守るべきもの、怒るべきもの、斬るべきもの、喰うべき謎 ――キラ、承太郎、カイエン、ネウロのごった煮会話劇   作:ギアっちょ

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怪物強盗Xiはマンガ家を連れて出社したい

岸辺露伴の仕事場。

 

机の上には。

 

原稿。

資料。

写真。

大量のメモ。

 

その中央で。

岸辺露伴はペンを走らせていた。

 

「…………」

 

集中している。

猛烈に。

 

その背後で。

怪物強盗Xiが立っていた。

 

「露伴センセ」

 

返事はない。

 

「露伴センセ」

 

まだない。

 

「世界規模の軍需産業トップと直接会談したくない?」

 

ペンが。

 

止まった。

 

Xiは。

 

小さく笑った。

 

「食いついた」

 

露伴が振り返る。

 

「誰だ?」

 

「ゾディア・キューブリック」

 

露伴の目が細くなる。

 

「ヘキサクスの?」

 

「そう」

 

「……続けろ」

 

Xiは椅子へ座った。

 

「世界規模の軍需企業ヘキサクス。その会長」

 

「知っている」

 

「表向きは企業経営者」

 

「表向きは?」

 

Xi。

 

「そこ、気になる?」

 

露伴。

 

「気になるように言ったのは君だろ」

 

Xiは少し考え。

 

「まあ、センセなら知っててもいいか」

 

「何をだ」

 

Xiは言った。

 

「シックスだよ」

 

露伴。

 

「…………」

 

ペンが。

 

完全に止まった。

 

「例の?」

 

「例の」

 

「ゾディア・キューブリックが?」

 

「シックス」

 

露伴は数秒。

 

Xiの顔を見る。

 

「君の父親でもある」

 

Xi。

 

「その説明はできれば省いてほしかった」

 

「事実だろ」

 

「事実だけど!」

 

露伴は椅子へ深く座り直した。

 

「面白い」

 

Xi。

 

「もう言った!」

 

「何が?」

 

「次に来る人、全員シックス見て『面白い』って言いそうで嫌なんだよ!」

 

露伴は気にしない。

 

「世界規模の軍需企業のトップ」

 

一本。

 

「裏では絶対悪と呼ばれる存在」

 

二本。

 

「その実子が怪物強盗」

 

三本。

 

「しかも、その息子を自社へ引き込もうとしている」

 

四本。

 

「これが面白くなくて何なんだ」

 

Xi。

 

「僕の家庭事情を漫画のネタとして整理するな!!」

 

露伴は机へ向き直り。

 

メモ帳を取った。

 

Xiが身を乗り出す。

 

「来る?」

 

「取材条件による」

 

「来る気だ!」

 

「質問には答えるのか?」

 

「僕?」

 

「君にも聞く」

 

「なんで?!」

 

「親子関係を取材するなら当然だろ」

 

Xi。

 

「僕、取材対象を一人増やしに来たわけじゃないんだけど」

 

露伴。

 

「君が何を期待していたかなど知らん」

 

「じゃあさ」

 

Xiは声を落とした。

 

「センセ」

 

「何だ」

 

「ヘブンズ・ドアー」

 

露伴の眉が僅かに動く。

 

Xiは左右を見る。

 

誰もいない。

 

「使ってもいいよ」

 

露伴。

 

「…………」

 

「僕は見てないからね」

 

露伴。

 

「君は僕を何だと思っている?」

 

Xi。

 

「内部監査の最終兵器」

 

露伴。

 

「帰れ」

 

「ネウロと同じ反応しないでよ!」

 

露伴が顔をしかめた。

 

「ネウロにも同じことを頼んだのか?」

 

「魔界777ツ能力使っていいよ、って」

 

露伴。

 

「…………」

 

「で、断られた」

 

「当たり前だ」

 

「ログナーにも止められた」

 

「それも当たり前だ」

 

Xi。

 

「センセまで常識側に回らないで!」

 

露伴は立ち上がる。

 

「勘違いするな」

 

