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伝令が伝えた。王朝政府において、うまい話を持ち掛けられて誘惑された王氏は、名誉欲に目が眩み、王朝政府の刺客に謀殺されたそうだ。主導者を失った王氏の残存勢力は、反乱を起こした当時の勢いを失い、敵対する黄氏率いる軍によって殲滅された。
王朝政府としては、共倒れを望んでいたが、意想外に黄氏の勢力が強大で、長く膠着状態にあるようだった。だが、王朝政府は強力な異民族と提携し、北方の節度使を滅ぼして都護府を一つ復活させたそうで、従ってそれだけの膂力が王朝政府にはあるのであり、確かに衰微してきているとはいえ、分裂割拠した野心家の者たちに、そう易々と権威を譲りわたしてくれる気配はなかった。
とにかく村では、また村を包括する節度使の領土全域では、塩が不足していた。人が活発に生活するのに塩は不可欠だった。その塩に高い税が乗せられており、これは悪法でしかなく、人々の反感は強まっていた。
手頃な価格の塩を扱う商人が普段塩を仕入れている闇屋が王朝政府に取り締まられて捉えられたためである。
村が属する領土は『東涼』と号する国であり、国全体が塩不足の危機にあり、東涼の将軍は、節度使としてあくまで王朝政府に地方の統治を任じられているのであるが、王朝政府が衰微した今、互いの関係性は曖昧であり、使いの者が、財政が苦しいからと塩を買ってくれるよう要請するのだが、将軍は更々聞き入れる気はなく、自国の財政のために塩を人々に節約させざるを得なかった。
内地に位置する東涼には製塩業者を持たず、将軍はこの塩の危機を乗り越えるため、近々の海岸に打って出ることにした。そのために各町村で軍が編成され、曹栄の配下となった奏文たちも、漏れなくその軍に連なることになった。
彼等は長旅の行軍をすることになり、ある日、作戦のために遠征軍が編成され、東涼の都である大安に集い、旅立った。
恐らく塩はすでに領土間で激しい取り合いとなっており、そこに割り込む今回の東涼の塩の確保のあめの行動は、ほぼ間違いなく戦乱に繋がるだろう、そういう推測に、今回の作戦は拠っていた。遠征軍は、商談のための使者が引き連れてきており、まずは相手と交渉してみる心積もりだったが、うまく行かないだろうという見立てで、充分な戦力を用意した。
奏文と許義と岩良は軽装で前・中・後軍の内、後軍に属しており、歩いていた。奏文の父に貰い受けた馬は、いやに上等だからと曹栄に取り上げられて、いなかった。彼は兵卒の立場上譲ったが、後で必ず返させる気でいた。
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