守るべきもの、怒るべきもの、斬るべきもの、喰うべき謎 ――キラ、承太郎、カイエン、ネウロのごった煮会話劇   作:ギアっちょ

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怪盗Xiはデートの邪魔をさせない

◆ 1.本日の任務は、見守ること

 

地球滞在、三日目。

 

朝。

 

ホテルのレストランでは、いつものように賑やかな朝食が始まっていた。

 

弥子「おはようございまーす!」

 

Xi「……弥子ちゃん、今日も元気だね」

 

弥子「もちろん! 今日は動物園だもん!」

 

泉「ふふ。楽しみですね」

 

バクスチュアル「……天候、良好」

 

Xi「……うん。ちょっと日差しが強そうだけどね」

 

そこへ、ダイ・グとクリスティンがやってきた。

 

ダイ・グ「おはよう、皆さん」

 

クリスティン「おはようございます」

 

弥子「クリス! おはよう!」

 

クリスティン「ふふ。おはようございます、弥子さん」

 

Xi「二人とも、昨日はよく眠れた?」

 

ダイ・グ「うん。おかげさまで」

 

クリスティン「はい。とても快適でした」

 

Xi「……よかった!」

 

◆

 

食事がひと段落したところで、泉が今日の予定を説明し始めた。

 

泉「では、本日の観光についてご案内しますね」

 

ダイ・グ「はい。お願いします」

 

泉「今日は動物園を中心に、ゆっくり過ごしていただこうと思います」

 

クリスティン「……動物園、ですか?」

 

泉「ええ。地球のさまざまな動物をご覧いただける場所です」

 

ダイ・グ「それは楽しみだね、クリス」

 

クリスティン「……はい!」

 

泉「そして、今日は少し趣向を変えまして……」

 

Xi「……二人で、自由に見て回ってもらおうと思うんだ!」

 

クリスティン「…………!」

 

ダイ・グ「……二人で?」

 

Xi「うん!」

 

弥子「私たちは、少し離れたところにいるから!」

 

クリスティン「……ですが、陛下の警護が……」

 

Xi「姉弟子!」

 

クリスティン「……はい?」

 

Xi「警護を放棄するわけじゃないよ。連絡できるようにしておくし、何かあったら僕たちもすぐ動けるから」

 

泉「事前に園内の設備や連絡場所も確認してあります」

 

バクスチュアル「……対応、可能」

 

Xi「それに、姉弟子自身も十分強いでしょ?」

 

クリスティン「……それは、そうですが……」

 

ダイ・グ「……ふふ」

 

クリスティン「……陛下?」

 

ダイ・グ「せっかくだから、お言葉に甘えようよ」

 

クリスティン「…………」

 

ダイ・グ「今日は二人で、のんびり動物を見てみたいな」

 

クリスティン「…………!」

 

少しだけ、頬が赤くなった。

 

クリスティン「……はい」

 

ダイ・グ「……ありがとう、クリス」

 

Xi「……うん!」

 

泉「では、決まりですね」

 

弥子「やったぁ!」

 

Xi「……ところで、弥子ちゃん」

 

弥子「ん?」

 

Xi「二人のデートの邪魔はしないでね?」

 

弥子「分かってるってば!」

 

Xi「……本当?」

 

弥子「もちろん! 遠くから見守るだけ!」

 

泉「写真を撮る場合も、お二人の許可をいただいてからにしましょうね」

 

弥子「……はーい!」

 

Xi「……泉さん、今日も頼りにしてるよ」

 

泉「ふふ。お任せください」

 

こうして。

 

フィルモア皇帝とハイランダーの、地球でのデートが始まることになった。

 

……ただし。

 

その後方には、若干心配性な怪物強盗と、好奇心旺盛な女子高生が控えている。

 

果たして、本当に二人きりの時間を守れるのだろうか。

 

◆ 2.地球の動物たち

 

午前。

 

動物園。

 

入口を抜けると、緑豊かな園内が広がっていた。

 

並木道の先には、さまざまな動物の展示施設。

 

家族連れや恋人たちが、楽しそうに歩いている。

 

ダイ・グ「……いいところだね」

 

クリスティン「……はい。緑も多くて、とても気持ちがいいです」

 

ダイ・グ「今日は何から見ようか?」

 

クリスティン「……そうですね」

 

園内マップを広げる二人。

 

クリスティン「……こちらに、小型の動物がいるようです」

 

ダイ・グ「じゃあ、そこから行こうか」

 

クリスティン「はい!」

 

二人は、並んで歩き始めた。

 

◆

 

最初に訪れたのは、レッサーパンダの展示施設だった。

 

木の枝の上で、赤茶色の小さな動物がのんびりと休んでいる。

 

クリスティン「……まあ!」

 

ダイ・グ「……あれがレッサーパンダなんだね」

 

