『柱島泊地 -鉄屑艦隊- 』 艦隊これくしょん二次創作小説 作:龍改二
「西村大将……彼女はかつて南郷元帥と同じ強硬派でしたが、あの『不退転作戦』で主力の西村艦隊を失って以降、方針を180度転換し、艦娘の命を優先して撤退も辞さない『穏健派』になりました。北条大将ともパイプがありますし、今の龍壁さんの思想と最も合致する上層部の一人です」
しかし、と。明石は少しだけ表情を曇らせた。
「問題は、彼女の秘書艦……『
「ちょっと待ちなさい。その『
叢雲が腕を組み、怪訝な顔で口を挟んだ。それに答えたのは、傍らで聞いていた陸奥だった。
「あら叢雲ちゃん、知らないの? 各鎮守府の最高戦力……海軍でも最強と謳われる四人の艦娘の通称よ。呉の『
「……海軍最強の、四人……。ちょっと、そんなバケモノみたいなのが各鎮守府のトップにふんぞり返ってるわけ!? しかもその一人が、今まさに暴走しかけてるってこと!?」
途方もない戦力スケールの話に、叢雲が顔をしかめて息を呑む。
明石はその反応に静かに頷くと、一度言葉を切り、龍壁の顔を真っ直ぐに見つめた。
「もし西村大将を味方に引き入れるなら、佐世保へ連絡を取り、何らかの形で彼女たちの抱える『内部の火種』に関わることになるかもしれません。……それでも、後ろ盾を得るために佐世保へ通信を繋いでみますか?」
「海軍最強…な。…どうせ、『こんにちは。突然ですが味方になってください』なんて言っても、後ろ盾になってもらえるわけじゃない。痴話喧嘩にお邪魔しようじゃないか」
「ひゃはははっ! 痴話喧嘩にお邪魔するってか! あんた、海軍最強の『四方』相手に喧嘩を売りにいくようなもんだぜ! 肝が据わってて最高だな!」
隼鷹が腹を抱えて大笑いし、破れたソファをバンバンと叩いた。
「ふふっ。火中の栗を拾いに行くなんて、バカな人ね。……不用意に火の粉を被らないように気をつけてね? 相手はあの『不退転作戦』で心を壊した大将と、殺戮に飢えた最強の駆逐艦なんだから」
陸奥は色っぽく微笑みながらも、その瞳には心配の色を浮かべ、龍壁の背中にそっと手を添えた。
「ちょっと、あんまり無茶しないでよね! 万が一向こうがキレて砲撃でもしてきたら、私が司令官を庇わないといけなくなるんだから!」
叢雲は腕を組んでツンとそっぽを向いているが、その声には『自分がいざという時は守る』という秘書艦としての強い自負が滲んでいた。
その賑やかなやり取りの傍らで。通信機のダイヤルに手をかけた明石の指が、ピタリと止まった。
彼女の肩は微かに震え、モニターを見つめる瞳には、いつもの明るい工廠長の面影はない。ひどく暗く、冷たい海原を覗き込むような、怯えと罪悪感の色が浮かんでいた。
「……いや、通信を繋ぐ前に、少し休憩を挟もう」
龍壁が唐突に声を上げた。
「叢雲、陸奥、隼鷹。お前たちはここで待機してくれ。明石、ちょっと工廠の機材のことで相談がある。コーヒーでも淹れてくれ」
「えっ? あ、はい……」
怪訝な顔をする叢雲たちを執務室に残し、龍壁は明石の背中を促して、油と鉄の匂いが立ち込める工廠の奥へと連れ出した。
工廠の重い扉が閉まり、二人きりになった静寂の中。明石は用意したコーヒーカップを持つ手を震わせたまま、ポツリと口を開いた。
「……『青血』の時雨。彼女が佐世保で、なぜ最強と呼ばれているかご存知ですか?」
「いや。異常な戦果を上げているとは聞くが」
「……『不死身』なんです。彼女の体内には血液の代わりに、高速修復材と呼ばれる青い薬液が循環していて、どんな致命傷を負っても、瞬時に再生して戦い続ける……死ねない身体に改造されているんです」
