酒寄彩葉に泣かされる優柔不断で悪いモブの話【完結】 作:ゴリラ皇子
本作を既読された方向けとなります
細かい設定等矛盾があるかもしれませんが雰囲気重視でお楽しみください
かぐやの卒業ライブから数日程経ったある日、事件は酒寄家で起こった
ニコニコ笑顔を作りながらも背後へ般若を背負い、自身のスマホを正座しているかぐやへと見せる
「なに、これ」
私のスマホに映っていたのはとあるインタビュー動画
かぐやがヤチヨとのコラボライブ後に撮影したインタビュー動画なのだが
問題はその内容だ
「私はいま、冷静さを欠こうとしている」
「ヒィィィィィ」
私の目が笑っていないことを感じ取ってか、かぐやはこの間ヤチヨに教わっていたジャパニーズDOGEZAへ流れるように移行していた
「褒めると嬉しそうに照れる?可愛くて大好き?」
「あ、そこなんだ」
「なぁ~にを全国の皆様へ言ってくれてんのよ!」
「だって事実ですからなぁ~」
「…!」
「むごんでほっぺむにむにするのはやめへ~」
なによ柔らかいじゃないのよ、触り心地いいじゃないのよ
全く…いつの間にか、考え方まで、大人になっちゃって
「いろPのこと、よろしくなってなに…」
「い、いろは」
「そんなキャラじゃないじゃん…」
「…」
「うぅ~」
「うん、うん…ごめんね彩葉」
泣き崩れてしまった私をかぐやが優しく抱きしめてくれた
「かぐやはここにいるよ」「ずっと一緒だよ」という言葉を聞きながら
存在を確かめるように強く抱きしめ返した
「つまり、2人でイチャイチャしてたらこんな時間だったと~☆」
うっヤチヨはとても良い笑顔だ…可愛い…
ヤチヨが怒るのも無理はない
私が再起動するのに時間がかかりヤチヨとの待ち合わせの時間に遅れてしまったのだから
「ヤチヨは怒ってないよ~むしろ」
ヤチヨは私の大好きな包み込むような優しい笑顔で私たちへと微笑んだ
「むしろ2人が一緒にいられて…本当に良かったなぁ~って」
そう言いながら本当に嬉しそうな顔しちゃって
かぐやと泣いたり笑ったりして過ごせるのが誰のおかげか
私たちがどれだけヤチヨに感謝しているか分かってるのかな
「かぐや」
「いえっさ~!」
どれだけ感謝しているのか
そしてどれだけ愛しているのか
ヤチヨ…じっくり時間をかけて教えてあげないといけないね
「ふ、2人とも…何でゆっくり近づいてくるのかなぁ~☆」
ヤチヨの正体判明後
ツクヨミ内ヤチヨの自宅にて
月見ヤチヨは人生最大の危機を味わっていた
それはヤチヨが八千年の旅路の中でも味わったことのない程の危機
一体何が起こっているのかというと…
「2人とも…ちょっと恥ずかしいな~ってヤチヨは思ったり…」
「へーじゃあヤチヨは私達と触れ合ってたくないんだ?」
「い、いや…そういうわけじゃないんだけどね~」
「じゃあ~ヤチヨはかぐや達にどうしてほしいの~?」
「ううぅぅぅ…」
彩葉が左からかぐやが右からヤチヨの手を握りながら耳元で囁く
ヤチヨは呼吸が浅くなり胸が早鐘を打つのを感じた
「ほら、教えてヤチヨ~?」
「うぅ…FUSHI、FUSHI…!」
「あわわわ…ね、ネムッテ!ネムッテ!」
ヤチヨのヘルプにFUSHIはスリープモードを偽ることで応えようと動く
悲しいかな…ヤチヨの八千年分の記憶を見た2人には通じなかったのだが
「ヤチヨ?まだそんな時間じゃないよね?」
「はいはい~FUSHIはかぐやちゃんと遊びましょうね~!」
「FUSHI~!?」
FUSHIはかぐやに連れられてどこかへ姿を消してしまう
ヤチヨの部屋に…彩葉の部屋を模した部屋に彩葉とヤチヨの2人だけが残された
沈黙
顔を真っ赤にし彩葉から目線を逸らす
そんなヤチヨを見た彩葉はまるで恋人のように指を絡めてくる
思わず声が出そうになるのを必死に我慢した
彩葉はヤチヨと話していて気づいたことがある
ヤチヨは自己肯定感が低いのか未だ罪悪感が心のすみに残っているのか
2人を愛していると言いながら
