守るべきもの、怒るべきもの、斬るべきもの、喰うべき謎 ――キラ、承太郎、カイエン、ネウロのごった煮会話劇   作:ギアっちょ

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怪物強盗Xiは総裁を連れて出社したい

平和監視機構コンパス会議室。

 

「ラクス」

 

怪物強盗Xiが声をかけると。

 

ラクス・クラインは、手元の資料から顔を上げた。

 

「はい?」

 

Xiは少し考えた。

 

これまでの同行者。

 

魔人ネウロ。

 

漫画家、岸辺露伴。

 

海洋学者、空条承太郎。

 

剣聖ダグラス・カイエン。

 

振り返ってみると。

 

「……人選、ちょっと濃すぎたかな」

 

ラクス。

 

「何のお話でしょう?」

 

「いや、こっちの話」

 

Xiは椅子に座った。

 

「ラクス。今度、僕と一緒にヘキサクス来てくれない?」

 

ラクスは。

 

すぐには返事をしなかった。

 

「ゾディア会長とのお話ですか?」

 

「そう」

 

「会長室長のお話も?」

 

「それも」

 

「そして、Xiさんご自身の今後について?」

 

Xiは。

 

少し笑った。

 

「うん」

 

ラクスは静かに頷いた。

 

「でしたら」

 

Xiの顔が明るくなる。

 

「来てくれる?」

 

「一度、お話を伺ってみたいと思います」

 

「ありがとう!」

 

その時。

 

少し離れたところから。

 

「僕も行くよ」

 

Xiが振り返る。

 

キラ・ヤマトがいた。

 

「キラも?」

 

「うん」

 

「護衛?」

 

キラ。

 

「……そういうつもりではないけど」

 

ラクスは微笑む。

 

「一緒に来ていただけると心強いですわ」

 

キラ。

 

「もちろん」

 

Xiは二人を見比べた。

 

「今回、すごく安心感あるなぁ」

 

キラ。

 

「今までは?」

 

Xi。

 

「ネウロ」

 

キラ。

 

「…………」

 

「露伴センセ」

 

「…………」

 

「承太郎」

 

「それはまだ分かるかな」

 

「カイエン師匠」

 

キラ。

 

「…………」

 

Xi。

 

「だから今回は、すごく普通」

 

ラクスは微笑んだままだった。

 

「本当にそうでしょうか?」

 

Xi。

 

「え?」

 

キラ。

 

「ラクスを政治家として連れて行く時点で、普通ではないと思うよ」

 

Xi。

 

「…………」

 

そう言われれば。

 

そうだった。

 

◆

 

数日後。

 

ヘキサクス本社。

 

受付ロビー。

 

ジョーイ係長は。

 

既に待機していた。

 

もう驚かない。

 

そう決めていた。

 

ネウロ。

 

露伴。

 

承太郎。

 

カイエン。

 

全部。

 

乗り越えてきた。

 

「今日は誰や」

 

自動ドアが開く。

 

Xi。

ラクス・クライン。

キラ・ヤマト。

 

「…………」

 

Xi。

 

「どうも」

 

ジョーイ係長。

 

「…………」

 

ラクス。

 

「本日はお時間をいただき、ありがとうございます」

 

丁寧に会釈。

 

ジョーイ係長も。

 

条件反射で頭を下げる。

 

「こ、こちらこそ」

 

そして。

 

数秒後。

 

我に返った。

 

「コンパス総裁やないか!!」

 

Xi。

 

「そうだよ」

 

「なんでそんな軽いねん!」

 

「今回は普通でしょ?」

 

「社会的立場が今までで一番重いわ!!」

 

ラクス。

 

「ご迷惑でしたでしょうか?」

 

ジョーイ係長。

 

「いや! そういう意味やなくてですね!」

 

慌てる。

 

「まさかXiはんがホンマに総裁まで連れてくるとは……」

 

Xi。

 

「知り合いだし」

 

ジョーイ係長。

 

「国家規模の肩書きを『知り合い』で処理すんな!!」

 

その時。

 

ログナーが歩いてきた。

 

ラクスを見る。

 

「ラクス・クライン総裁」

 

「ログナー司令」

 

「本日はよろしくお願いします」

 

「こちらこそ」

 

ジョーイ係長は。

 

普通に挨拶する二人を見て。

 

頭を抱えた。

 

「もうワシだけ感覚おかしなってきたんかな……」

 

Xi。

 

「安心して。正常だよ」

 

「Xiはんに言われると不安や!」

 

