ドイツ軍人になった一夏くん   作:強い一夏すこすこ侍

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育てられた地の名を抱いて

「──状況からして、先程の襲撃者が君の事を公表したと見て間違いないだろう」

 

 西日の差し込む部屋の中で、初老の男性が机に肘を付き顔を預けていた。

 この男性がラウラ達、黒うさぎ隊の所属する基地の司令官の、マイヤー・V・ブランシュタインだ。

 帰還したラウラが先に襲撃を受けた事は報告していたが、先程世界に向けて一夏が男性に関わらずISを動かせると発信されたの受けて、一夏が呼び出されたのだ。

 ちなみに、織斑マドカと名乗った少女のことについては、ラウラと二人で話した上で二人の胸の中にしまっておくことにした。

 千冬と同じ顔の持ち主がいたとなれば、大きな問題にならないとも言えない。

 それに、あの少女が放ったセリフ──私は貴様だ、と言ったことが妙に引っかかると一夏が強く訴えたのだ。

 

「はい。して、我が国としてはどういった対応をするのでしょうか?」

「世界で初めてとなる男性操縦者を隠し続けていたことについて、我が国は激しく追求されるだろう。既に日本からも君が日本人だということも声明が出され、日本国で身柄を預かりたいと申し出ているが……まあ、こちらの方は特に問題ないだろう」

 

 かつての祖国に対する評価に、一夏の表情もなんともいえないものになる。

 まあ、その評価は間違っていないのだから言い返せないのだが。

 

「中尉。君の存在を公表しなかったのは、人道的な考えに基づいた事と、君本人が公表されることを嫌ったということになる」

「はっ」

 

 ドイツ軍における一夏の階級は中尉。

 十五歳で尉官とは過分な身分だが、驚くなかれ同い年のラウラは少佐だ。

 この辺りの事情はラウラが試験管ベイビーという事もあり、生まれながらに軍属であることが決められていたりもする。

 

「そして中尉。貴官の今後の処遇だが……貴官もIS学園に近々ボーデヴィッヒ少佐が派遣されることは知っているか?」

「はい。シュヴァルツェア・レーゲンの最終テストの為、派遣するというのは存じております」

 

 一夏の返事に満足気に頷いたマイヤーは椅子から立ち上がると、一夏に背を向けおもむろに口を開いた。

 

「今後世界は、君を中心に動く事になるだろう。世界初の男性操縦者を我が物にせんとあらゆる国、そして組織から狙われる事になるだろう」

 

 組織と言えばあの少女──織斑マドカは、と一夏の脳裏をよぎった。

 帰還した後、クラリッサ(黒ウサギ隊の副隊長)の話によると、件の少女がイギリスの機体を使っていた事ドイツ上層が確認したところ、強奪されていたと返答があったそうだ。

 もっとも、イギリス主導で襲撃を企てていた場合はこの発表も嘘になるのだが……。

 まあその辺りは下っ端の自分達が考えてもしょうがないと割り切っているが、もし本当だとすれば今後も襲撃はあると見て間違い無いだろう。

 少なくとも、マドカは一夏に対して並々ならぬ執着心を抱いていた事だし。

 

「現時点で、君はドイツ国民だ。とはいえだ、それでおいそれと納得する国はいないだろう」

 

 ISは女性しか動かせないというその事実が世界に与えた衝撃は計り知れない。

 国によっては女尊男卑的な政策を打ち出すところもあったし、女性の社会進出にとって大きなキッカケとなった。

 だが、それを快く受け入れる者ばかりではない。

 旧態依然とした考えのものや、社会の変化についていけなかった者などはこの風潮を嫌っていた。

 そこに、一夏というイレギュラーが降って湧いた。

 そうした者たちは考えるだろう。男もISが使えるとなれば、今みたいに女どもに大きな顔をさせることは無い、と。

 一夏を旗印として祭り上げようとする程度ならまだいい。だが、人によっては非合法な手を打つ者もいるだろう。

 

「我が国として、織斑一夏はドイツ国民だと強く訴える事は出来るが……」

「そこに反発が生まれるのは必至でしょう」

「その通りだ。我が国としては、できるだけ平穏にこの件を片付けたい。となれば、物事は穏便に進めねばならん」

 

(なる程な。少しずつだが読めてきた。故に冒頭にIS学園の話題を持ち出したか)

 

 IS学園とは、文字通りISを学ぶための学校だ。

 場所としては日本にあるが、あらゆる国家、組織に属さないとされるIS学園は、自国のIS研究だけでなく、他国のIS技術にも触れられる場所として、各国から生徒を送り込んでいる。

 すなわち、ただの学び場としての側面だけでなく、ISの試験運用の場としての色も強い。

 それを活かすためにドイツからも、ラウラとシュヴァルツェア・レーゲンが派遣される予定だった。

 

