TS竜天使娘になったので魔法大学に通いながらダンジョン攻略します   作:Revak

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第21話

 

 八月十三日。朝の九時ごろ。

 シリウス一行は第二十層のボス部屋前に居た。

 ブーフを加えた連携にも慣れ、戦闘能力は更に高まっている。

 

「それじゃあ、開けるよ」

 

 アグネスがそう言い木の扉を開ける。

 

 入った先は円形上の広場だ。結構広く、学校のグラウンドほどはある。

 そして特徴的なのは、正面にそびえたつ巨大な樹木だ。

 

「でか」

 

 アストレアが思わず見上げながら呟くほどに巨大。

 

 コメント欄も【でかすぎ】【ゴジラか何かかな?】【ゴジラもここまででかくねーだろ】などとなっている。

 

 全長百メートル。木の根だけで三百メートルはあるだろう。

 木の腹? 部分には口がありぎちぎちと動いている。

 歯はなく、枯れ木のように見えるが大きすぎる。

 直径も五十メートルと非常にでかい。

 十二の触手にも見える木の根を持って百メートルの巨体を支えている。

 

「ギャァァァァァア!」

 

 その木、二十層のボス、バオムは叫んだ。植物の癖に発声器官があるらしい。

 このモンスターはゴーレムではなく、魔法で巨大化させられ暴れるように改造された植物である。

 

「これでかすぎだろ!」

 

 陽斗がこりゃやべぇとばかりに叫んだ。

 事前情報で巨大なボスとは聞いていたがでかすぎである。

 

「こりゃ本気じゃないとまずいね! 行くよ!」

 

 アストレアは魔法セットを本気の物に変える。

 セット内容は『エンハンス』『空間消滅』『アイテムボックス』『四重曲九つの地獄(カルテットナインヘル)』『オーバーヒール(回復魔法)』『確率操作』『飛行魔法』だ。

 

 本気の走りでアストレアはバオムに接近する。

 それに対しバオムは十二の木の根の一つを振り上げ、アストレアに向かって振り落とす。

 

 アストレアはイグニスを行使しつつ迎撃する。

 

 ズドンと大鎌と木の根がぶつかった。

 アストレアの足元が陥没するが、防御魔法の力で耐える。

 

「おんどりゃぁ!」

 

 叫びつつ本気の攻撃を放ち木の根を半分ほど斬ることに成功する。

 

 木に痛覚はないはずだがバオムは痛みに悶え木の根をずらす。

 

 これぞ好機とばかりにアストレアは木本体に突撃する。

 

「高威力の遠距離攻撃が来るぞ!」

 

 アグネスがそう叫びアストレアたちはカーラの元に集合する。

 全員集まるとカーラはバリアを張って防御する。

 

 木の口から高出力の魔力弾が雨嵐とばかりに放たれた。

 そのほとんどは変な方向へ飛んで行くが何発かバリアに直撃する。

 六発受けただけでもバリアに罅が入り、破れそうになる。

 一旦攻撃が止みその間にアストレア、陽斗、大地の三人は攻撃せんと動く。

 

 ダッシュで近づき、各々手ごろな木の根に攻撃する。

 

 魔法で巨大化させられているとはいえ所詮は木だ。防御魔法を使えぬバオムは攻撃により大ダメージを食らう。

 

 木の根が三本、へし折られた。

 

 更に追撃せんとアストレアは跳躍。そのまま飛行士バオムの頭まで移動する。

 そこから大鎌を振るい斬撃を一瞬で何度も刻み込む。

 十字の傷が深く刻み込まれる。

 

 それに対しバオムは残る木の根で体を支え、アストレアに向かって頭突きを放った。

 アストレアはとっさに大鎌を挟むことで防御し、イグニスも行使し防御力を高めたが頭突きを放たれる。

 だが、その攻撃は消滅した。

 板倉透からコピーした空間消滅を纏う魔法だ。これにより自身に害ある全ては接触寸前で消滅する。

 

 そのまま再度大鎌を上から下に向かって振り落とし攻撃する。

 そこそこの深さの傷が一文字状に刻まれた。

 アグネスは居ても邪魔なので後方に移動しつつブーフがそれを護衛する。

 

 バオムが再び叫びつつ木の根の薙ぎ払いを放つ。アストレアはバオムの背後に移動する。

 

 カーラがボレアレスで攻撃を誘導し防御する。

 だが、全て受け切ることはできず倒された。

 

「くっ……」

 

 その顔は赤くなっており興奮していた。

 地面を転がりつつ体勢を立て直す。

 

「行くぜ!」

「おう!」

 

 その間にも陽斗と大地は攻撃に移る。

 

 木の根の一本に左右から同時に攻撃を放つ。

 つい最近身体強化魔法を覚えた二人の身体能力はオリンピック選手も涙目なレベルだ。無論レグルスのエンハンスには及ばないが、それでも戦士系魔法使いとしては及第点を与えれるレベルである。

 

 攻撃によって木の根はへし折れなくなった。

 

 これで残るは七本。

 バオムは残る木の根をむやみやたらに振り回す、が陽斗が確率操作で自分たちに当たる確率を下げつつカーラの元に移動する。

 

 暴れるバオムにアストレアの四重曲九つの地獄(カルテットナインヘル)が放たれる。

 三十六発の魔力の砲弾がバオムの胴体に命中し体を大きくえぐり取る。

 

