4月8日
前略
大変なことが起こりました
私、海宝輝乃は東方中学校の一年生、ひょんなことから荷電国家ヂバジデの襲撃に巻き込まれて、ギラギラザウルスっていうヒーローになってしまったのです。しかも友達の古鳥までヒーローになって、もうびっくりなのです
はい、ここまでが前提であります
私をヒーローにしてくれた張本人、佑月あげはさんが、なんと、急に現れた黄色いメッシュの女の子にドロップキックを喰らわされたのです、ええっ、何この急展開
私、どうしたらいいんでしょう?
草々
土曜日、輝乃たちの住む街、充戸の4丁目にあるマンション、メゾンオシラ。その入り口には誰が作ったか馬に乗った女性のアルミの像があり、海宝輝乃はそれをボーッと見ていた。
「ばぁっ!」
「にゃっ!?」
輝乃の友人、稲杜小鳥は、白黒のTシャツに青いパーカーを羽織り輝乃の顔を覗き込んだのだ。輝乃の反応に満足げの古鳥はフードをパタパタ被ってみせる。
「ねっ!どお?似合ってる!?これね、昨日ママに買ってもらったんだ!」
「う、うん、似合ってる、似合ってるよ……あーびっくりした」
「でっしょー!オレ、やっぱりイケメン!」
「自分で言うのどうなの……」
「え〜、だって本当じゃん」
「おふたりとも〜!お待たせです〜!」
「げっ」
「あっ……」
輝乃は見惚れた。あげはだ。「GYAOO!」とピンクで書かれた文字の下に、怪獣の絵が描かれた大きめの灰色のシャツ。その下には緑色のスカートを履き、絶対領域がチラついている。
「しゃーっ!」と背中にくっついて吠える古鳥を後目に、目を泳がせながらも、頬を掻く輝乃であった。
「それじゃあさっそく、わたしの部屋に来てください!」
そして三階のあげはの部屋、中は怪獣映画をはじめ、国籍問わず、多種多様な特撮映画のポスターが飾られており、棚にはヒーローモノの変身アイテムのおもちゃと、高価そうなフィギュアが大事そうに飾られていた。彼女が特撮好きということは本当のようだ。
ただ仕事なのか両親の姿が見当たらず、家族写真のようなものも見当たらない。
「それじゃあギラギラズとか、ヂバジデについて話しますね!」
ポテチとクッキーといった雑多なお菓子をテーブルに広げ、ウーロン茶を片手に3人は向かい合う。テーブルの上には5つのヒーロンアイコンを並べていた。
「えっと、なにから聞きたいですか古鳥っち?」
「はぁっ!?オレからかよ!」
「古鳥、キレないキレない」
「やっ!?ごめんね輝乃ぉ〜!キレてない、キレてないから〜!」
「いいから、話が進まない」
「こほん、じゃあさ、前に自転車みたいなやつを倒したときに思ったんだけど。あいつ、デカくなって、学校も、街を破壊したじゃん。なのにさ、倒したら街がみるみる治って、なんかオレたち以外は事件のことを覚えてないみたいだったじゃん。あれ、なんなの?」
「言ってみればクリア報酬みたいなものですかね、ギラギラズとして敵を倒せば、ヂバジデのせいで起きたバグが修正されて、可能な限り元に戻るんです!」
「あげはさんはヒーロンアイコンをこんなに持ってる、ヒーロンってゲームについても調べてみたけど、あれは仮想世界に入ってやるゲームみたいで、現実には出てこれないみたいじゃん。ねえ、ギラギラズってなんなの?あげはさんは何者なの?」
「わたしの正体、ですか……」
急に俯くあげはだったが、2秒くらいして上げた顔は笑っていた。
「わたし、実はギラギラ星から来た魔法少女なんです!」
「はい?」
「ギラギラズっていうのは、ヒーロンの運営会社のスターゲームスと、荷電国家ヂバジデの襲撃を予知した日本政府が秘密裏に開発したバーチャルヒーローのことです。ヂバジデはオンっていうこの次元とは別の次元にある国で、怖い、悲しい、死にたい、もうイヤだ、そんな人間のマイナスな思いを、邪電というエネルギーに変えるために襲ってきます。そうして電池にされ続ければ、この世界は色を失って、プラスのものがなにも生まれない世界になってしまいます。わたしは世界の危機を救うために、政府とスターゲームスから5人のヒーローを探すように命じられていました、それが!壊獣戦隊ギラギラズなのです!」
