TS竜天使娘になったので魔法大学に通いながらダンジョン攻略します 作:Revak
七月十九日。朝の九時。
魔法大学の一年生の教室でアストレア、サラ、かおりの三人はテストを受けていた。
魔法大学のテストは二つしかない。
魔法に関する筆記テストと歴史のテストだ。
歴史に関しては魔法世界が表世界の歴史にどう干渉して来たかというものであり、有名どころでは第二次世界大戦などに関わっている。
それらに関するテストであり、最初に魔法に関する筆記テストをアストレアは解いて行く。
余談だが二年生になると魔法の実技テストも入るが一年生は基本魔法が使えないので無い。今年の一年は最初から魔法が使える者しかいないがこれは非常に珍しい事である。
アストレアは時折頭を悩ませながら解いて行く。
この魔法理論を作ったのは誰だ、とかエーテルドリンクを作ったのは何時で誰だ、などのテストだ。
そうして気づくと五十分経っておりテストが終わる。
「はい、そこまで。回収するぞ~」
エルンストがやる気がなさそうに言いながら歩き答案用紙を回収していく。
回収し終えた後、エルンストはだるそうに言う。
「それじゃあテストは今週の金曜に返却な。それで結果次第で夏期講習を受けてもらう。まぁ赤点でもない限り無いから安心しろ。八月いっぱいは休みだから適度に羽目を外すように。ただし警察や秩序の刃のお世話になるようなことはしないように。以上解散」
そうしてテストが終わり、アストレアはん-と体をほぐす。
「どうだった?」
サラがアストレアに問いかけた。
「一応全問回答できたけど……あってる自信はないなぁ。二割ぐらい間違えてそう」
アストレアはうへーとなりながらそう答えた。
「私は全問回答できたしあってる自信もあるわ」
それに対しかおりがほへーと声を漏らす。
「ワシなんか殆どあってる自信がないぞ。適当にかいたのばっかじゃ」
「真面目に授業受けなさいよ」
「真面目にやってこれじゃ」
それは一番救いようがなかった。
三人とも微妙な顔をした。
■
週末になりテストが返却された。
アストレアは歴史八十二点魔法八十五点だった。元の頭の悪さを考えるとだいぶ飛躍している。
因みにサラの歴史は九十五点で魔法は百点だった。かおりはひどかったので記載しない。
そうして七月もダンジョンを探索しつつ、八月に入った。
そしてアストレアたちシリウス一行は今、イギリスのコッツウォルズに来ていた。
「ここが国外……」
日本では見られない平原を前にアストレアと陽斗、大地の三人は感動していた。
だが日本人ではないカーラと日本出身ではない幻獣のアグネスは何ともない顔をしている。
一行は面倒な手順を踏んでここにきている。
きちんとパスポートを発行し空港に行きイギリスへ移動。その後アーカディアの街に行きサラの案内の元コッツウォルズに来ている。
コッツウォルズは丘陵地帯であり田園風景が広がる田舎に近い場所だ。
と言っても風景が田舎っぽいだけで実際は都会に近いので田舎らしさはあまりないが。
「それで、今は十五時ぐらいだけど、どうする? ダンジョン行くには微妙な時間だと思うけど」
そうサラが言う。
「まぁ、急ぐわけでもないし今日は観光でいいんじゃないか?」
カーラが緩くそう言う。
それに一行は賛同する。
「それじゃあ、観光しようか」
おー、と一行は観光をした。
今更であるがアストレアは外の世界に出るにあたってかおりが幻術の魔法をコピーしている。
幻術の魔法を使う事で角と翼と輪っかと尻尾を隠しているのだ。
元から実体がないので見えないようにするだけで効果は抜群である。
ただアグネスは実体を持っているので幻術で隠しているが触られないよう注意が必要である。
十七時ごろになってサラが口を開く。
「ここからは車で移動するわよ」
サラがそう言うと同時に車が走ってくる。
車は黒く長い、リムジンというやつだ。
「まさか、リムジンに乗るのか?」
陽斗が興奮半分恐怖半分といった感じで問いかけた。
「そうよ。私貴族だから、リムジンぐらい持ってるわ」
ふふんとサラは胸を張った。
それに対しカーラとアグネス以外は貴族ってすげぇと感心し感動する。
「く、靴とか脱いだ方がいいのか?」
大地がそう恐る恐る尋ねる。
「いや、車なんだから脱がなくていいわよ。さ、乗りましょ」
サラがなんてことないかのように言いドアを開けて乗り込み。
アストレア、陽斗、大地の三人は固まっているがカーラとアグネスは臆することなく普通に乗り込む。
「どうした、乗らんのか?」
カーラがそう尋ねることでようやく動き出し三人は慌てて乗り込んだ。
「それじゃあ運転手さん、私の家までお願い」
「わかりました」
今更だがサラも運転手も英語を話している。
それでも言葉が通じていたのは普段からサラが翻訳の魔法を使っていたからだ。
