TS竜天使娘になったので魔法大学に通いながらダンジョン攻略します   作:Revak

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第15話

 

 七月十日。

 ダンジョン近くのファミレスにシリウス一行は集まっていた。

 四人席に五人男女に別れて座って自己紹介をする。

 

「では自己紹介を。私が暫定的にリーダーをしているアストレアです。コピー魔法を持っています。年齢は十九です」

「朝比奈陽斗だ。斧使いで確率操作の力を持ってる。十六歳だ」

「相良大地だ。身体能力強化は得意だ。十六歳」

「カーラ・ルボー。十九歳、防御系の魔法に特化している」

 

 四人の自己紹介が終わった後、アグネスが自己紹介する。

 

「初めまして、アグネスだ。探知系の魔法や能力に特化した幻獣だ。使い魔ではなく魔道具に憑依している。ダンジョンでは荒稼ぎしたいと思っている。よろしく頼む」

 

 そう小さく頭を下げた。

 幻獣は時代と共に神秘が薄れる事で存在の自己維持が難しくなっていった。

 そのために自分だけで自己維持が出来るのは今は一人だけになり、他の者たちは他者との契約や魔道具への憑依が必要となる。

 魔道具への憑依は自分の力量に会った魔道具に憑依する必要があり、魔道具が壊されると自己維持が難しくなり早く再度憑依するか契約をしないと存在を維持できず消滅してしまう。

 幻獣のハーフや幻獣と人間の融合体であるアストレアなどには関係の無い話ではあるが。

 

「それじゃあ、これからダンジョンを探索しようと思うんだけど、アグネスから何か気になることは?」

「そうだね、私は戦闘能力がほとんどない。逃げ足だけはあるから、戦う時はみんなに任せることになるけど大丈夫かい?」

 

 それに陽斗が快く答える。

 

「大丈夫だぜ。シーカー役は俺たちが守る」

「まぁ、宝箱とか探してくれるなら生かさないと意味ないからな」

 

 大地もそう頷く。

 

「それじゃあ、よろしく頼む。作戦はどうなんだ?」

 

 それにはカーラが答える。

 

「私が前衛でタンクを。私が耐えてる間に陽斗と大地が攻撃、アストレアが遠距離攻撃……という形だな」

「索敵してないのか。危ないな」

「まぁ、これまではどうにかなってきたがこれからはきついだろうな」

「よし、人生の先達として私が力を見せてあげようじゃないか」

 

 

 そうして一行はモーニングを食べ終えるとダンジョンに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ダンジョンの入り口前でアストレアはドローンを使って配信する。

 

「どうもー、今日は前から言っていたように仲間が増えます!」

 

【わこつ】【エロい】【男だったらお兄さん許しませんからね】【このダンジョンほんと何のゲームなんだろうな】

 

 コメントが幾つも流れる。

 視聴者数は四十人ほどだ。そのうちコメントしてるのは半分ほどだろう。

 

「じゃーん! 新メンバーの!」

「アグネス、幻獣だ。役割は探知職だ。よろしく頼む……これで配信出来てるのか、最新の機械はすごいな……」

 

【ケモミミ! ケモミミ!】【ちっこくてめんこいのぉ】【ほんと背小さいな、小学生ぐらいか?】【なんの獣人だろう】

 

 アグネスは人の耳が無いのでネクサスギアを使えない。そのためコメント欄は見えていない。

 

「アグネスさんは鼠の妖怪です!」

 

【獣人じゃなくて妖怪じゃったか】【鼠っこかかわE】【ひ弱そう】

 

「それじゃあダンジョン探索行くぞー!」

 

 おー! と一行はダンジョンに入っていった。

 

 

 

 ■

 

 

 一時間後。

 

「これで宝箱二十六個目……流石に怖くなってきたんだが」

 

 ダンジョンの十四層を進み、シリウス一行は宝箱がザックザックだった。

 宝箱の中身も確率操作でいい方に変えることが可能なので財宝がザクザクである。もう分けても一人当たり十万は確実だ。

 

「これだけあれば……うへへへ」

 

 アグネスは一人にやけた顔を晒している。人に見せていい顔ではない。

 

「じゃ、じゃあ開けるぞー」

 

 そうして陽斗が宝箱を開けた。

 

 中身はダイヤモンドと大鎌だ。

 

「お、この鎌アストレアにいいんじゃないか?」

「どれどれ?」

 

 アストレアは陽斗から鎌を受け取る。

 柄は1.5メートル。刃もそこそこ長い。柄の先端には槍のように刃がついている。

 

「解析……おぉ、これいいね。一パーセントの確率で相手を即死だって」

「即死?! 強いな、それ」

 

 陽斗が効果を聞き驚きの声を上げる。

 

