのか、藍硯は泣き止んだばかりでどう切り出すか、キロはレリルと藍硯は話を聞く限り、クリント王国とは違う世界の人間、カガルに至っては今は人の姿で友好的とはいえ、魔物なのでどう話したものかと戸惑っている。そんな中、レリルが切り出した。

 

「率直に聞こうカガル。俺や藍硯、オーリムに知っていて、あの通常の魔物よりも強く人間並みの知性を持つ魔物を従えるお前は何者だ」

 

「………非現実的な話になるが全て事実だ。聞くか?」

 

レリル達が頷いたのを見たカガルは3人に

 

・まず大前提としてこの世界の産まれじゃなく、肉体はこの世界だが魂が違うが正しい事。

 

・前世の世界ではこの世界とテイワットでの旅人の旅路は前の世界では物語だった事。

 

・ある日、家に居たらある手紙が届き、分かりやすくいえば『異世界転生のご案内』と書いてあり、元々両親を無くしてから親戚から離れて生活していて、平凡な日常に退屈してたから『本当に転生出来るなら…』と思って開いたらマジだった事(本当はスマホに届いたメールだが手紙と言った方が分かりやすいだろうから言い換えた。内容も分かりやすいように変えちゃいるが大体一緒だし)

 

・本当に転生出来ると分かると『転生したらスライムだった件』という物語に出て来るスキルという能力とオリジナルの種族、武器を望み、この世界に転生した。

 

・転生し、旅に出るまでの間に名付けしたケラヴド達と15歳の誕生日に旅に出て今に至る。

 

 

 

「経緯としてはこんな感じだ。何か質問は?」

 

全て説明し終えると、レリル達3人は情報を頭で処理しようとしているのか揃って頭を抱えていたがいち早く整理し終えたレリルが多少げっそり*1としながら手を挙げて質問して来た。

 

「……転生者というのは別の世界からこの世界で生まれ変わった存在というのは何となくは理解出来る。だがスキルについて教えてくれ」

 

「助けてくれた奴から聞いてないのか?」

 

「彼奴等の言うスキルという力については大体の事はお前とお前の事情をついてに聞けば分かると言っていた」

 

「成程。そうだな……ちょっと待て」

 

カガルは『理想家』の【夢想再現】でホワイトボードとマーカーを創造し、そこにスキルとついでに転生者等、ついでに名付けについて書き込んでいく。

 

「纏めるとスキルと転生者とか、ついでに名付けに関してはこんな感じだ」

 

転移者……現実世界と異世界の間に開いた裂け目や魔素溜まりで出来るゲートなどに落ちた事で次元移動して来た者。←コレにクリント王国の門による移動は該当しない。

恐らく藍硯達はこれらのどっちか、もしくは両方に該当。

召喚者……人為的に呼び出された存在を指し、元の世界で自身が持っていた肉体を失うことなく召喚術によりこの世界へやって来た者。

 

転生者……生前の肉体が死んだ後、転生前の記憶を引き継いで転生した者全てを指す。←俺はコレ。

 

能力(スキル)

何らかの成長を世界が認めた時に獲得することがある能力。

獲得の契機は進化や、強い意志によるものなど様々であり、その他に種族特性として先天的に獲得している能力もある。

また、複数のスキルを獲得した場合に統合されて新たなスキルに成長する場合もある。

元々は星王竜ヴェルダナーヴァが定めた世界の法則に影響を及ぼせるように、ある程度のシステム化が為された代物で、意思ある者の“魂”に宿り、その純粋なエネルギーを糧にして発動する。

スキルの種類としては大まかに、四つあり、

共通能力(コモンスキル)

特別能力(エクストラスキル)

特殊能力(ユニークスキル)

究極能力(アルティメットスキル)

この四つに分類される。

 

エクストラスキル……コモンスキルより威力も性能も段違いに高いスキル

 

ユニークスキル……感情や願望が形となり望むまま固有の権能を与える

 

究極能力……一部の特別な域に至った極僅かな者だけが得る、天使や悪魔、神の名を冠したスキル

 

名付け…主に名無しの魔物に名前を与える儀式の事を指す。

基本的に魔物は名前を持たない為、上位の魔物が下位の魔物に名付けを行う事で下位の魔物に力が分け与えられ、下位の魔物はその力に応じて進化する。

 

レリルはホワイトボードに書かれた内容を見てながら顎に手を当てつつ、テイワットの侵略者の攻撃を思い出し直していた。

 

「成程……ならあの侵略者達は間違いなく究極能力の所持者だ。異空間にも及ぶ攻撃等それしか有り得ん」

 

「そうか………よし、全員スキルや転生者について理解したなら話を戻すぞ。さっき、というか此処に転移させられる前か、レリルが目の前に現れた時は驚いた。さっきの説明に合った通り、違う作品の登場人物で、しかも大物であるレリルが居たんだからな」

 

「それにそもそも俺の世界では物語だったのと、この世界に出てないだけかもしれんが俺の仲間の魔物達の種族は居ない。特にケラヴドなんか基軸世界ではテイワットでいう七神や龍王に匹敵する化け物の同族が居るぞ」

 

カガルの『ケラヴドの同族に七神に匹敵する存在が居る』という発言に、レリルと藍硯が周囲を警戒しつつ、藍硯が起きるまでの合間に小腹を満たす為にカガルが投げ渡した西瓜を食べているケラヴドに目を向けた。

 

「次に俺がこの世界に転生する時に望んだのはスキルと武器、種族だけ。テイワット関連の事は一切選んでない」

 

「可能性として思い浮かぶのは俺以外の転生者か、俺が転生した事によるバタフライエフェクト、最後に異世界からの侵略者。だが最初のは転生の時に規定で一つの世界に転生者は一人って決まりがあるらしいから残りのどっちか、もしくは両方だ」

 

「そんで、レリル。お前から改めて話を聞かせてくれ」

 

「あぁ、分かった。だがその前にお前は何処まで知っている?」

 

「旅人がドットーレを倒した後まで。要するにお前が月神と月の扉の空間で会った所まで」

 

「ならそこと先程話した部分は省こう。俺は助けられ、負った傷を癒した後、この世界に送られ、助けた者の言葉を信じ、この世界でテイワットを滅ぼした奴等の痕跡を追い、つい先日奴等の拠点の一つ、恐らく実験施設であろう場所を見つけ、攻め入った」

 

「目的は討伐ではなく、テイワットの人間の出来る限りの救出だ。勿論勝てるとは思っていなかったからな。施設に居たのは最初にテイワットに来た侵略者ではない、後から来た方の男だった。そいつは無限に武器を生み出して来る武具使いだった。俺は藍硯とあと2人を何とか救出し、実験施設から脱出しようとしたが改造された魔物や人間に道を阻まれていた」