自身は2人に愛されているとまるで思っていないことに
八千年分の記憶を見た彩葉とかぐやは
ヤチヨがどれだけ2人を愛してくれていたのかを知った
だからこそ貰った分以上の愛をヤチヨへお返しして
自身がどれだけ愛されているのかを分からせることに決めたのだ
「ヤチヨ」
「い、彩葉…」
「教えて」
彩葉がヤチヨの耳へ囁く
ゾクリとヤチヨの身体が震えた
「本音を聞かせて…?」
恐る恐る彩葉の顔を見る
愛おしそうにこちらを見つめる彩葉の瞳はとても綺麗で
思わず見惚れてしまいそうになる
「思いっきり、ぎゅっとして…」
その瞳を見ていたら思わず漏れ出てしまった言葉
彩葉は何も言わず抱きしめてくれた
「もっと、ぎゅっとして…」
一度溢れ出してしまったら止まらない
強く強く存在を刻み込むように彩葉が抱きしめる
あぁ…どうしよう…
幸せすぎるせいで
涙が止まらない
「ヤチヨ、がんばったね」
「うん…」
「ヤチヨ、ありがとう」
「うん…」
「ヤチヨ、大好きだよ…」
「うん…うん…」
うん、としか返せなくなってしまったヤチヨを
彩葉は強く抱きしめ愛を伝え続けてくれた
そしてヤチヨが落ち着きだした頃
不意に彩葉の唇が耳へと触れた
甘いような痺れるような
初めての感覚がヤチヨの身体を襲った
「ひぅ…!?」
「?」
思わず漏れてしまった声に彩葉が疑問顔で顔を覗いてくる
「その~…そのね」
「うん」
「この部屋…ヤチヨとFUSHIしか入れなかったから…」
「うん?」
「接触制限、してなくて…」
「!?」
「だ、だから顔がちかいと…ね~?」
「…」
その言葉を聞いた彩葉の全身を何かが突き抜けた
そして徐にヤチヨの両肩へ手をやり
優しく床へと押し倒した
「い、彩葉?」
頬を赤らめた彩葉の瞳へ潤んだ目をしたヤチヨが映った
私の愛しい愛しい歌姫
「いろは…」
あぁ、あるじゃないか
もっと直接的に愛を伝える手段が
「ぁ…」
かぐやが部屋へと戻ってきた時
ヤチヨと彩葉はお互い顔を真っ赤にして床へ寝そべっていた
手は繋いだままになっていたので、良い感じに仲良くできたのだろうきっと、うん
彩葉は顔を真っ赤にしたまま「夕飯の準備があるから!」とログアウトしていった
FUSHIは空気を読んでどこかへ行った
そして現在
ヤチヨはかぐやを膝枕してその頭を撫でていた
「ねぇ~かぐやも甘やかしたいんだけどぉ~」
「いいからいいから~」
ヤチヨは大好きなかぐやを膝枕できてニッコニコである
凄い満たされたのに何故か減った精神ゲージを回復させているのだ
あのようなことが続いたら色々もたないともいう
「大切なメロディは流れてるよー♪」
ご機嫌過ぎて普段は歌わない歌まで思わず口ずさんでしまう
「その歌…」
「うん、ヤチヨが2人へ届きますように~って作った歌」
「かぐやその歌好きだな~」
「感謝感激雨アラモード~!」
自分の作った歌が好きだと他でもないかぐやへ言われて
胸にぽかぽかしたような温かさが宿る
「大切なメロディってさ~やっぱ彩葉の歌?」
「たはは~バレちゃったか~」
大切そうに愛おしそうにかぐやの頭を撫でる
この歌の元はかぐやが言ったように彩葉が作った歌である
彩葉がかぐやへ送った大切な…大切な歌…
ーこの一瞬を最高のパーティにしようー
ヤチヨがモブちゃんになる前からずっと好きだった歌
「ヤチヨはおばあちゃんなので、色々忘れちゃったけど…この歌だけはずっと忘れなかったんだぁ」
「…そっかぁ~」
かぐやは眩しそうに目を細めると
すぐにひまわりの様な笑顔を咲かせた
「ねぇヤチヨ」
「?」
「届けてくれて、ありがとね」
「…どういたしまして~」
ヤチヨは嬉しそうに微笑み
その笑みを少しだけ悲しそうにするとかぐやへと尋ねた
「かぐやは…」
「ん~?」
「かぐやは…ヤチヨのこと恨んでないの?」
「恨む~?かぐや恨んでなんかないよ~??」
悲しそうな笑みのまま少しおちゃらけたように言葉を続ける