「そうなんだ……」
「てかよ、魔法少女の話も聞きたいんだけど」
「もー!わたしのことはいいじゃないですか!はい!わたしの知ってることはこれでおしまいです!おしまい!閉廷!」
「あー強引に締めた!」
「とりあえず!じゃあ私たちって、あげはさんに選ばれたヒーローなわけなんだ」
「はい!輝乃も古鳥っちも、ヒーロンアイコンに選ばれたヒーローなのです!それにおふたりとも、はじめてでも、心のリズムをスキンに同期させて、あんなにカッコよく戦えちゃうなんて!ギラギラズとしての才能があるんですよ!」
「才能かぁ……」
そう呟きながら微かに笑った輝乃、それと逆に古鳥は不服そうだったが。
「と、いうわけで!今日はおふたりにヒーロンを体験してもらおうと思うんです!」
「はぁ!?聞いてねぇぞ!?」
「まあまあ♪ とにかく一度やってみてください!きっと楽しいと思いますよ♪」
「ヒーロンってバーチャルな世界でやるものだよね? メタバースとかいうやつ。パソコンとかないけど、できるの?」
「そのためのヒーロンアイコンじゃないですか!」
「じゃっじゃーん♪」
という擬音とともにヒーロンアイコンを持つあげはは、なんとも楽しそうにアイコンの黄色いボタンを押した。
《ヒーロンモード!》
「それじゃあ今からヒーロンの世界にご招待しますね!」
「おいおい待て待て!?」
「さーん、にーい、いーち、ポチッとな♪」
《リズムスタート!》
もう一度ボタンを押すと周りの風景がノイズと共に変わってゆき、
「「おおおおおおっ!!??」」
光のなかに輝乃と古鳥の悲鳴が轟いた。
オン、白黒の世界に唯一佇む極彩のオブジェ、黎明の塔の中でヂバジデの幹部「3C」は佇んでいる。だが3Cのひとり、ナガレは、同じ3Cであるレイに立腹していた。
「レイ!吾輩のいない間にヂバジ電波をヂジテンシャに使ったね!」
「それがどうした、おかげでギラギラズというやつらがどれほどの力を持っているか分かったのだ、なんの問題もあるまい」
「ヂバジ電波はヂェスターの機能を拡張させ巨大化成長させる、しかし、急速な成長に体は激しく摩耗して寿命を縮める危険なものだ!ヂェスターの権利は吾輩にある!今後は吾輩の許可なく使うことをやめてもらいたいな!」
「知らんな、ヂェスターは我ら共有の道具だ、どう遊んでも構わないだろう」
「違う!彼らは吾輩の作品だ!子供のようなものだ!芸術の分からないあなたに貸し出すつもりはない!」
「まあまあ、ナガレ、少し話を聞いてくれませんか?」
3Cのイロは錫杖の先についたテレビに巨大化するヂジテンシャに沸き立つヂェスターたちの姿を映す。
「ヂェスターたちはヂバジ電波の効果に喜び、自分たちも使いたいと私にせがんでくる有様です。子供のようだと思っているのであれば、彼らの頼みを聞くのが親の役目ではないのですか?」
「うぅっ……!」
ナガレは言葉を失い、自分の乗る腕のオブジェに腰を下ろして、
「……彼らが望んだ場合にのみ使用を許す、ただしヂェスターたちにはその危険性も十分伝えること!そしてレイ!あなたのように一方的な判断で使うことは禁じる!」
「誰がテメェの判断なぞ」
「レイさま、ここはナガレの言うことを聞いてください。ヂェスターの権利を彼が握っているのも本当です、使えなくなりますよ」
「ふん」
イロに嗜められレイはヘソを曲げる。話題を切り替えるようにイロがテレビのチャンネルを変える、そこにはポリゴンで作られた西洋風の部屋が映され、そこには美少女や動物、多種多様の姿をした人々の姿があった。
「これは、アンかね?」