明石は顔を伏せ、自らの腕をギュッと抱きしめた。
「……龍壁さんは知っていますよね。かつて私が海軍の軍医として犯した最大の罪、『女神計画』のことを」
龍壁は無言で頷く。
『女神計画』。死んだ艦娘を蘇生させるという禁忌の人体実験。それは結果として異形の怪物を生み出し、逃亡を許すという最悪の失敗に終わり、主導者であった軍医・朝比奈もその暴走事故で致命傷を負った。瀕死の彼女を秘密裏に救い出し、工作艦『明石』という新たな仮面を与えて生き延びさせた共犯者こそ、他ならぬ龍壁だった。
「あの計画自体は凍結されましたが……海軍の上層部は諦めていなかった。私の残したデータを引き継ぎ、後継の研究が極秘裏に進められていたと聞いたことがあります。その名も『不沈艦計画』。……時雨のその異常な肉体は、きっと…」
明石の震える声が、懺悔のように工廠に響く。
「彼女はきっと、私が生み出した技術の犠牲者です。時雨は……私の、軍医『朝比奈』の罪が作り出した地獄の延長線上で、今も苦しんでいるんです……ッ!」
龍壁は、明石の震える肩に静かに手を置いた。不沈艦計画の詳細は彼も知らなかったが、目の前の相棒が抱える重圧と絶望の正体は、痛いほど理解できた。
「俺はお前の命を拾った共犯者だ。お前が生み出した地獄の残滓なら、俺が一緒に『地獄の底』まで付き合ってやる」
「……龍壁さん」
龍壁は明石の目を見据え、静かに、だが力強く告げた。
「タイミングは任せる。朝比奈……覚悟が決まったら、お前の口から伝えるんだ」
* * *
数分後。執務室に戻ってきた明石の顔には、もう先ほどの迷いはなかった。かつての重い罪の意識を胸に秘めながらも、彼女は確かな決意を持ってコンソールに向き直る。
「……お待たせしました。暗号化回線、佐世保鎮守府の執務室へ直接繋ぎます!」
明石が迷いのない指先でスイッチを弾くと、通信機から低いノイズが鳴り響き、やがて呼び出し音が繋がった。
『……こちら佐世保鎮守府。西村だ。……この暗号回線、呉の北条の紹介か。新任の柱島泊地司令、
スピーカーから響いたのは、壮年の女性の、酷く疲労が滲んだ声だった。かつて南郷と共に最前線で武勲を立てていた面影は薄く、今の彼女からは、背負いきれないほどの『命の重さ』に押し潰されそうな苦悩が感じ取れる。
しかし、龍壁が返答するよりも早く、通信機の向こう側から、氷のように冷たく、ひび割れたガラスのような少女の声が割り込んできた。
『……西村提督。なぜ出撃命令を取り消すの。ボクはまだ戦える。ボクの艤装はまだ敵を殺せる。……行かせて。あいつらを、全部殺すから』
『黙りなさい、時雨。お前の肉体は不死身かもしれないが、
『……ボクは、死なない。血の代わりにこれが流れている限り。だから、提督の代わりにボクが全部殺してあげるって言ってるんだ。……邪魔を、しないで』
ガチャン、と通信機の向こうで何かが倒れる音。 西村の重いため息と、時雨と呼ばれる「海軍最強の駆逐艦」の、虚無と殺意に満ちた息遣いが、スピーカー越しに痛いほど伝わってくる。
明石の言う通り、佐世保の内部は既に崩壊寸前の「一触即発」状態だった。命を守りたい提督と、敵を殺すことでしか自分の存在意義を見出せなくなった不死身の兵器。
『……すまない、龍壁司令。見苦しいところを聞かせたな』
西村が気を取り直すように通信機に向かって低く言った。
