『柱島泊地 -鉄屑艦隊- 』 艦隊これくしょん二次創作小説 作:龍改二
本土最北端、大湊沖合。
雪と雨の混ざった冷たい海風が吹き荒れる中、柱島艦隊の行く手を阻むように、二つの影が海面上に滑り出てきた。
「止まれクマ。これより先は、大湊の管轄クマ」
「止まれにゃ。これより先は、立ち入り禁止にゃ」
抑揚のない、すり減ったレコードのような平坦な声。
立ちはだかる二隻の軽巡洋艦――球磨と多摩の姿を見て、指揮艦の傍らの海面に立つ叢雲は思わず眉を顰めた。
軍服は煤と潮にまみれ、背負った艤装には生々しい弾痕や爪痕が修復されないまま放置されている。機銃の銃身は焼け焦げ、そこからは濃密な鉄錆と硝煙の匂いが漂っていた。
「……歓迎ムードって感じじゃないわね」
叢雲がガン・ハルバードの柄に手をかけながら、油断なく目を細める。
龍壁は叢雲に制止の合図を送り、静かに声を張り上げた。
「我々は柱島艦隊だ。大湊の牟田島中将に話があって来た。……本省の南郷元帥からの、正式な紹介状も預かっている」
しかし、二隻の軽巡の、虚ろでハイライトの消えた瞳はピクリとも動かない。
「下がれクマ。信用に値しないクマ」
「帰れにゃ。そんなものに価値はないにゃ」
砲門が、ゆっくりと龍壁たちへ向けられる。一触即発の空気が流れた、その時だった。
『ストップ、ストーップ! 球磨ちゃん、多摩ちゃん、ダメだってば! その人たちは敵じゃないわ、通してオッケー!』
通信機から、この鉛色の空と凍てつく海にはあまりにも不釣り合いな、風鈴のように明るい声が響いた。
その瞬間。球磨と多摩は糸が切れた操り人形のように砲門を下ろし、機械的な動作で道を空けた。
「入れクマ。……秘書艦代理のお達しクマ」
「通れにゃ。……秘書艦代理の命令にゃ」
案内された大湊鎮守府の内部は、本土の司令部というより、さながら『包囲された最前線の塹壕』の様相を呈していた。
通路には土嚢が積まれ、壁には生々しい焦げ跡が残り、すれ違う艦娘たちは一様に疲労困憊し、血走った目をしている。
「……ひでえ有様だな。まるで、毎日どっかから攻め込まれてるみたいじゃねェか」
隼鷹が周囲を見渡し、酒の抜けた真顔で呟いた。
球磨の先導に従って本部棟の奥へと進むにつれ、空気は一層重く、冷たく淀んでいく。殺風景な長い廊下の突き当たり。ひときわ立派な設えの重厚な両開きの扉の前で、球磨が足を止めた。
彼女は無言でその扉を指差すと、龍壁たちと一度も目を合わせることなく踵を返し、幽鬼のような足取りでもと来た薄暗い廊下へと消えていった。本来の彼女が持つはずの快活さは欠片もなく、その背中はひどく擦り切れて見えた。
龍壁が執務室の重い扉をノックすると、「入りたまえ」と短く、しかし驕りを含んだ男の声が返ってきた。
そして扉を開けた瞬間――外の血と硝煙の匂いとは異質の、芳醇で甘やかな香りが鼻を突く。
足音をふわりと吸い込む、豪奢な真紅の絨毯。部屋の一角に設えられたガラス戸付きの飾り棚には、琥珀色に輝く年代物のシングルモルトや希少なウイスキーのボトルが美術品のように整然と並べられている。先ほどまでの『塹壕』の光景が嘘のような、狂気を孕んだ別天地がそこには広がっていた。
その狂気の正体を最も鋭敏に察知したのは、他でもない隼鷹だった。
並べられた酒瓶のラベルを一瞥した彼女は、普段の陽気さなど微塵も感じさせない、心底軽蔑しきったような冷たい目を向ける。そして、龍壁の背後からその耳元へ顔を寄せ、地を這うような低い声で囁いた。
「……提督。あそこの棚の酒、どれもまともなルートじゃ手に入らねェような、年代物の特級品ばっかだぜ。鎮守府がこのザマだってのに……反吐が出るな」
吐き捨てるようなその囁きが、甘ったるい空気に溶けるか溶けないかのうち。