「?」

 

「僕がヘブンズ・ドアーを使うかどうかを決めるのは」

 

露伴はXiを見る。

 

「僕だ。」

 

Xi。

 

「……はい」

 

「君の都合で使うんじゃない」

 

「はい」

 

「僕が知りたいと思った時に使う」

 

「…………」

 

Xiは頭を抱えた。

 

「やっぱりネウロと同類じゃないか……」

 

露伴。

 

「誰がだ」

 

◆

 

数日後。

 

ヘキサクス本社。

 

受付。

 

ジョーイ係長は。

 

妙な胸騒ぎを覚えていた。

 

前回。

 

Xiは魔人を連れてきた。

 

今回は。

 

Xiから連絡があった。

 

「今度は普通の人間だから」

 

それだけだった。

 

ジョーイ係長は。

 

その言葉を信じたかった。

 

エントランスの自動ドアが開く。

 

Xi。

 

そして。

 

岸辺露伴。

 

ジョーイ係長。

 

「…………」

 

Xi。

 

「どうも」

 

ジョーイ係長。

 

「…………」

 

露伴。

 

「岸辺露伴だ」

 

ジョーイ係長は。

 

少し考えた。

 

そして。

 

胸を撫で下ろした。

 

「漫画家さんや・・・

 

 その節はお世話になっとります。」

 

Xi。

 

「そうだよ」

 

「普通の人間や」

 

露伴。

 

「何だ、その反応は」

 

ジョーイ係長。

 

「いやぁ、前回が魔人やったんで」

 

露伴。

 

「なるほど」

 

Xi。

 

「だから言ったでしょ。今回は普通だって」

 

ジョーイ係長は笑った。

 

「よかったわ!」

 

その時。

 

少し離れたところから。

 

ログナーが歩いてきた。

 

露伴を見る。

 

「岸辺露伴」

 

露伴。

 

「何だ」

 

ログナー。

 

「会長室内でのヘブンズ・ドアー使用は禁止だ」

 

ジョーイ係長。

 

「…………」

 

ゆっくり。

 

Xiを見る。

 

Xi。

 

「何?」

 

ジョーイ係長。

 

「どこが普通や!!」

 

ロビーに。

 

また声が響いた。

 

Xi。

 

「人間だよ!」

 

「スタンド使いやろが!」

 

露伴。

 

「僕はまだ何もしていないぞ」

 

ログナー。

 

「念のためだ」

 

露伴。

 

「勝手に禁止される筋合いはない」

 

ログナー。

 

「ヘキサクス会長に対する無断の精神干渉は認められん」

 

Xiが手を挙げる。

 

「本人が許可したら?」

 

ログナー。

 

「本人が許可すれば別だ」

 

Xi。

 

「シックス、許可しないかな」

 

ジョーイ係長。

 

「なんで期待してんねん!」

 

イエッタもやってきた。

 

「Xiさん」

 

「何?」

 

「念のため確認します」

 

「うん」

 

「岸辺先生をお呼びした目的は?」

 

Xi。

 

「取材」

 

ジョーイ係長。

 

「ホンマに?」

 

Xi。

 

「……と、会長監視」

 

「後半が本音やろ!」

 

露伴。

 

「僕は監視役を引き受けた覚えはない」

 

Xi。

 

「そこは現場で臨機応変に」

 

「君が決めるな」

 

ジョーイ係長は額を押さえた。

 

「Xiはん」

 

「何?」

 

「会長室長になったとしてもな」

 

「まだなってないけど」

 

「好きな特殊能力者を会社に呼べる権限やないからな!?」

 

Xi。

 

「じゃあ社外有識者」

 

ジョーイ係長。

 

「言い換えてもアカン!」

 

露伴。

 

「僕は取材に来ただけだ」

 

ジョーイ係長が露伴を見る。

 

「……ホンマに?」

 

露伴。

 

「少なくとも今はな」

 

ジョーイ係長。

 

「『今は』が怖い!!」

 

◆

 

会長室。

 