『うちの恥部を晒してしまった以上、そちらの要件は聞こう。……北条と同じ、命を重んじるという新任の技術屋提督殿。私に何の用だ?』
凄惨な「痴話喧嘩」の真っ最中である佐世保鎮守府のトップ、西村との会談。後ろ盾を得るためのこの危うい交渉に、龍壁の第一声が投げかけられた。
「お初にお目にかかります、西村閣下。私のことをご存知いただいていたとは、光栄です。
本日は、我が柱島艦隊と貴艦隊との、『共同戦線』のご提案をいたしたく、ご連絡申し上げました」
通信機越しに、西村の重く、ひどく疲労したため息がノイズ混じりに響いた。
『……共同戦線、だと? 冗談だろう、龍壁司令。奪還したばかりで、北条の慈善で辛うじて息を吹き返しただけの柱島と、何を共同で行うというのだ。私はもう、南郷が企てるような無謀な進軍に付き合って、これ以上艦娘を死なせるつもりはない』
西村の言葉は冷たく突き放すようだったが、その奥には「二度と部下を失いたくない」という切実な響きが隠されていた。
その直後。 通信機の向こうで、衣服の擦れる音と、マイクが強引に奪い取られるようなノイズが走った。
『——共同戦線。それは、深海棲艦を殺す作戦?』
執務室の空気が、一瞬にして凍りつく。先ほどよりも明確にスピーカーから響いたのは、感情の抜け落ちた、ひび割れたガラスのような少女の声。「青血」の時雨。海軍最強の四方の一角の、異常なまでの殺意を孕んだ声だった。
その声を聞いた瞬間、隣に立っていた明石の顔からサッと血の気が引き、彼女は思わず自分の口元を両手で覆った。自分が関わった「女神計画」の延長線上にある悪魔の研究——その犠牲者の声を直接ハッキリと聞いたことで、激しい罪悪感に苛まれたのだろう。
『時雨! マイクを離しなさい! お前は口を挟むな!』
『……提督がボクに戦わせてくれないなら、ボクは柱島に行く。あいつらを殺せるなら、誰の命令でもいい。ボクの身体は壊れない。なら、壊れるまで殺し続けるのがボクの役目だ』
時雨の言葉は、西村の制止を完全に無視していた。
『ねえ、柱島の提督。……ボクに、殺し場をくれるの?』
底冷えするような時雨の問いかけ。 その異常な気配は、通信機越しであっても執務室の艦娘たちに確実に伝播していた。
「……なによ、あいつ。声だけで鳥肌が立つわ……。ただの狂犬じゃない」
通信機から滲み出す、血の匂いすら錯覚させるほどの異常なプレッシャー。叢雲が自身の細い腕をさすりながら、本能的に警戒するように一歩後ろに下がる。
「……これが『四方』。凄まじい執念ね。でも、あれは『戦士』じゃなくて、ただの『刃』よ。扱いを間違えれば、味方ごと切り裂かれるわ」
陸奥も艶やかな笑みを消し、戦艦としての重圧を微かに漂わせて通信機を睨み据えた。隼鷹すらも『ひゅぅ、こりゃあヤバい匂いがプンプンするぜ……』と息を呑み、臨戦態勢のように姿勢を低くしている。
通信機の向こうでは、西村が再びマイクを奪い返したのか、荒い息遣いが聞こえてきた。
『……すまない、龍壁司令。聞いた通り、うちの秘書艦はこんな状態だ。「不沈艦計画」という呪われた実験のせいで、彼女は死ねない身体になり……戦うこと以外に自我を保てなくなっている。不死身は決して万能ではない。青血の
西村は、吐き捨てるように、しかしどこか縋るような声で龍壁に問いかけた。
『……お前は元・本廠のエースエンジニアだと聞く。技術屋であるお前なら、彼女の背負っている異常な艤装と肉体の負荷がどれほどのものか、想像がつくだろう。……そんな彼女を抱える私に、お前はどんな「共同戦線」を持ちかけるというのだ?』