 

「そこに俺を助けた奴に頼まれた同胞とその仲間が助けに来たんだ。その後も暫くは戦っていたが俺も彼奴も俺達では無限に湧いて来る改造生物に多勢に無勢な上、侵略者にはやはり勝てないと悟り、何とか撤退し、途中で別れた。救い出せたのはあの施設に居た藍硯を含めた3人だけ」

 

「あの施設に居たのは異世界から拉致された者の中の生き残り。テイワットに居た者は藍硯と同胞が助けた奴等だけだ。他の世界から連れて来たの者達は魔物にされて死んだか、実験に耐えきれずに死んだか、元々魔物だった。だがこの世界のオーレン族はかなりの数が居た」

 

そう言うとレリルはキロに視線を向け、こう言い放った。

 

「その中にキロ・シャイナス。お前の血縁も居た筈だ」

 

「え?」

 

「キロの血縁?名前と生存、今の場所は?」

 

「それは確認してある。オーレン族は皆獣人族(ライカンスロープ)になってはいたが何割かは生きてはいる。その中にシャイナスの名を持つ者が居た。確か『ロカ・シャイナス』という名前だった。彼恐らく別の施設に移送されている筈だ」

 

「………ロカが生きてる」

 

そう小さく呟いたキロは静かに涙を流し、泣き始めた。死んだと思っていた妹が生きている可能性が出て来たのだから当然だろう。泣き続けるキロにカガル達がどう声をかけたものかと戸惑っていると藍硯が先程自分にしてくれたように今度は彼女がキロを慰め始めた。藍硯がキロを慰め始める前に離れる機会を逃したカガルとレリルの2人はお互い気まずい雰囲気のまま2人を見つめていたが、レリルが2人の間に流れる空気を変える為にか、一枚の地図を俺に手渡して来た。

 

「この地図に記された場所へ行け。そこには俺の同胞が居る」

 

「分かった。そう言えば確かにさっき同胞って言ってたな、って事はカーンルイア人なんだろうが、俺が知ってる奴か?」

 

「天柱騎士、と言えばお前なら分かるか?」

 

「成程、カピターノ……スラーインか。彼なら納得だ」

 

藍硯がキロを慰めている間、レリルと情報共有をしつつ、その後に彼の恋人ソリンディスについて聞いていると藍硯の時より幾分か早くキロが泣き止み、先程の藍硯と同じように目を赤くし、腫らしながら声を掛けて来た。

 

「ごめん。話を遮って」

 

「良いよ。血縁が生きてると知ったら泣くさ。ところでレリルは兎も角キロに藍硯。お前達、俺について来るか?」

 

「キロは妹探し、藍硯はそもそも行く宛て無いだろ」

 

「そうだね……」

 

「私は……」

 

藍硯とキロはカガルの『俺について来るか?』という問に、藍硯はそもそもこの世界では行く宛が無い事、キロは妹を探しに行きたいが、聖地も護らないと行けないと考え込んだ。暫くの間悩み、悩んだ末に2人が決まった結論を口に出そうとした。

 

「「!?」」

 

その時、今居る場所の上空に突如として異様な妖気(オーラ)を放つ何かが現れ、俺達目掛けて落下して来た。

 

「お前等散れ!!」

 

その叫び声に、カガルと同じく異様な気配に気付いていたレリルとキロ、ケラヴド達は俺の声を聞いた瞬間にその場から飛び退き、少し動きが遅れていた藍硯はカガルが肩に担ぎ、その場から飛び退いた。

落下して来た何かは今までカガル達の居た場所に勢いよく着弾し、大きな土煙を上げた。

 

(何が落ちて来た!?)

 

飛び退いた先で落ちて来た何かが居る土煙の方向へと顔を向けると、丁度土煙が晴れ、そこには全身を糸を纏った菱形の繭のような何かから4本の触手か足のような物が地面に突き刺さった異様な物体がそこにあった。

 

(何だありゃ?)

 

『告。解析が完了しました。テイワットに存在する元素生命体に近しいものと推測されます。目前の敵対生物を種族名:虚界繭種(ヴォイド・コクーン)と仮称します』

 

(つまり受肉した精霊みたいなもんか?にしては雰囲気が禍々しいが……)

 

『理想家』曰くアレ─虚界繭種は『原神』のスライムや濁水幻霊に近いものらしく、カガルは感じる禍々しさに警戒しつつ、それを観察していると虚界繭の内部が脈動し始め、内部から『モンスターハンター』に出て来る小型の蜘蛛型モンスターである『ツケヒバキ』が大量に溢れ出して来た。

 

「何でツケヒバキ!?」

 

驚いているカガル目掛けて飛び掛って来たツケヒバキをカガルは藍硯を背中に回してしがみつかせると、取り出した『星導の帝剣』で真っ二つに切り裂いたが、その割れた二つの肉片から二匹のツケヒバキが再召喚され、顔に噛み付きに掛かって来たが、後ろに下がって避け、剣を一度手放し、両手に【壊炎】を纏って繭玉のような胴体を鷲掴みにして地面に叩き付け、肉片も残さずに灰にした。

 

『告。種族名:臣蜘蛛(ツケヒバキ)を肉片を粉々にする、肉体を壊さずに討伐する、肉体を灰燼に帰さない限り召喚し続けます』

 

「つまり傷付けずに倒すか、粉々にするか、灰にしないと残った肉片から召喚してして来んのか。面倒だな」

 

カガルは『理想家』の分析に悪態をつきながらも、飛び掛って来るツケヒバキを躱しつつ、藍硯を狙った個体は【壊炎】で燃やし尽くして灰にし、ヒット&アウェイで切り抜けて行く。次から次へと虚界繭種から召喚され、襲い掛かって来るツケヒバキの大群を何とかしつつ、離れた場所で戦うレリルやキロ、ケラヴド達の方に目を向けると、倒した時に大きな肉片を残すとその肉片から召喚されていく事が分かったようで燃やし尽くす、粉々にする、溺死させる、氷漬けにする、といった方法で倒していっているが、時々失敗して増えていっている。

 

「カガル、お願い!私も戦わせて!!」

 

そんな時、カガルが戦いつつも小脇に抱えていた藍硯が『自分も戦わせて欲しい』と声を上げた。その言葉に目を見開きつつ、跳びついて来たツケヒバキを背中から生やした鷹の翼で吹き飛びしつつ彼女に問い掛けた。

 

「……それはありがたいし、ユニークスキル持ってるみたいだが使い方分かるのか?」

 

「私の力だよ?分かるよ!!」

 

「………よし!なら、コレ使ってケラヴド達と増えた方を頼む!!」

 