豪奢な部屋の最奥。革張りの大きなデスクの向こうから、鋭い眼光が龍壁を射抜いた。
「はじめまして、柱島の龍壁少将だな。貴公の活躍は聞いているぞ」
神経質そうに撫で付けられた髪、仕立ての良い軍服。40代後半ほどの、威厳と冷酷さを兼ね備えた顔立ちの男。
「敵の前線基地や巨大泊地の撃滅、戦艦レ級の討伐、横須賀の海賊問題の解決……。私は
「光栄です、牟田島中将。……随分と手厚い歓迎でしたが」
龍壁が皮肉めいて言うと、牟田島はわざとらしく、大仰にため息をついてみせた。
「うちの門番どもが無礼を働いたようだな、すまない。……だが、我々はいま、『海賊』たちからの度重なる波状攻撃を受けていてな。みなピリピリしているのだ。許してやってくれ」
「海賊、ですか」
龍壁は表情を変えずにオウム返しをした。
「ああ。……横須賀の足柄の一件も、その海賊が関係している。その件で来たのだろう?私の秘書艦代理から詳しく説明させよう」
牟田島はそう言って、傍らのドアに向かって声をかけた。
「……入れ、
「はい、失礼しまーす!」
パタパタと軽い足音を立てて入ってきたのは、黄緑色の髪をポニーテールに束ねた小柄な艦娘だった。
血と硝煙の匂いが染み付いたこの鎮守府において、彼女だけが異様に小綺麗で、その顔には無邪気な笑顔が張り付いている。
龍壁の背後で、明石が小さく息を呑んだ。
「……お久しぶりです、朝比奈先輩! いえ、いまは『明石』先輩、でしたね!」
「ゆ、
明石の顔から、さっと血の気が引く。
「知り合いか、明石」
龍壁が問うと、明石は震える声で答えた。
「はい……。生医研時代の、後輩です」
「うわー、元気してました!? 私は元気ですよ!」
夕張――かつての弓ヶ瀬は、明石の怯えなど意にも介さず、嬉しそうに手を叩いた。
「元気かって……それはこっちのセリフよ。あなたもレ級の暴走事故で、死んだと思ってた……」
「ああ、私も艦娘になって助かったんです! 軽巡洋艦『夕張』の適性があったみたいで……先輩と同じですよ。お国のために、また研究ができるなんて最高ですよね!」
『人懐っこい後輩』の顔を崩さない夕張だったが、その瞳の奥には、何か黒い泥のような感情がドロドロと渦巻いているようにも見えた。
「彼女は実験軽巡・夕張。長期で鎮守府を空けている第一水雷戦隊・阿武隈に代わって、私の秘書艦代理を務めてくれている有能な部下だ」
牟田島が、まるで自慢の兵器を紹介するように言った。
「……夕張。龍壁少将たちに、大湊を脅かす『海賊』と、足柄の悲劇について説明して差し上げなさい」
牟田島の言葉に、夕張は「はいっ!」と元気よく敬礼し、そして――ひどく悲しげな顔を作ってみせた。
「龍壁少将。どうか、私たち大湊を……狂気に堕ちた『一水戦の亡霊』から、助けてください」
「亡霊、だと?」
夕張の言葉に、龍壁は表情を一切変えず、静かに先を促した。
「はい。……我々大湊は今から3年前、阿武隈を旗艦とした一水戦に、随伴として雷巡・
夕張は悲しげに目を伏せる。だが明石の目には、その後輩の口元に悲しみ以外の感情も張り付いているのが分かった。
「彼女たちは……長期の遠征という極限状態の中で、艦娘としてあるまじき『禁忌』を犯してしまったんです」
「禁忌……まさか」
叢雲が、自身の二の腕を抱きしめるようにして息を呑む。
「ええ。深海棲艦の、捕食です」
夕張は淡々と、まるで哀れな実験動物の末路を語るようなトーンで続けた。
「生き延びるために深海の肉を喰らい続けた彼女たちは、やがて未知の感染症を発症しました。装甲と肉体が深海の骨へと変異し、精神が完全に破壊される恐ろしい病です。――私たちはこれを『白骨病』と呼んでいます」
「愚かなことだ」
牟田島が、忌々しげにデスクを叩いた。