「けど一パーセント……低いな……」

「即死目当てで攻撃しても全然死ななそう」

 

 ただ今使っている大鎌より素の攻撃力は高いので変えることにはした。

 大鎌を装備しなおす。

 と言っても最近は大鎌を全然使ってない。後方からの魔法攻撃ばかりで敵が近寄ることはない。

 最近ではレグルスとの模擬戦で大鎌を使うぐらいだ。

 魔道具の能力はオンオフが聞くので模擬戦で相手を即死させることはないだろう。

 

「ふむ。このダンジョン、調べた限りじゃ下に行くほど宝箱が美味くなるらしいじゃないか」

 

 そこにアグネスがそう話し出す。

 

「十五階層への階段も見つけた。ボス戦と行かないか?」

 

 その言葉に全員賛同し、十五層へと向かった。

 

 

 

「ここが十五層の扉だ」

 

 十分ほど洞窟を歩く事で目的地の扉を見つける。

 陽斗が代表して両開きの扉を開け中に入る。

 

 中はこれまでのボス部屋同様円形上の広間だ。

 ただ今回は特に装飾がない白いだけの部屋だ。

 

「あれ? 誰もいないな」

 

 陽斗がそう呟いた。

 それに返すのはアストレアだ。

 

「十五層からは人の管理人はいなくて、ゴーレムとか動物とかのボスだけだって」

「そうなのか……」

 

 そう平和に会話しているとアグネスが叫ぶ。

 

「上からくるぞ! 気をつけろ!」

 

 その叫びに反応し全員回避と共に警戒をする。

 空から光の矢が降って来た。

 

 人程度飲み込むほどの大きさの光の矢だ。地面に着弾して数秒経つと消えた。

 

「あれが今回のボスか」

 

 大地がそう拳を構える。剣はしまっておいた。

 

「でかいな」

 

 空からゆっくりと降りてきたのは三メートルほどの人型の存在だ。

 上半身だけのローブを纏った魔術師の格好をしており顔は変な仮面で隠している。

 背中には光の矢で出来た翼を持っている。

 

 完全に降りることはなく地上から五メートルほどの位置で浮遊している。

 

「ボス名、カタリナ。背中の奴は魔法名フェアゲーエン。相手の遠距離魔法を打ち消す効果を持っているね」

「よっしゃ試したろ」

 

 そうしてアストレアは四重曲九つの地獄(カルテットナインヘル)を発動する。

 四つの魔力弾が九回連続でカタリナに飛んで行く。

 

 カタリナは背中の魔法の矢を魔力弾に命中させることで相殺。遠距離魔法を打ち消した。

 

「なら俺だ!」

 

 最近身体能力強化の魔法を覚えた陽斗が跳躍し斧で斬りかかる。

 カタリナは腕を交差させることで防御するも地面に落とされる。

 

「ふんっ!」

 

 そこを大地が狙う。正拳付きを放ち腕をひしゃげさせた。

 

 カタリナは後ろに飛ぶ。追撃を放つも速すぎて攻撃が間に合わなかった。

 

 カタリナの目が光る。

 

「私の周りに!」

 

 カーラがそう叫びシリウスメンバーはカーラの周りに集まる。それと同時にカーラが防御魔法のバリアを展開する。

 カタリナの目から光の光線が放たれた。バリアと接触し爆発を起こす。

 

 爆発をかき消すようにアストレアが突撃する。

 

「遠距離無理なら近接で!」

 

 最近アーカディアの街を歩く町民からコピーした飛行魔法フリーゲンで急接近する。

 

 大鎌を振るいカタリナの腕を傷つけることに成功する。

 だがそれと同時に巨大な光のハンマーが生成されアストレアの頭を上からたたき地面に叩き落とした。

 

 アストレアは脳震盪を起こしダウンした。

 

「あのバカっ!」

 

 大地がそれに気づき回収に動く。

 それをさせんとカタリナが魔法を行使する。

 

 今度は光の剣を落とす魔法だ。大地にターゲティングがいく。

 

「させん!」

 

 そこにカーラがボレアレスを発動。攻撃を自身に向ける。

 余波を受けてはたまらんとアグネスはダッシュで後方に逃げた。攻撃手段が乏しいので居ても邪魔である。

 

 大地がアストレアを抱えて後方に下がる。

 入れ替わる様に陽斗が出る。

 

 陽斗が跳躍し浮いているカタリナに襲い掛かる。

 カタリナは今度は防御魔法を行使する。光の盾だ。

 

 盾と斧が衝突し、盾が割れるも斧も弾かれた。

 陽斗は体勢を崩し、その隙を襲うようにカタリナが光のハンマーの魔法を行使する。

 ハンマーによる横殴りだ。陽斗は斧を間に差し込みガードが間に合ったが吹き飛ばされる。

 