藍硯の返答を聞いたカガルは、飛び掛って来たツケヒバキ達を潰さない程度の力加減の回し蹴りで蹴り飛ばしつつ、その回転の勢いのまま藍硯をケラヴド達の方に放り投げ、自分が旅に出る前に試しに作ってみた武器の内の一つ、円月輪の『渦燎(ウィークス)』を投げ渡した。

 

「ありがとう!!」

 

放り投げられ、空中に浮いた体勢のまま『渦燎』を受け取った藍硯は『渦燎』に風を纏わせて、襲い掛かって来たツケヒバキ5匹を肉片一つ残さず切り裂いて粉々にした。

 

連輪蛇皎(ウィーバンソール)!!」

 

更にそこから藍硯の獲得していたユニークスキル『編作者(アムモノ)』の権能【魔糸作成】と【想像作品】で『渦燎』を複数作り、更に連結させ、蛇の様に操って次々とツケヒバキを斬り裂いていく。

 

「やるな。ならこっちもそれなりに本気を出すとするか!雷撃砲(ライトニングブラスト)!!」

 

藍硯の予想以上の動きに感嘆の声を上げつつ、それに触発されたカガルは、周辺に被害が出ない程度に威力を強めた雷光の砲撃を虚界繭種に向けて放った。が、当たる直前で曲げられ、近くにあった大岩にぶつかり、大岩を塵に変えた。

 

(当たる前に逸らされた。虹灼みたいな反射……いや、空間の歪曲の方が正しいか?)

 

それなら次は、とカガルは藍硯を守る時に手放し、【貯蔵】で収納していた『星導の帝剣』を再び取り出し、強化した脚力で虚界繭種の間近まで接敵し、力押しで両断しようと振り下ろしたが当たろうとした所で剣が勝手に横に逸れて地面に剣を叩き付ける結果となった。

 

(雷撃とかの遠距離攻撃も剣の直接攻撃で力押しして両断しようとしても当たる寸前で軌道が変わった。やっぱり空間に干渉する能力。俺の腕を曲げない辺り、攻撃だけに対応する系統か?……試してみるか)

 

試しに拳に纏った攻撃はどうなるのかと右手に【壊炎】を纏い、殴り掛かろうとした瞬間、殴ろうとした部分から大量のツケヒバキが連続で召喚され、物量で高所まで押し返された。

 

「(成程。此奴、自身は攻撃能力は皆無だが召喚と攻撃の無効化に特化したタイプだな)って、鬱陶しいな!?無気領域(エアレスゾーン)!!」

 

押し返されながらもカガルは虚界繭種の攻撃無効化の詳細について分析していたが、流石に全身にツケヒバキが噛み付いて来るは鬱陶しかったらしく、振り払って地面に着地し、上から降って来る目の前の視界を覆う程の数のツケヒバキに向けてフィンガースナップを行うと、それと同時に全ての個体が地面に倒れ伏した。上手く倒し損ねると増殖するだけ、なら傷付けずに倒すならどうするか。簡単だ、空気が無くなれば息出来なくて死ぬ。

落ちて来た個体も落下時に潰れないように重力を操って優しく地面に置いた。

 

(しかし此奴、自分からは攻撃してこないな。無効化出来ない攻撃はツケヒバキの連続召喚で対応したのを見る本能で動くタイプか)

 

『告。何者かのスキルにより改造、または産み出された存在だと推測されます』

 

(あぁ、そういう。まぁ、こんな生物自然界に居ていてたまるか)

 

『理想家』曰く虚界繭種は人工的にスキルによって改造された、もしくは産み出された生物らしい。まぁ、ファンタジー世界とはいえ、こんな生物自然界に居たらおかしいので当然だろう。

 

そう思いつつ、虚界繭種の周囲と真下に大量の魔法陣を展開し、そこから多種多様な属性の魔法を一斉に放出し、様子を見るもどの魔法も全て虚界繭種には当たらず全く別の方向へも逸れていき、真下に展開した魔法陣から吹き出した炎も四本の足には当たったものの、繭部分には当たらず逸れ、炎が収まるのと同時に灰になった足も再生した。

 

(やっぱり此奴、遠距離の魔法攻撃は空間曲げて弾くな。んで、効いた部分も多分だが【超速再生】で治る上、無効化出来ない攻撃には連続召喚の物量で対応か……よし、対処法は分かった)

 

魔法による遠距離攻撃は当たる直前で逸らされる。当然駄目。

 

物理攻撃も同様に逸らされる。駄目。

 

かと言って魔法やスキルを纏わせた体術は連続召喚したツケヒバキによる物量で強制的に距離を取らされる。これも駄目。

 

ならばどうするか。答えは簡単──。

 

(空間を歪曲させられるなら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だけの事!!)

 

カガルは自分の右足を通し地面に──否、影に大量の魔素を流し込み、右腕を前に掲げると彼の影が蠢き、巨大化し、意思を持った怪物となって這い出て来た。

 

「"虚空大呑獣(トイフェルモンスター)"、美味しく喰ってやれ」

 

カガルの影から出て来た怪物"虚空大呑獣(トイフェルモンスター)"はカガルの膨大な魔素を注ぎ込まれた影が限定的に自我を持って産まれる怪物。その影の体は触れた物を喰らう、その喰らう物には空間も含まれており、現在も触れている空間そのものを喰らっている。虚界繭種の空間を歪ませる能力もその空間そのものが喰らわれてしまえば意味を成さない。

 

「此奴は何でも喰らう影の怪物、そして取り込める物には空間も入ってる。歪曲する空間ごと喰っちまえばお前が空間捻じ曲げても意味無いだろ」

 

ゆっくりと近付く"虚空大呑獣"に本能でどうにかしようと空間を歪ませ、無駄に足掻く虚界繭種を"虚空大呑獣"は口を大きく開けて、倒れ込むようにして周囲の空間ごと丸呑みにすると怪物はそのまま影の中へと消えて行き、影自体の大きさもどんどん小さくなり、最終的には元のカガルの影の大きさへと戻っていった。

 

「よし、討伐完了っと」

 

"虚空大呑獣"が自分の影に戻って消えたのを確認し、取り込んだ虚界繭種を【解析鑑定】で分析していた時、『理想家』がとある事柄を報告して来た。

 

『告。解析途中だった虚界繭種が消失しました。並びに解析出来ていた情報からユニークスキル『召喚者(ヨビダスモノ)』とエクストラスキル【空間操作】を獲得しました』

 

(消えた?……生みの親がやったのか?)