「誇り高き大湊の艦隊が、今や深海のバケモノにも劣る『白骨艦隊』に成り果てたのだ。横須賀沖で北上に処分された足柄は、そこからはぐれ、飢えに狂って南へ流れ着いた裏切り者に過ぎん」
(『喰ウ……、タベ、ル……ッ!』)
あの足柄の悲鳴の正体が「3年間の飢餓と白骨病の果ての末路」であった事実に、陸奥と隼鷹も空気を凍らせた。
「……つまり。残る阿武隈や木曾たちも、すでに足柄と同じ白骨の化け物と化し、この大湊周辺を荒らし回っていると?」
「ええ。彼女たちは発狂して前線を捨て、かつての母港であるこの大湊を幾度も襲撃してきています。私は戦闘があまり得意ではないですし……防衛に当たる球磨や多摩も、もう限界です」
夕張は胸の前で手を組み、すがるような、しかしひどく底冷えのする瞳で龍壁を見つめた。
「しかしそこに、あなた方が現れた。龍壁少将。貴方のその卓越した技術と柱島艦隊のお力、どうかお貸しください!狂ってしまった彼女たちを……大湊の脅威を『処分』してあげるために」
夕張の言葉が執務室に響き渡る。
『深海棲艦の捕食』『未知の感染症』。素人が聞けば、飢餓に耐えかねた艦娘の悲劇的な暴走と聞こえるだろう。
「……なるほど。大湊の窮状、しかと理解しました」
龍壁は湧き上がる疑念を完璧な鉄面皮の奥に隠し、深く頷いてみせた。
「同胞の成れの果てを討つのは忍びないが……これも任務。白骨艦隊の討伐、我々柱島がお引き受けしましょう」
* * *
牟田島との会談を終え、大湊から柱島艦隊にあてがわれた煤けた待機室。
分厚い鉄扉が閉まり、明石が盗聴器の有無を確認して首を横に振った瞬間、龍壁は鉄面皮を崩し、深い溜め息と共に胸ポケットからスパナを取り出した。
「……提督。あれ、信じるのかしら?」
陸奥が、冷え切った窓の外――吹雪く大湊の海を見つめながら呟く。
「深海棲艦の肉を喰らったせいで、身体から骨が飛び出す『未知の病気』なんて」
「あり得ないな。ただのデタラメだ」
龍壁はスパナの柄で、デスクを軽く叩いた。
「明石も気づいただろう。北上の戦闘詳報にあった足柄の艤装データ……あれは感染症や突然変異なんかじゃない。艤装から生身の内臓へとバイパスを繋ぎ、深海の体液から強制的にエネルギーを抽出する『生体炉』の痕跡だった」
「はい……」
明石が、元・生医研としての顔を青ざめさせる。
「消化器官を無視してエネルギーを得るなんて、病気で起こるわけがない。極めて人為的な『魔改造』です。……つまり、あの白骨の異常増殖は、病気じゃなく改造の『副作用』…」
「……胸糞の悪い話ね。生き延びさせるためか知らないけど、味方をバケモノに改造したってわけ?」
叢雲が忌々しげに腕を組む。
「ああ、おそらくな」
龍壁はスパナを握り直した。技術屋としての静かな怒りが、その瞳の奥で燃えている。
「討伐のフリをして出撃し、まずは白骨艦隊と直接接触を――」
『――警報! 警報! 湾岸防衛線に未識別艦接近!』
龍壁の言葉を遮るように、大湊鎮守府の壁を震わせる甲高いサイレンが鳴り響いた。
「チッ……!」
隼鷹が舌打ちし、窓の外を睨みつける。猛吹雪で視界が白く霞む湾内、そこに『それ』はいた。
『識別信号……第一水雷戦隊、雷巡・木曾! 防衛部隊は直ちに迎撃を――』
アナウンスが終わるよりも早く、轟音が響き渡った。
防衛にあたっていた大湊の汎用護衛艦が、一瞬にして真っ二つに両断され、海に沈んでいく。
「……あれが、木曾?」
窓から見下ろした叢雲は、その異様な姿に息を呑んだ。
右半身は無骨な白骨の装甲に覆われ、骨の剣と一体化した右腕に、右目からは禍々しい赤光を漏らす骸の剣士。
だが、叢雲の直感が激しい警鐘を鳴らす。
(……違う。あの足柄のデータとは違う。あいつには……明確な『意志』がある!)
