5年後…、
『こちら司令部。作戦は終了した直ちに帰還せよ』
「終わったか…」
「今日は楽だったな〜!」
「今日は『あれ』がいるからな!」
「『あれ』がいると楽でいいっすね〜!」
「戻ったら帰りに飲みにでも行くか?」
「いいっすね〜!」
戦闘が終わり警戒する必要もないので、
気が抜けて雑談をしている兵士達
ガタッ ガタッ ガタッ
「お『あれ』が戻ってきたか…!」
重低音が響く先に兵士が目を向けると
配色は主に青を基調に、
部分的に黄色がかった橙色を含む機体…
目の部分に目立つ赤いバイザーがかぶせられた
頭部を持つ…、
機械の巨人…、『Mk.06 13号機』
莫大な予算と、防衛軍の最新の技術と…
技術者と共に時間と共に完成した…
防衛軍の秘密兵器…、
現在も多くの予算が投入され、
改修が頻繁に行われている
『防衛軍のパンドラの箱』
噂では多くの犠牲と共に、
完成した…曰く付きの兵器と言われている
夜な夜な、兵器が保管される格納庫から
いつも苦しむ男の悲鳴が聞こえると言われている…
そして、機体の手には1本の紅い槍を持っており、
その紅い槍は犠牲となった者の血で出来ている…
そんな噂もある…
「いつ見てもおっかねぇな…」
「俺達にあの刃先が向けられねぇことを祈るしかねぇ」
「あの噂は本当なんですかい?」
「知らぬが仏だ…」
「ひぇぇぇ〜…」
すると兵士の目の前に13号は止まる
『任務完了、直ちに帰還の準備を』
「あ、あぁ…! お前には『回収屋』がもう来て…」
『了解…』
ガタッ ガタッ ガタッ
13号はそのまま『回収屋』の方へ向かった
「、ッ! …ふぅぅぅ〜! 怖かった〜…!」
「いつ見ても慣れねぇぜ…」
「あいつらも怖いっすよ〜…」
「なんだ…?」
「『回収屋』って何者なんですか?」
「あ〜…それか」
「なにか問題でも?」
「ま、まぁ…いいだろ」
「その反応…なんかまずくないですか?」
「回収屋は、防衛軍でも精鋭でな…本当の名前はエルダーフラワー小隊と言われる、13号の護衛だな。13号は『防衛軍のパンドラの箱』…、噂で真偽は定かじゃねぇけどよ、古代の遺物と防衛軍の技術の結晶らしいからな…、TOPSにでも奪われてみろ…、俺達は終わりだ」
「それ絶対俺達の首が物理的に飛びますね…」
「だから回収部隊がいるんだよ! あいつらは防衛軍でも、機密まみれの部隊だからな。13号ほどではねぇが…、改造手術もされてる部隊だよ」
「うわぁ…」
「だからお前は黙ってろよ…もしTOPSに漏らしたら…」
「俺達は終わりっすか」
「即首チョンパだ」
「ヒェ…」
「わかったか?」
「はいッ…!」
「よし…撤収するぞ」
「片付けも完了っす」
「うし、問題なし帰るぞ〜」
「あ〜い!」
……──
「こちらエルダーフラワー、13号の護送を開始する」
『了解した。厳重に、かつ警戒せよ』
「了解…、各位、警戒を続けよ」
「「「はッ!」」」
13号はトレーラーに厳重に固定され、
布を被せられ、完全に隠されていた
周囲は複数台のジープが
トレーラーを牽引するトラックを護衛されている
そして、そのままトレーラーを牽引するトラックは
何事もなく、13号の格納庫まで護送された
「13号、護送完了しました。直ちに撤収します」
『了解した。直ちに、各自の持ち場に移動せよ』
「了解」
回収屋、エルダーフラワーのリーダーは
本部からの通信を切る
すると…、
『終わった…?』
布に覆われ、周りが見えないはずが、
布越しにこちらを見ながら、13号が話し掛けてくる
「…そうだ13号。まだ喋るんじゃない」
『いつも堅苦しいね…』
「…これは命令だ」
『はいはい…、そうだったね』
「……」
彼と13号の付き合いは3年前からであり、
前任者は心を病み、自殺したそうだ…
13号はそのまま防護服を着た整備士達に連れられ、
トレーラーから降ろされ、
13号の機体は固定される
すると左胸部が水蒸気と共に開放される
『…コアの状態を確認しろ』
「了解」
彼は防護服を着た『技術者』と共に
水蒸気の発生源に向かう…
水蒸気が晴れると…、
そこには灰色髪の少年の姿があった
防護服を着た『技術者』はその少年にタオルを被せる
『13号問題ないか…?』
