守るべきもの、怒るべきもの、斬るべきもの、喰うべき謎 ――キラ、承太郎、カイエン、ネウロのごった煮会話劇   作:ギアっちょ

277 / 277
ヘキサクスレディは逃げ切れない

 商店街の午後は、少し冷えていた。

 

 冬というにはまだ早い。

 けれど、風が通り抜けるたびに、店先ののぼりがぱたぱたと揺れた。

 

 駄菓子屋のおばちゃんは、いつものように店先で子どもたちを眺めていた。

 

 普通のラムネ。

 普通のガム。

 普通の飴。

 普通のくじ付きチョコ。

 それらが普通に売られている。

 

 ここしばらく、普通であることのありがたみを、おばちゃんはよく知っていた。

 

「ヘキサクスは、開けない、売らない、食べない、飲まない、だねぇ」

 

 おばちゃんは、ひとりでそう呟いた。

 

 その時だった。

 

 商店街の角に、見慣れないのぼりが立っていた。

 

『ぽかぽか生姜湯』

 

『無料試飲』

 

『汗ばむほどの実感』

 

『からだの表面から、冬を流す』

 

 小さな折りたたみテーブル。

 保温ポット。

 紙コップ。

 オレンジ色のエプロンを着た、五十代くらいの女性。

 

 帽子を深めにかぶり、にこにこと笑っている。

 

「生姜湯の試飲ですぅ。冷えにいいですよぉ」

 

 おばちゃんは目を細めた。

 

 顔に特徴はない。

 声にも特徴はない。

 

 ただ、妙に記憶に残らない。

 それが、逆に引っかかった。

 

「あれ……前にも、ああいう人がいたような、いなかったような……」

 

 その女性は、通りすがりの会社員らしき男性に紙コップを差し出していた。

 

「どうぞぉ。温活にいいですよぉ」

 

「へえ、生姜湯ですか」

 

 男性が受け取ろうとした瞬間。

 おばちゃんは、駄菓子屋の奥から飛び出した。

 

「ちょっと待った!」

 

 商店街に、おばちゃんの声が響いた。

 男性は驚いて手を止める。

 

 オレンジのエプロンの女性も、少しだけ固まった。

 

「あらぁ、どうしましたぁ?」

 

 おばちゃんはその女性をじっと見た。

 

「その試飲、どこの会社のだい?」

 

「ええとぉ、健康食品の会社でぇ」

 

「会社名だよ」

 

「ただの生姜湯ですぅ」

 

 おばちゃんは、さらに目を細めた。

 

「ただの、って言うものほど怪しいんだよ」

 

 女性の笑顔が、ほんの少しだけ揺れた。

 

「すいませぇん、私、次の場所があるのでぇ」

 

「その前に、ちょっと待ってな」

 おばちゃんは携帯を取り出した。

 もう迷わなかった。

 

「もしもし。弥子ちゃんかい? まただよ。今度は生姜湯だってさ」

 

 

 数分後。

 

 商店街の空気が変わった。

 

 桂木弥子、すえぞう、怪盗Xi、シン・アスカ、アスラン・ザラ。

 

 少し遅れて、キラ・ヤマトとラクス・クライン。

 

 そしてログナー司令。

 

 白い長衣が商店街に現れた時、近所の子どもが小さく言った。

 

「あ、通行止めの人だ」

 

 別の子どもが言う。

 

「今日は何が通行止め?」

 

 すえぞうが元気よく答えた。

 

「しょうがゆ!」

 

 弥子が慌てる。

 

「すえぞう、まだ決まってません!」

 

 Xiは、試飲台の前に立つ女性を見た。

 

 顔を見る。

 服を見る。

 帽子を見る。

 エプロンを見る。

 

 保温ポットを見る。

 

「……ヘキサクスレディ」

 

 女性は困ったように笑った。

 

「ええ? 何ですか、それぇ」

 

 アスランはテーブルの上に置かれたサンプル瓶を手に取った。

 

「製造元を確認します」

 

 ラベルの裏。

 

 小さな文字。

 

『HEXSACS GINGER WELLNESS』

 

 Xiの顔が冷えた。

 

「あのクソ親父……今度は生姜かよ」

 

 シンが叫ぶ。

 

「やっぱりヘキサクスじゃないですか!」

 

 おばちゃんは胸を張った。

 

「売る前に止めたよ」

 

 ログナーは短く頷いた。

 

「正しい判断です」

 

「エライ!」

 

 すえぞうが両手を上げる。

 

 おばちゃんは笑った。

 

「あら、ありがとうねぇ」

 

 オレンジのエプロンの女性は、まだにこにこしていた。

 

