守るべきもの、怒るべきもの、斬るべきもの、喰うべき謎 ――キラ、承太郎、カイエン、ネウロのごった煮会話劇   作:ギアっちょ

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キラ・ヤマトはアウトストライカーを拒否する

「キラくん」

 

レディオス・ソープが、穏やかな声で言った。

 

その声を聞いた瞬間、キラ・ヤマトは少しだけ身構えた。

 

理由はある。

 

つい先日、ソープはシン・アスカのデスティニーガンダムに対して、謎の追加兵装案を出した。

 

デスティニーガンダム・ホームランシルエット。

 

巨大金属バット型の対艦打撃兵装。

LEDミラージュの剣にも使われる素材。

接続規格確認のための設計仕様書要求。

さらに、名称変更案としてのホムーランシルエット。

 

シンは叫んだ。

アスランは通行止めにした。

ラクスは少しだけ言葉の響きに反応した。

Xiと弥子は笑った。

 

あれは、ぎりぎりのところで止まった。

 

そう思っていた。

 

「……はい」

 

キラは警戒を隠さずに返事をした。

 

場所は、トニオ・トラサルディーの店の近くにある小さな広場だった。

 

食事を終えたキラ、ラクス、アスラン、シン。

そこへ、ソープ、ラキシス、Xi、バクスチュアル、桂木弥子が合流したところである。

 

アスランはすでに、ソープの表情を見て警戒レベルを上げていた。

 

シンは前回の件を思い出し、デスティニーの設計仕様書が入った端末を両手で抱えている。

 

ラクスは穏やかに微笑んでいるが、視線はキラとソープの間を静かに行き来していた。

 

Xiは少し離れて、面白いことが始まりそうな顔をしている。

 

バクスチュアルはその隣で、静かに様子を見ていた。

 

弥子は、何が始まるのか期待している顔だった。

 

ソープはにこやかに言った。

 

「キラくんの以前の機体、ストライクガンダムは、各種ストライカーパックを換装して使用する機体だよね?」

 

キラは少しだけ目を細めた。

 

「……はい」

 

ソープは楽しそうに続ける。

 

「エールストライカー、ソードストライカー、ランチャーストライカー、だっけ」

 

「そうです」

 

「とても優れた機体の設計思想だ」

 

キラは少しだけ表情を和らげた。

 

ストライクガンダム。

 

彼にとって、それはただの旧機体ではない。

 

初めて戦うことになった機体。

守るために乗った機体。

多くの迷いと痛みの始まりでもあり、同時に、生き残るために必死だった時間そのものでもある。

 

「ありがとうございます」

 

キラは静かに言った。

 

「でも、今はフリーダムがメインなので、ストライクは使っていません」

 

「そこで、その機体の活用案を考えたんだ」

 

その瞬間、キラの表情が完全に固まった。

 

シンが小声で言う。

 

「キラさん」

 

「うん」

 

「嫌な予感がします」

 

「僕もだよ」

 

アスランは一歩前に出た。

 

「ソープ様。念のため確認しますが、その活用案とは」

 

ソープは穏やかに言った。

 

「新しいストライカーパック」

 

キラは深く息を吸った。

 

「また、とても嫌な予感がしてきました」

 

ソープは楽しそうに続ける。

 

「アウトガンダムの設計思想を盛り込んだ、アウトストライカーなんてどうだろう?」

 

キラは即答した。

 

「やめてください!」

 

シンも叫んだ。

 

「アウトはダメです!」

 

アスランが真顔で言う。

 

「名前の時点で不採用です」

 

ラクスは口元に手を添えた。

 

「あら……アウトストライカー」

 

キラが振り向く。

 

「ラクス?」

 

ラクスはすぐに微笑んだ。

 

「もちろん、キラの大切な機体ですもの。アウトにはいたしません」

 

キラは少しほっとした。

 

「ありがとう、ラクス」

 

ソープは少し不思議そうに首を傾げた。

 

「でも、アウトガンダムの重装甲設計は面白いと思うんだ」

 

キラは困った顔で言う。

 

「アウトガンダムは、そもそも民明書房の資料ですよね」

 

Xiが笑いながら言った。

 

「資料としての信頼性がアウト」

 

弥子は頷く。

 

「アウトストライカーだけに」

 

アスランが即座に言う。

 

「その方向に広げるな」

 

ソープは気にせず続けた。

 