 

どうやら喰らって解析途中だった"虚界繭種"が完全消滅してしまい、幸い解析出来た情報から『召喚者』と【空間操作】を獲得したものの、"虚界繭種"を生み出した存在が遠隔で情報漏洩を防ぐ為に消滅させたとか?とカガルが考えながら、周りに転がっているツケヒバキの死骸の処理をしようと死骸の一つを掴んだその時だった。

 

「ん?」

 

カガルが処分する為に掴んでいたツケヒバキの死骸と近くで虚界繭種に召喚され、増殖し、カガルに倒されたツケヒバキ達の死骸の肉体が変質し、レリルが操り、藍硯の体を蝕んでいた力──アビスへと変化し、凄まじい勢いで弾丸の雨の如く先程まで虚界繭種の居た場所へと一箇所に集まり始めた。その内の一つ、カガルが手で掴んでいた個体が彼の頬を掠め、血を吹き出させた。

 

「っ!?(残ってたツケヒバキが全部アビスになった!?しかも凄いスピードで一箇所に集まってやがる!!待て、って事は……)避けろお前等!!」

 

顔の傷をすぐさま【超速再生】で治すと同じくツケヒバキの死骸を処分していた仲間全員に避けるように叫ぶ。その声を聞いた仲間達は咄嗟にアビスの弾幕を躱していくが、集まり始めたツケヒバキの内の1匹がキロの右肘を貫通し、そのまま右腕を落とした。

 

「うっ!?」

 

「キロ!!」

 

「悪いが今は集中する時間が無い!神経を麻痺させて焼灼で傷口を焼くぞ!!」

 

キロの元へと駆け付けたカガルは右腕から噴き出す血を【浄水】で止め、了承を得ずに、キロの神経の痛覚に関する伝達を藍硯の時と同じように麻痺させ、右腕の傷口を焼いて止血する。自分の体が焼ける匂いにキロは顔を顰めているが我慢して出来る限り動かないようにしている。

 

「大丈夫か?」

 

「うん。大丈夫……」

 

「あとでちゃんと腕は治す」

 

カガルがキロの右腕の傷を塞ぎ終えると、とある物を見ていたレリルがカガルに向かって問い掛けた。

 

「おい、カガル」

 

「あぁ。おい虹灼、アレ見てどう思う?」

 

レリルの声にカガルが同意の声を上げ、一番虹灼に()()をどう思うかと問い掛けた。虹灼が目線を向けた際にはアビスとなったツケヒバキ達が一体となった球体がドクンッ!!…ドクンッ!!…と心臓の鼓動のような音を周囲に響かせながら明らかに膨張し始め、今にも爆発しそうになっている。

 

「どう見ても爆発する寸前でしょう!?」

 

「だよな!?くそっ!お前等!俺の影に!!藍硯とキロは背中に乗れ!!門まで急ぐぞ!!」

 

カガルの咄嗟の指示を聞いたケラヴド達は瞬時にカガルの影に入り込み、ケラヴド達全員が入ったのを確認したカガルは人間2人が乗れるサイズの鷹に変身し、藍硯とキロはその背中に飛び乗り、2人が背中に乗った確認し、カガル達が先程までいた世界*2に繋がる門に向けて飛び出した次の瞬間、アビスの球体が破裂して内部から冷気を纏ったアビスの力が壁、いや雪崩のように押し寄せて来た。

 

(思った以上に速い!!)

 

アビスの壁の進行速度は速く、オマケに壁からアビスの力が飛び出して来る。それをカガルの【浄水】や【壊炎】の弾幕や藍硯が硬い糸を球体にして放った弾丸で撃ち落としていくが、それでも一向に数が減らない。

 

(このままで間に合うか!?)

 

「見えたぞ!!」

 

『このままでアビスから逃げ切れるのか』と焦りつつ門まで2人が振り落とされない程度で、それでも全速力で飛んでいると隣を走っていたレリルの声に目を向けるとクリント王国が作った人界に世界に繋がる門が目に見えた。

 

(よし!これなら間に合う!!)

 

門が見え、カガルが内心で『間に合う!!』と思った次の瞬間、アビスの壁から腕の形をしたアビスの力が無数に飛び出し、カガルとその背に乗る藍硯達に捕まえようと腕を伸ばした。

 

(しまっ……!!)

 

レリルが間に割って入り、アビスの力を受け止めた。アビスの力を受けて止めている彼の両腕が徐々に凍りつき、罅割れていくのがカガルの目には見えた。

 

「レリル!!」

 

「行け!!」

 

「っ!!…………ありがとう!!」

 

自分達を逃がす為に身を犠牲にしてアビスの力を止め続けるレリルの声にカガルは彼に感謝の言葉を叫び、門へと2人と共に飛び込んだ。

その直後、レリルの抑えていたアビスの力がレリルを飲み込み、門を破壊した。

 

レリルside

 

(行った……か)

 

カガル達が通ったクリント王国の作った門がアビスと冷気によって砕け散るのを見た俺はその場に倒れ込んだ全身を極寒の冷気とアビスの力が侵食し、両腕はカガル達を行かせる為に壁を防いだ時に砕け散った。

 

(やれるだけの事は出来た、か……)

 

彼等を逃がせた事に安堵し、体の力が抜けて地面に膝を着いたその時だった。目の前に立ち込めている黒紫の冷気の向こうから手を叩く音が聞こえて来た。

 

「おーおー、門に届く寸前で食い止めたのか。アビスに基軸世界から持って来た白氷竜の力を混ぜたってのに……流石は五大罪人と言った所か?」

 

冷気の向こうから現れたのは紫色の髪に死人のような青白い肌、そして白い槍を携えた男。俺はその男に見覚えがあった。忘れる訳がない。此奴は……

 

「お前……か」

 

「まぁな。テイワットを滅ぼしたのは俺だ。ならお前は俺が殺すのが筋ってもんでしょ」

 

テイワットに来た侵略者……親友を……ダインを殺した男………

 

そいつは戦う気力も、そもそも戦う事が出来ない俺に語りかけた。

 

「お前の過去は知ってる。お前の目の前で態と親友(ダチ)殺した詫びに言い残す事とか願いがあるなら聞くぞ?」

 

此奴……俺の過去を知りなから態と俺の前でダインを……しかし言い残す事、か。そんな物はもう……いや、でも、もし叶うなら………

 

「俺の肉体はこの地にアビスを留める楔にして魂はもう楽にさせてくれ。恋人に……ソリンディスに謝りたいんだ……」

 

「俺の役目はこの聖地の凍結だ。それ以外は命令されてないし、アビスの力の解析・増産・制御は成した」

 

アビスの解析に、増産と制御……道理であんな魔物を作れる訳だ。

俺がそう思っていると虚空から一つの宝石を取り出し、俺の体に埋め込んだ。

 

「お前の願いは聞き入れよう。お前にもう用は無いし、受け入れてやる。それからさくさっきの宝石は偶々見つけたお前の恋人の魂だ。お前の死と同時に昇天する」

 

ソリンディスの魂……彼女に謝れるのか。

 

「さて、長話は終わりだ。痛みなく逝かせてやろう」

 

男はそう言うと槍を右胸──心臓の前に構えた。少し動かせば心臓が貫かれる。

……やっと死ねるのか。あぁ、そうだ。どうせなら言ってやる。

 

「最後にこれだけ言っておく。お前達は負けるぞ」

 

次の瞬間、俺の体に衝撃が走り、体から力が抜け、意識が遠のいて行く。あぁ……ソリンディス。やっと君に謝れるよ。

 

sideレリル end

 

 

 

side???