「あのぉ、本当にただの試飲なんですぅ。健康にいいって聞いてましてぇ」

 

 ログナーが言った。

 

「試飲を停止しろ」

 

「でもぉ」

 

「通行止めだ」

 

 女性の笑顔が、少しずつ弱くなった。

 

 その時、Xiの端末が鳴った。

 

 件名。

 

『一族自慢の一品について』

 

 Xiは、もう慣れた手つきで画面を開いた。

 

 そして、苦い顔で読み上げた。

 

『我が一族の山間農園で育てた生姜を煮詰めた、特製の生姜湯だ。

 常人が飲むと、汗は噴き出すが体温は上がらない。

 温まった気分だけを、皮膚から味わえるように仕上げた。

 慣れるとクセになる。』

 

 沈黙。

 

 シンが叫んだ。

 

「温まった気分だけって何ですか!? 体を温めてくださいよ!!」

 

 弥子も顔をしかめる。

 

「汗だけ出て体が温まらないって、普通に危ないですよ!」

 

 キラが真顔で言った。

 

「寒い日にそれを飲んだら、体温を奪われる可能性があるね」

 

 ラクスも静かに頷く。

 

「冷え対策と見せかけて、逆効果ですわ」

 

 アスランは紙コップを見た。

 

「屋外作業前、冬季、体調不良者、子ども、高齢者への配布は特に危険です」

 

 ログナーは保温ポットを回収容器へ移した。

 

「生姜湯として通行止め。温活用途としても通行止め。無料試飲としても通行止め」

 

 シンが言った。

 

「生姜湯の用途、全部潰れてる……」

 

 女性はじりっと後ずさった。

 

「あのぉ、私は配るように言われただけでぇ」

 

 Xiが目を細める。

 

「逃げる気?」

 

「いえいえ、そんなぁ。ただ、次の配布場所が」

 

 女性は言い終わる前に、テーブル横の自転車へ手を伸ばした。

 

 銀色の自転車。

 後ろに固定された保温バッグ。

 

 以前の発酵乳飲料。

 健康茶。

 そして今回の生姜湯。

 

 服は違う。

 バッグも違う。

 のぼりも違う。

 

 だが、逃げ方は同じだった。

 

「すいませぇん!」

 

 女性は自転車に飛び乗った。

 

 アスランが一歩踏み出す。

 

「待て!」

 

 ログナーも動いた。

 

 だが、商店街には人がいる。

 

 子どももいる。

 

 無理に止めれば、転倒や巻き込みが起こる。

 

 ヘキサクスレディは、その隙間を抜けようとした。

 

 その時。

 

 商店街の角に、空条承太郎が立っていた。

 

 帽子の影から、鋭い目が見える。

 

「やれやれだぜ」

 

 女性は自転車で、その横をすり抜けようとした。

 

 承太郎は低く呟いた。

 

「スタープラチナ・ザ・ワールド!」

 

 世界が止まった。

 

 風に揺れていたのぼりが止まる。

 紙コップが空中で止まる。

 驚いたままのシンの表情も、振り返るアスランの動きも、女性の自転車も、すべて止まった。

 

 承太郎だけが動いていた。

 彼は無言で自転車のハンドルを掴む。

 後輪を少しだけ持ち上げる。

 保温バッグを外す。

 女性が転ばない位置に、自転車を固定する。

 

 そして、時間は動き出した。

 

「えっ!?」

 

 女性はペダルを踏んだ。

 

 だが、自転車は動かなかった。

 

 ハンドルは承太郎に掴まれている。

 

 後ろの保温バッグは、すでに外されている。

 

 女性は目を丸くした。

 

「なんで!?」

 

 承太郎は静かに言った。

 

「逃げ道は止めておいた」

 

 シンが目を輝かせた。

 

「か、かっこいい……!」

 

 ログナーは承太郎に短く頷いた。

 

「協力に感謝する」

 

 承太郎は帽子のつばに手をやった。

 

「たまたまだ」

 

 Xiは苦笑した。

 

「たまたま時間止めて自転車掴む人、なかなかいないけどね」

 

 ヘキサクスレディは、完全に逃げ道を失っていた。

 

「すいませぇん! 本当に、闇バイトで雇われただけなんですぅ!」

 

 シンが顔をしかめた。

 

「急に現実的な嫌さが来た!」

 

 弥子も眉を寄せる。

 

「闇バイトって……」

 

 Xiは唇を噛んだ。

 

「あの親父……末端まで使い捨てかよ」

 

 ログナーは女性の前に立った。

 

「製品の危険性を認識していたか」

 