 背後にいるアストレアはそのまま魔力操作で飛ぶ斬撃を放つ。言ってしまえば斬撃の形をした魔力弾に過ぎない。

 巨大や刃だ。二十メートルを超える魔力弾でありバオムの背中に命中すると大きな傷を刻む。

 

 バオムはジャンプし木の根を伸ばしぐるっと一回転して見せる。

 位置的に丁度アストレアに木の根が命中するはずだが寸前で消滅する。

 

「これ強すぎない?」

 

 魔法の熟練度事コピーしている為コピー元の透もこれと同じ状態を常にしているという訳だ。

 因みに気づいてないが別枠の空間消滅を使えばこのバオムの一瞬で消せる。

 

 木の根も更に二本消滅し残るは五本。本体にもダメージが蓄積している。

 

 バオムは地上に着地すると同時に陽斗と大地から攻撃を受け。また一本木の根を失う。

 

 残る四本で暴れようとするが陽斗たちには当たらないし攻撃もカーラに誘導される。

 

 その間に陽斗と大地も跳躍しバオムの口の下を攻撃する。

 大きく抉れるが折れるには至らない。

 その後ろにアストレアは移動する。

 

 そして、全力の攻撃に加え四重曲九つの地獄(カルテットナインヘル)を放つ。

 全体に当てるのではなく攻撃範囲を狭めて放った。

 結果──バオムは木の根の少し上からぼきりと折れた。

 

「あやばい」

 

 アストレアがそう呟くももう遅い。

 後方に倒れたバオムの巨体にアストレアは巻き込まれた。

 

 

 

「アストレアー?!」

 

 地上に着地した陽斗が叫んだ。

 

「た、助けにいかないと!」

 

 陽斗が慌てつつダッシュで助けに行こうとするが陽斗以外は冷静だ。

 大地は陽斗の肩を掴む。

 

「落ち着け、アストレアは防御魔法を持ってる。無事なはずだ。すぐ出てくるぞ」

 

 そう言うが早いか、アストレアは飛んできた。

 

「死ぬかと思った」

 

 そう言いながら陽斗たちの元に着地する。

 

「よかった、無事で……」

 

 そうほっとし陽斗は胸を撫でおろす。

 

 瞬間フィナーレが鳴る。

 

 地面に魔法陣が出現し魔法陣から豪華な宝箱が出てくる。

 

「それじゃあボスドロップよろしく!」

 

 そうアストレアが言い陽斗も返事をし、宝箱を開ける。

 

「すげぇ豪華だ」

 

 中身は凄かった。

 金の延べ棒が何本もあり、宝石のついた指輪も十個ほどある。

 

 そして手袋型の魔道具もある。

 

「解析解析~」

 

 アストレアが魔法をセットしなおし解析する。

 

「これ、名はないけど着用者の身体能力上昇と攻撃力上昇ついてるね……誰が装備する?」

「大地がいいんじゃないか? 手袋型だし」

 

 陽斗の言葉に大地が「いいのか?」と返す。

 

「いいんじゃない? みんなそれなりに装備整ってきてるし」

「そうか……なら俺が装備するわ」

 

 そう言って大地は手袋を受け取った。

 

 アストレアたちは宝箱事アイテムボックスに収納し、出現した下の階層への階段へ進む。

 

 階段を降り、両開きの扉を開け中に入る。

 

 中は洞窟のように見える。

 だが少し進むとそこは湖だった。

 

「地底湖って奴か」

 

 陽斗が水平線まで見えると呟く。

 配信もしている為コメント欄が盛り上がり始める。

【湖……てことは水着か?!】【水着回来るのか?!】というコメントが多い。

 

「ここからは情報がないからなー。慎重に行かないと……」

 

 アグネスがそう返す。

 

「けど水着とか着て泳ぎたくない?」

 

 それに大地が苦笑しながら返す。

 

「これを進むなら、まぁ普通の装備より水着のがいいだろうな……まぁ、ボートとかいるだろうが」

「よし、じゃあみんな水着で行こうぜ!」

 

 陽斗がそう言い、ならしょうがないかと全員了承した。

 

「それじゃあ配信終わりまーす。ボス戦視聴ありがとうございました~」

 

 そうして配信を切り、一行はボス戦討伐パーティをしようと地上に戻った。

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 数日後の日曜日。朝の十時ごろ。

 アストレアはその日朝から出かけることを考えていた。

 行く先は東京秋葉原だ。目当ての物はパソコンである。

 今の時代ネクサスギアでゲームもある程度出来るとはいえパソコンもいまだ現役だ。

 更に余裕があればアストレアはフルダイブ機械のシンクロギアも買おうかと思っている。

 

 そうして普段着に着替え、幻術をセットし出かけようと部屋を出て玄関に行き、スリッパから靴に履き替える。

 

 そうして外に出ると、透が歩いてくる。

 

「お、いたいた。今暇か?」

 

 透はそうアストレアに話しかける。

 

「今から秋葉原に行くところだけど……まぁ、時間はありますよ」

 

 別に今日買わないといけない訳でもないので時間ならある。

 

「そうか、なら一時間ほど付き合ってくれないか? 美穂の奴がアストレアに会いたいらしくてな」

「美穂? ……もしかして、聖美恵様の事ですか?」

 

 聖美穂とは秩序の刃のトップにして神話の時代から生きる五賢人の一人だ。

 

「そうだ。まぁ、美穂の奴は玉に生きのいい新人を見ると会いたくなる衝動でもあるっぽいからな。どうだ、来るか?」

「行きます行きます」

 

 アストレアは今を生きる神話の住人に会えると思うと興奮しながら了承した。

 

 

 

 

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