通信機越しに、重苦しい沈黙が落ちた。 「艦娘を絶対に死なせたくない」と願う疲弊した提督と、「敵を殺す場所」を渇望する不死身の狂犬。
相反する二つの絶望を抱える佐世保鎮守府に対し、龍壁は深く息を吸い込み、静かに口を開いた。
「……西村閣下のご指摘の通り、我々柱島はまだ再建したばかりのヒヨッコ艦隊。とても独り立ちしているとは言えません。しかしだからこそ、貴女がたとの協力体制をご提案したい。失礼を承知で申し上げますが、貴艦隊…佐世保の戦況も、決して芳しくはないと聞き及んでおります。我々は小規模ではありますが、駆逐、戦艦、軽空母を擁する混合艦隊。お力になれることもあるかと。それに………」
龍壁が言葉を切ると同時。通信機の前に、一人の艦娘が一歩、前へと進み出た。
明石はギュッと作業着の裾を握りしめ、ゆっくりと顔を上げる。
そこにあったのは、明るくおどけた『工廠の明石』の顔ではなかった。かつて海軍の英知と呼ばれ、自らの罪と向き合う覚悟を決めた元軍医の、凄絶なまでの決意の表情。
「はじめまして西村大将。……工作艦の明石……いえ、元・海軍工廠、生体医療研究班主任……朝比奈です」
明石が震える声で、しかしはっきりとそう告げた直後。通信機の向こうで、西村の息を呑む音が聞こえた。
『……生医研、朝比奈…!女神計画の開発者……ッ! 生きて、いたのか……』
執務室の空気が一変した。「女神計画」という不穏な単語と、明石の旧名。叢雲、陸奥、隼鷹の三人は、いつも明るい工作艦が抱えていたであろう途方もない闇の片鱗に触れ、言葉を失って明石を見つめている。
『……悪魔の研究の、オリジナル…お前なら、あるいは……』
西村の声には、怒りとも、あるいは深い絶望の中で見つけた蜘蛛の糸に縋るような、複雑な感情が入り混じっていた。
通信機越しに、重く、長い沈黙が落ちる。やがて西村は、提督としての矜持も建前もすべてを捨て去った、搾り出すような声で言った。
『……龍壁司令。お前の言う通り…佐世保の戦況は泥沼だ。時雨が単機で深海棲艦の群れに突っ込み、幾度も致命傷を負いながら青い血を撒き散らして無理やり再生し、敵を殺し続けている。このままでは、そう遠くないうちに彼女の精神か肉体のどちらかが、完全に崩壊してしまう』
『——崩壊なんて、しない』
再び、時雨の氷のような声が割り込む。しかし先程までのただの虚無とは違い、その声には、朝比奈と名乗った明石に対する明確な「興味」が混じっていた。
『……ねえ、柱島の提督。そして、朝比奈。キミたちは、ボクのこの身体の造りを知っているの? ……だったら、ボクをもっと効率よく敵を殺せるようにできるの? 』
まるで、地獄の底から助けを求めるような、それでいて首筋に刃を突き立てられているような、危うく冷たい問いかけ。
西村が、苦渋に満ちた決断を下すように口を開いた。
『……龍壁司令。お前の真意は分かっている。南郷の圧力に抵抗するための、味方が欲しいのだろう? お前と朝比奈が、時雨を破滅から救う道筋を見出せるというのなら、私は佐世保の全戦力をもって、お前の柱島を「お上」から守る後ろ盾になろう』
『だが、言葉だけでは信用できん。……そちらの提案する「共同戦線」に乗ろう。現在、柱島と佐世保の中間地点にあたる海域…暗礁海域に、深海棲艦の前線基地が構築されつつある。我が佐世保艦隊からは、時雨を単機で向かわせる』
西村の言葉に、時雨が『……殺し場』と低く呟くのが聞こえた。