◆

 

会長室。

 

扉が開く。

 

シックスは。

 

いつもの席に座っていた。

 

今日は。

 

少しだけ。

 

空気が違う。

 

来客は。

 

世界的軍需企業の会長に対し。

 

単なる私人として来たわけではない。

 

平和監視機構コンパス総裁。

 

ラクス・クライン。

 

そして。

 

キラ・ヤマト。

 

シックスが口を開いた。

 

「これはまた」

 

ラクスを見る。

 

「随分と政治的な客を連れてきたな、Xi」

 

Xi。

 

「今回はちゃんと話し合いできる人」

 

シックス。

 

「今までできていなかったのか?」

 

Xi。

 

「ネウロと師匠の回を見れば分かるだろ」

 

ログナー。

 

「カイエンをネウロと同列にするな」

 

Xi。

 

「どっちも会長室で危ないじゃん」

 

ログナー。

 

「否定はせん」

 

ジョーイ係長。

 

「否定してくださいよ!」

 

ラクスが。

 

シックスへ向き直る。

 

「ゾディア会長」

 

「何かな」

 

「本日は、Xiさんについてお話を伺いたく参りました」

 

「聞こう」

 

ラクスは座る。

 

キラは。

 

そのすぐ近く。

 

少し後ろに立った。

 

Xiが小声で言う。

 

「キラ、座らないの?」

 

「ここでいいよ」

 

「完全にボディーガードじゃん」

 

キラ。

 

「気にしないで」

 

「気になるよ」

 

シックスは。

 

その様子を眺めていた。

 

「随分と警戒されているらしい」

 

ラクス。

 

「お話し合いが目的ですわ」

 

「なら、その男は必要ないだろう」

 

ラクス。

 

「キラは」

 

一度。

 

キラを見る。

 

柔らかく笑う。

 

「わたくしの大切な方ですから」

 

キラ。

 

「ラクス……」

 

Xi。

 

「急に空気が綺麗になった」

 

ジョーイ係長。

 

「今までの同行者との差が激しすぎるわ」

 

シックス。

 

「それで?」

 

ラクス。

 

「まず確認させてください」

 

「何を?」

 

「Xiさんをヘキサクスへ迎えたいというお話についてです」

 

「そうだ」

 

「会社として必要だから、でしょうか?」

 

シックス。

 

「それもある」

 

「では」

 

ラクスは静かに続ける。

 

「どのような役割を?」

 

ジョーイ係長が答えた。

 

「会長室長を考えてます」

 

Xi。

 

「まだ候補ね!」

 

ジョーイ係長。

 

「分かっとる!」

 

ラクス。

 

「目的は?」

 

イエッタが答える。

 

「ゾディア会長の監視と、会長発案案件の早期確認です」

 

ラクス。

 

「つまり」

 

少し考える。

 

「会長ご自身の暴走を防ぐために、Xiさんが必要なのですね」

 

ジョーイ係長。

 

「まあ……」

 

シックス。

 

「随分な言い方だな」

 

ラクス。

 

「違いますか?」

 

シックス。

 

「…………」

 

ジョーイ係長。

 

小声で。

 

「強い」

 

Xi。

 

「でしょ?」

 

ラクスは続ける。

 

「会社としてXiさんの力を必要としている」

 

「ええ」

 

ジョーイ係長が答える。

 

「それでしたら」

 

ラクス。

 

「会社として条件を提示し、Xiさんがお選びになる」

 

「はい」

 

「そこまでは、わたくしにも理解できます」

 

シックス。

 

「では問題ない」

 

ラクス。

 

「いいえ」

 

シックスを見る。

 

「問題は、その先です」

 

空気が。

 

少しだけ変わる。

 

「ゾディア会長は」

 

ラクスは静かだった。

 

「Xiさんご自身が、まだ何も決めていない段階から」

 

「…………」

 

「いずれ自分の後を継ぐ、とおっしゃっているそうですね」

 

シックス。

 

「事実だ」

 

Xi。

 

「僕にとっては未来予知じゃなくて押し付けだけどね」

 

ラクス。

 

「そして」

 

ほんの少し。

表情を柔らかくする。

 

「会社では、ご自身を『パパ』と呼ばせたいとか」

 

シックス。

 

「ああ」

 

Xi。

 

「そこも聞くの?!」

 

ラクス。

 

「大切な点ですわ」

 

Xi。

 

「そうなの?」

 

ジョーイ係長。

 

「ある意味、一番分かりやすい問題や」

 