 アグネスが吹っ飛ばされた陽斗に回復ポーションをかけようと駆け寄る。

 そんなことはさせないとカタリナが動くもアストレアを安全地帯に置いて来た大地が殴り掛かる。

 

「おおおっ!」

 

 連続の拳の連打。カタリナは防御魔法が間に合わず拳の連撃を受ける。

 腕が完全に変な方向に折れ使い物になり、腹を殴り拳上のへこみを作る。

 

 このままいけばやれる。そう思ったのも束の間カタリナは光の爆発を起こした。

 

 衝撃波により大地も吹き飛ばされる。

 地面を数度転がりダメージを軽減するも、ポーションを飲まねばならぬ程度の怪我を負った。

 

 カタリナが強大な魔力を纏い始める。大技の行使だ。

 

 そこに意識を取り戻したアストレアが突撃する。

 流石にエンハンスは使わないが魔力操作による自己強化は最大値まで行う。

 

「止めだぁぁぁぁ!」

 

 そう叫びながら突撃し大鎌を持ってカタリナを両断し、破壊した。

 

 

「勝利!」

 

 その叫びと共にファンファーレが鳴り響いた。

 

「て、まずは回復!」

 

 おおぉぉとアストレアは倒れている陽斗に駆け寄った。

 そのまま回復魔法を行使し回復させる。

 

「ど、どうなった?」

 

 意識を取り戻した陽斗が問いかける。

 

「勝ったぞ!」

 

 いえい、とアストレアは鎌を持っていない左手ブイサインをした。

 

「そうか! よかった!」

 

 陽斗とアストレアはいえいとハイタッチをした。

 

 五人部屋の中央に集まる。

 大地もダメージを受けていたが自力でポーションを飲むことで回復していた。

 

「すまないな、私は何の役にも立てなくて」

 

 アグネスがそう謝罪したが、全員気にしてなかった。

 

「いやいや、ここまで頑張ってくれたんだからボス戦ぐらい大丈夫よ。気にしないで」

「そう言ってもらえると助かる……おや」

 

 部屋の中央が光る。

 一瞬光ったかと思えばそこには少し豪華な宝箱が出現した。

 

「ボスドロップだな。陽斗よろしくー」

「おう、任せろ」

 

 陽斗の魔法も成長し今はプラマイ二十五の操作が可能だ。

 

 中身は豪華な物だ。

 ボスドロップに相応しく何かしらの宝石が八つもあるし、ポーション類もある。

 ただし武器や防具はなかった。

 

「おー、売れば結構な額になるな」

 

 それを見てアグネスがうへへと顔を歪ませた。

 

「それじゃあ、これアイテムボックスに入れて……と」

 

 アストレアが中身を自身のアイテムボックス内に収納する。

 

「それじゃあ続きいこー!」

「「「おー!」」」

 

 そうして奥へと進み階段を降りる。

 

 降りた先でドアを開け、十六層に入る。

 

「森だ」

 

 出た先は森だった。

 うっそうとした森だが最低限人の手は入ってるように見受けられる。

 木々の背は高く、空を見ればそこには第十層などと同じように空が見える。

 

「よし、私が宝箱まで先導しよう」

「よろしゃす」

 

 アグネスを先頭、次にカーラという順番で一行は森を進む。

 

 アストレアは虫よけの魔法が無いかコピーした魔法を検索し、ちょうどいいのがあったので魔法をセットし発動する。

 使うのは板倉透が使っている消滅の魔法だ。

 自分に水を纏うように消滅の空間を纏う事で自身に害ある全てを消滅させるという魔法だ。これならば虫や木の枝を消して進むことが出来る。

 

 そうして進事五分。アグネスが口を開いた。

 

「この先、敵がいるな。数は四体。狼型のゴーレムだ。その奥に宝箱がある」

「よし、それじゃあ私が先頭に出てヘイトを集めよう」

「わかった。私は下がっておく」

 

 そうしてカーラを先頭に入れ替え少し進むと森の中に不自然に作られた広場がある。

 奥には宝箱が一つと狼の形をしたゴーレムが四体居た。

 

 カーラがヘイトを集める魔法を行使し狼たちの注目を自身に集める。

 それにより狼たちがカーラ目掛け突撃する。

 

 横から陽斗と大地が二体のゴーレムに攻撃し破壊。アストレアも四重曲九つの地獄(カルテットナインヘル)を唱え二体破壊した。

 

「たっからばこ~」

 

 陽斗が音符マークでもつきそうな上機嫌で進み、宝箱を開ける。

 中身は上々といったところだ。

 

「それじゃあこの調子で進むぞー」

 

 そうして一行は後二時間ほど探索を続けるのだった。

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