 

目の前で深淵によって狂わされた哀れな男の不死の呪いごと生命活動を停止させ、トドメを刺した俺はレリルの体を聖地から外にアビスの力が漏れ出ない楔に作り替えた。

 

「テイワットを滅ぼした俺が言えた義理じゃねぇが……ゆっくり眠れレリル」

 

俺は仕事を終えるとレリルに刺したままだった槍を引き抜き、肩に担ぐとそのまま背を向けて歩き出した。

 

「あっ、仕事の内の一つも終えたし、連絡しとくか」

 

その途中で報告をしてなかった事を思い出し、【思念伝達】で同僚達に呼び掛ける。ルオやイプニルの嬢ちゃん辺りだと軽いからありがたいんだが……

 

「あーあー、此方キドン。誰か応答してくれー」

 

『仕事は終わった?』

 

この声は……あぁ、タリアの嬢ちゃんか。望んでた2人じゃねぇがこの嬢ちゃんだと任務を達成したかどうかで詳しく聞かずパッと終わるから楽で助かるぜ。

 

「おっ、タリアの嬢ちゃんか。ちと色々あったがちゃんとオーレン族の聖地のアビスの侵食は完了した。支障は出ねぇよ」

 

『そう』

 

「この後は()()()を回収するだけだが。カピターノの方はどうする?俺が行っても良いぞ」

 

『そっちにルシャーナを向かわせてる』

 

「あー、彼奴か」

 

ルシャーナ──あの空飛ぶ死体女をスラーインの方に向かわせたのか。ルオ辺りが向かわせたのかね?

 

『それより()()()()()()()を終わらせて早く戻って。貴方の仕事は研究でしょう』

 

「りょーかい。直ぐに戻りますよっと」

 

タリアの嬢ちゃんとの【思念伝達】を切った俺は背後の楔となったレリルを一瞥した後、もう一つの仕事を果たす為に聖地の奥の方に居る魔物──フィルフサの王種:()()()()()の回収に向かった。

 

side ???改めキドン end

 

「ぐがっ!?」

 

「わぁっ!?」

 

「きゃっ!?」

 

門に飛び込んだカガル達は人界に行く事が出来たが門に向かって少し斜めに勢い良く飛び込んだせいでカガルは地面に激突し、その背に乗っていた藍硯達は勢い良く地面に放り出された。

 

「っ痛ェ……思いっ切りデコ打った」

 

カガルが人型に戻り、地面に激突した額部分を擦りながら、オーリムを繋ぐ門の方へ顔を向けるとその門が形を歪み始め、それと同時にカガルの魔物としての本能が警報を鳴らした。

 

「!?…まずい!!」

 

咄嗟に後ろに居た2人を小脇に担ぎ、背中から鷹の翼を生やすと聖堂の天井を魔法で破壊し、羽搏きつつ足裏から【壊炎】をジェット代わりに噴射して加速し、聖堂から飛び出した。カガル達が飛び出した直後、聖堂が門のあった場所を起点に大爆発を起こし、聖堂が跡形も無く消し飛んだ。

 

(門が封印の役目の聖堂ごと壊れた。アビスの力で壊されたのか?……にしてもやばかった。あとちょっと遅れてたら巻き込まれてたな)

 

それを上空から見ていたカガルは少しでも逃げるのが遅れていたら爆発に巻き込まれていた事に冷や汗を流しながら、小脇に抱えている2人に問い掛けた。

 

「2人共無事か?」

 

「うん」

 

「何とか」

 

2人に怪我が無い事を確認したカガルは地上に降り、一先ずキロの右腕を修復した後、カガル達はこれからについて話し合う事にした。

 

「で、改めて聞くがお前達はどうする?」

 

「聖地に行く手立ても無いし、これも何かの縁。それにレリルのお陰で生きているのが分かった妹を探したい」

 

「そうか…藍硯は?」

 

「私も一緒。それに酷い目に合わされた借りは返さなくちゃ」

 

「じゃあ俺達について来る、って事で良いか?」

 

「「うん」」

 

キロは現状聖地に戻る手段が無いのと、今まで以上に酷くなっているであろう土地をどうにかする手段が無い為、レリルのお陰で生存が分かった妹であるロカを探す為に、藍硯はカガルに治療して貰った恩返しと自分を酷い目に合わせた侵略者達に借りを返す為にカガルに同行する事にしたらしい。

 

「取り敢えずの方針として先ずはレリルの同胞、スラーインに会うぞ」

 

これからの方針と目的を纏め終え、体を翻して歩もうとした時、藍硯がカガルの手を掴んだ。

 

「待って」

 

手を掴まれたカガルが後ろを振り向き、藍硯を見ると顔を俯かせ、体を震わせていた。

 

「テイワットを侵略されて、捕まって改造されて、それでユニークスキルも獲得して前よりも強くなった。でもこれだけじゃ彼奴等に勝てないのは分かってる。だから……」

 

そう震えた体と声で藍硯は話し、暫く俯いたままだったが、少しして顔を上げた。

 

「私は藍硯の名前を捨てる。私に名付けをして」

 

藍硯の言った言葉にカガル目を見開いた。自分の名前を捨てる。それは両親から貰った大切な名前を捨てる事を意味する。彼女がそんな事を言うとは思っていなかったカガルは心底驚いていた。

 

「良いのか?名付けをしたら多分だが完全に魔物になるぞ」

 

「うん、覚悟は出来てる」

 

カガルはその言葉を聞き、『名付けをすると魔物になる可能性があるから辞めておけ』と遠回しに止めるが、彼女は『覚悟は出来ている』と宣言し、彼女のその目には強い意志と覚悟が宿っていた。その目を見て、『これは何を言っても無駄だな』と彼女の意志の硬さを悟ったカガルは溜息を吐きながら、藍硯の名付けを受け入れる事にしたが幾つか条件を付ける事にした。

 

「………分かった。だが『自分を見失わない』『憎しみに囚われるな』これだけは約束しろ」

 

「うん、分かった」

 

『自分を見失わない』『憎しみに囚われない』この2つを守る事を条件に名付けを行う事を藍硯に告げると、彼女は当然だと分かっていたのか頷き、了承した。それを確認したカガルは彼女の新たな名前を考え始めた。

 