クリスティン「……可愛らしいですね」

 

ダイ・グ「……うん」

 

レッサーパンダは、ゆっくり顔を上げると、枝の上を器用に歩き始めた。

 

クリスティン「……あっ! 動きました!」

 

ダイ・グ「ふふ。器用だね」

 

クリスティン「……尻尾も立派です」

 

ダイ・グ「……本当だ」

 

二人は、しばらく黙って眺めていた。

 

特別な会話はない。

 

ただ、同じ動物を見ている。

 

それだけだった。

 

やがて、レッサーパンダが枝の上で丸くなる。

 

クリスティン「……寝てしまいましたね」

 

ダイ・グ「……ふふ」

 

クリスティン「……?」

 

ダイ・グ「なんだか、羨ましいな」

 

クリスティン「……羨ましい、ですか?」

 

ダイ・グ「うん。あんなふうに、好きな時にのんびりできたらね」

 

クリスティン「…………」

 

少し考えてから。

 

クリスティン「……ですが、今日は陛下もお休みです」

 

ダイ・グ「……ああ」

 

クリスティン「……ゆっくり、なさってください」

 

ダイ・グ「…………」

 

そして、優しく微笑んだ。

 

ダイ・グ「……ありがとう、クリス」

 

クリスティン「……はい」

 

◆

 

一方。

 

少し離れた休憩スペース。

 

弥子「…………!」

 

Xi「……弥子ちゃん?」

 

弥子「……Xi」

 

Xi「……何?」

 

弥子「……クリス、すっごく楽しそう!」

 

Xi「……うん」

 

弥子「……可愛いよねぇ!」

 

Xi「……どっちが?」

 

弥子「どっちも!」

 

Xi「……レッサーパンダとクリスティンさん?」

 

弥子「そう!」

 

泉「ふふ。お気持ちは分かりますけれど、あまりじっと見つめすぎないようにしましょうね」

 

弥子「……はーい」

 

Xi「……ところで、弥子ちゃん」

 

弥子「ん?」

 

Xi「……いつの間に双眼鏡なんて用意したの?」

 

弥子「えへへ!」

 

Xi「えへへ、じゃない!!」

 

弥子「だって、遠くから見守るんでしょ?」

 

Xi「見守るのと観察するのは違うんだよ!!」

 

泉「……桂木さん」

 

弥子「……はい」

 

泉「双眼鏡は、動物を見るために使いましょうね」

 

弥子「……はーい」

 

Xi「……ふぅ」

 

バクスチュアル「……Xiサン」

 

Xi「……何?」

 

バクスチュアル「……警護対象、異常ナシ」

 

Xi「……うん」

 

バクスチュアル「……弥子サン、監視必要」

 

Xi「警護対象が増えた?!」

 

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◆ 3.二人の知らない珈琲事情

 

園内を進むダイ・グとクリスティン。

 

続いて訪れたのは、ジャコウネコの展示施設だった。

 

クリスティン「……あら?」

 

ダイ・グ「……どうしたの?」

 

クリスティン「……こちらに、ジャコウネコという動物がいるようです」

 

ダイ・グ「……ジャコウネコ?」

 

展示場の奥。

 

木陰には、小柄な動物が身を休めていた。

 

ダイ・グ「……ああ、あれかな?」

 

クリスティン「……はい。猫に少し似ていますね」

 

ダイ・グ「……でも、猫とは違う仲間みたいだよ」

 

クリスティン「……そうなのですね」

 

しばらく、二人は静かに眺めていた。

 

その時。

 

ダイ・グ「…………」

 

何かに気づいたように、首を傾げた。

 

ダイ・グ「……クリス」

 

クリスティン「はい?」

 

ダイ・グ「……ジャコウネコって、聞き覚えない?」

 

クリスティン「…………」

 

少し考えて。

 

クリスティン「……あっ!」

 

ダイ・グ「……?」

 

クリスティン「昨日、ジョーイさんが珈琲のお話をなさった時に……」

 

ダイ・グ「……そうだ!」

 

思わず笑った。

 

ダイ・グ「象の珈琲のほかにも、ジャコウネコが関わる珈琲があると言っていたね」

 

クリスティン「……はい」

 

二人は、改めて展示場を眺めた。

 

ダイ・グ「……この動物なんだね」

 

クリスティン「……ふふ。可愛らしいですね」

 

ダイ・グ「……でも、ちょっと不思議だな」

 

クリスティン「……何が、でしょう?」

 

ダイ・グ「地球では、珍しい珈琲の話をすると動物が出てくるんだね」

 

クリスティン「…………」

 

そして。

 

クリスティン「……ふふふっ!」

 

ダイ・グ「……?」

 

クリスティン「……申し訳ありません」

 

ダイ・グ「……どうしたの?」

 