「重装甲で、被弾してもギリギリアウト」

 

キラが言う。

 

「ギリギリでもアウトならダメなんです」

 

シンも力強く頷く。

 

「セーフにしてください!」

 

ソープはぽんと手を打った。

 

「では、セーフストライカー」

 

キラが一瞬だけ迷った。

 

「それならまだ……」

 

アスランがすぐに止めた。

 

「キラ、名前で判断するな」

 

ソープは続ける。

 

「被弾判定を限界まで曖昧にする防御用ストライカーだ」

 

キラは目を閉じた。

 

「曖昧にしないでください」

 

シンが困惑する。

 

「判定勝負なんですか!?」

 

Xiが腕を組む。

 

「審判が必要だな」

 

弥子が言う。

 

「ストライクだけに、ストライク判定!」

 

キラは静かに言った。

 

「やめてください。話が野球に戻ります」

 

シンは震えた。

 

「ホームランは封印したはずです……!」

 

ソープは考え込む。

 

「なら、ファールストライカー」

 

シンが叫ぶ。

 

「戻った!!」

 

アスランがソープに向き直る。

 

「ファールは防御装備の名称として不適切です」

 

ソープは真面目に言う。

 

「敵の攻撃をファールにするんだ」

 

キラは額を押さえた。

 

「発想がまた野球側に寄ってます」

 

Xiが笑う。

 

「ストライクの換装装備にファールストライカー。だんだん球場が見えてきたな」

 

弥子が楽しそうに言う。

 

「じゃあ、ホームランストライカーもあります?」

 

シンが悲鳴を上げた。

 

「それは俺の方に戻ってきますよね!? やめてください!!」

 

キラはシンの肩に手を置いた。

 

「シン、落ち着いて」

 

「落ち着けません! ホームランは封印したはずです!」

 

アスランが厳しい顔で言う。

 

「封印が甘かった」

 

シンは真剣に頷いた。

 

「もっと厳重に封印します!」

 

ソープはさらに楽しそうに言った。

 

「アウトストライカーが不評なら、アウトストライクガンダムという案もある」

 

キラは目を見開く。

 

「ストライクをアウトにしないでください!」

 

アスランが即座に言う。

 

「アウトなら不採用です」

 

シンも叫ぶ。

 

「名前からもうダメじゃないですか!」

 

ソープは穏やかに説明した。

 

「でも、ストライクだからね。ツーストライクまでは大丈夫だろう?」

 

キラが固まった。

 

「どういう理屈ですか!?」

 

Xiが妙に納得したように頷く。

 

「仏の顔も三度まで、だな」

 

弥子は首をかしげる。

 

「なんか可笑しいけど、わけわからない」

 

アスランは真顔で言う。

 

「仏と野球とモビルスーツを混ぜるな」

 

ソープは指折り数える。

 

「つまり、ワンストライク、ツーストライク、アウトストライク」

 

キラは困り果てた顔で言った。

 

「三段活用みたいに言わないでください」

 

シンが叫ぶ。

 

「それ、最後アウトじゃないですか!」

 

ソープはにこやかに頷く。

 

「だからアウトストライク」

 

キラは力強く言った。

 

「やめてください!」

 

ラクスがそっと言う。

 

「キラ、頑張って」

 

キラはうなずいた。

 

「うん。ストライクは守る」

 

シンも拳を握った。

 

「俺も協力します! 機体を変な追加装備から守る気持ちはわかります!」

 

Xiが笑う。

 

「シン、急に経験者の顔になったな」

 

「経験者です!」

 

ソープは少し残念そうに考え込んだ。

 

「では、ストライクではなく、フリーダム用に」

 

キラが即座に言う。

 

「もっとダメです」

 

アスランが続ける。

 

「フリーダムにもアウト判定を持ち込まないでください」

 

ラクスは静かに微笑みながら言った。

 

「フリーダムは、キラにとっても大切な機体ですもの」

 

「ありがとう、ラクス」

 

ソープは少しだけ首を傾げた。

 

「では、ライジングフリーダム用のライジングアウトパック」

 

キラは即答した。

 

「上昇しながらアウトになるみたいなのでダメです」

 

Xiが吹き出した。

 

「上がってるのか落ちてるのかわからない」

 

弥子も笑う。

 

「ライジングなのにアウト!」

 

アスランが言う。

 

「笑うな。採用される」

 

弥子は慌てて口を押さえた。

 

ソープはさらに考える。

 