「ギラギラズという者らについて調べてみたところ、彼らの使っているアイテムはヒーロンというアンの娯楽に使われているものが判明しました。これはヒーロンのために作られた仮想世界、彼らの本拠地もここにあるのではないかと」
「ほう、面白そうではないか」
すぐに機嫌を治してレイは食いついた、そして無表情のまま2人に告げる。
「この世界に襲撃をかける、敵を潰せば、荷電皇陛下もお喜びになるだろう」
「して、誰を出撃させるのですか?」
「ヂレードルだ、敵をほじくるのにはうってつけだろう、文句はないな、ナガレ」
「……作戦のために使うなとは言ってないよ」
「イロ、ヂレードルはどこに行った」
オン、つまり輝乃たちのいる世界。
日本の某県のとある街、営業で住宅街を回るサラリーマンの前に、突如、2本のおたまで赤茶の液体を慎重に垂らし続ける金歯のコックが現れ、サラリーマンは驚いた。
「な、なんだお前は!?」
「レドレド、あなたでスープを作りに来たでござんす」
「スープ?」
「こういうことでござんす!」
コックはおたまで垂らしていた液体をサラリーマンにかけた、すると液体はスクリームのマスクに変わり、それを顔につけられたサラリーマンはもがきながら溶けてゆき、赤茶色の液体へと変貌。アスファルトにスクリームのマスクが力なく落ちた。
コックはどこからともなく鍋を取り出し、サラリーマンの変わり果てた姿をおたまで掬って鍋に注いだ。そうして鍋を耳に当てながら揺らして笑う。
「レドレドレド!またひとつアン人のスープができあがるでござんす!さてこの個体はどんな味か、かなり邪電を発電していたようにざんすからなぁ」
「ヂレードル」
「わぁっ!?」
空にレイの顔が現れ、コックは鍋を抱えてすっ転んだ。レイは全く動じずに言葉を続ける。
「テメェにはヒーロンという遊戯で使われている仮想世界に行ってもらう、ギラギラズというふざけたやつらを葬るのだ」
「は、ははぁ!レイ様、おまかせくだせぇ!」
おたまで鍋から液体を掬い、飲んだコックにノイズがかかり、腕が丸ごとおたまになったヂェスター、ヂレードルに変わった。
「レードレドレドレド!」
レイの顔が消えると同時にノイズとなって消えるヂレードル、地面に残されたスクリームのマスクは砂となって消え、こうして街からひとり、人が消えた。
「輝乃、古鳥っち、目を開けてください!」
「う……ぅぅん……?」
目を開ける輝乃、するとそこは西洋風の石造りの天井、起き上がると水色のメッシュが入ったピンクの髪が目にかかり、俯くと白いドレスが……?
「アレ!?」
触っている、感覚はないが、確かに自分がドレスを着ていた。慎ましやかな胸、太もものところで区切られたスカート、頭の上には王冠が乗り、腰まで伸びた水色とピンクの髪が揺れていた。
「わ、私!女の子になってるぅ!?」
「あはは、みんな最初はそうなりますよねー」
「むむぅ!?」
隣には黒い怪獣モチーフのフードを被り、黄緑色のボブヘアの八重歯の少女がいた。同時に「わーっ!」という声と共に青い着物の侍が起き上がり、輝乃はまた悲鳴をあげる。
「わたしです!わたしですよ!あげはです!ようこそ!ヒーロンの世界、リアワールドへ!」
「あ、あげはさん!?こ、こ、これはどういう……!?」
「ここは仮想世界で、アバターが必要なんですよね、わたしにはわたしのアバターがありますけど、輝乃たちにはなかったので勝手に決まっちゃったみたいです!」
「これ元に戻れるんだよね!?」
「はい!ただのアバターなので、この世界を出れば戻れます!」
「ややっ!?そこのお姫さま、もしかして輝乃!?」
「今気づいたの?」
「それにしても、やっぱり輝乃も男の子ですね〜、女の子になってみたかったんですか?」
「そ、そんなわけないよ!なんでそんなこと言うの!?」
「いやぁ、特に指定がない場合、その人間の心のリズムに合った姿にアバターが構成されるんですよ。あ、別に恥ずかしいことじゃないですよ!この世界の女の子、ほとんどが男の人なので!」