クリスティン「……昨日の象の珈琲を思い出してしまって」

 

ダイ・グ「……ああ」

 

クリスティン「……宮廷料理長が聞いたら、どんな顔をするでしょうね」

 

ダイ・グ「…………」

 

少し考えて。

 

ダイ・グ「……たぶん、ものすごく真剣に製法を聞いてくると思うよ」

 

クリスティン「……ふふっ!」

 

ダイ・グ「『陛下! なぜ象が珈琲の製造に?!』って」

 

クリスティン「……あははっ!」

 

ダイ・グ「……ふふふっ!」

 

二人は、楽しそうに笑った。

 

◆

 

少し離れたところでは。

 

弥子「……あっ! ジャコウネコ!」

 

Xi「……うん?」

 

弥子「あのジャコウネコって、珈琲の実を食べるんだよね?」

 

Xi「……そうだね」

 

弥子「じゃあ、あの子たちの……」

 

Xi「弥子ちゃん!!」

 

弥子「……え?」

 

Xi「動物園で珈琲豆を回収しようとしないでよ?!」

 

弥子「そんなことしないよ!」

 

Xi「……本当?」

 

弥子「もちろん! ちょっと思い出しただけ!」

 

泉「それに、展示されている動物は、そっと見守るものですよ」

 

弥子「……はーい!」

 

バクスチュアル「……珈琲、関係ナシ」

 

Xi「……うん。それでいい」

 

弥子「……でも、昨日の珈琲は美味しかったね!」

 

Xi「……まあ、そうだけど」

 

弥子「象もジャコウネコも、地球の食文化に貢献してるんだね!」

 

Xi「そのまとめ方、なんか違わない?!」

 

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◆ 4.こんなこともあろうかと!

 

日差しが、少しずつ強くなってきた。

 

ダイ・グ「……今日はいい天気だね」

 

クリスティン「……はい。ですが、少し暑くなってきましたね」

 

ダイ・グ「大丈夫?」

 

クリスティン「はい。私は平気です」

 

ダイ・グ「……そう?」

 

クリスティン「……陛……」

 

一瞬。

 

周囲を見回した。

 

クリスティン「……ダイ・グさん」

 

ダイ・グ「……ふふ」

 

クリスティン「……?」

 

ダイ・グ「……まだ慣れない?」

 

クリスティン「……少し」

 

ダイ・グ「いいよ。ゆっくりで」

 

クリスティン「……はい」

 

二人は、木陰のベンチで少し休憩することにした。

 

◆

 

その頃。

 

少し離れた休憩所。

 

Xi「……今日は日差しが強いね」

 

泉「そうですね。帽子か日傘を用意しておけばよかったかもしれません」

 

弥子「……クリス、大丈夫かな?」

 

Xi「……うん。水分補給もしてるみたいだし」

 

その時だった。

 

アルバート「私の出番ですね!!」

 

Xi「うわぁっ?!」

 

突然、背後から声が響いた。

 

アルバート・ハインライン。天才技術者である。

 

Xi「……アルバートさん?!」

 

アルバート「皆さん、こんにちは!」

 

泉「こんにちは。今日はどうなさったんですか?」

 

アルバート「実はですね!」

 

得意げに胸を張る。

 

アルバート「こんなこともあろうかと、準備しておきました!!」

 

Xi「…………」

 

弥子「……?」

 

アルバートが取り出したのは、一本の日傘だった。

 

上品な色合い。

 

装飾は控えめで、普段使いにも違和感のないデザイン。

 

泉「……まあ。素敵な日傘ですね」

 

アルバート「ありがとうございます!」

 

Xi「……普通の日傘?」

 

アルバート「いいえ!」

 

Xi「…………」

 

アルバート「新開発! ノイズキャンセリング機能付き日傘です!!」

 

Xi「…………」

 

弥子「……ノイズキャンセリング?」

 

アルバート「はい! 日差しを遮るだけでなく、傘の下の騒音を軽減し、快適な会話空間を作り出します!」

 

Xi「……へぇ」

 

アルバート「周囲の喧騒を抑えながら、使用者同士の声は自然に聞こえるよう調整しております!」

 

泉「……それは便利ですね」

 

アルバート「もちろん、安全上重要な警報や緊急連絡は妨げない設計です!」

 

Xi「…………」

 

少し、考えた。

 

Xi「……アルバートさん」

 

アルバート「はい?」

 

Xi「……それ、今回すごく役に立つ発明じゃない?!」

 

アルバート「でしょう!!」

 

弥子「……あっ!」

 

Xi「……?」

 

弥子「……日傘ってことは……」

 

Xi「……?」

 

弥子「相合い傘!!」

 

Xi「弥子ちゃん!! 声!!」

 

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◆

 

Xi「……アルバートさん。ちょっと確認していい?」

 

アルバート「もちろんです!」

 