「小官もボーデヴィッヒ少佐と共にIS学園に編入する、ということでしょうか」

「理解が早くて助かるよ中尉。理由は……そこまで読んだ君のことだ、わかっているな?」

「IS学園における特記事項ですね。本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする……でしたか」

「流石だな。その規則に従う限り、三年間は君に対して外部からの接触はない……あくまでも外部からは、だが」

 

 各国が、その規則をみて「じゃあしょうがないね」などと納得するはずもない。

 あくまでも禁止されてるのは、外部からの接触だ。

 ならば、内部からの接触は? 許されているに決まっている。

 それを禁止することはすなわち、生徒同士の触れ合いを禁止すること他ならないからだ。

 つまり、一夏に近づきたいなら自国の生徒を利用すれば良いだけなのだ。

 まあ、それでも大分やりやすくはなるのだが。

 

「して、司令。編入の時期は?」

「ボーデヴィッヒ少佐と同じとは言ったが、彼女の機体はまだ調整にしばらくかかるそうだ。早くても六月頃になりそうだと。君のヴァイスリッターは問題ないと報告を受けている。急ですまないが、来週……五月には編入する事になる。部隊での引き継ぎをしっかり行っておいてくれ」

「承知しました」

 

 他にも何点かやり取りを行った後、一夏は退室した。

 扉が閉まるのを確認したマイヤーは、そっと息を吐く。

 

(すっかり、軍人らしくなりおって……)

 

 三年前、彼の適性が判明した直後から彼は半ば無理やり軍に身を置くことになった。

 わずか十二歳の少年が、軍人になるなど、国益のために仕方がないとはいえマイヤーとて諸手を挙げて賛同したわけではない。

 彼も軍に入ることは当初、ひどく嫌がった(当然といえば当然だ)が、今ではそんな雰囲気を感じさせない。

 先程のやりとりの中でも、彼は今後もドイツに身を置く前提で話をしていた。やり方次第では、彼が再び日本国籍を取り戻す事が可能なのに、だ。

 マイヤーは思う。

 彼が、ここの居心地を感じて言ってくれたのなら嬉しいが、果たしてどうだろうか。

 軍人の立場として、そう言うしか無かったのではないだろうか。

 だとすれば、自分達はなんと罪深き大人なのだろう。

 たった十五の少年を、軍人として育て上げてしまったのだ。

 一夏だけではない。ラウラをはじめ、黒ウサギ隊は若い女性で構成されている。

 最年長ですら二十二歳という年齢なのだ。

 

(まったく、ままならないものだな)

 

 せめて、ラウラと一夏には平穏な学園生活をさせててあげようと、マイヤーは人知れず心に誓った。

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 マイヤーの執務室を出た直後、一夏は無意識に背筋を伸ばしていた。軍人としての癖だと自覚しているが、それ以上に──胸の奥に、言葉にしづらい重さが沈んでいた。

 廊下の窓から差し込む光は夕日に近く、基地の敷地を赤く染めている。三年前、初めてここに来た日のことを思い出す。右も左もわからず、ただ怯えていた少年の自分。

 今は違う。

 違うはずなのに、胸の奥に残るのは、あの日と同じ「置いていかれる側」の感覚だった。

 

(……いや、違う。置いていかれるんじゃない。俺が“出ていく”んだ)

 

 自分に言い聞かせるように、拳を軽く握る。

 それでも、足取りは少しだけ重かった。

 食堂に向かう途中、すれ違う整備兵たちが、いつもよりわずかに長く一夏を見つめてくる。

 好奇心、驚き、そして──心配。

 そのどれもが混ざった視線だった。

 彼らは何も言わない。ただ軽く会釈をして通り過ぎる。

 その沈黙が、逆に胸に刺さった。

 

(……俺は、本当にここを離れていいのか?)

 

 そんな迷いが一瞬よぎる。

 だが、すぐに頭を振った。

 迷いは弱さだ。弱さは隙になる。

 軍人として叩き込まれた思考が、迷いを押し流していく。

 食堂の中は、昼にしては遅く、夕食には早い。そんな微妙な時間帯のためか、席もまばらにしか埋まっていない。

 点けっぱなしにされているテレビからは、男性操縦者の報道がされていた。

 一夏の事が知られてから数時間程度しか経ってないのに、顔写真、出身地、そして現在はドイツ国籍を取得している事、そういった情報が既に公開されていた。

 

「知らないうちに、随分と人気者になったようだな」

「大尉。なぜこちらへ」

「今日は色々とあったからな。私も雑務をしていたらこんな時間さ」

 

 やれやれとため息を吐きながら、一夏の目の前に座る女性。

 クラリッサ・ハルフォーフ。黒ウサギ隊の副隊長を務めている。

 部隊内最年長でもあり、未だ十五歳の隊長を副隊長として支えていた。とはいえ、彼女も二十二と若すぎるくらいなのだが。

 

