TS竜天使娘になったので魔法大学に通いながらダンジョン攻略します   作:Revak

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第13話

 

六月五日土曜日の朝八時半。

普段はダンジョンに行く時間だが今週は土曜日はお休みにした。

理由としては今週の月曜教師のエルンストから「土曜にレクリエーションやるから来たい奴は来い」と言われたからだ。

一体何をするんだろうかと生徒たちは楽しみにし、教室に入る。

 

アストレアとかおりとサラ、三人でいつも通り話していると部屋に男子生徒たちが入ってくる。

 

「みんな着たんだ」

「まぁ、ダンジョン行かないなら暇だしな」

 

生徒全員近くに座って雑談を交わす。

 

「なぁ、ダンジョン潜ってるっていうけどどんなダンジョンなんだ?ゲームみたいな感じか?」

 

そう問いかけるのは高橋翔だ。

 

「まぁ、そうだね。出てくるのはゴーレムばっかりだけど宝箱とかもあるよ」

「宝箱かー、やっぱ金になんのか?」

「なるねぇ。三時間ぐらいで今は四万円ぐらい手に入るよ」

 

その言葉にダンジョンに潜ってない者たちが驚く。

 

「てことは時給一万?!すげぇなダンジョン」

「ただ稼げるのは今のとこ上層だね。もっと下に行けば更に稼げるかもしれないけど」

「ダンジョンって誰が作ったんだ?」

「五賢人の人たちだって。しかも宝箱の中身はアオス・シュテルベン・モルト様が入れてるんだってよ」

「すげー金持ちだな五賢人」

 

そうこう話していると教室にエルンストが入ってくる。

 

「全員参加か。こりゃめでたい。それじゃあ今から移動する。行き先は着いてからのお楽しみだ」

 

ついて来い、とエルンストが言い学生たちは立ち上がって教室を出て行く。

大学の前まで出ると其処には人が通れそうな鏡が置いてあった。

こっそりとアストレアは解析魔法を使う。

解析魔法は視界内にあるだけでもだいたいの情報を得られる。詳細に知るためならば触れた方が正確だが。

 

(転移の鏡……行き先はアルカナスパイヤか)

 

そこで何をするんだろうかと一人ワクワクする。

 

「それじゃあ、この鏡を潜るんだ。私が先に行くからついてくるように」

 

そう言うとエルンストは鏡を潜って転移してしまった。

 

「お、俺は行くぞ」

 

鏡を潜るという非日常行為にドキマギしながら陽斗が潜っていった。

それに合わせ男子学生が潜り次にアストレアが潜っていった。

 

 転移した先は解析結果通りアルカナスパイヤの前だ。

白く太い一本の塔と塔から生える虹色や黒い塔が特徴的だ。

 

「よし、全員来たな。今日はアルカナスパイヤの研究塔の一部を見学させてもらえることになっている。魔法使いの魔法の研究を生で見られる貴重な機会だ。心するように」

 

そうして一行は塔へと入っていく。

一階の魔法陣がある広間でエルンストが魔法陣に魔力を込め転移する。

 

着いた先で少し歩くと其処は研究室だ。

 

「おぉ……」

 

中には多数の魔法使いが思い思いに魔法の研究をしていた。

大釜に何か入れて煮ている者。パソコンをカタカタとしている者。

カードに魔法の文字を入れている者などが居る。

 

「それじゃあ、ここからはある程度自由行動だ。好きに見て回れ。迷惑はかけないようにな」

「あれ?こういう時普通は案内の人がいるんじゃ……」

「『そんなの面倒』とのことだ。勝手に見て回れ。ただし何が起こっても責任は取らん。死にはまぁせんだろうからな」

「そう言う事なら……」

 

そうして学生たちは好きに動く。

 

アストレアは早速カードに魔法の文字を入れている者に近づく。

 

近づくと相手も気づいたのか顔を向ける。

相手はアジア系の黒人だ。

 

「何してるか気になるのか?」

「あ、はい。これ魔道具作ってるんですか?」

「ああ、これは巻物(スクロール)を作っているんだ」

 

巻物(スクロール)とは一度使うと消えてなくなるタイプの魔道具の事だ。

魔法を一度だけ使える代物でありオリジナルを作るのは手間がかかるがオリジナルからコピーを作るのは案外簡単である。

 

巻物(スクロール)……込めている魔法は何ですか?」

「カレーとナンを出す魔法」

「食事用アイテム?」

「だね。ちなみにこれはダンジョンの宝箱に入れるようだよ。ダンジョン知ってるかい?」

「あ、不死王の墳墓の事でしたら攻略中です。youtubeで配信もしてます」

「ん?てことは君が今話題のシリなんとかのチャンネルの人か。同僚が君を見てわめいていたよ」

「あ、視聴者居るんですね。その人にご視聴ありがとうございますって伝えてください」

「ああ、伝えとくよ……ところで聞きたいんだが君はダンジョンで出る食料は何がいいと思う?」

「んー、そこはやっぱパンとか水ですかね。古のローグライクゲームでもパンとか出るので」

「ああ、確かに出るけど実際食料としてみれば微妙じゃない?」

「まぁ、食べ物として欲しいならどうせなら果物とかほしいですね」

「果物か……考えておこう。ありがとう」

「どういたしまして。私は他の人見に行きますねー」

 

