Fate/Strange Order : 冠位影法録(シャドウ・レコード)   作:りー037

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【七節】万影の支配者と、仮想の城壁

 

『――信じられない! アサシンとランサーの霊核反応が、完全に消失したよ!!』

 

 

 ヴァルナの腕の端末から、ノイズ混じりでありながらも歓喜に震えるロマニ・アーキマンの声が飛び出してきた。

 

 カルデアの管制室で計器を睨み続けていた彼にとって、特異点に単独で放り込まれた青年が、立て続けに神話の英霊を三騎も屠り去ったという事実は、もはや奇跡という言葉すら生ぬるい異常事態だった。

 

「……ドクター。声がでかい。ここはまだ敵地のど真ん中だ」

 

『あ、ご、ごめん! でもこれで残るシャドウサーヴァントは二騎………』

 

 

 ロマニの言葉が途切れるよりも早く。

 

 ヴァルナの超感覚が、そして足元に広がる影の触覚が、大地の異様な振動を捉える。

 

 

 

 

 

 

 カタ、カタカタ、カタカタカタカタ……。

 

 それは、先ほどまで彼らが「掃除」してきたスケルトンの足音。

 

 

 

 だが、その密度と反響音が、今までとは桁違い。

 

 炎上する街路の奥、円蔵山へと続く道の方角から、赤黒い炎を透かして無数の白い骨の群れが押し寄せてくるのが見える。

 

 

 十、二十ではない。五十、いや、百体は優に超えるであろう大軍勢。

 

 おそらく、同じ場所で立て続けにシャドウサーヴァントとの激規模な戦闘を行ったことで、竜牙兵たちが、異常を感知して一斉に集結し始めたのか。

 

「……まずいな。これから向かう道筋を完全に塞がれた。無視して通るわけにはいかない」

 

「チッ、骨の分際で一丁前に軍隊ごっこかよ。だが、ただの雑兵が何百集まろうが、俺のルーンの火薬庫には敵わねぇぜ」

 

 

 キャスターが杖を構え、迎撃のルーンを描こうとした。マシュも無言で巨大な盾を構え直し、オルガマリーを守るように前方へ進み出る。

 

 全員が前方の「百の群れ」へと意識を向け、連携して戦闘を行う準備を整えようとした、まさにその時。

 

 

 

 

 

 

 

 ――ズドォォォォォンッ!!!!

 

 彼らの背後、わずか数十メートル先の交差点跡地に、まるで空から隕石が墜落したかのような凄まじい破砕音が轟く。

 

 

 アスファルトが爆発的に捲れ上がり、土煙が数十メートルの高さまで舞い上がった。

 

 ただの落下物ではない。それは、遠く離れた別の区画から「大跳躍」によって、ピンポイントでこの場所に着地した『規格外の質量』。

 

「な、なによ今の……っ! 地震!?」

 

 

『に、逃げて!! 逃げてくれ、みんな!!』

 

 

 通信機越しに、ロマニがかつてないほどの絶叫を上げた。

 

『狂化ランクA! 規格外のフィジカル! この魔力波長は……間違いない、バーサーカーだ!!』

 

 

 

 

 土煙が晴れていく。

 

 そこに立っていたのは、見上げるほどの巨躯を持つ、黒曜石のような筋肉の鎧を纏った『怪物』だった。

 

 

 手には、神殿の柱をそのまま削り出したかのような巨大な無骨な斧剣。

 

 その双眸は理性を完全に喪失した真紅に染まり、全身から吹き上がる真っ黒な魔力のオーラが、周囲の炎すらもかき消して暗闇を生み出している。

 

 

 

 

 シャドウサーヴァント・バーサーカー。

 

 この特異点における、セイバーオルタに次ぐ最悪の脅威。

 

 前からは百体以上の竜牙兵の群れ。後ろからは、神を殺すほどの力を持つ黒化大英雄。

 

 