扉が開いた。

 

シックスは。

 

デスクの向こうに座っていた。

 

Xi。

 

露伴。

 

ジョーイ係長。

 

イエッタ。

 

そしてログナー。

 

シックスは一同を見る。

 

「今度は漫画家か」

 

Xi。

 

「反応薄いね」

 

「前回が魔人だったのでな」

 

ジョーイ係長。

 

「会長まで慣れんといてください」

 

露伴は。

 

シックスをじっと見ていた。

 

遠慮がない。

 

かなり長い。

 

シックス。

 

「何だ?」

 

露伴。

 

「観察している」

 

「私を?」

 

「取材対象を見ずに何を見る」

 

Xiが小声で言う。

 

「センセ、最初から飛ばさないでね」

 

露伴。

 

「君は黙っていろ」

 

「僕が連れてきたんだけど!」

 

露伴は。

 

会長室を見回す。

 

机。

 

書類。

 

壁。

 

調度品。

 

窓から見える都市。

 

「なるほど」

 

シックス。

 

「何が分かった?」

 

露伴。

 

「企業トップらしい部屋だ」

 

「それだけか?」

 

「まだな」

 

露伴は椅子へ座った。

 

手帳を開く。

 

「では聞こう」

 

シックス。

 

「私が取材を受けると言ったか?」

 

露伴。

 

「受けないのか?」

 

「質問による」

 

「なら聞いてから断れ」

 

ジョーイ係長がXiへ小声で言った。

 

「強いな、この人」

 

Xi。

 

「でしょ?」

 

「なんで嬉しそうなんや」

 

露伴。

 

「まず一つ」

 

シックスを見る。

 

「なぜXiにヘキサクスを継がせたい?」

 

Xiが固まった。

 

ジョーイ係長。

 

「いきなりそこ!?」

 

露伴。

 

「何か問題か?」

 

シックス。

 

「私の子だからだ」

 

露伴。

 

「それだけか?」

 

「十分だろう」

 

露伴は即座に言った。

 

「足りないな」

 

空気が。

 

少しだけ変わった。

 

シックス。

 

「何?」

 

露伴はペンを走らせる。

 

「単なる世襲なら、君ほどの人間がXi一人に執着する理由にならない」

 

シックス。

 

「ほう」

 

「しかも彼は、君の命令に従順ではない」

 

Xi。

 

「当然だよ」

 

露伴。

 

「黙っていろ」

 

Xi。

 

「はい」

 

露伴。

 

「後継者として扱いやすい人物でもない」

 

シックス。

 

「それが?」

 

「むしろ逆だ」

 

ペンが止まる。

 

「君はXiが嫌がるほど喜ぶ」

 

Xi。

 

「そう!」

 

露伴。

 

「黙れ」

 

Xi。

 

「僕を連れてきた本人なのに!」

 

露伴はシックスを見る。

 

「君が欲しいのは」

 

少し間を置く。

 

「後継者そのものじゃないんじゃないか?」

 

シックスの目が。

 

僅かに細くなった。

 

Xiも。

 

露伴を見る。

 

露伴は続ける。

 

「自分の血を継ぐ存在が」

 

「…………」

 

「君と違う道を選ぶことが」

 

「…………」

 

「気に入らないのか?」

 

ジョーイ係長。

 

「…………」

 

イエッタ。

 

「…………」

 

Xi。

 

「センセ」

 

露伴。

 

「何だ」

 

「普通に会話するだけでも十分危ないね」

 

露伴。

 

「今さら気付いたのか」

 

シックスは。

 

僅かに笑った。

 

「面白い男だ」

 

Xi。

 

「そっちも気に入るな!!」

 

露伴。

 

「僕は君に気に入られるために来たんじゃない」

 

シックス。

 

「私も君を気に入ろうとしているわけではない」

 

露伴。

 

「なら好都合だ」

 

Xi。

 

「なんで会話成立してるんだよ……」

 

露伴は質問を続ける。

 

「Xiを自分と同じ存在にしたいのか?」

 

