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頻発する反乱軍の内情には共通点があった。軍に属する兵たちは総じて、税や課役などの負担を苦に王朝の管理下を脱した者たちであり、彼等は管理の義務と引き換えに与えられた土地を手放し、土地を個人で所有する貴族や豪族などのもとに転がり込み、そこで小作人に似た形で雇われた。彼等が与えられた土地は荒廃し、そこから納められるはずの税は納められなくなり、王朝の退廃と衰微に繋がった。
王朝に関してはよからぬ噂が出回っていた。奏文の父が擁護する王朝では、権力の転覆が連続しており、時の皇帝が衰えて皇后が実験を握るようになったが、以後の政権は不安定で、皇后とその子息と、彼等の配偶者とが権力の座を巡って闘争するようになり、地方の行政など、まるで顧みないのだった。
ある日の朝、奏文が屋敷の中庭で剣の型の鍛錬をしていたが、変に力んでいて、うまく制御がきかず、姿勢がよく乱れた。その様子を見ていた母が、彼に心配そうに話しかけた。彼女は、青い着物を着た、端麗な容姿の女性だった。
「奏文。具合でもよくないのですか?」
「母上」
奏文は険相で振り向くと、剣を鞘にしまい、応じる恰好になった。
彼は自身の状況に苛立っていた。父の教えで武芸を磨き、父のために、ひいては家族、そして王朝のためにその力をふるってきたが、いよいよ不信感が募って来、戦に対してあまり積極的ではなくなってきていた。
「顔が険しいけれど」
「具合は悪くありません。ただ、昨今の世相がよくないように思えてしまって……」
「出回っている噂のことですか? 王朝の混乱についての」
「えぇ、わたしは父上と共に戦に出ますが、最近は反乱軍の鎮圧ばかりしています。彼等がただの低劣な賊などであれば、わたしの剣術も冴えるのでしょうが、いかんせんこの状況に対する人々の憤懣に、わたし自身まったく共鳴しないというのではないものでして」
「どちらにも義はあるのだろうと、わたしは思いますよ、奏文」
「母上……」
「問題は、誰がどちらに付くのか、それだけなのでしょう。あなたは、今は王朝の側に立って戦っている。あなたがもし、王朝の威厳に最早信を置かず、立ち向かうというのであれば……」
「わたしに父上に敵対するなど、出来ようはずがありません。弟子が師に逆らうものではありません」
「それは表向きの事情に過ぎません。あなたが本心でどう思っているか、どうしたいのか。それをじっくり考えてみて、みずからの本心を探り、答えを出すことです。そして現実と照らし合わせて、将来を予見し、行動するのです」
そう言われて、奏文は鞘に納まった剣を再び抜き、近くに生えている庭木の葉を一枚むしり取り、つむじ風に乗せて放り投げ、浮かび上がったその葉を、振りかぶった剣を、紫電一閃、振り下ろした――見事に葉は真っ二つに均等に割れ、彼の苛立ちは鎮まったようだった。母は感心したが、奏文自身、ここまでうまく行くとは思わず、少し戸惑ってしまった。
だが、彼において、胸のわだかまりが解けかけた気がした。今のままではいけない、行動して状況を変えないといけない、そういう風に、彼は思うようになった。
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