「あ!確かに昨日、おじーちゃんと一緒に時代劇見てたから!」
「で、でも私、お姫さまの出てくる本なんて読んでないよ!?」
「お姫さまみたいになりたい、っていうのもありますかねぇ……?」
「お姫さまみたいに……あっ!」
ふと思い出す、本棚のなか、王子様系女子のアンソロジー、線が繋がった輝乃は感覚のないスカートの裾を掴んで、
「うわぁ……やだぁ……!」
と顔を赤らめるのであった。
「……なんかかわいい」と古鳥。
「ささ!アバターについてはここまでにして、わたしについてきてください!いろいろ、ヒーロンについて教えてあげます!ひゃーーっはーーーー!」
「「うえっ!?(ちょっ!?)」」
あげはに手をとられ2人はリアワールドへ足を踏み入れてゆく。そんな彼女たちの姿を、アバターの雑踏の中からチャイナドレスの少女が見つけていた。
「あの子は……!」
薄暗い洞窟に案内されると、そこには沢山のアバターがいて、なにか表示されたモニターを一心に見ていた。
「ナイトゲームの募集がかかってるみたいですね」
「ナイトゲーム?」
「騎士になって、制限時間内に洞窟に潜む魔物ジャミンを倒し、誰より早く最奥部の宝箱をゲットしよう!というゲームです。宝箱は一定数ジャミンを倒さないと開かないわけで、条件はゲームごとに変わるわけだから……つまり殲滅させればいいわけですね!」
「せんめつ?」
「全滅、をさせる側から言った言葉だよ」
「そっか!オレは大丈夫なゲームだけど、輝乃は」
「うん、私、ゲームが苦手で」
「えっ!?ゲームがダメな人っているんですね!?」
「ごめんね?あげはさん」
「あ!いいえ!まさかそういう人もいるとは思わず、こちらこそ強引に誘ってごめんなさいです!」
「や〜い空回り〜、ま、輝乃が楽しめないんじゃこのゲームはダメだな。他のゲームもそんなのばっかなんじゃないの?」
「ううっ!……でもでも!これ、ギラギラズとしての特訓にもなると思ったのに……」
分かりやすく落ち込むあげはを見て、輝乃、むむむ、と悩むと、
「……やる!やるよあげはさん!逃げていないで、一度くらい挑戦しないと変われないもんね!」
「ホントですか!?」
「輝乃、なんかお前この女に甘いよな」
「だってだって!変わりたいんだもん……」
「ありがとうございます!あの!ヒーロンは、心のリズムが重要なゲームです!とにかく楽しむべし、そうすれば体の方が勝手についてきてくれるはずです!途絶えればゲームオーバーですからご注意を!」
「はぁ〜い」
ナイトゲームのエリアに足を入れる輝乃、古鳥、だがそこでアナウンスが、
《人数制限に達しました》
「「「え?」」」
輝乃と古鳥は他の参加者と一緒に転送された、しかしあげはだけは残され、唖然とする。
「バリ残念、お仲間に置いていかれて」
「その声……キングドラゴンちゃん!」
振り向く、するとそこには龍と赤いハイビスカスの描かれた黄色いチャイナドレスを着て、シニヨンで髪をまとめた少女がいた。
洞窟、レイの命令でリアワールドに来たコック姿のヂレードルは、途方に暮れていた。
「はぁ、来たはいいけれど、ここどこでござんすかねぇ? 本当にギラギラズ?がいるのでざんしょう?」
はー疲れた、などと言って宝箱に腰をかけるヂレードル。すると山賊のような格好のプレイヤーが現れ、「レド?」と首を傾げた。
「あれ?一番じゃなかった?あのさ、開けられないならどいてくんね?」
「レドレド!なんと邪電に満ちた人間でござんしょう!スープになってございまし!」
「え?うわあああっ!!??」
その頃、クリアのためにヂャミンを倒していた古鳥に、その陰に隠れていた輝乃は声をかけた。
「ねぇねぇ古鳥」
「おう!お前のことはオレがずっと守ってあげるからな!」
「そうじゃなくて、なんかこのヂャミンってやつ、ヂバジデの、ほら、戦いになったらたくさん出てくるやつに似てない?」
「や?そういえばそうだな」