そうしてアストレアは去っていった。

 

他の人を見に行こう。とすると女の絶叫が響いた。

なんだなんだとアストレアは気になって声の方に向かった。

 

そこに居たのは美女だ。明るい少し跳ねている茶髪をした琥珀色の目の女である。

だが、アストレアはその女に見覚えがあった。

 

まさか、と思いアストレアはその女に解析魔法を当てた。

 

正体は女にされた陽斗だった。

 

「え、陽斗何してんの」

 

アストレアは素になって問いかけた。

 

「この人が魔法をかけて来たんだ!」

 

そう涙目で陽斗は女の魔法使いを指さした。

そこには黒髪黒目の女の魔法使いが居た。

 

「まるで通り魔的な犯行というのはやめてください。私は許可を取って使いましたよ」

「こんな魔法とは説明なかっただろ!」

「確かに危険の無い魔法と言いました。実際危険ではないでしょう」

「危険だよ!俺が女になったまま戻れなくなったらどうするんだ!」

「そこはほら、ご愁傷様としか」

 

その台詞に陽斗はうわぁぁぁんと泣き崩れ始めた。

 

「お、落ち着いて。私が解除できるから」

 

アストレアのその台詞に陽斗は「本当か?!」と立ち上がってアストレアの肩を掴みかかった。

 

「ほ、本当だから落ち着いて」

「お、おうすまん……」

「じゃあ、解除するよ」

 

アストレアはシエロからコピーした解析魔法と解体魔法を行使する。

解体魔法はあらゆる物質や魔法を解体し任意の状態に出来る魔法だ。

人間を解体し素材にする事させ可能だ。

 

今回はかけられた魔法にだけ対象を絞り魔法効果を解体し解除する。

 

そうすることで陽斗は元の男の姿に戻るのだった。

 

「も、戻った……」

「女の体はどうでした?」

 

女の魔法使いがにやにたしながら問いかけた。

 

「生きた心地しなかったよ!混乱しっぱなしだったし!」

「あら、そうですか。残念」

「俺らもう行くからな!」

 

そうして陽斗はアストレアの手を引いてその場を立ち去ったのだった。

 

 

そのあと、いくつか魔法使いを見る。

大釜で似ている者は魔法の研究と言いながらどう見てもジャムを作っていたり本を開いたり閉じたりしている者がいるなど魔法の研究とは多種多様なのだと面白かった。

 

そうして一時間後。エルンストが念話の魔法で学生を一か所に集めた。

 

「よし、全員いるな。レクリエーションはここまで。大学まで帰るぞー」

 

その言葉に返事しつつ一行は魔法陣の部屋に行きアルカナスパイヤの外に転移しそこから更に転移魔法で大学まで帰るのだった。

 

「じゃあ解散。レポートとか出さなくていいぞー……あ、そう言えば全員いるから言うが七月の十九日にテストあるからな。テストの成績悪い奴は補修もあるから注意するように。では解散!」

 

そう言うとエルンストは大学へと帰っていった。

 

「テストか……普通の勉強に合わせて魔法の勉強もだとちょっときついな」

 

翔がそう呟いた。

 

「じゃあ、みんなで勉強会でもするか?」

 

陽斗がそう提案した。

 

それに対し賛同するのはサラだ。

 

「あら、いいわね。いつやる?」

「七月の十日と十七日はどうだ?」

 

大地がそう提案する。

 

その提案に全員予定もないのか同意する。

陽斗が口を開く。

 

「それじゃあシリウスのメンバーはファミレス行こうぜ。次の階層の作戦会議だ」

 

それにシリウスのメンバーは同意する。

そうして解散し、三人は残って大学近くのファミレスに行くことにする。

 

アストレアがグループラインでカーラに連絡を取ると暇をしていたのかすぐに行くと返事が来る。

 

近くのファミレスまで歩いていると途中でカーラと合流する。

ファミレスに入るとまだ朝の十時半程度なので客は少なかったからかすぐ席に座れた。

ドリンクバーと軽食を頼みネクサスギアで画面共有しながら作戦会議が始まる。

アストレアが口を開いた。

 

「この階層の敵はこれまでとは違うらしい。魔法で巨大化や成長させられた虫が敵だって」

「む、虫か……」

 

カーラが苦手そうな顔と声をした。

 

「出てくるのはこういうのだって」

 

アストレアが写真を巨大化して表示する。

 

出て来たのは巨大な蜘蛛、三メートルほどの大きさの蜘蛛と長さが十メートルはあろうか巨大ムカデだ。

次は丸太ほどの太さを持つミミズだ。

因みにゴキブリのような虫は出ない。初期はいたそうだが挑戦者から苦情が出たので削除された。

 

「こいつらの素材金になるのか?」

「生物だからならないって」

「ならんのかい」

 

えぇ、と大地と陽斗が苦い顔をする。

そこにカーラが言う。

 

「だが宝箱が多めに配置されているそうだぞ。中身も下の方だからいいらしいな」

「じゃあメインは宝箱探索になるな」

 

ワイワイと四人は話し、隊列や今後をどうするか話し合うのだった。

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