「知りません! 本当に、健康食品の試飲って聞いてただけで!」

 

「依頼主は」

 

「アプリです! 匿名の仕事紹介で、場所と時間と服装だけ指定されて!」

 

 露伴の声がした。

 

「その証言、確認した方がいいな」

 

 岸辺露伴が、いつの間にか近くに来ていた。

 

 泉京香も一緒だった。

 

「先生、また面白そうだから来ましたね」

 

「商店街で人が逃げて、承太郎が時間を止めたんだ。来ない理由がない」

 

 アスランがすぐに言った。

 

「露伴。必要以上の取材は控えてください」

 

 露伴はヘキサクスレディを見た。

 

「闇バイトにまで落ちた人間の人生か。その転落の過程、判断の鈍り、言い訳、生活感。これは漫画に必要なリアリティだ」

 

 シンが叫んだ。

 

「取材欲が人権を蒸してる!」

 

 Xiが言う。

 

「あの健康茶、飲んでないよね?」

 

 露伴は平然としていた。

 

「飲んでいない。元からだ」

 

 ログナーが露伴を見た。

 

「岸辺露伴」

 

「何だい」

 

「今回のヘブンズ・ドアー使用は通行可。ただし必要事項のみ。確認項目は、依頼経路、危険性認識、配布先、連絡手段、再発防止」

 

 露伴は少しだけ口元を上げた。

 

「君から通行可が出るとはね」

 

「許可ではない。制限付き運用だ」

 

「相変わらず硬いな」

 

 アスランも露伴を見る。

 

「露伴。必要事項のみです」

 

「わかっている」

 

「本当ですか」

 

「君までログナーみたいなことを言うな」

 

 泉が言った。

 

「先生、今回は本当に必要事項だけにしてください」

 

「君もか」

 

「はい」

 

 露伴は肩をすくめた。

 

 そして、ヘキサクスレディへ視線を向ける。

 

「ヘブンズ・ドアー!」

 

 女性の身体が、本のように開いた。

 

 周囲が静かになる。

 

 露伴はページをめくった。

 

「名前は偽名。本人確認は甘い。依頼は匿名アプリ経由。仕事内容は“健康食品のサンプリングスタッフ”。報酬は電子マネー。初回は発酵乳飲料。二回目は健康茶。今回は生姜湯」

 

 Xiの表情が険しくなる。

 

「同じ人だったんだ」

 

「服装、バッグ、話し方は毎回変えられている。だが本人は同じだ」

 

 露伴はさらに読む。

 

「商品内容の詳細は知らない。危険性も知らない。ただし、二回目の時点で“少し怪しい”とは感じている。それでも断らなかった。理由は、生活費」

 

 女性は震えていた。

 

「やめてください……」

 

 露伴の手が、一瞬だけ止まった。

 

 そして、少しだけ目を伏せた。

 

「ここから先は、本人のものだな」

 

 アスランが静かに頷いた。

 

「ありがとうございます」

 

 ログナーは言った。

 

「配布先は」

 

 露伴は必要なページだけを読む。

 

「初回は駅前からカフェテラス方面。二回目は商店街入口。今回はこの一角。配布数は、初回五本。二回目六杯。今回はまだ一杯も飲まれていない。

 駄菓子屋の店主が止めたためだ」

 

 おばちゃんは胸を撫で下ろした。

 

「ああ、よかったねぇ」

 

 すえぞうが言った。

 

「エライ!」

 

「ありがとうねぇ」

 

 露伴はさらに読む。

 

「連絡端末はこのスマートフォン。仕事用。連絡は消えるアプリ。だが通知履歴と位置情報が残っている」

 

 ログナーが端末を回収する。

 

「解析する」

 

 露伴は、最後にページへ書き込んだ。

 

「今後、ヘキサクスおよび正体不明の依頼主による試飲、試食、無料配布、健康食品サンプリングの仕事を受けない」

 

 さらに続ける。

 

「同様の依頼を受けた場合、警察、またはログナー司令側へ通報する」

 

 シンが感心した。

 

「露伴先生の能力が、すごくまともに使われてる……!」

 

 露伴は不満そうに言う。

 

「失礼だな。いつもまともだ」

 

 アスランが即答した。

 

「異議があります」

 

 泉も言った。

 

「私もあります」

 

 露伴は眉をひそめた。

 

「君たち、今日は容赦がないな」

 

 ヘブンズ・ドアーが解除されると、女性はその場にへたり込んだ。

 

「もうやりません……本当に……」

 

 ログナーは淡々と言った。

 

「事情聴取後、通常当局へ引き渡す。危険性を知らなかった点は記録する。ただし、同様の依頼を受けた事実も記録する」

 

