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人とというのはすべからく知ることを欲する生き物である。人が集まるところには、おのずと情報も集まってくる。無知になりたくなければ、人付き合いは密にするべきだった。
戦乱の世にあって、人々は、かつて王朝が隆盛して平和が全域まで及んでいた頃とは異なり、和気藹々とおしゃべりや遊戯のために集まったりすることはせず、基本的には家族だけで、または仕事仲間だけで固まっていた。
だが、曹栄のところには、村の内外から人が出入りしていた。そして屋敷では頻繁に会議が催されていて、それは密室で行われるため、内容は明らかではないが、新しい情報を仕入れた上での会議であることは、ほとんど疑いようがなかった。
許義と岩良は、ひとまず紡績業を李転たちに委ね、自身は曹栄のところに、新兵として入門することにした。奏文も、最後まで付き合うつもりはなかったが、彼等に連なることにした。彼にとってそれは、以前やった情報収集の延長であり、本気で兵士になる気はなかった。
夏が進み、夜の熱気に若干の涼気が混じるようになった。
奏文と許義と岩良は、日中は武術の稽古に従事した。兵卒はとにかく稽古が課された。剣、槍、矛、戟……あらゆる武器を持たされ、素振りさせられた。
だが、ある夜の早い頃――村人たちが段々休み始めるころ――会議が催されることになり、奏文たちは屋敷の中に招集された。
部屋の中央に、椅子が『コ』の字形に並んでおり、そこに曹栄と、李転の娘といっしょになった男の将兵がおり、隅に、奏文を含む末端の兵士が整列して正座していた。
「斥候から知らせがあった。目下、戦の最中にある王朝政府と、『王氏』が率いるその敵軍についてだ」、と曹栄。
各所で灯火台に火が焚かれていて、蛾と思しき羽虫が群がっている。
「王朝政府が官職を付与するという文句で誘惑したことで、王氏の軍が、親政府側と反政府側とに分裂したらしい。反政府側を率いるのは、『黄氏』だそうだ」
「戦局を巡る勢力は、三つ巴の関係になったということですか?」、と将兵。
「あぁ」、と曹栄。「前までは王朝政府の敗北が濃厚だったが、読めなくなった」
奏文たちは、静聴していた。
「王氏が最終的にどちらに付くかで、形勢が変わりますなぁ」
「権力に目が眩んだ俗悪な王氏などには、もう継戦能力の意欲はなかろう。いずれに付こうが、潰される。そのようにわたしには予見される」
「放伐(実力で王朝を倒すこと)の時は近いですかな」
「とっくの昔に衰弱し切ったはずの王朝政府が今なお存続していることが驚きだ。宦官が跋扈していると聞いているが、彼奴等がよっぽど悪知恵を働かせているのだろう……」
曹栄たちの話に、奏文はよく傾聴し、貪欲に情報を吸い込んだ。許可はそういう情報には興味なさげでイライラしているようで、岩良は、眠くなってきたようで、うつらうつらと舟を漕いでいた。
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