(藍硯の新しい名前か……覚悟が決まり過ぎて前とは別人みたいだ。つまり反転…名前の一文字目の『藍』を反対の色っぽい『緋』に変えるか。よし、一文字目はこれで良いな。二文字目はどうするか……藍硯は籐編み職人……籐編み……編む……織物……確か綾織りってのがあったな。よし、じゃあ『綾』にして、二文字をくっ付けて……璃月人らしく中国語読みにするか。『緋綾』の中国語読みは確か……)

 

「よし、今からお前の名前は緋綾(フェイリン)だ」

 

「緋綾……」

 

カガルが名付けをした直後、カガルからケラヴド達の時とは比較にならない程の魔素が藍硯──否、緋綾に注がれ、彼女の体が魔素の繭に包まれた。

 

『告。個体名:緋綾は颯魔人(リーブノイド)から凶嵐獣人(ガレイルノイド)に進化しました』

 

"世界の言葉"がカガルとキロの脳内に聴こえたのと同時に、緋綾を包んでいた魔素の繭が弾け、"凶嵐獣人"に進化した緋綾の姿があった。

 

その姿は──

 

毛先が黒紫の黒髪の膝付近まであるロングヘアで、内側が黒と灰色の虎の体毛のようなメッシュ

 

人間の耳だが上部が僅かに尖っている

 

紫色のネコ科のやや縦長の瞳

 

首筋や背中に薄い虎縞模様

 

指先はやや黒く鋭い硬質的な爪に

 

そして、上の犬歯がやや長い虎の牙になっていた。

 

"凶嵐獣人"に進化した緋綾は進化した自分の姿を確認し、右手を開いて閉じてを繰り返した後、カガルに向け、手を差し出した。

 

「これからよろしくカガル」

 

緋綾から差し出されたその手をカガルは手に取り、強く握り締めた。

 

「あぁ、これからよろしくな緋綾」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

此処はカガル達の居る場所から遠く離れた遥か上空。

そこに一つの人物が立っていた。

 

「…………」

 

その人物はフードを深く被り、顔に仮面を付けていた。体格からして男だろうという事は辛うじて分かる。

その仮面の内側の視線の先、遥か下の地上には次の目的地に向けて歩き始めたカガル達の姿があった。

 

「歪んだ歩みが始まったか……」

 

仮面の男は空中で椅子に座るような姿勢を取り、首に掛けていた焦げ付いた中の写真の無いロケットペンダントを握り締めしながら呟いた。

 

「始まるよカガル、君の運命を紡ぐ物語が」

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

緋綾達と次の目的地──スラーインの居る場所に向けて歩いていたカガルが何かを感じ取ったのか、ふと遠くの空を見上げるがそこには一面の青い空と白い雲しか無かった。

 

「どうしたの?」

 

「いや、何でも無い。行こう(気の所為か……?)」

 

空を見上げていたカガルに緋綾が声を掛けたが『何でも無い』と返し、レリルに貰った地図に従い、スラーインの居る場所に向けて歩き始めた。

 

 

この日、この時より『ライザのアトリエ』の世界に転生した青年、カガル・フェイリアによる本来の歴史から外れたの物語が幕を開けた。

 

 

彼の歩みが齎すのは冒険か、それとも絶望に塗れた苦痛か。

 

それは彼の歩み次第………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『告。固有スキル【未来宣託】が発動しました。予言を提示します』

 

 

深き森にて汝は運命の番と出会うだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──閑話──

 

 

「私も改めてよろしくカガル・フェイリア」

 

「改めてよろしく頼むよキロ・シャイナス」

 

緋綾と握手した後、キロからも差し出された手をカガルは手に取り、彼女の()()()()()握り締めた。

 

『告。個体名:キロ・シャイナスは半獣人から獣人属(ライカンスロープ)に進化しました』

 

周囲に世界の言葉が響き、3人が驚くのと同時にカガルと魔素がキロへと流れ込んだ。

 

(今のも名付けになんの!?)

 

 

 

とこのようにカガルがキロとこれから旅をする仲になる為、親交の握手をした際に際にキロの名前をフルネームで呼んだせいか、名付けになり、彼女が獣人族に進化したのは余談である。

因みにカガルの『聖地を護っていた』という考えから『半獣人』→『動物』→『護る』→『縄張り意識』→『数百年一人で戦って来た』→『群れない、強い動物』という連想からか熊の獣人になっていた。

本人はアビスに侵食された後遺症で精霊の力を行使出来なくなっていたが、熊の獣人族になった影響で身体能力と筋力が増した上、カガルの霊獣因子由来で固有スキルも獲得していたので気にしていないらしい。

 

 

*1
転生者とかいうぶっとんだ情報を無理矢理処理し、飲み込んだせい

*2
以後"人界"と表記




カガル・フェイリア

種族:星霊妖竜(ホロウアーク)*1

身長:163cm

年齢:17歳(転生前を含めると30代)→18歳(ライザのアトリエ時)

肩書き:輪廻の異獣

特技:料理・創作

好きなもの:団子(特にみたらしと三色)・ケーキ

苦手なもの:苦味の強い物(コーヒー等。抹茶は平気)

現在の容姿
髪色:深い紫と純白
左眼:琥珀色の瞳に淡い水色のハート、右眼:青緑の瞳にピンク色のハートに
犬歯が竜のように鋭い牙に
足の太腿から脹脛にかけて結晶状の竜鱗模様

概要

『ライザのアトリエ』の世界に『転スラ』のスキルを特典に転生した青年。

竜種の力を持つものの、竜の姿になる事は覚醒していない故か竜体にはなれない。

生前から基本的に余程の事が無い限りは大体の事は受け入れる質で、彼女を作りたいやモテたいというような欲は無く、告白されたとしても相手がメンヘラやヤンデレで無い限りは受け入れる。

転生前から普段は真面目だが、ノリには乗り、はっちゃけるタイプで、服装が女物なのもノリ。

意外と凝り性で仲間の武器や祝い事の時の料理は納得の行く出来になるまで作る。尚、その過程で出来た料理は『胃袋』に入れて後日の食事にする。

強さ的には現時点だと擬似覚醒したクレイマンをボコれる程の強さはあり、純粋な剣技のみなら覚醒したリムルと戦ったヒナタレベルだが、弱点として対人戦闘の経験が皆無な為、『万能感知』『思考加速』等を使って対処している。

実は転生前は友人関係はそこまで広くない、というか両親の遺産関連のせいで人と必要以上に関わらないタイプだった。それ故か初恋も原神のとあるキャラだった。

戦法は前世でアニメを見て独学で鍛えた体術と剣術、今世で得た魔法を合わせたオールラウンダーで、それらを組み合わせた我流の流派の『秘想(ひそう)流』を扱う。

『武器』

星導の帝剣(アデラフラグメント)
カガルが転生時に望んだ武器である水晶のような透き通った刀身を持つ直剣。
階級は伝説級(レジェンド)
水晶の様な透き通った刀身が特徴の直剣。

『魔法』

・元素魔法
・核撃魔法
・精霊魔法
・幻覚魔法
・神聖魔法

『固有スキル』

・壊炎
・浄水
・霊鎧
・未来宣託…リンネアの種族"予見の鳥"由来のスキル。時折偶発的に発動し、可能性の高い未来を未来視、若しくは予言の形で啓示する。

『エクストラスキル』

・超速再生
・万能感知
・思考加速
・詠唱破棄
・空間操作
etc..