『そちらの混合艦隊と時雨を合流させ、前線基地を叩け。その実戦の中で、お前たちがいかにして時雨を制御し、生かすのか……私に見せてみろ。それが、同盟の条件だ』
通信が一方的に切れ、執務室には重い静寂が降りた。
「……提督」
明石がゆっくりと振り返る。
「時雨の肉体は、私の『女神計画』の理論を強引に引き継いだものです。彼女の艤装とバイタルラインは、おそらく人間というより……化け物のそれに近い。もし彼女が
「ひゅぅ……こいつぁ、とんでもない貧乏くじを引いちまったみたいだな」
隼鷹が俯いて深く目を伏せ、しかしその口元には不敵な笑みを浮かべた。
「でも、アタシらが行かなきゃ、その時雨って子は一人で戦って、ぶっ壊れちまうんだろ? なら、助けに行くしかねえよな」
「ええ。それに、佐世保が後ろ盾になってくれるなら、これほど心強いことはないわ。……海軍最強の『四方』。どれほどのものか、私が見定めてあげる」
陸奥が静かに闘志を燃やして同意する。
「……司令官が決めたことなら、私は従うわよ。あの狂犬が暴走したら、私が足を撃ち抜いてでも止めてみせるわ」
叢雲も、龍壁の顔を真っ直ぐに見据えて力強く頷いた。
* * *
「状況を整理する。俺たちは『青血』の時雨と共闘し、彼女を暴走させることなく敵前線基地を叩く。陣形は複縦陣だ。叢雲は時雨とともに敵陣に突っ込んで、敵艦隊を撹乱しつつ時雨をサポートしろ。隼鷹は航空戦力で、前衛が崩した敵艦隊を殲滅し、血路を拓け。すべての準備が整ったら、陸奥の砲撃で鉄の雨を降らせてやれ。俺は指揮艦に乗り、海域の後方に控える。……時雨のあの様子だと、コチラを待たずに海域に先行突入しているだろう。準備が整い次第、出撃だ」
出撃直前の桟橋。龍壁の明確で理にかなった、しかし同時に極めて大胆な指示が飛ぶ。それは各々の艦娘の特性と、自らが施した艤装の仕上がりを完全に把握しているからこそ描ける陣形だった。
「前衛で、あの狂犬のサポート……。ふん、無茶苦茶な命令ね」
叢雲は腕を組み、不敵な笑みを浮かべた。海軍最強と謳われる四方の速度に、初期ロットの駆逐艦がついていく。常識的に考えれば自殺行為だが、彼女の瞳に恐れはなかった。
「でも、私が背負ってるのは、あんたがコンマ数ミリまで完璧に調整してくれた艤装よ。その辺の量産品と一緒じゃないの。あの狂犬が引くくらい、完璧に合わせてみせるわ!」
「ひゃははっ! アタシは上空から派手にぶっ飛ばせばいいんだな! 任せな、あんたが息を吹き返させてくれたこの翼、深海棲艦の頭上にドデカいプレゼントを降らせてやるぜ!」
隼鷹は自身の真新しい飛行甲板をバンバンと叩き、獰猛な笑みを浮かべる。
「そして、私がトドメの鉄の雨……ふふっ、最高にいい役回りね」
陸奥は艶やかに微笑み、艤装の第三砲塔にそっと触れた。
「ええ、任せて、提督。前衛の二人が掻き回し、隼鷹が空から逃げ場を奪う。その完璧な盤面が出来上がった瞬間に……私の41cm砲で、敵の基地ごと消し飛ばしてあげるわ」
全員の覚悟が一つに束ねられたのを確認し、龍壁は力強く腕を振り下ろした。
「よし。陣形、複縦陣! 柱島泊地、第一艦隊……抜錨だ!」
「全艤装、動作良好! 戦術データリンク同期……
明石が通信機に向かって高らかに宣言し、龍壁を振り返って力強く頷いた。
「私はここで、レーダーと……時雨のバイタルを監視します。彼女の『青血』の血中濃度が危険域に達する前に、決着をつけましょう、龍壁さん!」
ここまでお読みいただきありがとうございます。
次回、「第5話. 共同戦線・青血の時雨」は4/29の18時頃に投稿予定です。