「……牟田島ァ……! どこに隠れてやがる……引きずり出して、その首を落とす……!」
吹雪を切り裂いて響いた木曾のうわ言は、狂人の咆哮ではなく、明確な殺意と怨嗟だった。
「司令官! 陸奥と隼鷹の準備ができるまで、私が出るわ!」
龍壁の指示を待たず、叢雲はすでに『ガン・ハルバード』を構え、窓枠に足をかけていた。
「化け物か、それとも改造された被害者か……私が直接、斬り合って確かめてくる!」
「頼む。……死ぬなよ、叢雲」
「誰に言ってんのよ!」
言うが早いか、叢雲は猛吹雪の湾内へと身を翻した。
* * *
「そこまでよ! それ以上進むなら、私が相手になるわ!」
叢雲がガン・ハルバードのプラズマブレードを起動し、海面を蹴って木曾の正面に立ち塞がる。
「……見ない顔だな。牟田島の新しい手駒か? それとも、あの外道どもに騙された哀れな傭兵か」
木曾は、ただ一瞥しただけで叢雲が『大湊の者ではない』と見抜いた。その赤い右目には、狂気ではなく、底知れぬ憎悪が理性の炎として燃え上がっている。
「どっちでもいい。……
次の瞬間。木曾が自身の足元、僅かに後方の海中に向けて魚雷を射出した。
「なっ……!?」
自爆にも等しい至近距離での魚雷爆発。
しかし木曾は、その『爆風と衝撃波』を推進力に変換し、ありえない速度で叢雲の懐へと飛んだ。
「――遅い」
「くっ……!」
右から迫る白骨の凶刃。叢雲は咄嗟にガン・ハルバードの柄でそれを受け止めるが、戦艦の主砲と見紛うほどの異常な衝撃に、海面を水切り石のように吹き飛ばされた。
「……重っ……! なんなのよ、そのふざけた力は……!」
「お前たちのように、のうのうと補給を受けていた奴らには負けん。……オレたちは、地獄の底から這い上がってきたんだ!」
木曾は魚雷を次々と爆発させ、稲妻のようにジグザグの異常な軌道で叢雲を追撃する。
魚雷の推進力に白骨の膂力。それは、龍壁が極限まで調整した叢雲の超高速機動すら上回る、文字通りの『神速の剣撃』だった。
(速い……! でも、こいつの動き……ただの病気で狂った化け物じゃない!)
叢雲は防戦一方になりながらも、木曾の動きの『不自然さ』に気づき始めていた。
(この白骨の右腕……まるで、初めから『剣を振るうため』に最適化されているように動く。こんな都合のいい病気があるわけない……!)