だが国外旅行となると言葉が通じないと困るのでアストレア以外は翻訳の魔道具を購入し装備している。
アストレアはサラから翻訳魔法をコピーして使っている。
「それじゃあ、今から私の家に向かう訳だけど……あなた達どうしたの」
そうサラは尋ねる。
アストレア、陽斗、大地の三人はガッチガチに緊張していた。
リムジンに乗るなど初めで機会などないと思っていたのだ。緊張もしようものである。
「い、いやその、リムジンなんて乗るの初めてで……マナーとか大丈夫かなって」
アストレアが恐る恐る尋ねる。
「車に乗るのにマナーなんてないわよ。会ったとしても友達なんだから気にしないわよ」
「そ、そう……? ならいいけど……」
どこか緊張した雰囲気は消えない。
それを変えようと大地が話題を口に出す。
「あー、例の物置のダンジョンにトラップあるっていうがどういうのがあるんだ?」
「そうね、槍が飛び出したり矢が飛びだしたり、爆発したり落とし穴だったり……多種多様よ。それに数も多いし、数はわからないけどゴーレムも徘徊してたわ」
「割と本格的なダンジョンだな」
そうカーラが言い腕が鳴ると気合を入れる。
「それじゃあアストレアに入る前に軽く探知魔法使ってもらって、晩御飯ごちそうになったら軽くマップ見ながら作戦建てようぜ」
陽斗がそう言い反対する理由もないので了承した。
そうして車が三十分ほど走ると目的地であるサラの実家に到達する。
「これ、庭?」
アストレアがサラに問いかける。
「そうよ。この辺全部うちの庭よ」
リムジンで門を潜って入ったのは庭だ。
凄腕の庭師が何年もかけて手入れし綺麗にした庭である。
これを前に日本人組は目を見開く。
庭を車で進むこと十分。屋敷に到達する。
「でか」
アストレアはリムジンの中でつぶやいた。それは日本人組の内心だった。
でかい。正面を向いたコの字方の屋敷であり四階建てだ。
アニメや漫画に出てくる貴族の家そのものであり大きすぎて訳が分からないぐらいには大きい。
リムジンが屋敷の前に止まる。
「さ、行くわよ」
サラがなんてことないかのように言いながらリムジンを降りる。
日本人組はおどおどしながら降りて屋敷のでかさの前に戦慄する。
ダンジョンはまだ異世界やゲーム風なので楽観的にとらえられたがここまででかい現実の屋敷を前にするとリアリティを前に呆然とするしかない。
カーラとアグネスは普通に接するが日本人組はたどたどだ。
怯えながら屋敷の扉へと進み、サラを先頭にして中に入る。
玄関も広い。正面には踊り場がある螺旋階段がある。
「ここイギリスだけど、玄関で靴を脱いでね」
サラがそう言い靴を脱いでスリッパに履き替える。
アストレアたちも靴を脱いで客人用のスリッパに履き替えた。
「それじゃあみんな客室に案内するわ。メイドに着いて行って、男女で別けているわ」
どこからともなくメイドが二人現れた。
アストレアたちはメイドに着いて行く。二階に上がった。
二階を少し歩くと客室に辿り着く。
メイドがドアを開け、アストレアを先頭にし中に入る。
「どうぞ自分の家だと思いお寛ぎください」
中は広い。六人部屋相当だろう。
入ってすぐはリビングのようなもので机と椅子とソファなどがある。
「ありがとうございます」
アストレアはそう小さく頭を下げながら礼を言う。
「取りあえずい荷物おいておこう」
カーラがそう言い部屋に上がっていく。
リビングの左手の部屋は寝室であり取りあえず寝室に荷物おいておこうという事になった。
全員アイテムボックスの魔法か魔道具を持っている為荷物に余裕はあるが置いておく。
着替えなどは一週間分持ってきている。ダンジョン探索がどれくらいかかるのかわからないので多めに持ってきたのだ。
因みに行きはそれぞれ自力での移動だったが帰りはサラのプライベートジェットで帰る予定である。
荷解きを手早く終わらせると部屋にチャイムが鳴る。
「はーい」
カーラが出ると其処にはメイドが居た。
「お食事の時間になりましたので闇斎させていただきます」
「わかりました、行こうみんな」
そうして三人は部屋を出て一階の食堂に向かう。
「しかし貴族とは聞いていたけどここまでとは思ってなかった」
アストレアが飾ってある絵や壺を見ながらつぶやいた。
「まぁ、聞いた話じゃサラは不動産を営んでるからな。富豪なのは間違いないだろう」
カーラがそう返す。
「お金ってのはあるところにはあるんだねぇ。羨ましいよ」
アグネスがそうしみじみと言った。
一階に着き、少し歩くと食堂に着く。
食堂もまた広い。楕円形の机と椅子がある。
どうぞおかけください、と言われ三人は座ると丁度陽斗と大地もやってくる。
サラもやってきて座ると料理が運ばれてくる。
「高級料理だ……」
出て来たのはローストビーフなどだ。
美味かった。