シックス。

 

「違う」

 

「では?」

 

「私の後を継ぐに足る存在であればいい」

 

「基準は?」

 

「私が決める」

 

露伴。

 

「それが問題なんだ」

 

シックス。

 

「何?」

 

露伴はXiを指した。

 

「こいつが何者になるかを」

 

「…………」

 

「なぜ君が決める?」

 

Xiが。

 

静かになった。

 

前回。

 

ネウロも。

 

似たところへ辿り着いた。

 

しかし。

 

言い方が違う。

 

ネウロは。

 

予定調和はつまらないと言った。

 

露伴は。

 

もっと直接的だった。

 

「Xiの人生だろ」

 

シックス。

 

「私の子だ」

 

露伴。

 

「だから何だ?」

 

即答。

 

Xiの目が。

 

少しだけ開いた。

 

シックス。

 

「親が子の将来を考えるのは当然だ」

 

露伴。

 

「考えるのと決めるのは違う」

 

シックス。

 

「…………」

 

露伴。

 

「選択肢を示すのは構わない」

 

ペンを置く。

 

「忠告するのも、助言するのもいい」

 

「…………」

 

「だが」

 

露伴はシックスを見る。

 

「本人の代わりに人生を決めることはできない。」

 

Xiは。

 

何も言わなかった。

 

露伴が。

 

こんな話をするとは。

 

少し意外だった。

 

シックスは。

 

ゆっくりとXiを見る。

 

「お前はそう思うか?」

 

Xi。

 

「思うよ」

 

即答だった。

 

「僕が何になるかは」

 

Xiは自分の胸を指す。

 

「僕が決める」

 

「…………」

 

「ヘキサクスに入るとしても」

 

ジョーイ係長を見る。

 

「ミラージュになるとしても」

 

ログナーを見る。

 

「誰かと一緒にいるとしても」

 

少しだけ。

 

バクスチュアルの顔を思い浮かべる。

 

「全部」

 

Xiは言った。

 

「僕が選んだなら」

 

一拍。

 

「それが僕の中身になる」

 

露伴は。

 

その言葉を聞いて。

 

少しだけ目を細めた。

 

そして。

 

メモを取る。

 

Xi。

 

「ちょっと!」

 

露伴。

 

「何だ」

 

「今のメモした?」

 

「した」

 

「漫画に使わないでよ!」

 

「使うかどうかは僕が決める」

 

Xi。

 

「自由意思の使い方が違う!!」

 

ジョーイ係長が吹き出した。

 

張り詰めていた空気が。

 

少し緩んだ。

 

その時。

 

露伴が。

 

ふと思い出したように言った。

 

「ところで」

 

Xi。

 

「何?」

 

露伴。

 

「ヘブンズ・ドアー」

 

ログナー。

 

「通行止めだ」

 

露伴。

 

「まだ何も言っていない」

 

ログナー。

 

「使う気だろう」

 

露伴。

 

「使えば、この男の本音は早い」

 

Xi。

 

「そう! それ!」

 

ログナー。

 

「お前も乗るな」

 

Xi。

 

「僕は見てないから!」

 

ログナー。

 

「見ている」

 

Xi。

 

「比喩だよ!」

 

ジョーイ係長。

 

「会長本人が許可したら?」

 

全員。

 

シックスを見る。

 

シックス。

 

「断る」

 

Xi。

 

「即答!」

 

露伴。

 

「なぜだ?」

 

シックス。

 

「私の中身を読ませる趣味はない」

 

露伴。

 

「そうか」

 

シックス。

 

「残念か?」

 

露伴。

 

「いや」

 

露伴は笑った。

 

「読めない方が、取材対象としては面白い」

 

Xi。

 

「また『面白い』って言った!!」

 

シックスも笑う。

 

「気が合うな」

 

Xi。

 

「だから気を合わせるなって!!」

 

ジョーイ係長が頭を抱える。

 

「前回と同じ流れやないか……」

 

◆

 

会談が終わった。

 