「あげはさんの言ってたことが本当なら、ギラギラズって、ヒーロンの運営が関わってるんだよね? もしかしてこのゲームって、ヂバジデに備えるためのシミュレーションだったりして……」
そのとき、輝乃たちの耳に悲鳴が聞こえたかと思うと、すぐアナウンスが発生した。
《プレイヤーの皆さん、至急、ゲームを中断してください。ナイトゲームのエリアの中でゲームの進行に関わる深刻なバグが発生しました。至急、ゲームを中断しリアワールドから離脱してください》
「……もしかして!」
悲鳴のした方へ向かおうとした古鳥の腕を輝乃は慌てて掴む。
「ちょ、ちょっと!?中断しろって言ってるよ!?」
「なんか面白そうじゃん!もしヂバジデだったら倒さなきゃ!」
「やめようよ!」
「じゃあ輝乃は残ってて!オレは行くから!」
腕を振り払って走っていく古鳥を輝乃は慌てて追いかける。
「もう!待ってよぉ!」
少し時間を戻してあげはとチャイナドレス。
「リアルで会ったんだからその名前で呼ばなくていい
「この前はびっくりしましたよ!なんでいきなりキックするんですか!」
「それは貴女が馴れ馴れしく話しかけてくるからでしょ!なんかムカつきマシマシなの!」
「な、なんでそんなこと言われなきゃいけないんですか!?」
「っ……!去年の夏の決勝戦のこと、覚えてないの……っ!?」
「え?あー、はい!覚えてます!わたしが勝ったときの!」
「……いい!?」
ドスドス、詰め寄るチャイナドレスこと風水。
「決闘ゲームで勝負しろ!ボクはあの日の恨みを今日まで1日たりとも忘れたことはない、今すぐ貴女を倒して、ボク自身の復讐をしてやる!」
「ええっ!?」
そのとき、あげはたちにも、
《ナイトゲームのエリアの中でゲームの進行に関わる深刻なバグが発生しました。至急、ゲームを中断しリアワールドから離脱してください》
というアナウンスが流れ、風水は舌打ちをすると手を伸ばして、ナイトゲームのエリアに繋がる穴を作った。
「きっとバリバリにヂバジデの仕業、早く行って!ギラギラモスフォ!」
「はい!……えっ!?」
「いいから!」
「わ、分かりました!」
穴を通ってゆくあげはの後ろ姿を、風水はジッと見つめていた。
洞窟のヂレードルの前に電脳空間からビーム砲が出現、
《標的を削除します》
ヂレードルに削除ビームが照射されるが、ヂェスターとしての本来の姿に戻ると、
「オイシクナァレードル!」
右腕の巨大なおたま「オイシクナァレードル」でビームを打ち返し、ビーム砲を破壊した。
そんなヂレードルの元に古鳥と息切れした輝乃が登場、古鳥は嬉しそうにヂレードルを指さす。
「よっしゃラッキー!やっぱりヂバジデだった!」
「何者でござんす?」
「確か昨日の時代劇でこう言ってたはず、刮目せよ!伝説がはじまるぜ!」
古鳥はヒーロンアイコンの変身ボタンを押して、
「ヒーロンチェンジ!」
《アガっちゃえーーーっ!!》
青い戦士、ギラギラバードに変身。鉤爪・クロバードを構えてヂレードルへ立ち向かってゆく。
「風速怪鳥!ギラギラバード!」
「もうっ!ヒーロンチェンジ!」
《ノっちゃえーーーっ!》
「火吹き壊獣ギラギラザウルス!ルス!」
続いて輝乃も赤い戦士ギラギラザウルスに変身、剣・ザウルソードを持ちギラギラバードと共にヂレードルに切り掛かる。
「なるほど!あなたたちがギラギラズでござったか!よろしいざんす、荷電国家ヂバジデの命により、あなたたちを処刑するでござんすよ!」
「こいつ!もしかしてオレたちを狙ってきたのか!?」
「そうざんす!」
クロバードとザウルソードをオイシクナァレードルで受け止めたヂレードルは、大きく動かして彼らを吹っ飛ばした。だがそこに緑色の風が吹き、
《マっちゃえーーーっ!》
「緑色鱗粉蝶っ!」
あげはの変身した緑の戦士ギラギラモスフォが登場、うちわ・モスファンで発生させた風に乗りヂレードルを切ると、ザウルス、バードに並んだ。