Xi「……録音機能とか、ついてないよね?」

 

アルバート「ございません!」

 

Xi「……盗聴とか、遠隔モニタリングとかは?」

 

アルバート「一切ありません! プライバシーを尊重した設計です!」

 

Xi「……よかった!」

 

泉「……では、お二人にお渡ししても問題なさそうですね」

 

アルバート「ぜひ!」

 

Xi「……あっ、アルバートさん」

 

アルバート「はい?」

 

Xi「……感想文とか、要求しないでね?」

 

アルバート「…………」

 

Xi「…………」

 

アルバート「……原稿用紙三枚程度で結構なのですが」

 

Xi「やっぱり!!」

 

泉「……アルバートさん」

 

アルバート「……はい?」

 

泉「今回は、お二人の休暇ですから」

 

アルバート「……あっ」

 

泉「研究へのご協力をお願いするなら、別の機会になさったほうがよろしいのでは?」

 

アルバート「……なるほど」

 

少し考えて。

 

アルバート「……おっしゃるとおりです。では、今回は純粋な贈り物としてお使いください!」

 

Xi「……ありがとう!!」

 

弥子「よかったね!」

 

アルバート「はい! お役に立てるなら光栄です!」

 

◆

 

しばらくして。

 

Xiたちは、ダイ・グとクリスティンのところへ日傘を届けた。

 

Xi「……あの、ダイ・グさん!」

 

ダイ・グ「……Xi君?」

 

Xi「ちょっといい?」

 

ダイ・グ「もちろん」

 

Xi「実は、暑そうだったから、これを使ってもらえたらと思って」

 

ダイ・グ「……日傘?」

 

Xi「うん! アルバートさんが作ったんだ」

 

クリスティン「……まあ。素敵ですね」

 

アルバート「ありがとうございます!」

 

ダイ・グ「……ああ、アルバートさん」

 

アルバート「本日は、お二人にぜひお使いいただきたく!」

 

簡単に機能を説明した。

 

ダイ・グ「……なるほど。面白いね」

 

クリスティン「……周囲の騒音を抑えるのですか」

 

アルバート「はい。お二人での会話にも最適です!」

 

Xi「……うん」

 

弥子「…………!」

 

Xi「……弥子ちゃん?」

 

弥子「…………」

 

Xi「……今、何か言おうとした?」

 

弥子「……ううん!」

 

泉「……ふふ」

 

◆

 

ダイ・グは、日傘を手に取った。

 

ダイ・グ「……クリス」

 

クリスティン「……はい?」

 

ダイ・グ「……一緒に使おうか?」

 

クリスティン「…………!」

 

少しだけ、頬が赤くなった。

 

クリスティン「……あ、はい!」

 

日傘を開く。

 

二人は、自然とその下に並んだ。

 

ダイ・グ「……どう?」

 

クリスティン「……はい。日差しが遮られて、快適です」

 

ダイ・グ「……よかった」

 

少しだけ、肩が近づいた。

 

クリスティン「…………」

 

ダイ・グ「……クリス?」

 

クリスティン「……い、いえ!」

 

ダイ・グ「……?」

 

クリスティン「……少し、近いような気がして……」

 

ダイ・グ「……嫌だった?」

 

クリスティン「…………!」

 

慌てて首を振った。

 

クリスティン「……いいえ!」

 

ダイ・グ「……ふふ」

 

クリスティン「…………」

 

少しだけ、声が小さくなる。

 

クリスティン「……このままで、お願いします」

 

ダイ・グ「……うん」

 

二人は、微笑み合った。

 

◆

 

数十メートル後方。

 

弥子「…………!!」

 

Xi「…………」

 

泉「……ふふ」

 

弥子「……Xi!!」

 

Xi「……何?!」

 

弥子「……今の!!」

 

Xi「……うん」

 

弥子「……あまーーーー……!」

 

Xi「弥子ちゃん!! 声を出さない!!」

 

弥子「……っ!!」

 

慌てて口を押さえる。

 

泉「ふふ。お二人とも、楽しそうですね」

 

Xi「……うん」

 

バクスチュアル「……日傘、効果良好」

 

アルバート「いやぁ! お役に立てて何よりです!」

 

Xi「……アルバートさん」

 

アルバート「はい?」

 

Xi「……今回は本当にいい仕事したね!」

 

アルバート「ありがとうございます!」

 

Xi「……うん!」

 

……そう。

 

この時までは、アルバートは間違いなく、本日の功労者だった。

 

◆ 5.三日三晩働ける栄養補給ドリンク

 

午後。

 

園内の休憩所。

 

ダイ・グとクリスティンは、少し離れた場所で動物たちを眺めている。

 

相合い傘は、相変わらず大活躍だった。

 

一方。

 

Xi「…………」

 

弥子「…………」

 