「では、セーフフリーダム」

 

キラは少し疲れた声で言った。

 

「もう判定から離れてください」

 

シンが必死に言う。

 

「そうです! 兵器は判定じゃなくて性能です!」

 

Xiがシンを見る。

 

「前回から随分しっかりしたな」

 

「必死なんです!」

 

ソープは少しだけ困ったように笑った。

 

「うーん。ガンダム側は難しいね」

 

キラはほっとした。

 

「わかってもらえましたか」

 

「仕方ない」

 

ソープは穏やかに言った。

 

「その設計思想を活かした『アウト・ミラージュ』を作って我慢するよ」

 

場の空気が、一瞬止まった。

 

キラが言う。

 

「我慢の方向が間違っています」

 

アスランも続ける。

 

「アウトの設計思想を残さないでください」

 

シンは青ざめる。

 

「ガンダムから離れたのに、まだ不安です!」

 

Xiが一歩下がった。

 

「陛下、そのモーターヘッドに乗るの俺じゃないですよね?!」

 

ソープはにこやかに言った。

 

「Xiくんは勘がいいね」

 

Xiは叫んだ。

 

「やっぱり俺じゃん!!」

 

バクスチュアルが静かに反応する。

 

「Xiサン、アウト?」

 

「俺をアウト判定するな!」

 

弥子は目を輝かせる。

 

「アウト・ミラージュ……なんか強そう!」

 

Xiが叫ぶ。

 

「強そうで済ませるな!」

 

ソープは楽しそうに説明を始めた。

 

「アウト・ミラージュは、敵の攻撃を二回まで受け流し、三回目で相手をアウトにする騎体だ」

 

キラが言う。

 

「野球の判定が残ってる!」

 

アスランが真顔で続ける。

 

「モーターヘッドに審判機能を搭載しないでください」

 

シンはXiを見る。

 

「しかも乗るのXiなんですか!?」

 

Xiは必死に首を振る。

 

「違う。乗らない。俺はまだ契約書にサインしてない」

 

ソープは穏やかに言う。

 

「Xiくんの反応速度と相性がいいと思うんだ」

 

「思わなくていいです!」

 

「軽量化して、回避性能を高めて、二回まで相手に攻撃を空振りさせる」

 

Xiは片手を振る。

 

「空振りとか言い出した! もう完全に野球じゃん!」

 

ソープは微笑む。

 

「そして三回目で相手をアウトにする」

 

「だから乗らない!」

 

その時、ソープはさらりと言った。

 

「もちろん、ファティマ側はバクスチュアルに合わせて調整するよ」

 

Xiの表情が変わった。

 

「……は?」

 

バクスチュアルが自分を指す。

 

「私?」

 

ソープは頷く。

 

「うん。Xiくん専用騎なら、当然パートナーは君だろう?」

 

Xiは一気に前へ出た。

 

「待て待て待て待て!」

 

キラが小声で言う。

 

「Xiが本気で焦った」

 

シンも頷く。

 

「自分の時より焦ってませんか?」

 

Xiは振り返って叫ぶ。

 

「当たり前だろ! 俺だけならまだしも、バクスチュアルまでアウト判定に巻き込むな!」

 

バクスチュアルはXiを見る。

 

「Xiサン、私、守ル?」

 

Xiは即答した。

 

「守る。だから乗らない」

 

バクスチュアルは静かに頷いた。

 

「乗ラナイ。了解」

 

ソープは少し残念そうにする。

 

「でも、二人の連携性能を見るには――」

 

Xiは全力で言った。

 

「見なくていい!!」

 

アスランが静かに言う。

 

「拒否の理由が変わったな」

 

キラも頷く。

 

「うん。今のは自分のためじゃないね」

 

弥子は口元を押さえている。

 

「見守りたい……」

 

Xiが振り返る。

 

「見守るな!」

 

バクスチュアルは少し考え、静かに言った。

 

「Xiサン、乗ラナイナラ、私モ乗ラナイ」

 

Xiは頷く。

 

「そう、それでいい」

 

「Xiサン、乗ルナラ、私モ乗ル」

 

Xiは頭を抱えた。

 

「それが困るんだよ!」

 

「同ジ」

 

「同じにするな。いや、嬉しいけど。いや、今は違う!」

 

シンが真顔でXiの横に立った。

 

「わかります。自分の大切な機体やパートナーを変な追加装備に巻き込まれるの、嫌ですよね」

 