『ユニークスキル』

理想家(ユメミルモノ)
権能:【思考加速】【森羅万象】【思念操作】【夢想再現】
…リムルの『大賢者(エイチアルモノ)』のようなスキルで魔素を元に物質を作り出すスキル。

物語の主人公(リムル)のような力を欲しい』と思った事から獲得。

貪欲者(アヴァリス)
権能:【悪喰】【解析鑑定】【貯蔵】【能力吸収】【能力模倣】
…喰らった物を解析し、魔素を貯蔵・取り込んだスキルや魔法を自分の力に変えたり、模倣したり出来るスキル。

『リムルのような喰らう力を欲しい』という思いから獲得。

天授者(サズカルモノ)
権能:【魔力分配】【治癒】【万全受胎】【水雷操作】
…仲間に魔素を分け与える・治療する・子を成す際に両親が弱体化しないスキル。

『母が看護師だった事』と『前世で親に子供を見せられなかったから、今世では子供が欲しい。けど弱体化は嫌だ』 という考えから獲得した。

召喚者(ヨビダスモノ)
権能:【異界生物召喚】【配下召喚】【使い魔召喚】
…召喚系に特化したスキル。

虚界繭種の解析出来た情報の内【無限召喚】を元に獲得した。

『権能詳細』

【思念操作】…相手の思考や認識を妨害・改変する。実力差があれば抵抗可能。

【夢想再現】…【物質創造】の様に魔素を素に物質を作り出す事も出来る能力だが、こちらは使用者の想像力によって更に汎用性が高い能力。想像力由来の権能故に魔法や現象等が使用用途になる。

【悪喰】…少しでも触れれば対象の肉体や魔素を削り喰らい、力に変換出来る。

【貯蔵】…食らったり、取り込んだエネルギーを蓄える事が出来る(『胃袋』と同じ事が出来る為、カガルは色々蓄えている)

【能力吸収】…食らったり、取り込んだスキルや魔法を吸収し自身の力に変換出来る。

【能力模倣】…食らったり、取り込んだスキルや魔法を自分の物として模倣し使用出来る。

【魔力分配】…配下及び仲間に自身の魔素を分け与える。

【万全受胎】…カガル自身とカガルと繋がっている者が両親の弱体化無く子を成し、出産出来る。
カガルは

【異界生物召喚】…異世界の生物を呼び出す。

【配下召喚】…配下及び仲間を呼び出す。

【使い魔召喚】…小型の視覚共有出来る使い魔を呼び出す。

『耐性』

・自然影響無効
・精神攻撃無効
・物理攻撃無効
・状態異常無効
・深淵属性無効
・聖魔攻撃耐性
・痛覚無効


キロ・シャイナス

種族:獣人族(ライカンスロープ)(熊の獣人)

身長:159cm

年齢:???歳

肩書き:聖地の守護者

特技:護る事

好きなもの:豊かな自然・妹

苦手なもの:フィルフサ


現在の容姿
身長が少し伸びた以外は原作と変わり無し

概要

異界オーリムの聖地の守護者『霊祈氏族』の女性で、カガルの最初の仲間の内の一人。
普段は固有スキルの『人化』を使い、人間の姿となっている。

オーリムのオーレン族の聖地でフィルフサの大群と応戦していたところに、レリルに転送されたカガル達が助太刀し、撃退、その後"虛界繭種"の襲撃・討伐後に、アビスの力から逃れる形で人界に訪れたが門が壊れた事で聖地に戻れなくなり、『現状聖地に戻る手立てが無い事』『レリルのお陰で生存が分かった妹を探す為』にカガルの仲間になった。

聖地襲撃の際に、右腕を一時的に失い、肉体をアビスの力に侵食され、カガルの手により右腕を修復し、アビスの力も完全除去され、肉体面には特に影響は無かったものの、後遺症で精霊魔法が一切使えなくなった。その代わりなのか、霊獣因子の影響か身体能力が増幅した。

戦法はカガルに貰った双斧や体術を使ったゴリゴリの肉弾戦と魔法を混ぜた戦い方。

『武器』

羅仙(ゼノン)
キロの武器である双斧。
カガルが転生してから幾つか作った武器の内の一つで、斧系の武器の中でも傑作。


『魔法』

・元素魔法
・核撃魔法
・幻覚魔法
・神聖魔法

『固有スキル』

・方角把握…どんな場所だろうと方角を把握出来る。
・身体強化
・人化…オーレン族の獣毛や耳を無くし、人間に化ける。
・獣化…熊の姿に変身する。
・陰雷…魂に直接攻撃出来る雷撃を遠隔で対象の影や周囲から放つ。

『エクストラスキル』

・魔力感知
・詠唱破棄

『ユニークスキル』

不退者(ヒカヌモノ)
権能:【多重結界】【代替】【自己再生】【最適化】【獣身変化】
…誰か・何かを護る事に特化したスキル

『聖地を一人で退く事なく護り続けてきた事』から獲得。

『権能詳細』

【代替】…味方が受けるはずだったダメージを肩代わりする。

【最適化】…攻撃、防御をその場で状況に適したものに最適化出来る。

【獣身変化】…獣としての特性や性質に基づいた、自分に適した姿に変身出来る。
キロの場合、頭部に熊の耳、尾骶骨部分に熊の尻尾が生え、腕が銀色の熊の毛皮となり、筋力が増す。


『耐性』

・自然影響無効
・状態異常無効
・精神攻撃無効
・深淵属性無効
・痛覚無効




緋綾(フェイリン)

種族:凶嵐獣人(ガレイルノイド)

身長:164cm

年齢:16歳

肩書き:星紡の凶獣

好きなもの:落ち着く匂いの花

苦手なもの:気分が悪い時に舐める飴


現在の容姿
毛先が黒紫の黒髪の膝付近まであるロングヘアで、内側が黒と灰色の虎の体毛のようなメッシュ
人間の耳だが上部が僅かに尖っている
紫色のネコ科のやや縦長の瞳
首筋や背中に薄い虎縞模様
指先がやや黒く鋭い硬質的な爪
上の犬歯がやや長い虎の牙になっている