泉「……お疲れさまです」

 

Xi「……はぁ」

 

弥子「……いいなぁ」

 

Xi「……弥子ちゃん、もう何回目?」

 

弥子「だって、あの二人、すっごく幸せそうなんだもん」

 

Xi「……うん。そうだね」

 

弥子「……クリス、あんなに楽しそうにしてて……」

 

Xi「……うん」

 

少しだけ、沈黙。

 

弥子「……友達になれて、よかったなぁ」

 

Xi「…………」

 

そして。

 

Xi「……うん。僕もそう思うよ」

 

二人は、穏やかに微笑んだ。

 

その時。

 

アルバート「……おや?」

 

Xi「……?」

 

アルバート「ずいぶんお疲れですね。お二人とも」

 

Xi「…………」

 

Xi「……誰のせいだと思ってるの……」

 

アルバート「それはいけません!」

 

Xi「……?」

 

アルバート「疲労は、作業効率を大きく低下させますからね!」

 

Xi「……いや、僕たち今は……」

 

アルバート「こんなこともあろうかと!!」

 

Xi「…………」

 

弥子「…………」

 

アルバートは、鞄の中を探り始めた。

 

Xi「……アルバートさん?」

 

アルバート「こちらをご覧ください!」

 

取り出したのは、小さな瓶だった。

 

アルバート「一本飲めば三日三晩働ける、画期的な栄養補給ドリンクです!!」

 

Xi「…………」

 

弥子「…………」

 

泉「…………」

 

バクスチュアル「…………」

 

アルバート「疲労の蓄積した人員を支援するために開発された、非常に興味深い製品でして!」

 

Xi「…………」

 

弥子「……どこから手に入れたの?!」

 

アルバート「某軍需産業から仕入れました。」

 

Xi「…………」

 

弥子「…………」

 

Xi「……アルバートさん」

 

アルバート「はい?」

 

Xi「……その軍需産業って」

 

アルバート「はい」

 

Xi「……ヘキサクスじゃないよね?」

 

アルバート「…………」

 

Xi「…………」

 

アルバート「……企業秘密です」

 

Xi「ヘキサクスだぁぁぁ!!」

 

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◆

 

Xi「アルバートさん!! なんでよりによってそんなものを!!」

 

アルバート「……え?」

 

Xi「僕のクソ親父の会社だよ?!」

 

アルバート「はい。存じております」

 

Xi「知ってて仕入れたの?!」

 

アルバート「軍需分野の研究成果には、興味深いものが多いですから!」

 

Xi「……いや、分かるよ! 技術的な興味は分かるけど!!」

 

泉「……アルバートさん」

 

アルバート「はい?」

 

泉「一本で三日三晩働けるということですが……」

 

アルバート「はい!」

 

泉「……休息が必要な人を、休ませずに働かせるための飲み物なのですか?」

 

アルバート「……そういう用途も想定されているようですね」

 

泉「…………」

 

泉「それなら、疲れている人をきちんと休ませてあげたほうがよろしいのでは?」

 

アルバート「…………」

 

Xi「泉さん!! そのとおり!!」

 

弥子「そうですよ! 今日はみんなで遊びに来てるんだし!」

 

泉「それに、安全性を確認していないものを、お客様に勧めるのは感心しませんね」

 

アルバート「……なるほど」

 

少し考えた。

 

アルバート「……確かに、おっしゃるとおりです」

 

Xi「……分かってくれた?」

 

アルバート「はい。私の配慮が足りませんでした」

 

Xi「……よかったぁ」

 

アルバート「こちらは持ち帰り、資料を確認することにいたします」

 

Xi「……うん! それがいいよ!」

 

バクスチュアル「……開封、不要」

 

アルバート「もちろんです!」

 

瓶は、未開封のまま鞄に戻された。

 

◆

 

アルバート「……それでは」

 

Xi「……?」

 

アルバート「お疲れの皆様には、代わりに普通のミネラルウォーターを!」

 

Xi「…………」

 

弥子「…………」

 

泉「……まあ。ありがとうございます」

 

アルバート「いえいえ!」

 

Xi「……アルバートさん」

 

アルバート「はい?」

 

Xi「最初からそれでよかったんだよ!!」

 

弥子「あはははは!」

 

泉「ふふふっ」

 

アルバート「……なるほど。私もまだまだ勉強が必要ですね!」

 

Xi「……本当にね」

 

◆

 

その頃。

 

少し離れた場所。

 

ダイ・グ「……あっ、クリス」

 

クリスティン「……はい?」

 

ダイ・グ「見てごらん。あのカピバラ」

 

クリスティン「……まあ!」

 

水辺で、のんびりと過ごしているカピバラたち。

 

ダイ・グ「……気持ちよさそうだね」

 

クリスティン「……はい。とても穏やかですね」

 