 誰かが意図して配置したわけではない。特異点防衛のシステムと、バーサーカーの狂える闘争本能がもたらした、最悪の『偶然の挟み撃ち』。

 

「……ギルゥ……ォォォォォォッ!!!!」

 

 

 

 バーサーカーの咆哮

 

 それだけで、オルガマリーは膝をつき、マシュでさえも盾の裏で顔を歪めた。キャスターすらも、冷や汗を流して杖を強く握り直す。

 

 

(……なるほど。これが『最強』の一角か)

 

 

 巨漢の咆哮を正面から浴びながら、自身の全身から青黒い呪力がまるで陽炎のように立ち上るのを感じていた。

 

 

 肉体が、脳が、魂が、目の前の怪物との殺し合いを激しく渇望している。

 

 彼は知らない。このバーサーカーが、すでにセイバーオルタとの死闘によって『十二の試練(ゴッド・ハンド)』の命の大半を失い、さらに黒化の影響で本来の武練の冴えを失っている状態であることを。

 

 

 

 

 

 だが、そんなことはどうでもいいことだ。

 

 ただ目の前に、全力を出すに足る極上の「暴力の塊」が存在している。それだけで十分。

 

「マシュ、キャスター。前方の骨の群れは任せる。一体もこちらへ通すな」

 

 

 ヴァルナは振り返らず、ただ真っ直ぐにバーサーカーを見据えたまま指示を出した。

 

「俺は、後ろの怪物を始末する」

 

「えっ!? マスター、一人でなんて無茶です! あの魔力は、先ほどのランサーとは比較に……!」

 

「問題ない」

 

 

 マシュの制止の声を背中で聞き流し、ヴァルナは返事を待つことなく、アスファルトを粉砕して後方へと跳躍する。

 

 

 

 

 彼我の距離、わずか十メートル。

 

 バーサーカーの巨大な斧剣が、侵入者であるヴァルナを粉砕すべく、暴風を巻き起こして振り下ろされる。

 

 

 その極限の死地において。

 

 ヴァルナ・クロスは、一切の防御行動をとらず、両手を胸の前で極めて静かに交差させる。

 

 

 

 

 

 

 それは、かつて彼が学んだカバラの神秘「生命の樹(セフィロト)」における「イエソド(基盤・影の領域)」の理を、東洋の呪術と融合させた彼独自の結印。

 

 

 両手の指を緩やかに絡め合わせ、生命の樹の魔力経路を指の形で三次元的に表現する。

 

 その動作は、バーサーカーの豪快な剣閃とは対極にある、極めて小さく、静寂に満ちたものだった。傍目には、死を受け入れてただ手を組んでいるようにしか見えない。

 

 

 

 だが、その印が完成した瞬間。

 

 世界が、塗り潰された。

 

 

「領域展開」

 

 

 

 ――『万影伏界庭(ウンブラ・オムニス・ドミナトゥス)』

 

 

 

 

 

 

 

 音が消えた。

 

 炎の熱が消えた。

 

 廃墟の街並みも、赤黒い夜空も、すべてがヴァルナの足元から爆発的に広がった『影』によって、球状の結界の内側へと呑み込まれる。

 

 

 

 

 

 

 領域の内部は、光が一切存在しない「絶対的な影の世界」だった。

 

 上下左右の概念すら曖昧な漆黒の空間。地面は水面のように波打つ墨汁の海であり、踏みしめれば僅かに波紋が広がる。

 

 そして、その無限の黒の空間の奥底から、ヌラリと実体を持って立ち上がる九つの巨大なシルエット。

 

 

 

 

 

 九種の式神が、もはや個別の召喚獣としてではなく、この領域の「空間そのもの」として内在化し、ヴァルナの意思と完全に同調して蠢いている。

 

 

 ヴァルナ・クロスは、この絶対の影の世界の中央に、ただ静かに立っていた。

 

 ここは彼の心象風景であり、彼が法則を支配する影の玉座。

 