「はい……」

 

 Xiは少しだけ視線を逸らした。

 

「ほんと、あの親父らしい使い方だ」

 

 ネウロが、いつの間にかその横に立っていた。

 

「ククク……特徴のない人間に、特徴のある悪意を配らせる。実に小賢しい」

 

 シンが言った。

 

「またいつの間に!」

 

「汗の匂いがしない生姜湯の匂いがしたのでな」

 

「何ですかそれ!」

 

 ネウロは保温ポットを見た。

 

「汗だけを出し、温まらぬ。食物としての約束を破る悪意だな」

 

 ログナーは解析結果をまとめた。

 

「毒性なし。薬物性なし。記憶改変なし。精神誘導なし。魔界由来なし。ただし摂取後、発汗反応のみを強く誘発し、体温上昇は伴わない。結果として、寒冷環境では体温低下を招く可能性がある」

 

 キラが真顔で言う。

 

「やっぱり危ないね」

 

 ラクスも頷く。

 

「汗をかけば温まったように錯覚してしまいますもの」

 

 ログナーは続けた。

 

「冬季、屋外、体調不良者、高齢者、子ども、冷え対策目的の摂取は特に通行止め」

 

 シンが叫んだ。

 

「生姜湯の存在意義が!」

 

 弥子が言った。

 

「普通の生姜湯なら、ちゃんと温まるのに……」

 

 Xiは苦い顔をした。

 

「あの親父、普通の商品を逆に使うの好きすぎる」

 

 おばちゃんは試飲台を見た。

 

「これはもう片付けていいんだね?」

 

「こちらで回収する」

 

 ログナーは答えた。

 

「保温ポット、紙コップ、のぼり、バッグ、端末、自転車も証拠品として扱う」

 

 ヘキサクスレディが小さく言った。

 

「自転車もですか……」

 

 承太郎が短く言う。

 

「逃走に使ったからな」

 

 女性はうなだれた。

 

「はい……」

 

 ログナーはおばちゃんに向き直った。

 

「通報、初動停止、飲用阻止。すべて適切です」

 

 おばちゃんは照れたように笑った。

 

「いやあ、なんか見覚えがある気がしてねぇ」

 

 Xiが言う。

 

「おばちゃん、完全に町内防衛ラインだね」

 

 すえぞうが元気よく言った。

 

「エライ!」

 

 おばちゃんは笑った。

 

「はいはい、エライねぇ」

 

 シンが言った。

 

「今のエライは、偉いで合ってますね」

 

 

 試飲台は撤去された。

 

 保温ポットも回収された。

 

 のぼりも畳まれた。

 

 ヘキサクスレディは、通常当局へ引き渡されるため、ログナー側で事情聴取を受けることになった。

 

 承太郎は、何事もなかったように歩き出そうとした。

 

 シンが慌てて声をかける。

 

「あ、ありがとうございました!」

 

 承太郎は振り返らないまま言った。

 

「やれやれ。妙なもんを配る奴がいたら、飲む前に止めろ」

 

「はい!」

 

 露伴は、その背中を見ながら呟いた。

 

「時間を止めて自転車を掴む。絵になるな」

 

 アスランがすぐに言う。

 

「露伴。今度は承太郎を取材対象にしないでください」

 

「もうしている」

 

「露伴」

 

「冗談だよ。半分は」

 

 泉が言った。

 

「先生、半分はやめてください」

 

 露伴は少しだけ肩をすくめた。

 

「しかし、“特徴のない人物が、特徴のある悪意を配る”という構造は使える」

 

 アスランが警戒する。

 

「名前も顔も使わないでください」

 

「使わない。構造だけだ」

 

 ログナーが言った。

 

「それなら通行可」

 

 露伴は少し笑った。

 

「君に漫画の許可をもらう日が来るとはね」

 

「許可ではない。制限だ」

 

「本当に便利な言葉だ」

 

 弥子は、すえぞうに普通の温かい飲み物を渡した。

 

「これは普通のほうじ茶です」

 

「うっす!」

 

「汗だけ出たりしません」

 

「エライ!」

 

 キラが笑った。

 

「普通のお茶って、安心するね」

 

 ラクスも微笑む。

 

「ええ。温かいものは、ちゃんと体を温めてくれるのが一番ですわ」

 

 Xiは回収されていく保温ポットを見て、深く息を吐いた。

 

「あのクソ親父……今度は汗だけかよ」

 

 ネウロが笑う。

 

「温かさを奪い、温まった気分だけを残す。人間の錯覚を利用した小悪党の発想だ」

 