ダイ・グ「……ふふ」

 

クリスティン「……?」

 

ダイ・グ「……僕たちも、今日はあんなふうにのんびりしようか」

 

クリスティン「…………」

 

そして。

 

クリスティン「……はい」

 

嬉しそうに微笑んだ。

 

二人は、自分たちのすぐ近くで、ヘキサクス製品の飲用未遂が阻止されたことなど、まったく知らなかった。

 

それでいい。

 

それこそが、Xiの今日の仕事だった。

 

◆ 6.皇帝とハイランダー、手をつなぐ

 

夕方が近づいてきた。

 

日差しは少しずつ柔らかくなり、園内には穏やかな風が吹いていた。

 

ダイ・グとクリスティンは、最後にもう一度、園内をゆっくり歩いていた。

 

ダイ・グ「……楽しかったね、クリス」

 

クリスティン「……はい」

 

ダイ・グ「地球には、本当に色々な動物がいるんだね」

 

クリスティン「……そうですね」

 

ダイ・グ「……特に、あのレッサーパンダは可愛かったな」

 

クリスティン「……ふふ。私もです」

 

ダイ・グ「……それから、ジャコウネコ」

 

クリスティン「……あははっ!」

 

ダイ・グ「……ふふ」

 

クリスティン「……もう。ダイ・グさん」

 

ダイ・グ「……?」

 

クリスティン「……珈琲の話を思い出してしまうではありませんか」

 

ダイ・グ「……ごめんごめん」

 

二人は笑い合った。

 

◆

 

しばらくして。

 

静かな並木道へ出た。

 

周囲には、散歩を楽しむ人々がちらほらいるだけだった。

 

ダイ・グ「……クリス」

 

クリスティン「……はい?」

 

ダイ・グ「……この三日間、本当に楽しかったね」

 

クリスティン「…………」

 

そして。

 

クリスティン「……はい」

 

小さく、微笑んだ。

 

クリスティン「……私も、本当に楽しかったです」

 

ダイ・グ「……よかった」

 

クリスティン「……お洋服を選んだり、お友達と食事をしたり……」

 

ダイ・グ「……うん」

 

クリスティン「……こんなふうに過ごせるなんて、思ってもいませんでした」

 

ダイ・グ「…………」

 

クリスティン「……それに」

 

ダイ・グ「……?」

 

クリスティン「……こうして、陛下と一緒に……」

 

言いかけて、口をつぐんだ。

 

ダイ・グ「……ふふ」

 

クリスティン「……あっ」

 

ダイ・グ「……今日は、ダイ・グでいいよ」

 

クリスティン「…………」

 

少しだけ、頬が赤くなった。

 

クリスティン「……はい」

 

ダイ・グ「……うん」

 

クリスティン「……ダイ・グさん」

 

その呼び方にも、ようやく少し慣れてきたようだった。

 

◆

 

ダイ・グ「……ねえ、クリス」

 

クリスティン「……はい?」

 

ダイ・グ「……また、こういう時間を作れたらいいね」

 

クリスティン「…………」

 

ダイ・グ「もちろん、簡単ではないと思うけれど」

 

クリスティン「……はい」

 

ダイ・グ「……それでも」

 

少し、間を置いた。

 

ダイ・グ「君と一緒に、またどこかへ行きたいな」

 

クリスティン「…………!」

 

彼女は、驚いたようにダイ・グを見つめた。

 

ダイ・グ「……クリス?」

 

クリスティン「…………」

 

そして。

 

クリスティン「……私も、です」

 

とても小さな声だった。

 

クリスティン「……私も、またご一緒したいです」

 

ダイ・グ「…………」

 

穏やかな笑みが浮かんだ。

 

ダイ・グ「……ありがとう」

 

クリスティン「……はい」

 

しばらく、二人は黙って歩いていた。

 

すると。

 

ダイ・グ「……あっ」

 

クリスティン「……?」

 

並木道の一角。

 

少しだけ、足元が不揃いになっているところがあった。

 

ダイ・グは立ち止まった。

 

そして、自然に手を差し出した。

 

ダイ・グ「……クリス」

 

クリスティン「…………」

 

差し出された手を見つめる。

 

クリスティン「……あの」

 

ダイ・グ「……?」

 

クリスティン「……よろしいのですか?」

 

ダイ・グ「……もちろん」

 

クリスティン「…………」

 

少しだけ、迷って。

 

そっと、その手を取った。

 

ダイ・グ「……ふふ」

 

クリスティン「…………」

 

二人は、並んで歩き始めた。

 

足元の悪い場所を過ぎても。

 

しばらく、その手は離れなかった。

 

◆

 

少し離れた休憩所。

 

弥子「…………!!」

 

Xi「…………」

 

泉「……あら」

 

バクスチュアル「…………」

 

弥子「……Xi!!」

 