ラクスは聞いた。

 

「業務上、その呼称にはどのような必要性がございますか?」

 

シックス。

 

「ない」

 

即答。

 

ラクス。

 

「では、なぜ?」

 

シックス。

 

「Xiが嫌がる」

 

ラクス。

 

「…………」

 

ジョーイ係長。

 

「…………」

 

イエッタ。

 

「…………」

 

キラ。

 

「…………」

 

ラクスは。

 

ほんの少し。

 

微笑んだ。

 

「まあ」

 

声は。

 

とても柔らかかった。

 

ジョーイ係長が。

 

小声で言う。

 

「総裁」

 

「はい?」

 

「そのやり取り、議事録に残してもええですか?」

 

Xi。

 

「永久保存で!」

 

シックス。

 

「お前たち」

 

その瞬間。

 

キラの視線が。

 

変わった。

 

本当に。

 

一瞬だけだった。

 

だが。

 

Xiには分かった。

 

さっきまで穏やかに立っていたキラが。

 

シックスを。

 

静かに。

 

睨んでいた。

 

シックスも。

 

それに気付く。

 

「……何だ?」

 

キラは答えない。

 

ただ。

 

見る。

 

会長室の空気が。

 

少し重くなる。

 

Xi。

 

「キラ……」

 

ラクスが。

 

振り返った。

 

そして。

 

にこりと笑った。

 

「キラ、大丈夫です」

 

キラは。

 

しばらく。

 

シックスを見ていた。

 

やがて。

 

「……うん」

 

視線を緩めた。

 

それだけ。

 

シックスが言う。

 

「随分と物騒な護衛だ」

 

キラ。

 

「僕は何もしてません」

 

「顔はしていた」

 

Xi。

 

「あなたが言う?」

 

ジョーイ係長。

 

「Xiはん、それ以上煽らんといて」

 

ラクスは。

 

改めてシックスを見る。

 

「ゾディア会長」

 

「何だ?」

 

「一つ、お尋ねしても?」

 

「どうぞ」

 

「Xiさんに会社を継がせたいというのは」

 

「…………」

 

「Xiさんのためですか?」

 

シックス。

 

「私の子だからだ」

 

ラクス。

 

「それは答えになっておりませんわ」

 

ジョーイ係長。

 

「……総裁、容赦ないな」

 

ラクス。

 

「お子様だから」

 

「…………」

 

「何をなさりたいのでしょう?」

 

シックス。

 

「私の後を継がせる」

 

「なぜ?」

 

「それに足る存在だからだ」

 

ラクス。

 

「Xiさんが望まなくても?」

 

「いずれ理解する」

 

ラクス。

 

「…………」

 

少し。

 

間があった。

 

「ゾディア会長」

 

「何だ」

 

ラクスは。

 

言葉を選ぶように。

 

ゆっくり話した。

 

「人を守るために、力が必要なことはあります」

 

キラが。

 

静かにラクスを見る。

 

「そして」

 

「誰かを大切に想う気持ちも」

 

「…………」

 

「もちろん、大切です」

 

シックス。

 

「何が言いたい?」

 

ラクスは。

 

優しく。

 

しかし。

 

はっきりと。

 

言った。

 

「力だけでも、想いだけでも、駄目なのですよ」

 

Xiは。

 

少し目を見開いた。

 

ラクスは続ける。

 

「その方ご自身の意志がなければ」

 

「…………」

 

「守るための力も」

 

「…………」

 

「未来を願う想いも」

 

静かに。

 

「いつか、その方を閉じ込める檻になってしまいます」

 

シックスの目が。

 

少し細くなる。

 

「私がXiを想っていると?」

 

ラクス。

 

「それが愛情なのか」

 

「…………」

 

「執着なのか」

 

「…………」

 

「支配欲なのか」

 

ラクスは。

 

全く表情を崩さなかった。

 

「それを決めるのは、わたくしではございません」

 

シックス。

 

「では誰が?」

 

ラクス。

 

「少なくとも」

 

Xiを見る。

 

「その影響を受けるXiさんご本人には、答える権利があります」

 

Xi。

 

「…………」

 

ラクス。

 

「そしてご自身の未来を選ぶ権利も」

 

静かだった。

 

怒鳴っていない。

 

威圧もしていない。

 

だが。

 

Xiには。

 

これまでの誰とも違う形で。

 

シックスの逃げ道が。

 

少しずつ塞がれていくのが分かった。

 

シックス。

 

「ならば」

 

Xiを見る。

 