「だって、ヤチヨになれば彩葉の推しになれたんだよ~?」
「ヴェ~!それは悔しぃぃい…!」
「だよね~☆それに楽しい思い出も沢山あるし…」
「思い出はもう貰ったよ~!それにさ~」
「?」
「彩葉と八千年もお別れしなきゃならんしょ?そんなのやっぱ無理ぃ~!好きなことしてたぁ~いぃ~!」
そう言ってヤチヨが大好きな顔で笑うかぐや
そんなかぐやに釣られてヤチヨも笑顔になった
「だからさ~ヤチヨ~」
「…なんだいなんだい?」
「かぐやを守ってくれて…ありがと!本っ当に嬉しかったよ~!」
「…うん…うんっ」
ヤチヨの目から大粒の雫がポタポタと零れていく
まるで宝石のように輝いているようにかぐやは感じた
「あ、あはは~涙腺おかしくなっちゃったかぁ~」
「ヤチヨは泣き虫だなぁ~」
「ヨヨヨ…彩葉とかぐやに泣かされてばっかなのです…」
かぐやは身を起こすとヤチヨを抱きしめる
そして泣いている子をあやすように優しく頭を撫でた
自身の頬をヤチヨと同じように涙が流れていることは棚に上げて
「かぐやの願いを叶えてくれてありがと」
「ヤチヨの願いだもん…」
「も~それでもだよ~!」
「うぅ~」
「これからも一緒に楽しいことい~ぱいやろうね~」
「ヤチヨも一緒でいいのかな…?」
「もっちろん☆ライブもまたやろう~!」
「うん…やろ…やろ…!」
2人は笑い合いながら泣き合いながら色々なことを話した
コラボライブ、将来やりたいこと、歌いたい歌…本当に色々なことを
「ヤチヨ~かぐやちゃんのこと好きすぎない~?」
「だってヤチヨはかぐやのこと本当に…す…す…」
「んん~?」
「たはは~なんか意識したら照れくさくなっちゃった☆」
ヤチヨがそう言いながら照れている顔を手で隠した
それを見たかぐやは、ニヤリと悪戯っ子の様な顔をしたままヤチヨの両手を掴む
「み、見ないで…」
無理やり手を退かせて
プルプルと震え真っ赤な顔をしたヤチヨを見た時
かぐやの全身を何かが突き抜けた
「かぐやね…」
「ひぅ…!?」
かぐやは両手を掴んだままヤチヨを床へと押し倒すと
ペロリと唇を舌で舐めた
デジャヴュの様な光景へヤチヨの頭が茹で上がりそうになる
「かぐやね…彩葉とヤチヨが何してたか、知ってるんだぁ~♡」
あくる日、ヤチヨの配信にて
「ヤオヨロ~神々の皆、昨日は配信お休みしてごめんね~」
昨日は突然ツクヨミ中に大量のミニヤッチョが放たれるという不具合があった
恐らくその対応だろうとリスナーは勝手に納得していた
「今日は昨日できなかったお便りコーナーをやっていくよ☆」
募集したお便りにヤチヨが答える定番コーナーなのだが
この日は様子が違っていた
いや違うのはヤチヨの心の在りようだろうか
「じゃあ最初のお便り~☆
『ヤチヨちゃんヤオヨロー!
私は最近恋人ができて毎日が幸せなのですが、ヤチヨちゃんが最近幸せだと感じたことを教えてください!』う~ん素敵だねぇ~!」
なんてことはない普通の内容なのだが「恋人」「幸せ」という単語でヤチヨの脳内に昨日のできごとがフラッシュバックする
『ヤチヨ…♡』
『ヤチヨ~♡』
彩葉とかぐやに愛された記憶が脳内へ鮮明によみがえる
「こ、こここ恋人…!し、ししし幸せ…!」
ボフっと音がしそうな程、ヤチヨが一瞬で顔を赤くした
その様子に何事かを察したリスナーのコメントが加速する
「ご、ごめ~ん☆ちょっと調子が悪いみたいだから…き、今日はここまで~!」
そう言って逃げるように配信を閉じた
その日『月見ヤチヨに恋人ができた』というニュースがツクヨミを駆け巡り
全ヤチヨファンを震撼させたとか
感想と高評価、並びにお気に入り登録ありがとうございます!
神々の皆様が楽しんで読んでいただけていることが何よりの救いです
後日談をいくつか投稿したいと考えておりますので
引き続きよろしくお願いいたします
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