Xi「……うん」

 

弥子「……今の!!」

 

Xi「……うん」

 

弥子「…………!」

 

口を開きかけた。

 

Xi「弥子ちゃん!!」

 

弥子「…………」

 

Xi「…………」

 

しかし。

 

弥子は、何も言わなかった。

 

ただ、嬉しそうに微笑んだ。

 

Xi「…………」

 

Xi「……あれ?」

 

弥子「……ん?」

 

Xi「……今日は叫ばないんだ?」

 

弥子「……うん」

 

Xi「……?」

 

弥子「……だって」

 

少しだけ、声を落とした。

 

弥子「……あんなに幸せそうなんだもん」

 

Xi「…………」

 

弥子「……邪魔したくないよ」

 

Xi「…………」

 

そして。

 

Xi「……うん」

 

嬉しそうに笑った。

 

Xi「……そうだね」

 

泉「……ふふ。桂木さんも、ちゃんと分かっていらっしゃいますね」

 

弥子「……えへへ!」

 

バクスチュアル「……二人、幸セ」

 

Xi「……うん」

 

バクスチュアル「……良イコト」

 

Xi「……そうだね」

 

誰も、それ以上は何も言わなかった。

 

ただ、遠くから二人を見守っていた。

 

◆ 7.最後の一日も、平和でした

 

動物園の閉園が近づいてきた。

 

入口付近で、Xiたちはダイ・グとクリスティンに合流した。

 

Xi「……お帰り!」

 

ダイ・グ「ただいま、Xi君」

 

クリスティン「皆さん、ありがとうございました」

 

弥子「クリス! 楽しかった?」

 

クリスティン「……はい!」

 

迷いのない返事だった。

 

弥子「……よかった!」

 

ダイ・グ「本当に楽しかったよ。動物たちも可愛かったし、日傘も快適だった」

 

Xi「……うん!」

 

アルバート「それは何よりです!」

 

クリスティン「アルバートさん。日傘をありがとうございました」

 

アルバート「いえいえ! お役に立てて光栄です!」

 

Xi「……今回は、本当にありがとうね」

 

アルバート「こちらこそ!」

 

Xi「……日傘については」

 

アルバート「……?」

 

Xi「日傘については、本当に感謝してるから!」

 

アルバート「……?」

 

泉「……ふふふっ」

 

弥子「あははは!」

 

◆

 

ホテルへ戻る途中。

 

ダイ・グ「……Xi君」

 

Xi「……何?」

 

ダイ・グ「……今日は、本当にありがとう」

 

Xi「……うん!」

 

ダイ・グ「君たちのおかげで、安心してクリスと過ごせたよ」

 

Xi「…………」

 

少しだけ、照れくさそうに笑った。

 

Xi「……よかった」

 

クリスティン「私からも、お礼を申し上げます」

 

Xi「……姉弟子」

 

クリスティン「……はい?」

 

Xi「……僕たち、友達でしょ?」

 

クリスティン「…………」

 

Xi「だから、そんなにかしこまらなくてもいいよ!」

 

クリスティン「…………」

 

そして。

 

クリスティン「……ふふ」

 

嬉しそうに笑った。

 

クリスティン「……そうですね」

 

Xi「……うん!」

 

弥子「そうそう! また一緒に遊ぼうね!」

 

クリスティン「……はい!」

 

ダイ・グ「僕からも、ぜひお願いするよ」

 

泉「ふふ。いつでも歓迎いたします」

 

一同は、笑い合った。

 

◆

 

その夜。

 

Xiは、ログナー司令へ報告を送っていた。

 

『フィルモア皇帝ダイ・グ・フィルモア5世および皇帝代理騎士クリスティン・ビィの地球滞在支援。

 

三日目の観光、予定どおり終了。

 

警護上の問題なし。

 

体調不良、負傷者なし。

 

ヘキサクス製栄養補給ドリンクの持ち込み一件。

 

飲用前に制止。製品は未開封のまま持ち込み者が回収。

 

被害なし。

 

危険物による実害、ゼロ。』

 

Xi「…………」

 

送信。

 

しばらくして、返信が届いた。

 

ログナー『報告を確認した。ご苦労だった』

 

Xi「……うん」

 

ログナー『皇帝陛下方が休暇を楽しまれたのであれば、何よりだ』

 

Xi「……ふふ」

 

Xiは、少し考えてから返信した。

 

Xi『うん。二人とも、すごく楽しそうだったよ』

 

そして。

 

Xi『それから司令』

 

ログナー『何だ』

 

Xi『危険物処理手当について、ちょっと確認なんだけど』

 

ログナー『……未開封の製品を持ち込み者が持ち帰ったのだな』

 

Xi『……うん』

 

ログナー『今回は危険物の処理業務は発生していない。手当の対象外だ』

 