会長室を出たところで。

 

Xiは大きく息を吐いた。

 

「……疲れた」

 

露伴。

 

「僕は満足した」

 

「でしょうね」

 

露伴はメモ帳を眺める。

 

「興味深い男だった」

 

Xi。

 

「お願いだから、次回作に『軍需企業の会長と怪物強盗の息子』とか出さないでね」

 

露伴。

 

「そのままは使わない」

 

Xi。

 

「そのままは?」

 

「漫画は取材した事実を、そのまま写すものではない」

 

Xi。

 

「安心していいのか分からない答えだな……」

 

そこへ。

 

ジョーイ係長が追いつく。

 

「Xiはん」

 

「何?」

 

「一つ確認してええか?」

 

「うん」

 

ジョーイ係長は露伴を見る。

 

そしてXiを見る。

 

「これ」

 

前回。

 

魔人。

 

今回。

 

漫画家。

 

「ホンマに会長室長になったら」

 

嫌な予感がした。

 

「……毎回こうなるん?」

 

Xiは。

 

少し考えた。

 

そして。

 

笑った。

 

「さあ?」

 

ジョーイ係長。

 

「さあ!?」

 

Xiは指を立てる。

 

「でも、僕を本当に会長室長にするなら」

 

ジョーイ係長の顔が引きつる。

 

「こういう人脈も込みで僕だからね?」

 

「またそれ言う!」

 

「僕だけ都合よく切り取って採用するのは無理だよ」

 

ジョーイ係長は。

 

言葉に詰まった。

 

イエッタが静かに言う。

 

「当然では?」

 

ジョーイ係長。

 

「イエッタはん!?」

 

「Xiさん本人を採用するのであって」

 

Xiを見る。

 

「必要な能力だけを採用するわけではありません」

 

Xi。

 

「そういうこと」

 

ジョーイ係長。

 

「正論や!」

 

頭を抱える。

 

「正論やけど、人脈が濃すぎるねん!!」

 

露伴。

 

「僕を一緒にするな」

 

ジョーイ係長。

 

「魔人の次に来た時点でもう一緒です!」

 

露伴。

 

「失礼な男だな」

 

Xiは。

 

少し楽しそうだった。

 

自分を会長室長にする。

 

それを望むのは。

 

ジョーイ係長たちの自由だ。

 

条件を出すのもいい。

 

選択肢を示すのもいい。

 

だが。

 

自分を選ぶなら。

 

自分の能力も。

 

自分の性格も。

 

自分の自由も。

 

そして。

 

自分がこれまで築いてきた人間関係も。

 

全部込みだ。

 

都合のいい部分だけを切り離して。

 

「会長を止める装置」にされる気はない。

 

それも。

 

Xiが自分で選び取ってきた。

 

Xiという人間の中身なのだから。

 

◆

 

帰り道。

 

Xiは考えていた。

 

「……次は」

 

露伴。

 

「まだ誰か連れてくるのか?」

 

「うん」

 

ジョーイ係長。

 

「まだ続くん!?」

 

Xi。

 

「今度こそ、余計なことを言わなくて」

 

「ほう」

 

「能力を勝手に使おうともしなくて」

 

「ほう」

 

「僕を面白がったりもしない」

 

少し考える。

 

「落ち着いた大人」

 

露伴。

 

「誰だ?」

 

Xiは答えた。

 

「空条承太郎さん?」

 

露伴。

 

「…………」

 

ジョーイ係長。

 

「海洋学者さん?」

 

Xi。

 

「そう」

 

ジョーイ係長は。

 

心底ほっとした顔をした。

 

「なんや!」

 

胸を撫で下ろす。

 

「次は普通の人やないか!」

 

露伴は。

 

何も言わなかった。

 

Xiも。

 

何も言わなかった。

 

ただ。

 

二人とも。

 

少しだけ。

 

目を逸らした。

 

ジョーイ係長は。

 

まだ知らない。

 

次の来客が。

 

今回までとは違う意味で。

 

とても圧の強い男であることを。

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