TS竜天使娘になったので魔法大学に通いながらダンジョン攻略します 作:Revak
アストレアは胸をばるんばるん揺らしながら走る。
音速を超えた走りだ。マッハ二を叩き出している。
当然ブラ事服を斬られたのでおっぱいがばるんばるん揺れる。
それに大地以外が目をぎょっとする。大地は気にしてもなかった。
「おんどりゃぁぁぁ!」
叫びながらカーラのバリアを攻撃している像を蹴り飛ばす。
強力な蹴りによって像は吹き飛び、奥へと飛んだ。
「ちょ、ま、服! 服!」
陽斗がそう叫ぶ。戦闘中だというのにガン見している。
「後で幾らでも見せるから今は相手を見ろや!」
アストレアが若干切れながらそう叫ぶことで陽斗たちも敵に向く。
像が体勢を直しハルバードを構える。
像の口が開く。
「ゴァァァァァ!」
叫び。鼓膜が破れるのではないかと思えるほどの音量だ。
そして召喚魔法が行使される。
十六体の騎士のゴーレムが召喚された。
「私がでかいの抑えるから雑魚は任せた!」
アストレアはそう叫ぶと大鎌を手に突撃する。
「任せろ!」
大地がそう叫び騎士ゴーレムの方に突撃していった。
大鎌とハルバードが衝突した。
何度もぶつかり合う。硬い金属同士がぶつかる嫌な音が響く。
突然アストレアは左手を構え魔法アルゲティを放つ。
像はとっさの事で防御魔法が間に合わず腹を貫かれた。
だが、その程度だ。動けなくなるわけじゃない。
怒涛の勢いでアストレアに襲い掛かる。
それに対しアストレアは像からコピーした防御魔法を展開。一定時間動けなくなる代わりに高い防御力を得る。
頭や首、胴体にハルバードの攻撃を受けるが無傷で耐えた。
像の攻撃をし終えた一瞬の隙を大地が狙った。
「ふん!」
背後から正拳付きを放ち、へこませた。
そのまま拳のラッシュに移行しへこみを幾つも作る。
これ以上はさせんと像はハルバードを持って回転しながら背後に攻撃するもその時には大地はいなかった。
像はグルんと回って体勢を崩す。
「まだまだ行くぜ!」
そこに雑魚を倒し終えた陽斗が斧を持って攻撃する。
クリティカルダメージを叩き出し像に真っ二つになりそうな罅を入れる。
陽斗と入れ替わる様にアストレアが突撃。
今の自分が出せる最高の通常攻撃を放ち、像を正面から真っ二つに斬り裂いた。
「勝利!」
いえい、とアストレアはブイサインをした。
「その前に服着ろ!」
陽斗が叫び、そう言えばそうだった、と今更ながらにアストレアは胸を隠した。
「はい、こっち来て。着替えは持ってるか?」
「一応一着だけアイテムボックスにある」
「そうか、では男子諸君は反対側を向くように」
そうしてアストレアはカーラの元に行き服を着替える。
「おまたせー」
そうして変えの白い服に着替えたアストレアはみんなの元に戻る。
「結界も破れた。それで……一応更に奥はあるっぽいが、これはなんだろうな」
アグネスが結界の奥の台座に置かれていた本を指さしながらサラに問いかけた。
「なんだろう。魔導書?」
魔導書とは読むだけで魔法を習得できる魔道具だ。
作るのに材料費と時間がかかるし、読むだけと言っても読んで真に理解しないと魔法は使えるようにならない。当然の前提として魔法の才能があるのもある。
「にしては違うようだが……」
アグネスが観察しながら言う。
結界に守られた奥に置かれている本がただの本の訳がない。
本は装幀が黒い馬の皮で作られている。
表面には白い人の顔を模した仮面がくっついてる。
「触ってみる?」
アストレアがそう提案する。
それに反対する理由もないので防御に特化したカーラが本に触れた。
「ん……ここは……」
瞬間第三者の声がした。
女の老人の声だ。声は本からした。
本がゆっくりと浮き上がり、浮遊する。
「汝ら、何者だ?」
本がそう問いかけてくる。
喋る本、という事で一行は驚く。
ずいっとサラが前に出る。
「私たちは先祖が作ったダンジョンを攻略している者です。貴方は……何者ですか?」
「我は……なんだ。思い出せぬ……」
「記憶喪失? ん-、私じゃわからないな……アストレア、シエロ様の解析魔法を頼む」
「りょーかい。ちょっと触れますねー」
