星の降りたこの街で   作:わし座53番星

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食べられたいと思うほどに。

澄み渡る青い空。鮮やかな日差し。いつもの霧が嘘のように、晴れ渡っていた。

まるで、私たちの門出を祝福しているかのようでいて。迷いのない私の心を移すようで。素直に美しいと感じた。

 

「たしか。9番線に、あ、いた。おーい。」

駅のプラットホームでエリックを見つける。私の姿をみて、何かぽかんとしていた。

 

「おはよう。オリビア。その荷物ってことは。」

「そう。今日はただのお見送りよ。」

「そっか。適わないな。オリビアには。」

 

私は、もう迷わないって決めたのだ。ユージンを選べて。ユージンに選んでもらえて、私は今、とても幸せだ。そう心の底から思えた。だけど、エリックと一言も話さずお別れするのはさみしいから。今日は彼を見送りに来たのだ。

 

「いい顔をするようになったねオリビア。」

「えへへ。ありがとう。」

「僕じゃあその顔にさせられなかった。だからこれでよかったんだけれど。」

「だけど?」

「やっぱり。振られるっていうのは悲しい物だな。」

「泣かないで。って、私が言えた口じゃないけれど。でも、きっとエリックなら。いい人見つかるわよ。」

「そうだと良いんだけれど。」

「そう。だから、振り返らないで。こんな浮気性ウサギの事なんか忘れた忘れた。さあ、もうすぐで電車出ちゃうわよ。」

「あっとと。」

そういって彼を電車に押し込めた。発車時間はもうすぐだ。彼と。故郷との別れももうすぐだ。

 

この街は。今日も生きている。辛いことも多いし、嫌な部分だっていっぱいあった。でも、私にとって思い出をくれた大切な場所だ。あの、美しい景色を見せてくれた大切な場所だ。これからも。きっと彼と私で多くの思い出を作っていくだろう。

遠い未来に夢をはせながら。最後に彼に手を振った。

 

これから私は、きっと大変な道を歩むと思う。貴族と庶民との結婚だ。覚えることもたくさんある。でも、この恋を通じて、全てが嫌な事ばかりではないと気付いた。全てが私を嫌っているわけではないと。だから、きっと。これからは、前を向いて歩いて行ける。そんな気がした。

 

「最後に一つだけ教えてほしい。」

発車間際。窓のそばに座ったエリックが、見送る私に話しかけてきた。

「なに。」

「彼と僕とは、何が違ったんだ。何か僕が悪いことをしてしまったかい。」

「そうね…。あなたに悪い部分は何もなかったかな。ただ。」

「ただ?」

 

「これは。食べられたいって思うくらい。素敵な恋だっただけ。」

 

私は笑顔でそう答えた。

 

汽笛が鳴る。彼の声をかき消すように、煙を出しながら。汽車が遠ざかっていく。

 

 

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