概要

スラーイン達とレリルが二方に別れて逃げる際にレリルが助けた元『原神』の藍硯。

仲間になってからは黒基調に金と赤の装飾が入った、短丈上衣とスリット入り下衣で動きやすい中華風の軽装武闘服を着ている。

カガルについて行くと決めた際に元々の名前である藍硯の名を捨てると決意し、カガルに名前を付けてと頼み、カガルが『前とは別人→反転』という考えから一文字目を『藍』の反対の色っぽい『緋』にし、そこから籐編み→織物→綾織りの連想から『綾』を取り、二文字をくっ付け、中国語読みした『緋綾』の名前を付けたら名付けになった。

武器はテイワットに居た時と変わらず円月輪だが、改造と進化によって強化された肉体+治療の際に霊獣因子とそれに刻まれたカガルの魔法等に関する技術も得た事により肉弾戦や魔法による戦闘も得意としており、人間の頭や鋼鉄位なら簡単に砕ける。

名付けだけをしたケラヴド達と違い、リムル配下のゼギオンのようにカガルの血肉により失った右腕を修復し、その際に霊獣因子を取り込んだ上名付けされた為、元々改造で魔人の亜種である『颯魔人』に進化していたが、更に『凶嵐獣人』へと進化した。
それ故にか感性が魔物寄りになってはいるものの、元の優しい心は残っている。

『武器』

・渦燎《ウィークス》
緋綾の武器である円月輪。
カガルが転生してから幾つか作った武器の内の一つで、斬る系の武器の中でも傑作。


『魔法』

・元素魔法
・幻覚魔法
・神聖魔法

『固有スキル』

天嵐…天候操作や支配を嵐等の風に特化させたスキル。名付けされた際、カガルの霊獣因子から獲得。
霊獣人化…頭部に虎の耳が生え、背中の肩甲骨付近から黒い翼が広がる。腕と脚は黒い虎毛に覆われ、尾骶骨からしなやかな虎の尾が伸びる。*2

『エクストラスキル』

・超速再生…名付けされた際にカガルの細胞由来で獲得。
・魔力感知


『ユニークスキル』

編作者(アムモノ)
権能:【魔糸作成】【魔力操作】【並列思考】【想像作品】【思考加速】
…魔素で様々な糸を生み出し、作品を作り出すスキル。

緋綾の籐編み職人としての腕から獲得。



『権能詳細』

【魔糸作成】…魔素を消費して様々や品質の糸を作り出す。

【想像作品】…思い浮かべた作りたい物を作る。思い浮かべた物のイメージや形等が詳細な程頑丈になる。



『耐性』

・自然影響無効
・状態異常無効
・精神攻撃無効
・深淵属性無効
・痛覚無効

『配下の魔物達』
カガルが出会って名付けをした魔物達。


ケラヴド

種族は体長70cm程のコーカサスオオカブトの蟲型魔獣(インセクト)
名前の由来はギリシャ語の戦闘:ケラヴから。
見た目は全身白銀で、上翅が金色のコーカサスオオカブト。
魔物達の筆頭。
武器はエクストラスキル『身体強化』で硬く、素早い己の肉体。
普段はカガルの影の中にいる。
ユニークスキルは有していないものの、その頑丈な体で対応している。

虹灼(コウシャク)

種族は宝石の様に輝く体と耐久性を持ち、日光(基光の類)を吸収し任意でレーザーの様に放てる宝玉海牛(ジュエルスラッグ)
名前の由来は()と赫()から。
見た目は海牛時は人間の子供並みの大きさの虹色の海牛、人化時はカラフルな髪色に触角の名残の様な2本のアホ毛があり、タンクトップみたいな服の上からノースリーブのコートのような服とズボンを着た青年。
武器は弓矢。
普段はカガルの命令で緋綾の影の仲に居る。

ユニークスキル

分離者(ワケルモノ)
【衝撃耐性】
【魔力操作】
【並列思考】
【透過】
【分解】

透麗(トウレイ)

種族は実体と幽体を切り替える力と、水を操る能力を持つ魔物である幽海月(ジェリーゴースト)
名前の由来は()明と綺()から。
見た目は海月時は傘が霊魂のように揺らめいている青年の頭にすっぽり乗るサイズの海月、人化時はゆるふわな水色の髪とアメジストの瞳を持つ太腿の中間くらいの短パンと白を基調にした青いベールがあしらわれた服を着た男の娘。
武器は篭手。
普段は幽体になって姿を消してカガルの頭の上に乗っている。

ユニークスキル

潤沢者(ウルオスモノ)
【魔力操作】
【水操作】
【水精製】
【解析鑑定】
【回復魔法】


真白(マシロ)

種族は風と冷気を操る白狐の魔物である天霜狐(フローリーフォックス)
名前の由来は真っ白な毛並みから。
見た目は狐時は黄色い瞳の白い狐、人化時は狐耳と黄色い瞳と肩より少しした辺りの白髪のセミロングの銀色の雪の結晶の刺繍が入った着物を着た少女。
武器は無しで体術を得意とする。
普段はカガルの命令でキロの影の中に居る。

ユニークスキル

冷凍者(コオルモノ)
【並列演算】
【解析鑑定】
【森羅万象】
【詠唱破棄】
【氷結】

灰羅(カイラ)

種族は気配操作に長け、幻惑で相手を惑わす能力を持つ猿の魔物である朧猿(ロウエン)
名前の由来は灰色の毛並みから。
見た目は猿時は灰色の毛並みのキツネザル、人化時は灰色のパーマの上は暗緑色の丈の短い着物で、下が短パンという服装の少年。
武器は刀とエクストラスキルの『粘鋼糸』
常に闇澄と二人一組で動く。

ユニークスキル

隠形者(カクレルモノ)
【並列演算】
【魔力感知】
【運命操作】
【隠形】
【影操作】


闇澄(アンズ)

種族は夜闇や暗がりに同化する索敵や追跡に秀でた能力を持つ黒猫の魔物である暗夜猫(ミットキャット)
名前の由来は杏子の書き換えと能力から。
見た目は猫時は青眼の黒猫、人化時は猫耳に黒髪をサイドテールにしたスレンダーなミニスカくノ一の女性。
武器は苦無とエクストラスキルの『粘鋼糸』
常に灰羅と二人一組で動く。

ユニークスキル

必中者(アテルモノ)
【思考加速】
【魔力感知】
【森羅万象】
【解析鑑定】
【必中】
【加速】

*1
竜種、精霊の力を持つ獣"霊獣"、星の核の欠片から生まれた生命体"星霊"、原神の"予見の鳥"が混ざった存在

*2
カガルの霊獣因子を取り込み、名付けされた際に獲得した。性質的には龍人族の【竜戦士化】に近い【獣身化】の派生。因みに動物は中国神話の窮奇。

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