「問題ないよ…」
『そうか、ではここから一度離れよう』
「わかったよ…」
少年を連れ、機体から離れる
「『僕の体』どうなるの?」
「…また改修が行われるそうだ、機体のオーバーフローが続いているからだ」
「そっか…」
「だがお前の『要請』も叶うだろう」
「…やっと?」
「…最終確認だ。お前が要請したのは…」
少し考え込むように…、
兵士の彼の声が言い淀む
「「ピアノ」」
「…間違いないか?」
「そうだよ」
「…弾けるのか?」
「分からない」
「なら何故?」
「弾いてみたかった…ただそれだけだよ」
「そうか…」
「じゃあ僕は行くね。『点検』するみたいだから」
『13号こっちだ』
「わかってるよ」
────…
『点検を始める』
「どうぞ」
僕は今検査を受けている
『発信器…物の異常はなし』
『呼吸バイタル安定』
『脈拍共に異常なし』
『血圧も異常なし』
『健康そのものです』
『そうみたいだな』
複数の機械と人に囲まれ色々調べられている
(こういう人のいる所苦手なんだよな〜)
(光強くて目を開けられないし)
まさか死んだら軍のモルモットになるとは…
僕は目を無理やり目開き、
医者に話しかける
「まだ『点検』は続くのかな?」
『…あぁ後少しだ。少し待てコア…』
「ゆっくり待つよ」
(注射やだなぁ〜…好きな人いないだろうけど)
注射は僕の首にぶっ刺される
(せめて腕にしてほしいんご…)
しかも1回では終わらず何回も刺される
酷い…、酷いのだ…
ご飯はいつも点滴…
機体の中のスーツ越しから
繋がった機械の触手から補給され続ける
仕組みはよく分からない…
そもそも理解できないよ…
(僕は車かなんかですかい!?)
酷いのだ…、僕の扱い…
偶に僕を憐れんでか飴をくれるおっちゃん達も
気づいたらいなくなるのだ
悲しい…
(この前ミント味を渡した奴許さんからな!)
『点検は終わりだ』
「そっか」
『機体の改修が終わるまでしばらく休止となる』
「そっか」
『…お前の外出の件だが…』
「……どう?」
『…まだダメだそうだ』
(だよね〜、モルモットに自由はないよね〜)
「大丈夫…命令は絶対だから」
『功績がもっと増えれば可能性も上がるだろう…』
「そうだね」
『それと…夜はいつもの場所に向かうように』
「あそこね…」
『こればかりは…どうしようもできん』
「わかってるよ…安心して」
──…
「…反吐が出る」
『そんな事言ってたらボロ出るぞ…』
「…わかってる」
俺はエルダー小隊…の小隊長をしている…
別名、『回収屋』
『俺達だって好きで物扱いしてねぇよ…』
「上からの命令は逆らえねぇ…」
『しようがしないが、善良な奴は壊れるがな…』
「……」
上層部は少年に人扱いするなと指示され、
言動も物扱いするよう命令されている
少年を『コア』と検査を『点検』と言わせ…
徹底的に少年に『洗脳』を行っている
少年自身が『自分は物であると』思わせる
わかりやすい手口だ…
幼い頃から軍の道具として…
「あいつが裏切るとは思わないのか…」
『裏切ったとしても犠牲になるのは俺達で…』
「上層部はボタンを一つ押すだけで終わりだ」
少年の体内には爆弾が埋め込まれ、
脳にも追跡装置も埋め込まている
裏切ったと判断したなら…、
上層部はそのスイッチ一つで終わりなのだ…
膨大な予算と共に少年は吹き飛ぶ
「コアが死んだら全てがお陀仏だ」
『知能構造体を使おうがコアがなければ…』
「動かねぇ…むしろお荷物だ」
『あのコアじゃなければあれだけ動けねぇ…』
「あいつが異常と言いてぇのか!」
『怒るな…だから上層部も必死なのさ』
「だから最近13号の飴が多いのか?」
『あぁ…上層部は失うのが怖くて堪らないのさ』
「兆を超える金のガチョウをか?」
『あぁ…俺達は耐えるしかないのさ』
「ガキが壊れて行くのをただ静観しろってか…」
『あぁ…、俺達の方が、持たねぇよ…』
「何人死んだ…?」
『5年間でか…? それとも直近でか?』
「…5年だ?」
『35人は壊れたな』
「こっちは…25だ」
『戦死でもなく…自殺で、若手がほとんどだ』
「体が改造されたって心は人間のままなんだよ…」
『この地獄が終わったって結局地獄行きだ…』