「ギラギラモスフォ!……ザウルス!バード!大丈夫ですか!?」
「へへ、大したことねぇって!」
「あげはさん、こいつ、私たちを狙ってるみたい……!」
「なんと!?」
「秘技!ノーポイ掬い!」
オイシクナァレードルを巨大化させたヂレードルは洞窟ごとギラギラズを掬い、洞窟を崩しながら吹っ飛ばした、そして岩山エリアまで飛ばした3人にさらに巨大オイシクナァレードルを叩きつけ、爆発を引き起こしダメージを与える。
「どうでござんすかぁ!?これがヂバジデ有数のアサシンと呼ばれた拙者の力にざんす!ヂバジデに対抗したことをあの世で後悔するがいいざんすよ!」
「ごめん、大したことあったかも……!」
「これがヂバジデの本気……!でも、まだです!」
傷のついた緑色のマスクを拭い、ギラギラモスフォは立ち上がってモスファンを突きつける。
「たとえいくら傷ついたとしても!悪いやつからこの世界を必ず守る!それがヒーロー!ギラギラズの使命!そのためにこの命なんて!」
「自分の命も大切にできない人が大言壮語もバリ甚だしい!」
「たいげんそーご……あわっ!?」
ギラギラモスフォは驚く、視線の先、そこにはチャイナドレスの風水がいたのだから。
「なんでござんす?」
「やい!この世の平穏を乱す悪き魂よ!その身に宿した数多もの罪、今こそボクが懺悔させ、冥府へマシマシにしてみせようか!」
風水の手にはヒーロンアイコンが。両腕を広げ、連続パンチのような仕草をした風水は、両手を突き出して変身ボタンを押した。
「ヒーロンチェンジ!」
《リズムスタート!》
空に三つ首の龍の絵が浮かび、ノイズのかかった風水の体は金色の光に包まれ、そのまま彼女を金色の戦士に変身させる。
《輝け!ドラゴンスキーーーンッ!シビレちゃえーーーっ!!!》
「黄金暴竜、ギラギラドラゴン!」
「「「うええええええっっっ!!!???」」」
突如として現れた金の戦士に驚くギラギラズたち。
「あなたもギラギラズだったんでござったか!くたばれ!」
巨大オイシクナァレードルをギラギラドラゴンに叩きつけようとするヂレードル、しかしギラギラドラゴンは電撃と一緒に高速移動、ヂレードルの懐に飛び込むと電撃とまとった連続パンチと回し蹴りを交互に叩き込み、ドロップキックで蹴り飛ばした。
「な、なんでござんす!?さっきのやつらとは全然違う!?」
「バリ当然、だってボクが最初のギラギラズなんだから!ホワチャァアアッ!!」
「最初のギラギラズ……?」
首を傾げるギラギラモスフォの後ろ、ヂレードルにカンフーのような攻撃を浴びせるギラギラドラゴンを見ながらギラギラザウルスたちはヒソヒソ話。
「ボクっ娘チャイナドレス厨二金色ドラゴンって、盛りすぎじゃない?」
「そうか?輝乃のあのポエム日記と同じぐらいじゃね?」
「やめてよ!」
そんな話をされてるとは知らず、ヂレードルを確実に追い詰めたギラギラドラゴンは、ドリルのついたメリケンサック「ドリゴンサック」を出現させると、そこにヒーロンアイコンをセット。
《テンポアップ!》
「レドド……!許すまじ……!」
「勝機ハリガネ、マシマシに貴方の負け」
金色のエネルギーがドリゴンサックに集中、電撃がギラギラドラゴンの体に集中し、三つ首ドラゴンの幻影が彼女の体に重なった。
「
《ノリノリだぜ〜〜〜ッッ!!》
電光石火の勢いでヂレードルに突撃しドリゴンサックを突き出すギラギラドラゴン、そしてドラゴンの幻影が雷を落としたかと思うと、彼女の背後でヂレードルは倒れていた。
「おったまげ〜〜!!!」
ノイズがかかって爆発するヂレードルをバックに決めるギラギラドラゴン。
そんな彼女にギラギラモスフォたちは近づこうとするが、爆発が晴れ、瀕死のヂレードルが顕になると、おぼつかない足取りで立ち上がり、
「ま、まだまだでござんすよ……!荷電皇陛下!バンザイ!」