Xi「…………」

 

Xi『……だよね』

 

ログナー『ただし、持ち込みを未然に防いだことは記録しておく』

 

Xi『……ありがとう』

 

ログナー『基本日当および必要経費については、契約どおり精算する』

 

Xi『フェザーゴールド金貨2枚、忘れないでね!』

 

ログナー『承知している』

 

Xi「……よし!」

 

◆

 

バクスチュアル「……Xiサン」

 

Xi「……何?」

 

バクスチュアル「……任務、成功?」

 

Xi「……うん」

 

バクスチュアル「……危険物処理、ゼロ」

 

Xi「……そうだね」

 

バクスチュアル「……良カッタ」

 

Xi「……本当にね」

 

少しだけ、沈黙。

 

Xi「……でもさ」

 

バクスチュアル「……?」

 

Xi「……僕、今日も結構疲れたんだけど」

 

バクスチュアル「……ウン」

 

Xi「……実際には、ほとんど何もしてないんだよね」

 

バクスチュアル「…………」

 

そして。

 

バクスチュアル「……何モ起キナイヨウニ、シタ」

 

Xi「…………」

 

バクスチュアル「……ソレガ、仕事」

 

Xi「…………」

 

少しだけ、目を丸くした。

 

そして。

 

Xi「……そっか」

 

嬉しそうに微笑んだ。

 

Xi「……そうだね」

 

◆

 

同じ頃。

 

ホテルの一室。

 

ダイ・グとクリスティンは、今日の思い出を振り返っていた。

 

ダイ・グ「……今日は楽しかったね」

 

クリスティン「……はい」

 

ダイ・グ「レッサーパンダも、ジャコウネコも、みんな面白かったな」

 

クリスティン「……ふふ。そうですね」

 

ダイ・グ「……それに」

 

クリスティン「……?」

 

ダイ・グ「……クリスと、ゆっくり歩けたのが嬉しかったよ」

 

クリスティン「…………!」

 

ダイ・グ「……ありがとう」

 

クリスティン「…………」

 

少しだけ、頬が赤くなった。

 

そして。

 

クリスティン「……こちらこそ」

 

小さく、微笑んだ。

 

クリスティン「……ありがとうございます」

 

ダイ・グ「……ふふ」

 

しばらく、二人は窓の外を眺めていた。

 

地球の街の明かり。

 

遠くを走る車のライト。

 

静かに流れていく、夜の時間。

 

ダイ・グ「……明日には、またいつもの生活に戻るんだね」

 

クリスティン「……はい」

 

ダイ・グ「……でも」

 

クリスティン「……?」

 

ダイ・グ「……今回のことは、忘れないと思う」

 

クリスティン「…………」

 

ダイ・グ「君と一緒に、こんなふうに過ごせたこと」

 

クリスティン「…………」

 

そして。

 

クリスティン「……私もです」

 

静かな声だった。

 

クリスティン「……きっと、忘れません」

 

ダイ・グ「……うん」

 

二人は、穏やかに微笑み合った。

 

皇帝と、ハイランダー。

 

帰国すれば、それぞれの責任が待っている。

 

けれど。

 

この三日間に過ごした時間は、誰にも奪えない。

 

友達と食事をしたこと。

 

地球の街を歩いたこと。

 

珍しい動物を眺めたこと。

 

そして。

 

ほんの少しだけ、手をつないで歩いたこと。

 

それらは、二人だけの大切な思い出になっていた。

 

◆

 

一方。

 

別の場所では。

 

弥子「……Xi!」

 

Xi「……何?」

 

弥子「……明日のお土産、忘れてないよね?」

 

Xi「……お土産?」

 

弥子「ほら! フィルモアに持って帰ってもらう、変わり種ラムネ!」

 

Xi「…………」

 

Xi「……ああ!」

 

弥子「ちゃんと準備してあるよ!」

 

Xi「……そうなんだ」

 

弥子「カレー味、たこ焼き風味、わさび風味……」

 

Xi「…………」

 

弥子「あと、普通のラムネも!」

 

Xi「……うん」

 

弥子「……一本!」

 

Xi「だから普通のラムネをもっと入れてよ!!」

 

弥子「あはははは!」

 

泉「……ふふ。お土産は、相手の方が楽しめるものを選びましょうね」

 

弥子「はーい!」

 

Xi「……まったく、もう」

 

それでも。

 

Xiは、少しだけ笑っていた。

 

二人にとって、楽しい三日間になった。

 

それが、何より嬉しかった。

 

そして明日。

 

フィルモア皇帝とハイランダーは、地球での休暇を終え、故郷へ帰る。

 

あの変わり種ラムネが、フィルモア宮廷でどのような反応を引き起こすのか。

 

それは、まだ誰も知らない。

 

……少なくとも、宮廷料理長は知らない。

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