「う、うむ」
アストレアは解析魔法をセットし本に触れる。
すぐに解析が終わる。
「わがんね」
「おい」
結果はさんざんだった。
「いやまぁ、魔法を使って本に憑依した魔法使いで、記憶を失ってるのはその魔法の代償ってのはわかったけど、それだけかな。あとはこの本の状態で使える魔法ぐらいしか……」
「本の中の人はわからない、と」
「そう言う事だね」
「そうか……我は魔法使いであったか。おそらくは偉大な魔法使いだったのだろうな」
その台詞に全員微妙な顔をしたが本は気づかなかった。
「なにか名がないと不便だな」
カーラがそう言う。
「おぬしらで名をつけてくれないか?」
そう本は言う。
「ブックはどう?」
「安直すぎだろ。闇の書とかどうよ」
「それだと邪悪な魔法書みたいじゃない」
「黒の書はどうだ」
「もうあるぞそれ」
「じゃあ顔が白いし白の書は?」
「それもある」
「英語とかイタリア語とかで本を翻訳しようぜ」
「英語だとそのままだから、ドイツ語はどうだ」
「じゃあドイツ語で……ブーフだな」
「じゃあブーフさん、という事で」
「うむ。我はこれからブーフを名乗ろう」
よろしく頼む、と本、ブーフは頭を下げた。
「それじゃあこの奥に行きたいんだけどいいかな」
アグネスがブーフにそう尋ねる。
「良いぞ。この奥にトラップはないはずだ」
そうして一行は段差を登って奥の扉を開ける。
一人ずつ順番に入ると其処はちょっとした書庫だ。
そこそこ広く机と椅子が一つずつある。
「おぉ……」
壁には本棚が多数あり本が多数ある。
そのほとんどが魔導書だったり本の形のスクロールだ。
「これが倉庫の最奥?」
「ぽいな」
サラの疑問にアグネスが答える。
サラが机の上を見るとそこには石板があった。
「これは?」
危なそうなのでサラは触れる前に専門家であるアグネスに聞く。
「このダンジョンを管理する魔道具だな。トラップの類はついてない」
「そう。じゃあこれを操作して……」
サラは石板に触れ、このダンジョンを操作する。
トラップやゴーレムたちを機能停止させる。
「ダンジョンも攻略出来た事だし、地上に帰る?」
アストレアがそう口を開く。
「……ブーフさんどうする?」
陽斗がそうブーフを見ながら問いかけた。
「……私預かり、にしてもいいけど……おばさんが入った本を預かるのはちょっと……」
乙女として預かりたくないものがあるのかサラは苦い顔をした。
「まぁ、喋る本など幻獣でもないのに不気味であるからな……」
ブーフもそう思われても仕方がないと言う。
かとって倉庫の肥やしにするわけにもいかない。人格があるのにそれはかわいそうだ。
サラは少し悩んだ後、アストレアに声をかける。
「アストレア、ブーフさん引き取る?」
「え、いいの?」
割とアストレアは乗り気だった。
喋って浮遊する本などファンタジーの醍醐味だ。嫌なわけがない。
「我としても頼む。物置の肥やしになるのは御免だ」
「そっか……ん-、ならダンジョン配信に映っちゃってもいいかな」
「配信? なんだそれは」
ブーフは推定千年前の本だ。ネットなど知るわけがない。
「不特定多数にその姿をさらす事、かな」
「ふむ。この姿で差別などを受けないのならば問題ない」
「ネットだと面白がられはするだろうけど大丈夫だよ」
「ならば、暫くは其方の世話になろう」
よろしく頼む、とブーフは頭を軽く下げた。
「それじゃあどうする? もう戻るか?」
陽斗がサラに問いかける。
「そうね。ダンジョンの機能も停止したし、長居は無用だわ。アストレア、転移魔法をお願い」
「わかった。私の近くに集まってくれ」
そうしてアストレアの周囲に全員集まり転移魔法で物置まで転移した。
「そういや昼飯食ってねぇな」
大地が戻って早々そう言った。
時刻は昼の一時。昼食の時間は過ぎている。
「それなら、私が良いお店知ってるから案内するわ。みんなの分も奢るわよ」
サラがそう笑顔で言った。
「マジ? ごちになります!」
陽斗が元気よくそう言った。
そうして一行は外に食べに行った。
行ったのは個人経営の店だ。ランクもそこそこで高すぎるという事はなかった。
旨かった。