懐からヂバジデンワを取り出し耳に当てる、するとヂバジデ本国からヂバジ電波が送信され、ヂレードルから火花が散りはじめると体はみるみる巨大化してゆき、ついに高層ビル10階に相当する大きさまで膨れ上がった。
「ホシガリマセン!カツマデハ!」
巨大化したヂレードルは常時巨大になったオイシクナァレードルでリアワールドを破壊してゆく、それを見たギラギラモスフォたちは巨大壊獣たちを呼び出した。
「今度はわたしたちが!爆誕!大壊獣!」
《ビートアップ!》
海が割れ、旧時代のティラノサウルスの復元図を思わせる、赤い壊獣ティラギラズが出現。
孤島の森の中からは突風と共に巨大な蝶壊獣モスギラズが。
火山からは雄叫びと共に怪鳥壊獣トリギラズが現れ、3体の壊獣はギラギラズと合身すると、ヂレードルに立ち向かっていった。
「さて、お手並み拝見」
見守る姿勢に入ったギラギラドラゴンの前で壊獣たちとヂレードルの戦いがはじまる。
ヂレードルに体当たりし、尻尾も使って攻撃するティラギラズ。
周囲を飛び回りながら刃の翼で切り掛かるトリギラズ。
突風を起こし吹き飛ばそうとするモスギラズ。
しかしどれもオイシクナァレードルの一振りの前に防がれ、
「秘技!ノーポイ掬い!」
さらに巨大化させたレードルで殴り、トドメとばかりに目から発した怪光線で壊獣たちを攻撃。壊獣たちは地面に落下したりとそれぞれダメージを負った。
「まだまだ!」
傷つきも並び立つ壊獣たち、勝利を確信したか、ヂレードルは腕のおたまを撫でて「レドレドレド!」と笑っていた。
「こうなれば、合体するしかありません!」
「「むむっ!?(ややっ!?)」」
ギラギラモスフォの提案に2人は驚いた。
「オイ!それってあのめっちゃ疲れるやつだよな!?」
「体と精神の負担が大きいオートモードはできません!ですから、わたしたちが魂を重ねて合体させるんです!そうすればきっと、負担も軽減できると思います!」
「思いますって言われても……」
「古鳥」
破壊されたリアワールドを見たギラギラザウルスは迷いのない声で。
「やろうよ、私たちがやらなきゃ、街はずっとこのまんまなんだ!」
「……分かったよ!」
「輝乃……古鳥っち……ありがとうございます!合体したいって、強く思ってください!」
壊獣たちは文字通り目を輝かせヂレードルに吠えた。
「レド?」
「「「壊獣大合体!」」」
《ティラ!トリ!モス!ミキシング!》
《刻め!大合体!歌え!踊れ!ダイダイ大合体!歌え!踊れ!ダイダイ大合体!》
鳴り響くリズムが体に染み付いてゆく壊獣たち、すると、まずティラギラズの体が宙に浮き、足が180度反転して折りたたまれ、頷くように頭が下がった。
「足がーっ!!??あし、足が!?痛くないけど!こんなだったっけ合体って!?」
「わたしもはじめてですよぉ!?わぁっ!?」
「ええっ!!??」
次にモスギラズの羽と胴体が分離し、羽は折りたたまれてブーツのように変形するとティラギラズの変形した足に合体。巨獣の脚へ変わってゆく。
「足が伸びたーーーっ!!!」
「おいおいおいやだやだやだやだ!!」
嫌がるギラギラバードだったが、無常なり、トリギラズの胴と翼は分離し、ついでに頭ももげてティラギラズの周りに集まってゆく。
「ぎゃあああああっ!!??オ、オレの頭が、あた、頭がぁ!!??」
「早く終わりますように早く終わりますように早く終わりますように」
「わ、わたし輝乃の尻尾にっ!!」
「ぎゃんっ!?」
ティラギラズの尻尾にモスギラズ、トリギラズの胴が合体、太く強靭な壊獣の尾となり、モスギラズの胴が変形したドリルが勢い余って回転。トリギラズの翼はというと細かく分割しティラギラズの背中に刺さってヒレとなり、仕上げに、もげた頭がツノの生えた兜へ変形してティラギラズの頭に被せられた。
「「「あっ!!!」」」
五感だけが統合され3人が同時に同じ目線で敵を見る、こうして無事に3大壊獣が合体し、暴烈たる大壊獣、キングギラズが誕生したのだった。
