「はぁ~。」
何で私っていつもこうなるんだろうか。さかのぼること数十分前、私は人間界に来た。そこで流神様からもらった地図を見ながら任務対象が通っていると思われる小学校付近へ行こうと思っていたんだけど…。そう!ご察しの通り、私迷子になっております!地図を見るのが極端に苦手な私は地図を見ても何もわからず、いつの間にか正反対の方向に行ってしまっているのです。
「こんなとき、あいつがいたらな…」
とりあえず歩いてみると任務対象が通っていると思われる小学校までこれた。目的地まで1人でたどり着けたのはこれが初めてかもしれない。でもまあ、ここまでこれたら大丈夫なはずだ。任務対象が死んでしまうのは今日の午後3時7分。今はまだ午後2時57分。でもあと10分後か。流神様から渡される地図には任務対象の死亡した時間は書かれていない。ただ、このエリアのどこか。というのしかわからず、まずはどこで死んでしまったのかを探すところから任務は始まる。でも当然、場所がわかった時には任務対象は死んでしまっている。そんなときに使うのが、時空時計。時空時計は時間は任務開始時刻に戻し、始まるときの場所を変えられるすぐれもの。これがあるからこそ、私たち時空神は人々を救うことができる。まあ、今回はまあまあ大きな事故だったぽいし、そのうち場所が分かるはずだ。それまではここで待機かな。
数分後……
ピーポーピーポー!救急車のサイレンの音が聞こえてきた。
「そろそろか。」
私は音を頼りに、現場へ向かった。そこでは小学校低学年くらいの女児が救急車に運び込まれていた。道路には血が飛び散っている。
「もう覚えた。次からはここから始める。」
私は独り言をつぶやくと時空時計を起動した。視界が白い光につつまれ、眼を開けるとさっきいた事故現場にいた。まずは状況確認だ。現在時刻は午後2時40分。前回まよった時よりも、17分も時間がある。私はさっきみた事故現場を思い出し、事故時の状況を推測する。まず、事故現場付近に、その子の友達らしき子はいなかった。つまり、任務対象は一人で下校していた可能性が高い。次に、任務対象をはねた車について。あの車はトラックだった。道路にブレーキの跡がなかったことやトラックが事故現場よりもかなり離れてあったことから、運転手はブレーキを踏んでいなかったと思われる。小2とはいえ人がいるわけだし、事故現場は交差点だ。なのにブレーキを踏まなかったってことは、飲酒運転か、居眠り運転などの可能性が高い。
「う~ん。面倒だな。」
もっと違うことが原因で事故が起こっていたりするならもうちょっと簡単に解決できるんだけど…
「まあ、頑張るしかないよね。私に託された命だもん。」
人の死を変えることは難しい。なぜなら、生まれてきたときにこの日は死んでしまう可能性が高い。という日が決まっているからだ。それは誰にでもあってほとんどは高齢になってからおとずれる。いわば老衰だ。でも今回のように若いうちのその日が来てしまうこともまれにある。そういう人たちは私たち時空神ができるだけ助けるようにしている。これは神様の仕事ではなく、法律に触れない範囲で自主的にやっているものだ。
「助けるために、一回は死んでもらったんだ。助けなきゃあの一回の意味がない。」
それから何回も何十回も何千回もやり直してようやく、助けることができた。やっとだ。もうこれでこの子は大丈夫だ。その後、私は任務対象が家に帰るのを見届けた。
「よし、もう帰ろう。」
そう言い、時空時計を取り出した時だった。
キーン
あの、時間が止まった時にするあの音がしたのだ。流神様は神界にいるはずだし、今こんな芸当は私とあいつしかできないはずなのに…!
私は人の気配を感じて振り返った。
そこには私に笑いかける、かつての相棒がいた。
読んでいただき、ありがとうございます。最後に出てきた相棒の正体、次話で明らかになります。