「……オォォォォォォォッ!!!!」

 

 

 バーサーカーが、突如として放り込まれた未知の異界に対し、怒りと混乱の咆哮を上げる。

 

「歓迎しよう、怪物。ここは、俺の影の奥底だ」

 

 

 ヴァルナの平坦な声が、空間の四方八方から同時に響き渡る。

 

 もはや、逃げ場はない。式神の無限召喚と必中効果が支配する檻の中で、孤高の呪術師とギリシャの半神による、神話すら塗り潰す死闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マスター!!」

 

 マシュが悲鳴を上げて手を伸ばした先には、巨大な『漆黒の半球体』がアスファルトの上に鎮座していた。

 

 

 外からの光を一切反射せず、内部の音も魔力も完全に遮断する、絶対不可侵の呪力のドーム。

 

 その不気味な黒い殻の中で、彼女のマスターが、単独であの怪物(バーサーカー)と対峙している。

 

「おいおい……ウソだろ。固有結界(リアリティ・マーブル)か!? あの野郎、魔術師のなり損ないどころか、その領域に足突っ込んでやがるのか!?」

 

 

 キャスターが、漆黒のドームを見上げて戦慄の声を漏らした。

 

『マシュ! キャスター! 新人君の魔力波長が結界によって完全に遮断された! 内部の状況はまったく観測できない!』

 

 

 ロマニが焦燥しきった声で叫ぶ。

 

「ドクター! マスターを助け出さなければ……!」

 

「待て、嬢ちゃん!」

 

 

 マシュがドームに向かって駆け出そうとしたのを、キャスターの杖が物理的に引き止める。

 

「あの結界は、中からも外からも干渉できねぇように閉じてる。今無理やりこじ開けようとすれば、大将の魔術を台無しにするだけだ! それに……!」

 

 

 

 

 

 

 

 カタカタ、カタカタカタカタ……!!

 

 前方から、地響きを立てて迫り来る百体以上の竜牙兵の群れ。彼らはバーサーカーの存在など意に介さず、ただ生者であるマシュたちを殺戮するために押し寄せてきているのか。

 

「大将の命令を忘れたか! 前の骨共は俺たちに任せるって言ったんだ。あのイカれた大将が、あの怪物から背中を守ってくれてる間に、こっちはこっちの仕事を終わらせるぞ!!」

 

 

 キャスターの檄に、マシュはハッと我に返る。

 

 そうだ。マスターは「任せる」と言った。ならば、彼の盾である自分がすべきことは、彼が帰るべき場所を死守することだ。

 

「……はい! 行きます、キャスターさん!」

 

 

 マシュは巨大な十字盾を構え、百の骨の群れへと単騎で突撃する。

 

 デミ・サーヴァントとしての筋力が爆発する。盾を水平に構えた『質量兵器』としての突進。

 

 

 ガァァァンッ!! という凄まじい衝突音と共に、前列の十数体の竜牙兵がボウリングのピンのように吹き飛び、後続の骨たちを巻き込んで粉砕していく。

 

「オラァッ!! 燃え尽きな!!」

 

 

 マシュが盾で押し込んだ敵の密集地帯に、灼熱の火球が次々と着弾し、数十体の骨を瞬時に灰へと変えた。

 

「私も……私だって、カルデアの所長よ! これくらい!!」

 

 

 オルガマリーもまた、震える手で自身の魔術回路を駆動させていた。

 

「フィン(撃て)!!」

 

 

 彼女の指先から放たれた強力な呪い(ガンド)の弾丸が、マシュの死角から迫っていた竜牙兵の頭蓋を正確に撃ち抜く。

 

 

 

 マスター不在の焦燥と不安。しかし、それを押し殺し、三人は前方の群れを必死で削り続けた。

 

 マシュの盾が弾かれ、キャスターの魔力が消耗し、オルガマリーが息を上げる。

 