「オォォォォォッ!!」
木曾の咆哮と共に、上段から放たれた必殺の唐竹割り。叢雲が防御を固め、衝撃に備えて目を細めた、その瞬間。
『——下がって、叢雲ちゃん!』
『ヒャッハー! 上空注意だぜ、骸骨野郎!』
轟音と共に、木曾と叢雲の間に極大の『赤黒い破壊』が迸り、同時に上空から無数の爆弾が降り注いだ。
猛烈な水柱と爆発が木曾を包み込む。
その弾幕の切れ間から、ゆっくりと進み出てきたのは、準備を終えた戦艦・陸奥と、軽空母・隼鷹だった。
「ごめんね、待たせたわ。……あなた、随分と無茶な戦い方をするのね」
陸奥は41cm連装砲の砲口から『破城槌』の赤黒い硝煙を漂わせながら、静かに、しかし絶対的な威圧感を持って木曾を見据えた。
「へっ、雷巡のくせに魚雷を推進力に使うたァ、イカれた戦法だぜ。だがなァ、アタシらの爆撃の雨を躱しきれるか!?」
隼鷹が上空の艦載機を旋回させ、追撃の構えをとる。
爆炎の中から、右半身の白骨を黒く焦がした木曾が姿を現した。
その赤い右目が、忌々しげに増援の二人を睨みつける。
「……チッ。牟田島のクズめ、こんな手駒まで隠し持っていたとはな。……だが、オレたちを止めることはできん。必ず……牟田島の首は、オレたちが獲る!」
木曾はそう吐き捨てると、足元の海面へ向けて魚雷を一斉に射出した。
目眩ましの大爆発と巨大な水柱。それが晴れた後には、すでに木曾の姿はどこにもなかった。
「……逃げられたわね」
陸奥が砲門を下ろし、小さく息を吐く。
叢雲はガン・ハルバードの刃を収め、痛む腕を押さえながらも、その瞳には強い疑念を浮かべていた。
「……司令官と明石の言う通りよ。あいつ、ただの『病気で狂った亡霊』なんかじゃない。……自分の意志で、牟田島を殺そうとしてる」
* * *
戦闘を終えた三人が戻ると、龍壁と明石はすでに、監視映像から作成した木曾の戦闘データをモニターに表示していた。
「よくやってくれた、叢雲。怪我はないか」
「……ええ。でも、あいつの右腕の白骨、異常に硬かったわ。プラズマブレードを受けても、火花が散るだけで全然斬れなかった」
龍壁はモニターの波形を指差し、険しい顔で頷いた。
「俺たちの推測は間違っていなかった。いや……予想以上にタチが悪い」
「……どういうこと?提督」
陸奥が尋ねると、明石が顔を青ざめさせながら答えた。
「叢雲ちゃんが切り結んだ時の衝撃データです。木曾の右半身を覆っていた『白骨』……あれは、深海棲艦の骨がただ増殖したものではありません。内部に、極めて精巧な『超硬質の人造鉱物繊維』と『人工筋肉』の構造が織り込まれています」
「な……つまり、あの骨、誰かが意図的に作った『艤装』だって言うの!?」
叢雲が驚愕に声を上げる。
「ああ。おそらく牟田島と夕張は、シーレーンの無いカレー洋を無補給で攻略するために、彼女たちを内側から改造したんだろう。深海棲艦を喰い、そのエネルギーで『装甲と武器を体内で生成する』ように」
「これは、病気なんかじゃありません。深海棲艦を食べて自己進化する『生体兵器』です」
龍壁と明石の言葉に、待機室は重苦しい沈黙に包まれた。
「……外道が」
隼鷹が、忌々しげに壁を殴りつけた。
「自分たちが作ったその『兵器』が制御できなくなって復讐されそうだから……私たちを騙して、始末させようってわけね」
陸奥の瞳に、冷たい怒りの炎が宿る。
「……大湊の腐敗は底なしだ。だが、白骨艦隊の真実を知った以上、ただ始末して終わりにはさせない。……俺たちは、阿武隈と木曾に接触し、牟田島たちの罪をすべて暴き出す」
龍壁はスパナを強く握りしめ、静かに、しかし怒りを滲ませた声で宣言した。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
次回、「第25話. 白衣の悪魔と壊れた箱庭」は6/8の18時頃に投稿予定です。