アンダーボスはキヴォトスへ   作:ただの紅茶好き

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ちょっと短いけど次回以降の話の長さで帳尻を合わせるつもりなので許してください!!(全力土下座)


10スレ目/大粛清

 アルクが変形させた銃槍の銃口をアリスに向けて構える。一触触発と言わんばかりのピリピリした空気が数秒間の静寂とともにその場を支配する。やがて思考に肉体が追いついたのかアルクはハッとしたような表情を浮かべ銃口を下ろす。

 

「すまない、少し我を忘れていた。非礼を詫びよう。俺の腕でいいか?」

 

 アルクはそう言うとすぐさま右腕を水平に伸ばし、左手に銃槍を持ち替えた後、変形させた銃槍の銃剣部分を右肩に押し当て即座に自身の非礼に対する罰則を行おうとする。

 

「あーダメダメダメ!やめて、今すぐに!!って力強ッ!!」

 

 アルクが右腕を切り落とそうとした瞬間、先生が即座に銃槍の柄を掴みそれを阻止しようと割って入ってくる。

 

「だが先生…」

 

「だがもでももない!やめて、今すぐに!!」

 

 アルクはそう言われるとシュンとしたような表情を浮かべ銃槍を元の状態に戻して腰にかけ直す。

 

「申し訳ない…不用意な発言だったな…後で舌を切っておくか(ボソッ」

 

「アールークー?聞こえてるからねぇ?」

 

「はいもう何もしません」

 

「分かればよろしい。で、なんであんなことをしたの?」

 

 アルクは笑顔を浮かべながらも明確に怒りの感情をむき出しにした先生の威圧に圧倒され、即座に正座の体制を取った。そして先生はその様子をみてアリスに対する先程の行動について質問してくる。

 

「…実は都市、俺が元居た世界には頭っていうまぁ簡単に言えばものすっごい偉い法的機関があってな、そこが定めてるあるルールがあるんだ」

 

「あるルール?」

 

「名を人工知能倫理改正案、一言で説明すると人工知能やAIに関する決まりで人間と寸分違わぬAIの設計、制作を禁止する決まりだ」

 

「…もし破ったらどうなるの?」

 

 ユズが気になったのか思わずそう質問を投げかけてくる。

 

「…殺される。都市の持つ最高の武力『爪』と『調律者』によってな」

 

 アルクがそう言うと空気が固まる。この時のアルクは知らなかったのだがこのキヴォトスにおいて死という概念はかなり重いものである。しかしそんなことを知らないアルクはそのまま淡々と言葉を続ける。

 

「頭では分かってた、ここには爪も調律者も、頭さえも居ないのは分かっている。だけども体が動いてしまった」

 

 アルクの頭の中では古い記憶、多くの人なら忘れてしまうような時間が経ってしまった記憶、だが決して忘れられない血に塗れたあの日の、ここが都市であると理解してしまった日の、後に大粛正とよばれる日の記憶が脳裏をよぎる。

 

アルク、アンタは今、ソルダートとしてここに立っているんだ。しっかり見て、学んでおきなさい。親指の絶対のルールを破ったものがたどる末路を。しっかりと目に焼き付けたなら絶対に忘れるんじゃないよ。あたし達の最高傑作

 

なん…で、俺が…お前と違って…やるべきことも…夢もある…俺が…何も無い…お前なんかに…

 

お前…気色悪いよ…なんで…人を殺して笑ってやがる…この狂人…が…

 

「すまない、少し気分が悪くなってきた。少し席を外させてくれ」

 

 アルクはそう言うとその場を後にする。その日、誰も居ないはずの廊下で小さな嗚咽がやけに大きく聞こえたような気がした。

 


 

 大粛清、表向きにはそれは数十年前親指が行った下位組織や他組織から派遣されていたスパイなどに対して行った大規模な粛清を指す言葉である。しかしこの話の実態は親指の七大ファミリーのある家門がたった一つの研究成果を得るために行った、最悪の出来事であったという。

 なぜある家門がこの大粛清に踏み切ることになったのか、なぜこの行為が許されたのか、それは誰にも分からないらしい。ただ一つ分かることがあるとするならば、これは本来なら起き得るはずのない出来事である。




ちなみに別に上位階級でもないアリスに対しての非礼の罰則を行おうとしてるのはアルクにとって詫びる方法がこれくらいしか思いつかなくなる程度には親指に染まってしまってるからです
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