 多勢に無勢の防衛戦。だが、彼らの背後にある漆黒のドームは、いかなる衝撃にも揺るがず、ただ沈黙を保ち続けていた。

 

 

 

 

 時間にして、三百秒。

 

 五分という、戦闘においては永遠にも等しい時間が経過する。

 

 最後の竜牙兵の頭蓋骨を、マシュが盾の縁で叩き割った、まさにその瞬間。

 

 

 

 

 

 ピキッ……。

 

 背後の空間から、ガラスが割れるような甲高い音が響いた。

 

 マシュたちが弾かれたように振り返ると、圧倒的な質量を誇っていた漆黒の半球体が、表面から亀裂を走らせ、まるで幻影のようにパラパラと剥がれ落ちる。

 

 

 

 領域の崩壊。

 

 そこから現れた光景に、マシュは息を呑み、キャスターは目を丸くした。

 

 

 

 ドームの跡地。

 

 そこには、全身を金色の魔力粒子へと変え、光の塵となって完全に消滅していく『バーサーカー』の巨体。

 

 

 そして、その光の雨の中央に。

 

「……ふぅ。少し、息が上がったな」

 

 

 肩で息をしながら、静かに汗を拭うヴァルナ・クロスの姿があった。

 

『消えた……バーサーカーの霊核が、完全に消滅した!? た、たった五分で……あのバーサーカーを!?』

 

 

 通信機越しのロマニが、信じられないものを見たように言葉を失っている。

 

 無理もない。十二の試練がほとんど機能していなかったとはいえ、あの圧倒的なフィジカルを誇る大英雄を、結界に閉じ込めて単独で屠り去ったのだ。

 

「マスター!!」

 

 

 マシュが、弾かれたようにヴァルナの元へと駆け寄った。

 

「ご無事ですか!? お怪我は……!」

 

「問題ない。少し、術式が焼き切れて呪力のノリが悪くなったがな」

 

 

 ヴァルナは自身の右手を握り込んだり開いたりして、感覚を確かめる。

 

 領域展開という極限の術式を行使した後遺症。現在、彼の十種影法術は一時的に使用不能な『焼き切れ』の状態に陥っている。

 

 

 だが、彼には教会仕込みの体術と、純粋な『強化』が残っている。

 

「前方の掃除は終わったようだな。残党がいるなら、俺も加わるが」

 

「い、いえ! 敵はすべて殲滅しました。マスターは休んでください!」

 

 

 マシュが慌てて首を振る。

 

「……大将。お前さん、本当に何者なんだよ」

 

 

 キャスターが歩み寄り、呆れたような、しかし深い敬意の念を込めた瞳でヴァルナを見つめる。

 

「あの怪物を一人で仕留めるなんて、神話の時代でもそうそうお目にかかれねぇぜ」

 

「ただの人間だ。……少し、疲れたな。どこかで休みたい」

 

 

 そう言って、微かに眉間を揉む。強者との死闘の余韻と、領域展開による脳への過負荷が、一気に押し寄せてきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 連戦に次ぐ連戦。

 

 限界まで疲弊した一行は、円蔵山を目前に控えた廃墟ビルのワンフロアに身を隠し、小休止を取ることにした。

 

 キャスターが魔術で瓦礫を集め、ほんの小さな「焚き火」を作り出す。そのオレンジ色の光と微かな温もりが、張り詰めていた彼らの神経を少しずつ解きほぐしていく。

 

 

 ヴァルナはコンクリートの壁に背を預け、目を閉じて呪力の回復と術式の修復に努めている。

 

 その隣で、マシュは膝を抱え、自身の横に置かれた巨大な十字盾をじっと見つめていた。

 

「……お疲れ様。マシュも、よくやったわ」

 

 

 珍しく、オルガマリーが柔らかな声でマシュに労いの言葉をかけた。彼女もまた焚き火の反対側に座り、煤で汚れた顔を拭っている。

 