「本人に聞けばいい」

 

「僕?」

 

「お前はどうしたい?」

 

突然。

 

全員の視線が。

 

Xiへ集まった。

 

Xi。

 

「…………」

 

ジョーイ係長。

 

「Xiはん?」

 

Xiは。

 

少し考えた。

 

以前なら。

 

すぐに。

 

「嫌だ」

 

と言っていただろう。

 

今も。

 

面倒だと思う。

 

自由が減るのは嫌だ。

 

シックスの会社に入ることには。

 

まだ抵抗がある。

 

でも。

 

それだけではなくなっていた。

 

ジョーイ係長がいる。

 

イエッタがいる。

 

困っている社員たちもいる。

 

自分が手を伸ばせば。

 

助けられるかもしれない。

 

Xiは。

 

静かに言った。

 

「まだ分からない」

 

シックス。

 

「…………」

 

「でも」

 

Xiは。

 

自分の胸へ手を置く。

 

「僕がヘキサクスに入るなら」

 

「…………」

 

「シックスの子だからじゃない」

 

シックスを見る。

 

「後継者として作られたからでもない」

 

「…………」

 

「僕が」

 

少しだけ。

 

笑う。

 

「ここにいる人たちの役に立てると思ったから」

 

ジョーイ係長。

 

「…………」

 

イエッタ。

 

「…………」

 

Xi。

 

「そういう理由で入りたい」

 

一拍。

 

「僕が決めたい」

 

ラクスは。

 

微笑んだ。

 

キラも。

 

ほんの少し。

 

表情を緩めた。

 

シックス。

 

「結果が同じなら、理由など」

 

Xi。

 

「違うよ」

 

今度は。

 

Xiが遮った。

 

「全然違う」

 

シックス。

 

「何が?」

 

Xi。

 

「あなたに座らされた椅子と」

 

自分を見る。

 

「僕が自分で選んで座った椅子は」

 

一拍。

 

「同じ椅子でも、僕にとっては全然違う。」

 

シックスは。

 

しばらく。

 

何も言わなかった。

 

ラクスが言う。

 

「それが」

 

Xiを見る。

 

「ご自身で選ぶということなのでしょうね」

 

Xi。

 

「……うん」

 

シックス。

 

「好きにしろ」

 

Xi。

 

「そうするよ」

 

シックス。

 

「ただし」

 

Xi。

 

「来た」

 

「会社では」

 

Xi。

 

「言うな」

 

「パパと」

 

Xi。

 

「言うなって言っただろ!!」

 

ラクス。

 

「ゾディア会長」

 

ニコリ。

 

シックス。

 

「何だ?」

 

ラクス。

 

「業務上の必要性は、ないのでしたね?」

 

「ない」

 

「では」

 

微笑む。

 

「諦めてはいかがでしょう?」

 

Xi。

 

「ラクス!!」

 

嬉しそうだった。

 

シックス。

 

「断る」

 

Xi。

 

「あんたも即答するな!!」

 

キラが。

 

また。

 

じっ。

 

シックスを見る。

 

ラクス。

 

「キラ、大丈夫です」

 

キラ。

 

「……うん」

 

ジョーイ係長。

 

「このやり取り、あと何回続くんや……」

 

◆

 

会談終了後。

 

いつものカフェテラス。

 

Xi。

 

ラクス。

 

キラ。

 

そこへ。

 

アスラン・ザラ。

 

カガリ・ユラ・アスハ。

 

テーブルには。

 

普通の。

本当に普通の。

コーヒーと紅茶。

 

Xiは。

 

念のため。

 

カップの中を見ていた。

 

アスラン。

 

「何をしている?」

 

Xi。

 

「ローズヒップじゃないか確認してる」

 

カガリ。

 

「なんだそれ?」

 

キラ。

 

「説明すると長いよ」

 

Xi。

 

「承太郎がオラァした」

 

カガリ。

 

「もっと分からなくなったぞ!」

 

ラクスは。

 

静かに紅茶を口へ運んだ。

 

「今日のものは大丈夫ですわ」

 

Xi。

 

「安心するなぁ」

 

アスラン。

 

「で」

 

全員を見る。

 

「会談はどうだった?」

 

ラクス。

 

「有意義でしたわ」

 

Xi。

 

「かなり」

 

キラ。

 

「うん」

 

カガリ。

 

「シックスは?」

 

Xi。

 

「会社ではパパと呼べって」

 

カガリ。

 

「はぁ!?」

 

カフェテラスに。

 

大声が響いた。

 

Xi。

 

「ほら」

 

アスラン。

 

「だからラクスが行ったんだろう」

 

カガリ。

 

「どういう意味だ、アスラン!」

 

「お前だったら、その場で怒鳴っていただろ」

 

カガリ。

 

「当たり前だ!!」

 

アスラン。

 

「それを言っている」

 

カガリ。

 

「お前なぁ!」

 

Xi。

 

「やっぱりラクスで正解だった」

 

カガリ。

 

「Xiまで!?」

 

ラクスは。

 

くすりと笑った。

 

カガリ。

 

「だっておかしいだろ! 会社だぞ!?

