TS竜天使娘になったので魔法大学に通いながらダンジョン攻略します 作:Revak
「ここが日本とやらか」
三日後。アストレアたちは日本に帰っていた。
魔法大学の女子寮前に来ていた。
アストレアは女子寮前を清掃している寮母のエマに話しかける。
「エマさーん。今ちょっといいですか?」
「ん、なんだい?」
エマは優しそうな声で返事をした。
「実は入居者? 同居人? を増やしたくて……この人なんですが」
アストレアはそうブーフを紹介する。
「初めまして。我はブーフ。こんななりだが魔法使いだ」
「幻獣じゃなくて魔法使いかい? 性別は?」
「一応女だったはずだ」
「ん-、だけど学生じゃないしねぇ……一応上に聞いてみるよ。まぁ私としてはいいと思うけどね。それまで……二時間ほど待ってくれ」
「わかりましたー」
「了解した」
それじゃあとアストレアとブーフは女子寮から離れる。
「じゃあどっか行きたいとことかある?」
アストレアはそう尋ねる。
「うむ。公園に行きたい」
「おっけー。じゃあ行こうか」
アストレアもダンジョン帰りなどに街を散策するなどでアーカディアの街の地理を頭に入れている。アストレアの体の記憶力はいいので殆ど覚えている。
「しかし、魔法使いの集落がこれほどまでに大きいとはな」
ブーフがそう呟く。
「他の魔法使いの街を知ってるの?」
「うむ。我が知っている限りでは二十人ほどの集落程度だったはず。これほどの規模は初めて見る……はずだ」
記憶の一部を失っている為あっているかわからないが、とブーフは最後に付け加える。
「この街もいつできたか私知らないしなぁ」
などと話していると公園に辿り着く。
公園には先客が居た。
「なぁ、母さん。俺公園で遊ぶような歳じゃないと思うんだが……」
そこには親子が居た。
母の方は板倉透。普段通り仮面をつけている。父の方は透の使い魔でもある男だ。
身長百八十七と圧倒的高身長。黒い髪に赤い瞳。
そして何よりもその美貌。国民的アイドルと言われも信じられそうなほどにイケメンだ。
執事服を着た男であり体格も男らしい。
背中には蝙蝠の翼が生えている。
名をジルという。
娘は人間と幻獣のハーフだ。
背中からは蝙蝠の翼、臀部からは先端がハートマークの悪魔の尻尾、頭部からは山羊の角が生えている女である。
歳は十六かそこらだろう。容姿も優れており充分美人と言える。
「おひさーです」
アストレアはそう透に話しかける。
何気現実で会うのは久しぶりだ。ネットでならちょくちょく会話しているが。
「お、アストレアか……そっちの本はなんだ?」
透はそう問いかけてくる。
「この本の人はブーフさんです。多分千年前の人で、本に憑依した魔法使いさんである。学友の物置から見つかりました」
「ほー、千年前の魔法使いか、珍しいな……と、そうだ。俺の夫のジルと娘のヴィントだ」
「ジルです。主の使い魔兼夫です」
「ヴィント、この見た目ですが七歳です」
その自己紹介にアストレアは驚く。
「七歳? とてもそうは見えないけど……」
「幻獣や幻獣のハーフは生まれた時点で外見年齢が決まって、そこから動くことはないからね」
透がそう補足する。
「ハーフもそうなんですね……すみません、驚いちゃって」
アストレアは小さく頭を下げる。ヴィントは気にしないで、とほほ笑んだ。
「公園で何してるんですか?」
アストレアが気になったことを問いかける。
「いや、娘も七歳になったし公園デビューかなと」
「だから母さん、私精神年齢は高いんだから公園でどう遊べっていうのよ」
「……すべりだいとか?」
魔法世界には安全基準砲なんてものはないので今は廃止された遊具も幾つかある。
というか魔道具製で魔法使いならはるか上空百メートルまで飛べるシーソーやブランコもある。
「それに遊ぶといっても誰もいないじゃない」
ヴィントはそうあたりを見ながら言う。
そして実際誰もいない。
居るのはアストレアとブーフ、透にジルとヴィントしかいない。
夏休みなのに人は殆どいないのである。
因みにこのアーカディアの街には小学校や中学、高校は無い。
そのために普通の子供を持つ魔法使いは転移魔法か魔道具で外の世界の学校に通わせるか、代わりにある私塾に通わせる。
「……どうする?」
透はどうしたもんかと娘に聞く。
「家でゲームしましょ。switch4でマリパでもしましょうよ……どうせならそちらの人たちもどうですか?」
今の時代もマリオは人気である。
「じゃあ一緒に……予定があるので二時間程度なら」
「なら俺の家に行こうか。転移するよ」
そうしてアストレアたちは透の家に転移する。
「でか」
転移した先は巨大な屋敷の前だ。
五階建ての建物であり、横にも縦にも大きい。