Xiはシンを見る。

 

「お前と俺、今かなり同じ側だな」

 

「はい!」

 

「よし。同盟だ」

 

「はい!」

 

キラが苦笑する。

 

「デスティニーをホムーランから守る会と、バクスチュアルをアウト・ミラージュから守る会?」

 

アスランは真面目に言う。

 

「必要な同盟だ」

 

ラクスは穏やかにラキシスを見る。

 

「ラキシス様」

 

ラキシスはすでに、にこやかにソープを見ていた。

 

「ソープ様」

 

ソープは振り向く。

 

「何だい、ラキシス」

 

「Xiさんとバクスチュアル姉様が、大変お困りですわ」

 

ソープは二人を見る。

 

Xiは全力で首を振っていた。

バクスチュアルは静かにXiの隣に立っていた。

 

「困っているかな」

 

Xiが叫ぶ。

 

「困ってます!!」

 

バクスチュアルも続けた。

 

「Xiサン、困ッテル。私モ、少シ困ル」

 

ラキシスは微笑んだ。

 

「ほら」

 

ソープは少し考えた。

 

「では、名前をセーフ・ミラージュに――」

 

Xiが叫ぶ。

 

「名前の問題じゃない!」

 

シンも叫ぶ。

 

「そうです! 名前を変えても本質はアウトです!」

 

アスランが一歩前に出る。

 

「ここから先は通行止めです」

 

ソープはアスランを見る。

 

「アスランくん、それ便利だね」

 

アスランは真顔で答える。

 

「便利です」

 

Xiは少し笑う。

 

「完全に継承してる」

 

その時。

 

低い声が聞こえた。

 

「その通行止めも通行止めだ」

 

全員が振り返った。

 

そこにいたのは、ログナー司令だった。

 

いつの間に現れたのか。

誰も気づかなかった。

 

アスランは少しだけ姿勢を正した。

 

「ログナー司令」

 

ログナーはアスランを一瞥した。

 

「勝手に通行止めを使うな」

 

アスランは真面目に答えた。

 

「すみません」

 

キラが小声で言う。

 

「本家が来た」

 

Xiは少し安堵した顔になった。

 

「司令、ちょうどいいところに!」

 

ログナーはソープを見る。

 

「陛下」

 

ソープは少しだけ笑った。

 

「ログナー、聞いていたのかい?」

 

「アウト・ミラージュの時点から」

 

Xiが叫ぶ。

 

「かなり聞いてるじゃん!」

 

ログナーは淡々と言った。

 

「外注契約者とそのファティマを、試作騎に乗せる計画は通行止めです」

 

Xiは力強く頷く。

 

「司令、今だけ全面的に支持する」

 

ログナーはXiを見る。

 

「今だけでは困る」

 

Xiは即座に言った。

 

「そこは通行止めで」

 

ログナーの視線が鋭くなった。

 

「私に使うな」

 

Xiは少し後退した。

 

「すみません」

 

ログナーはソープに向き直る。

 

「陛下。ミラージュ騎士団にアウト判定を持ち込まないでください」

 

ソープは少しだけ残念そうに言う。

 

「面白いと思ったんだけど」

 

「面白さと運用許可は別です」

 

キラが思わず頷いた。

 

「本当にそうです」

 

シンも頷く。

 

「すごくよくわかります」

 

ログナーは続ける。

 

「特に、騎体名にアウトを入れる件は通行止めです」

 

Xiが頷く。

 

「そうだそうだ」

 

「お前の搭乗拒否とは別件だ」

 

「別件なの?!」

 

バクスチュアルがXiを見る。

 

「Xiサン、乗ラナイ」

 

Xiは即答する。

 

「乗らない」

 

ログナーはバクスチュアルを見る。

 

「バクスチュアル」

 

「ハイ」

 

「お前も乗らなくていい」

 

「了解」

 

Xiは深く息を吐いた。

 

「助かった……」

 

ラキシスはにこやかに言った。

 

「ソープ様、今日はここまでになさいませ」

 

ソープは少し考えた。

 

「うーん。では、設計だけ」

 

ログナーは即答した。

 

「設計も通行止めです」

 

アスランが小さく呟いた。

 

「やはり本家は強い」

 

キラが頷く。

 

「迷いがないね」

 

シンも頷いた。

 

「説得力が違います」

 

ソープは少しだけ肩をすくめた。

 