「司令に呼ばれていたようだが、要件はなんだったのだ?」

「簡潔に言うと、小官の待遇についてですね。自分も隊長と同様にIS学園に編入することなりました」

「……ふむ。仕方がないこととはいえ、部隊内から二機も持っていかれるか」

「残るのは大尉の『ツヴァイク』のみになります。申し訳ありません」

「それこそ仕方あるまい。それよりも中尉、貴様は自分の心配をした方が良くないか?」

 

 クラリッサの指摘に、一夏は首をかしげる。

 彼女の言っている意味を理解していないようだ。

 

「IS学園というからにはISを学ぶところだ。知っての通り、ISは女にしか扱えない。つまりは通っている生徒は女しか居ない事になるぞ」

「? 女子しか居ないと判断するのは早計では? おそらく自分が配属されるクラスは操縦者の育成コースでしょうが、他にも整備コースとかもあるでしょうし、そこには男子生徒もいるでしょう? 整備なら男だって出来ますし」

 

 事実、黒ウサギ隊も隊員構成こそ一夏を除き全員女性だが、サポートを勤める整備部隊は男性も多い。

 IS学園も同じだろうと思った一夏の発言だったが、クラリッサのなんとも言えない表情を見て、徐々に不安な気持ちが湧き上がる。

 

「残念だが中尉。IS学園は生徒ならず、教員までもれなく女性だそうだ。……まあ、用務員とか警備員は男性だそうだが」

「…………」

「そんな顔をするな。まあ、ウチの部隊だって女性しか居ないんだ。慣れてるだろう?」

「慣れてますけども、男連中だってそれなりに居ますからね」

 

 クラリッサと話している最中、一夏はふと、彼女の表情が気になった。

 普段より、その表情には疲れの色が濃い。

 

「大尉、お疲れの様ですが」

「ん? まあ、色々とな。お前の件で上層が騒いでいてな。書類が山のように増えた」

 

 軽く笑ってみせるが、その笑みはどこか疲れていた。

 自分の存在が、周囲に負担をかけている。

 その事実が、一夏の胸に小さな痛みを走らせる。

 と、四人程の女性が食堂に入ってきた。

 集団は一夏達を見つけると、彼らの方に向かっていく。

 

「副隊長、中尉。お疲れ様です。ご一緒してもよろしいでしょうか?」

「ん、ああ。構わないぞ」

 

 クラリッサが気軽に応じると、彼女たちは思い思いの席に腰を落ち着けた。

 彼女達も黒ウサギ隊の隊員である。と言っても、ISをメインで動かすのではなく、EOSと言われるパワードスーツがメインだが。

 

「そういえば中尉。ついにバレちゃったんですよね。IS動かせること」

「まあ、な」

「でもなんでバレたんです? 中尉のISって顔を見られないようにフルフェイス仕様じゃなかったでしたっけ?」

「……被弾した時に声を漏らしちまったし、隊長も俺の名前を叫んじまったしな。しょうがないさ」

 

 ラウラが名前でなく階級で叫べばまだ誤魔化しが効いたかもしれないが、男性名を叫んだ時点でどうしようも無かった。

 

(まあ、名字を当てられた時に動揺しなければ誤魔化せたかもしれんが)

 

 とはいえ、細かいところの説明までするつもりは一夏はないのでこれ以上は説明はしないが。

 

「丁度いい。お前らにもついでに言っておくか。今の今まで副隊長と話してが、五月から俺はIS学園に編入することになる。六月には隊長もIS学園だ。部隊に残るISは一機だけになるが、頼むぞ」

「任せて下さい。EOS四天王の名にかけて、しっかり部隊を維持してみせますよ」

 

 あ、でもと言葉を濁した彼女に、何か不安な事でもあるのかと一夏が眉をひそめる。

 問題があるのなら早目に片付けなければと一夏が発言を促すと彼女は重々しく口を開いた。

 

「ブリーフィングルームの掃除、今後誰がやればいいんでしょうか……?」

「知らん。というか仮にも上官の俺にやらすな」

 

 本来は、清掃する人もいるのだが、散らかった部屋をそのままとしてよしとするのは一夏本人の性分が許さなかっただけなのだが。

 

「まあ、一夏は世話焼きだからな。それは昔から変わらん」

「隊長。いらしてたんですか」

 

 一夏が振り向くと、そこにはラウラがトレイを手に立っていた。

 顔には、どこか呆れたような色が浮かんでいる。

 

「士官室の掃除も未だに自分でやっているのだろう?」

「当然です。自分の部屋の掃除くらい自分でやりますよ」

「そのセリフは、中々耳が痛いな」

 