《酒池肉林!キーッング!ギラーーッッズ!フィーバーーッッ!!》
「「「出現!トリオ合体壊獣、キングギラズ!!」」」
「で!できました!なんか合体できちゃいました!!」
「うぅ……おしりからもう一つ足が生えてるみたい……」
「え、てかさ、オレのあたま今どうなってる?ねえねえ、今どうなってる?ちゃんとついてる?」
「ヒィッ!!」
一部始終を見ていたヂレードルは悲鳴をあげると、オイシクナァレードルで地面を掬い、
「バ、バラバラになって、合体して、気持ち悪いやつでござんす!くわらばくわらば!」
まるで見たくないものを見たかのようにせっせと土をかけてきた。
「「言うなっ!!」」
その咆哮はかけられそうになっていた土を分解し、ドリルのついた尻尾で攻撃、倒れたヂレードルに炎を浴びせダメージを与えてゆく。
「あんなに強かったヂバジデがなんか倒せそう!」
「すっげぇ……やっぱり合体すると強ぇ!」
「おふたりとも!ブッコワしますよ!」
「「はい(おー)!!」
《テンポアップ!》
赤、青、緑、三つの光がキングギラズの口に集中し、大地が揺れ、ヂレードルは体制を崩してしまう。
「「「トリオ熱線!ギラズビーーッム!!!」」」
《ノリノリだぜ〜〜〜〜ッッ!!!》
そして3色の光が放たれヂレードルに命中、それを受けた怪人は口惜しげに、
「足元を掬われたでござんす!お救いを〜!」
と言って爆発四散。それと共に世界は修正され、その中でキングギラズは吠えた。
《お疲れ様でした〜〜〜ッッ!!》
敵を葬ったキングギラズに向かってギラギラドラゴンは叫ぶ。
「佑月あげは!」
「は、はい!?」
「明日!ウーロン充戸店の駐輪場で待ってるから!必ず来い!」
そう言ってヒーロンからログアウトしてゆくギラギラドラゴンを見て、ギラギラモスフォはつぶやいた。
「地鳴風水……地鳴……どこかで聞いたことがあるような?」
後日、風水に呼ばれた場所、ショッピングモール「ウーロン」に来たあげはたち。するとそこにはチャイナドレス、ではなく、あげはにドロップキックをかました黄色いメッシュの少女が東方中学の制服のままいた。
「逃げずに来たのは偉い、マシマシに褒めてやる」
「なんの用だよ」
「キングドラゴンちゃん、いいえ、風水ちゃん、なんというか、その、ごめんなさい!謝って済むことなのか分かりませんけれど、悪いことしたなら謝ります!」
ビシっと頭を下げたあげはに、風水は目を丸くし近づいてくる。輝乃は守るように風水の前に立ちはだかった。
「あ、あげはさん、気をつけて!」
「ボクが、貴女を、呼んだのは」
「むむっ!?」
哀れ、腕の一振りで輝乃は払われた。そして無防備のあげはに近づいた風水は、その手を、伸ばして、
「ぎゅーっ!!」
抱きしめた、あげはを。風水はあげはを抱きしめたのである。
「あわっ!?あわわわわっ!!???」
「すーっ、すーっ」
「え、キモ……」
首元の匂いを嗅ぎ、任務完了とばかりに離れた風水は、微妙に口角の上がっていた口をへの字に曲げ、あげはを指差して、
「勘違いするな!ボクはお前を許したわけじゃない!」
「どういうことなの???」
去ってゆく、しかも早歩きで。それを見送るあげはたちは唖然とするしかなかった。
「えっと、なんだったんでしょうか……あの子……」
去ってゆく風水、そのスマホの待ち受け画面は、明らかに盗撮と思われるあげはの写真だった。
第三ギラズ「もし佑月あげはがドラゴンのチャイナドレスに狙われたら」
黒歴史、それは思い出したくない過去……!
輝乃〜!このノートなんですか〜?
黒歴史、あれは消したくても消えない記憶……!
なになに?花々めざめるはるらんまん?桜まいちるあの海辺?ゆうべ、あのおんなのこと……
わーー!!!やめて見ないで読まないでよぉ!!!!!!
次回、「黒歴史オーバーラン!」
禁じられた歴史が、今明かされる!