「仕方ないな。アウトストライカーも、アウト・ミラージュも保留にしよう」

 

キラが即座に言う。

 

「却下でお願いします」

 

シンも続ける。

 

「保留は危険です!」

 

Xiも言う。

 

「保留は実質、設計継続です!」

 

ログナーが低く言った。

 

「却下です」

 

ソープはログナーを見た。

 

「ログナーまで」

 

「却下です」

 

ラキシスも柔らかく微笑む。

 

「却下ですわね」

 

ソープはついに頷いた。

 

「わかった。今日は却下ということで」

 

キラ、シン、Xiが同時に言った。

 

「今日は?」

 

ログナーが静かに一歩前へ出た。

 

「今後も、です」

 

ソープは少し笑った。

 

「わかったよ」

 

全員が、ようやく息を吐いた。

 

弥子は少し残念そうに言った。

 

「アウトストライカー、ちょっと見たかったです」

 

キラは困ったように笑う。

 

「見なくていいよ」

 

Xiも言う。

 

「アウト・ミラージュも見なくていい」

 

バクスチュアルは静かに頷く。

 

「見ナイ」

 

シンは力強く言った。

 

「ホームランも見なくていいです!」

 

アスランは全員を見回して言った。

 

「では、今日の結論だ」

 

キラは頷く。

 

「ストライクはアウトにしない」

 

シンも頷く。

 

「デスティニーはホームランにしない」

 

Xiも頷く。

 

「バクスチュアルをアウト・ミラージュに乗せない」

 

バクスチュアルが静かに言う。

 

「Xiサンモ、乗ラナイ」

 

Xiは少し笑った。

 

「ああ。俺も乗らない」

 

ログナーは短く言った。

 

「以上、通行止めだ」

 

その一言で、ようやく場が締まった。

 

ソープは少し残念そうにしながらも、楽しそうだった。

 

「みんな、なかなか慎重だね」

 

キラは苦笑する。

 

「慎重にもなります」

 

シンは真剣に言う。

 

「前回の件がありますから!」

 

Xiも頷く。

 

「今回は巻き添え範囲が広がりすぎた」

 

ラクスは穏やかに微笑んだ。

 

「でも、皆様が大切なものを守るお姿は、とても素敵でしたわ」

 

キラは照れたように笑う。

 

「ストライクを守っただけだよ」

 

シンが言う。

 

「俺もデスティニーを守りました!」

 

Xiはバクスチュアルを見る。

 

「俺は……まあ、バクスチュアルを守った」

 

バクスチュアルは静かに言った。

 

「Xiサン、守ッタ」

 

Xiは少しだけ視線を逸らす。

 

「……そういうことで」

 

弥子はにこにこしていた。

 

「やっぱり見守りたいですね」

 

Xiが即座に言う。

 

「見守るな!」

 

キラは少し笑った。

 

アスランも、ほんの少しだけ表情を緩めた。

 

その日、キラ・ヤマトはアウトストライカーを拒否した。

 

ストライクガンダムの新装備案として始まった話は、いつの間にかセーフ、ファール、ホームラン、ホムーランの危険地帯を通過し、最終的にはアウト・ミラージュという新型モーターヘッド製造計画にまで発展しかけた。

 

キラはストライクを守った。

シンはデスティニーを再び守った。

Xiはバクスチュアルを守った。

バクスチュアルはXiの隣にいた。

アスランは通行止めを学び、ログナーに本家の強さを見せられた。

 

そしてソープは、たぶん頭の中でかなり詳細な設計図を完成させていた。

 

残る問題は、誰も仕様書を見せてくれないことだけだった。

 

キラは最後に、ソープへ真剣に言った。

 

「ソープさん」

 

「何だい、キラくん」

 

「今後、僕たちの機体名にアウト、ファール、ホームラン、ホムーランを組み合わせるのは禁止でお願いします」

 

ソープは少し考えた。

 

「バントは?」

 

キラは即答した。

 

「禁止です」

 

シンも叫んだ。

 

「スクイズもダメです!」

 

Xiが言う。

 

「送りバント・ミラージュもなしだ」

 

ログナーが締めた。

 

「すべて通行止めだ」

 

ソープは、少しだけ笑った。

 

「残念だなあ」

 

その顔を見て、キラは思った。

 

まだ油断はできない。

 

次にどんな名前の兵装が出てくるか、誰にもわからなかった。

 

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