「所長……。いえ、私はただ、マスターに言われた通りに盾を構えていただけです」

 

「謙遜することはないわ。アサシンの『宝具』を完全に弾き返したのは、紛れもなく貴方と、その盾に宿る英霊の力よ。カルデアのデータベースでも確認できたわ」

 

 

 ロマニの声が、端末から優しく響く。

 

『マシュ。君はアサシン戦で、宝具の仮想展開に成功したんだ。真名が分からない状態での、言わば「仮の宝具解放」。それがあの強固な城壁を生み出した』

 

「仮想展開……。でも、真名が分からないままでは、英霊の力の全力を引き出すことはできません。私の中にいる英霊が誰なのか、名前すら教えてもらえなかったので……」

 

 

 マシュの表情に、再び自身の存在に対する「空っぽ」の不安が翳る。

 

「……なら、私が名前をつけてあげるわ」

 

 

 オルガマリーが、凜とした声で宣言した。

 

 彼女は立ち上がり、マシュの十字盾の表面をその指先でそっと撫でた。

 

「概念武装は、名付けによってその神秘を固定化される。貴方が真名を知らないというのなら、今の貴方が信じている『守るべきもの』を、その盾の仮の名前にすればいい」

 

 

 オルガマリーは、真っ直ぐにマシュの瞳を見つめた。

 

「貴方が守ろうとしたのは、私であり、あそこにいる不真面目なマスターであり、そして……人類の未来を観測する、私たちの居場所(カルデア)だった」

 

「所長……」

 

「仮の宝具名。今日から、この盾の展開を『人理の礎(ロード・カルデアス)』と呼称しなさい。……カルデアの所長である私が、特例で認めてあげるわ」

 

 

 

 ロード・カルデアス。

 

 その名を聞いた瞬間、マシュの胸の奥で、何かがカチリと音を立てて噛み合ったような気がした。

 

 自分の中の得体の知れない英霊の力に、初めて「自分の居場所」という楔が打ち込まれた感覚。

 

「ロード・カルデアス……。はい。ありがとうございます、所長。とても、強くて優しい名前だと思います」

 

「……悪くない名前だ」

 

 

 ふと、目を閉じていたはずのヴァルナが、ぽつりと呟く。

 

「起きてたの!? アンタ、人がいい話をしてる時に盗み聞き……」

 

「耳が塞がっているわけじゃない」

 

 

 ヴァルナはゆっくりと目を開け、焚き火の炎越しにマシュを見つめる。

 

「名前がついたなら、次からはもっと早く発動できるはずだ。……頼りにしている、マシュ」

 

「はい、マスター! この盾で、貴方の背中を必ず守り抜きます!」

 

 

 そのやり取りを見て、キャスターが「やれやれ」と肩をすくめて笑う。

 

「主従の絆が深まったところで悪いが、大将。体力は戻ったか? 焚き火の温もりもいいが、そろそろ火の元を消しに行かねぇと、この街の夜は永遠に明けねぇぞ」

 

「ああ。問題ない。術式も、八割方戻った」

 

 

 ヴァルナは立ち上がり、右手を軽く握り込む。

 

 『焼き切れ』は解消され、自身の足元には再び、底知れない深淵のような『影』が濃く落ちている。

 

 一行は立ち上がり、焚き火の光を背にして、廃墟の出口へと向かった。

 

 見上げる先には、炎上する冬木の街を睥睨するようにそびえ立つ、巨大な円蔵山。

 

 その山肌に開いた真っ暗な大空洞の入り口からは、先ほどのバーサーカーすら凌駕する、圧倒的で禍々しい『黒の極光』が漏れ出している。

 

 

 

 いよいよ、特異点Fの心臓部。

 

 すべての元凶であり、人類滅亡の引き金となった大聖杯への突入が始まる。

 

 孤高の呪術師の瞳の奥で、冷徹な殺意が静かに、そして鋭く研ぎ澄まされていった。

 

 

 

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