「あぁ…俺達全員地獄行きだ」
『それじゃあ俺は行く…』
「機体はどうなるんだ?」
『もっと『やべぇ物』を追加するそうだ…』
「そうか…」
『後忘れる所だった。耳栓でも使うといい…』
「それだけで防げるかよ…」
『新しく着た奴がいたら渡してやれ…』
「…そうだったな」
『じゃあな…』
「あぁ…」
──…
夜中、僕はとある部屋に来た
僕は扉をノックする
「…来たよ」
そして扉を開く
『……』
中には多くの技術者と医者が防護服を着ている
「いつも通り座ればいいのかな?」
『あぁ…座ってくれコア』
僕はそのまま椅子に座る
するといくつものロックが僕を固定する
『…実験を開始する』
『今回は…、73種との事だ…』
『…また一つ増えたのか』
『25日に1つづつ増えているな…』
『上層部はコアをモルモットだと思っているのか…』
『私達では逆らえん…続行する』
「できれば一気に終わらせてくれないかな…?」
これは僕が毒殺されない為に
免疫を作るに行われる
25日づつに一つ、また一つと増えていくのだ
最初は死ぬかと思ったが…、
今に至るまで、なんとか…生きていけている
『死ぬ可能性がある。一つずつゆっくり行う』
「わかってるよ…いつも通りだね」
『では一つ目。注射を始める』
「…特になにもないよ」
『次、2つ目。注射を始める』
「ないよ」
『次…』
………
『次…、50 個目』
「ぐ…、ぅぅぅ…!」
『血管が浮き始めました』
『まだ耐性を獲得できないだろうからな…』
『流石にペースが速すぎます!』
『このままコアを死なせる訳には…!』
『だが…、『命令』は逆らえんのだ…』
「つ、続けて…」
『…いいのか?』
「僕は…、大丈夫…だから」
『…了解した』
「続けて」
『次、51個目…』
「うぅぅぅ…!」
『次…』
「…うッ! …ぁぁぁぁあ〜!!!」
『次…』
「はぁ…、はぁ…、はぁ…」
『次…』
……
『最後だ…コア、73個目…』
「やっ、と…、最後、なんだ、ね…」
『あぁ…耐えてくれ』
「ゔぁぁ! うぐぅ…、あぁぁぁ〜…!」
痛みに悶え苦しみ…
血管は浮き上がり、
目が血走る…
『なんとか…耐えてくれ』
『13号…』
(ぐぉぉぉ〜! 頑張れ僕の体〜! 頼む〜! 死ぬ〜…!)
『…バイタル安定しています!』
『よかった…』
「はぁ…、はぁ…、はぁ…」
『誰かあそこまで運んでやれ…私は報告書をやる』
『わかった。13号立てるか?』
「あぁ…、ありがとう」
そして僕はこの試験室から出た
…これが僕の毎日、
エーテリアス? と呼ばれている
黒い石の化物を狩る為にホロウ? と言われる
空間に入ってはただ黒い化物をただただ
戦ってはこの格納庫に戻り、
夜に、毒を打ち込まれ、
悲鳴を上げる…
だけどここにいる全員が悪い訳じゃない
僕を見る目は哀れみばかり、
僕を知らない人は畏怖と恐怖…
だけど…、
僕は気にしなぁぁぁぁ〜い!
関係ないね…!
軍の上層部がなんだ!?
哀れみがなんだ!?
恐怖がなんだ!?
そんなのどうでもいい…!
僕はあのロボットに乗れるならなんでもいい!
夢にまで見たあんな僕1人で動かせる、
兵器…!
前世で、僕は軍にいた!
いじめられたり、ハブられたけど…
僕は航空機乗りとして
いつも空を舞った…!
誰にも邪魔されず1人でいられる時間…!
本当はもっと…こう…、ガン〇ムとか!
人型の兵器が堪らないくらいに!
大好きだった…!
戦車は1人じゃ意味がない!
ヘリもお察し!
だから仕方なく戦闘機乗りになった!
でも、人間関係が問題で
結局上司に嫌われ、軍を追い出されたけど…
今世は違う…!
モルモットだろうが…!
なんだろうが…!
僕だけの空間があるなら…!
それでいい…!
なんと言われようが…!
僕には関係ない…!
僕は夢の為なら何だって利用されてもいい…!
僕はただ…!
あのロボットに乗り続けたい…!
「ハハハッ! ハハハッ!」
『じゅ、13号…?』
「、あぁ…ごめん。忘れてた気にしないで」
なにも変わらない…
確かに僕は陰キャで無口だ…
だって人付き合いなんて無駄だから
要点だけ話せばいいから
僕は理解されたい分けじゃないからね
本当に…
これからが楽しみで仕方ないッ…!