 ログナーは報告書を書いた。

 

『ヘキサクス製生姜湯。

 商店街にて試飲配布を確認。

 駄菓子屋店主の通報により、飲用前に配布停止。

 配布員、通称ヘキサクスレディを確保。

 空条承太郎殿の協力により逃走阻止。

 岸辺露伴殿のヘブンズ・ドアーにより、依頼経路、危険性認識、配布数を確認。

 配布員は製品の危険性を認識していなかったが、匿名依頼を複数回受諾。通常当局へ引き渡し予定。

 製品は全数回収。

 ヘキサクス製品は、開けない、売らない、食べない、飲まない、配らない。

 生姜湯として通行止め。』

 

 シンはその標語を見た。

 

「また増えましたね」

 

 Xiが言った。

 

「そのうち町内安全ポスターになりそう」

 

 おばちゃんは笑った。

 

「貼っておくかい?」

 

 ログナーは少しだけ考えた。

 

「効果はある」

 

 アスランが真面目に頷く。

 

「かなりあります」

 

 すえぞうは元気に復唱した。

 

「ひらかない! うらない! くわない! のまない! くばらない!」

 

 弥子が拍手した。

 

「すえぞう、偉い!」

 

「エライ!」

 

 商店街に、ようやく平和が戻った。

 

 生姜湯は誰にも飲まれなかった。

 汗だけをかく人も出なかった。

 体が温まらない試飲会は終わった。

 

 ヘキサクスレディは、ついに逃げ切れなかった。

 そして駄菓子屋のおばちゃんは、今日も普通のお菓子を売っていた。

 

 それが一番の勝利だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

魔法って言うならもっとこう……あるだろう!?(作者:南亭骨帯)(原作:僕のヒーローアカデミア)

▼ この世の中の超常現象の九割以上が『誰かしらの個性だろ』で片付けられてしまう今日この頃。▼ ヒーローを目指す少年、森岸詠士(もりがんえいじ)が発現した個性の名は【魔法】──現代社会に喧嘩を売るような代物だった。▼「炎を操ったり風を吹かせたりもできねぇのに魔法使いなんざ名乗ってたまるかァ!?」▼ ……尚、攻撃魔法は一つもない模様。▼ ※注意!▼ 本作は他作品…


総合評価:14613/評価:8.28/連載:110話/更新日時:2026年07月10日(金) 12:00 小説情報

ハスターなオリ主とドラゴンボール(作者:ラムセス_)(原作:ドラゴンボール)

旧支配者ハスターになった転生者が、ドラゴンボール世界に紛れ込んで滅びがちな人類の守護を頑張る話。▼拙作「ハスターなオリ主と米花町」のスピンオフ。▼なるべく本編を読まなくても読めるようにするつもり。▼本編「ハスターなオリ主と米花町」▼https://syosetu.org/novel/384972/


総合評価:7942/評価:8.14/完結:52話/更新日時:2026年06月07日(日) 20:41 小説情報

自宅に届いた『惑星開発キット』で、社畜SEは異世界工場の管理者になる ~運用保守はもう終わり。現代の物資と無限の資源で、銀河規模の自動化帝国を築き上げます~ (作者:パラレル・ゲーマー)(オリジナル現代/冒険・バトル)

システムエンジニア、工藤創一(30代・独身)。 彼の仕事は、誰が作ったかも分からない継ぎ接ぎだらけのシステムを延命させる「運用保守」。創造性のかけらもない、謝罪と徹夜の日々だった。▼ある夜、帰宅した彼のもとに謎の荷物が届く。 送り主は『賢者・猫とKAMI』。中に入っていたのは、異惑星『テラ・ノヴァ』へと繋がるゲート・キューブだった。▼「鉄鉱石の埋蔵量、480…


総合評価:18659/評価:8.7/連載:263話/更新日時:2026年07月09日(木) 16:15 小説情報

【街の解体屋】魔物解体配信、はじめます【初見歓迎】(作者:解体新書が泣いている)(オリジナル現代/冒険・バトル)

ダンジョンと魔物が当たり前に存在するこの世界で、解体師は慢性的な人手不足に悩んでいた。▼解体師の田中悠一、二十六歳。この現状をどうにかしたいと考えた彼は、実際に解体の様子を配信して仕事の魅力を発信しようと思いつく。▼「実際にやって見せれば伝わるはず」という至極真っ当な動機のもと、今日も淡々と魔物を配信で解体していく。▼ただ一つ誤算があったとすれば、独学で磨き…


総合評価:18868/評価:8.28/連載:31話/更新日時:2026年05月16日(土) 21:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>