 やれやれと肩をすくめると、ラウラは一夏の隣に腰を下ろす。

 ラウラが隣に座った瞬間、食堂の空気がわずかに変わった。

 黒ウサギ隊の隊員たちが、自然と姿勢を正す。

 彼女はそれに気づいていないふりをして、一夏の皿を覗き込んだ。

 

「相変わらず、野菜が少ないな」

「う……」

「学園に行ったら、私がいないからといって好き勝手な食生活をするなよ」

 

 その声音は、叱責というより家族の心配をするのに近い。

 一夏は、少しだけ視線を逸らした。

 ラウラのこういうところが、どうにも苦手だ。

 苦手で、そして──ありがたい。

 

「で、一夏はいつくらいにドイツを発つんだ? もう来週から五月だぞ」

「司令の言葉だと直ぐにでも経った方が良さそうですけどね。慌ただしいことです」

「だろうな。外部にやいのやいのと騒がれる前にIS学園に逃げ込んだ方が良い」

「でしょうね。──にしても、たった数時間でここまで手際が良いと、少し疑ってしまうところもありますが」

「ふむ。一理あるな」

 

 発覚から数時間で一夏の編入の手続きを終えた手際の良さ。

 それ以外にも声だけで自分の存在がバレた事も一夏は気になっていた。

 彼女、織斑マドカが確信を得たのはわかる。だが、他の者はそれだけで信じられるだろうか。

 なにか、もっと決定的な証拠があったのではないか。

 

「まあ、深読みのしすぎだ。大方、いつ発覚しても対応できるように準備していただけかもしれんしな」

「そうですね」

 

 一夏の思考を切るように、ラウラがフォローを入れる。

 そして、話題をかえるように口を開いた。

「私とすれば、IS学園で一夏がどうやって接してくるのかの方が気になるんだがな」

「はあ」

 

 どういう事です?と言わんばかりに首を傾ける一夏にラウラは本当にわからないのかと嘆息する。

 自分も中々にズレている自信はあるが、彼も中々だった。

 

「学園でも、私の事を少佐と呼んで敬語で話すつもりなのか?」

「あー……。確実に浮きますね、それ」

「だろうな。どうだ、今やってみるか? 会ったばかりの頃は遠慮なく呼び捨てで話してただろう?」

「いいですねそれ!」

「中尉が隊長のこと呼び捨てにするの見てみたいです!」

 

 途端にキャッキャと盛り上がるのは、やはり女性の集まりだからか。

 そんな女性特有の空気に気圧されつつも一夏としては別に呼び捨てにするのはなんら抵抗はない。

 

「ラウラ。学園ではこうやって呼べばいいのか?」

「おお、なんかお前にそうやって呼び捨てにされたのは久しぶりで懐かしいな」

「まあな。──あの、もうやめていいですか? なんかやりにくいんですけど」

「ええーいいじゃないですか! もっとやりましょうよ!」

「やかましい。あんまり調子に乗ってるとオクスタン・ランチャーの先端に括るぞ」

 

 黒ウサギ隊の隊員たちが「呼び捨て」を面白がって騒ぐ中、一夏はふと、彼女たちの表情を見渡した。

 笑っている。

 楽しそうに。

 まるで、家族の団欒のように。

 

(……俺は、こんな場所にいたんだな)

 

 気づけば、胸の奥がじんわりと温かくなっていた。

 

「中尉。IS学園に入ったら、とりあえず軍務の事は忘れろ。久しぶりの日本だ。生まれ育った故郷に帰るんだ。思うところもあるだろう?」

「はい。お気遣いありがとうございます。しかし大尉──」

 

 IS学園には姉の千冬がいる。

 日本に行くのが楽しみな自分も確かに存在していた。

 それでも、だ。クラリッサのセリフは一つ訂正せねばなるまい。

 

「──自分を育ててくれた地は、このドイツです」

 

 一夏がそう言った瞬間、クラリッサもラウラも、そして周囲の隊員たちも、わずかに目を見開いた。

 その言葉は、彼らにとって何よりの報酬だった。

 

 ラウラは、ほんの一瞬だけ視線を伏せた。

 その横顔には、誇らしさと寂しさが入り混じっていた。

 

「……なら、帰ってこい。一夏」

「もちろんです」

 

 短い言葉のやり取り。

 だが、その裏に込められた想いは、どんな長い演説よりも重かった。

 

 

 

 

 翌朝、基地の滑走路に立った一夏は、振り返らなかった。

 振り返れば、きっと足が止まる。

 だから、まっすぐ前だけを見る。

 エンジンの音が高まり、風が吹き抜ける。

 その風の中に、微かに油と金属の匂いが混じっていた。

 三年間、ずっと嗅いできた匂い。

 自分の“居場所”の匂い。

 

(必ず戻る。強くなって──胸を張って)

 

 そう心に誓い、一夏は日本へ向けて飛び立った。

 

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