 社員に『パパが呼んでる』って言わせるのか!?」

 

Xi。

 

「もう言わせた」

 

カガリ。

 

「もうやったのかよ!!」

 

キラ。

 

「その時は僕いなかったけどね」

 

カガリ。

 

「いたらどうしてた?」

 

キラ。

 

「…………」

 

Xi。

 

「今日、途中でシックス睨んでたよ」

 

カガリ。

 

「キラが?」

 

キラ。

 

「ちょっとだけ」

 

ラクス。

 

「ですから『キラ、大丈夫です』と」

 

カガリ。

 

「どんな状況だそれ!?」

 

アスラン。

 

「ラクスが止めたなら、それなりの状況だったんだろう」

 

キラ。

 

「僕は何もするつもりなかったよ」

 

Xi。

 

「顔はしてた」

 

キラ。

 

「Xi……」

 

ラクス。

 

「ふふ」

 

しばらく。

 

笑いが続いた。

 

そして。

 

カガリが。

 

少しだけ。

 

真面目な顔になる。

 

「でもさ」

 

Xi。

 

「何?」

 

「結局」

 

カガリはXiを見る。

 

「まだ決めてないんだろ?」

 

「うん」

 

「だったら」

 

少しだけ。

 

笑う。

 

「いろんな奴に話聞いて」

 

「…………」

 

「いろんな選択肢見て」

 

「…………」

 

「最後に自分で決めりゃいいじゃないか」

 

Xiは。

 

少しだけ目を細めた。

 

「うん」

 

アスランも言う。

 

「選択肢を与えられることと」

 

Xiを見る。

 

「選択を奪われることは違う」

 

ラクス。

 

「ええ」

 

キラ。

 

「僕もそう思う」

 

Xi。

 

「……みんな同じこと言うね」

 

カガリ。

 

「それだけ大事なんだろ」

 

Xiは。

 

カップを見る。

 

普通のコーヒー。

 

少しだけ。

 

笑った。

 

「そっか」

 

ラクス。

 

「焦る必要はありませんわ」

 

「うん」

 

「でも」

 

ラクスは微笑む。

 

「誰かのお力になれると感じた時に、手を伸ばすことも」

 

「…………」

 

「Xiさんご自身がお選びになればよいのです」

 

Xi。

 

「……うん」

 

◆

 

その頃。

 

ヘキサクス本社。

 

ジョーイ係長は。

 

自分の机で。

 

疲れた顔をしていた。

 

ネウロ。

岸辺露伴。

空条承太郎。

ダグラス・カイエン。

ラクス・クライン。

キラ・ヤマト。

 

「……もうええ」

 

一人。呟く。

 

「もう誰来ても驚かへん」

 

イエッタが。

 

近くで書類を見ていた。

 

ジョーイ係長。

 

「次は何や」

 

ため息。

 

「国家元首でも連れてくるんか?」

 

イエッタが。

 

顔を上げた。

 

「…………」

 

ジョーイ係長。

 

「何です?」

 

イエッタ。

 

「いえ」

 

ログナーが。

 

たまたま通りかかった。

 

ジョーイ係長。

 

「ログナー司令」

 

「何だ」

 

「次、国家元首とか来ませんよね?」

 

ログナーは。

 

少しだけ。

 

黙った。

 

「…………」

 

ジョーイ係長。

 

「なんで黙るんです?」

 

ログナー。

 

「係長」

 

「はい?」

 

「それ以上言わない方がいい」

 

ジョーイ係長。

 

「なんでですの!?」

 

その答えを。

 

彼は。

 

まだ知らなかった。

 

次にXiが。

 

「知り合いだから」

 

という軽い理由で連れてくる人物が。

 

惑星デルタ・ベルン大統領。

A.K.D.党首。

 

そして。

地球側から見れば。

異界神<アーク>とも呼ぶべき存在…

 

アマテラス陛下であることを。

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