もはや学校に見えるぐらいにでかい屋敷だ。
屋敷の中に入り、靴を脱いで上がる。
メイドがやってくるが、このメイドはホムンクルスだ。
ゲーム部屋に行った。この後めちゃくちゃゲームした。
■
八月九日。朝の九時。シリウス一行はダンジョンの前に居た。
「これはなんだ?」
ブーフが浮遊する球体、ドローンを前にアストレアに問いかける。
「これはドローンって言って、映像をネット……遠くに映せるの」
「ほぉ、面白いものがあるな……映像とはなんだ?」
「動く絵のようなものかなぁ」
それじゃあ、とアストレアはネクサスギアから配信設定をし、配信を開始する。
シリウスのダンジョン攻略チャンネルは登録者数百人、平均視聴者数二十人を誇る弱小チャンネルだ。
バズる事もなく、少数の者にのみ認知されている。
ツイッターのフォロワーは百三十人である。
「それじゃあ配信開始しまーす! ……はいどうもー、アストレアでーす。今日は新メンバーを紹介しまーす!」
【わこつ】【うぽつ】【配信キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!】【次は美少女かな?】
「それじゃあ新メンバーの、ブーフさんです!」
「この球体の前で自己紹介すればいいのだな? ……魔道具に憑依した魔法使い、ブーフだ。記憶の一部を失っているが魔法は使える。よろしく頼む」
【まさかの本】【声からしておばあちゃんかな】【このゲーム本も仲間になるんだ……】【どんな魔法使うの?】
「どんな魔法使えるのって質問来てるよ」
既に配信前に何ができるかは確認ずみなので今更であるが、配信しているので聞く。
「得意とするのは英霊召喚という魔法だ。十三種類の英霊……という設定の魔法の疑似生命を召喚し使役することが出来る」
【fateかな?】【その英霊は何が出来るん?】
「なにが出来るの、だって」
「攻撃、防御、回復、遠距離攻撃に探索などだな。一体だけならば常に出しておくことも出来る」
「ワイルド役だよな。パーティの安定性がこれでますぜ」
陽斗がそう呟く。
「それじゃあそろそろダンジョンに入りまーす。テレポート!」
そうして一行は第十六層へ転移した。
「それじゃあ入る前に言ったようにブーフはガーディアン出して、アグネスの護衛を頼む」
アストレアがそう指示を出す。
それにアグネスとブーフ両者とも「わかった」と返す。
ブーフが魔法を行使する。
創り出されるのは白い英雄だ。
左手にタワーシールドを持ち右手にはフランベルジュを持っている全身鎧の騎士だ。身長も高く二百センチもある。
ブーフとその英雄、ガーディアンはアグネスの近くに移動する。
【真っ白やな】【英霊っていうよりロボットみてぇ】
「それじゃあ探索始めまーす」
そうして探索が始まる。
アグネス案内の元五分ほど歩く。
「ん、敵が接近中だね。数は三体、狼型のゴーレムと……ゴリラのゴーレムかな」
「了解。ゴリラにはカーラがタンクとして出てくれ。狼は一体ずつ陽斗と大地で。ゴリラは私が相手する。ブーフはアグネスを守ってくれ」
アストレアのその指示に全員了解する。
そうしてすぐ敵が現れる。
現れたのは緑色の狼二体と黒い毛皮を持つ三つ目のゴリラの形をしたゴーレムだ。
ゴーレムが突撃するもカーラの魔法で攻撃を誘導され、カーラの盾に攻撃する。
アストレアは魔力操作だけで身体能力を上げゴリラに接近。ゴリラの腹を大鎌で斬る。
半分ほど斬れたが機能停止には至らない。ゴリラは反撃とばかりに殴るがアストレアは後ろに移動することで回避。
次に大鎌を真上から振り落としゴリラの頭を貫通させる。それによりゴリラは機能停止した。
残る二体の狼型は陽斗と大地が一発ずつ攻撃する事で倒していた。
ゴーレムの素材は持って帰っても大した金にならないので放置して先へ進む。
一分ほど進むとアグネスが「止まって」と指示を出した。
「これ、トラップだね。解除するから待ってね」
「はーい」
アグネスが地面に隠された魔法陣に対し解析魔法と解体魔法を当て解除する。
二分ほどで植物の鞭で攻撃するトラップ魔法は解除される。
「解除できたよ、先に行こうか」
そうして奥へと進む。
少し進むことで宝箱が見つかる。
「トラップはないしミミックでもないね。陽斗」
「おっけー」
陽斗もサラのダンジョン攻略で確率操作は大台の四十の操作になっている。
陽斗が宝箱を開ける。
中身は凄かった。
「おぉ、金のインゴットあるよ」
中には金の延べ棒が五本入っている。
更に魔道具の日記帳なんてものも入っているし、レトロゲームのカセットも入っていた。
こりゃ換金すれば相当な額になるな、と一行はうきうきとしながらアストレアのアイテムボックスに収納した。